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TPR、年間56円に増配し自己株取得上限45億円を公表 資本効率向上へ株主還元を強化

目次

大和康二氏:本日はお忙しい中、TPR株式会社2026年3月期決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。このたび社長兼COOに就任しました大和です。

本日は2026年3月期の通期業績、2027年3月期の業績予想、そして「26中期経営計画」の取り組み状況についてご説明します。

2026年3月期 通期決算のポイント

2026年3月期のポイントとして、売上高と営業利益は減少したものの、経常利益と当期純利益は増益となりました。

2027年3月期は、パワートレイン事業の底堅さを背景に、増収および営業増益を見込む一方で、経常利益は保守的に見込んでいます。

さらに、株主還元については、増配を実施し、自己株式取得も進めています。

2026年3月期 通期業績

まず、2026年3月期の通期業績についてご報告します。スライドの赤く塗りつぶした部分が通期の実績です。

売上高は1,905億円で、前期比19億円の減収となりました。営業利益は102億円で、前期比9億円の減益となりました。

一方、経常利益は161億円で、前期比3億円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は93億円で、前期比5億円の増益となっています。このように、営業段階では減益、経常段階では増益という構図になっています。

業績の背景としては、主にファルテックグループの販売減少が挙げられます。特に主要顧客の販売不振の影響を受け、売上高と営業利益に押し下げ要因として影響を及ぼしました。

一方、TPRグループの主力であるパワートレイン事業は底堅く推移しました。また、中国事業が好調であるほか、グローバルでの原価低減や合理化、労務費の回収が進展しました。

さらに、中国事業における資本参加に伴う持分法利益の増加も寄与し、経常利益は増益となりました。

結果として、ファルテックのマイナス分をパワートレイン事業や中国事業、原価低減活動で補ったというのが、2026年3月期の全体像です。

2026年3月期 通期業績 セグメント比較

セグメントおよび地域別の動向です。日本は13億円の増収、アジアは20億円の増収、北米は5億円の増収となりました。一方で、スライド右端のファルテックグループは59億円の減収となっています。

下段の利益面では、日本は10億円の減益、アジアと北米はそれぞれ2億円の増益、ファルテックグループは7億円の減益でした。

各セグメントの状況についてご説明します。まず日本では、エンジン部品の需要そのものは底堅く推移しましたが、ピストンリング事業における品種構成の変化や、新事業のフロンティア分野における先行投資による研究開発費の増加が利益を押し下げる要因となりました。

アジア事業については、特に中国事業が好調でした。中国の事業では、顧客基盤が特定メーカーに偏らず、日系メーカーだけでなく中国系を含む幅広い顧客に供給できる点が強みとなっています。このような顧客ポートフォリオの分散や、現地での供給・技術・営業の連携が、安定した成長につながっています。

また、北米においては主要顧客の販売が好調で、増収増益を実現しました。一方でファルテックグループについては、販売減少の影響が大きく、連結業績に対して重石となりました。今後は採算の改善や効率化を着実に進めていきます。

2026年3月期 通期業績 経常利益 増減の要因

経常利益の分析内容です。全体として、経常利益は前年度比で4億円の増益となりました。スライドのグレーの部分が減益の要因を示していますが、ファルテックグループの操業減や顧客からの値下げ要請、賃上げ、研究開発費の増加などが挙げられます。

一方、増益の要因を示す赤い部分として、グローバルでの原価低減、合理化、労務費の回収、中国事業における持分法利益の増加などが挙げられます。これらが減益の要因を吸収しました。

特に持分法の利益については、中国での資本参加強化の効果が表れています。これらは営業利益においては見えにくい一方で、経常利益を押し上げる大きな要因となりました。

設備投資・減価償却費・研究開発費推移

設備投資と研究開発費の水準についてです。特に設備投資は、パワートレインを中心に拡大しています。スライドに示されたグラフの赤い部分が直近の数値です。

背景には、足元でのEV市場の成長鈍化、そしてハイブリッドやプラグインハイブリッドを含むエンジン搭載車の需要見直しが挙げられます。

当社は、エンジン需要が想定以上に底堅く推移すると見込んでおり、今後の収益機会を確実に取り込むため、設備の更新や効率化投資を進めていきます。

研究開発費については、共創案件やフロンティア分野における先行投資を増加させていきます。現在は費用が先行するかたちとなりますが、将来の成長の柱を育成するための重要な投資と捉えています。

2027年3月期 通期業績予想

続きまして、2027年3月期の業績予想です。売上高は1,909億円を見込んでおり、前期比3億円の増収となります。営業利益は106億円で、前期比3億円の増益を見込んでいます。

一方で、経常利益は150億円で前期比11億円の減益、当期純利益は81億円で12億円の減益を見込んでいます。

本業であるパワートレイン事業の堅調な推移を背景に増収、増益を見込んでいます。

一方で、経常利益段階では、持分法適用会社の業績を保守的に見込んでいることから、減益予測としています。特に中国においては、持分法適用会社が顧客からの非常に強い値下げ圧力を受けており、この点を慎重に盛り込んでいます。

2027年3月期 通期業績予想 経常利益 増減の要因

経常利益の分析です。まず、経常利益の減益要因は、顧客の値下げ、賃上げの影響、原材料・物流コストの上昇、持分利益の減少、中東情勢に伴う不透明要因などを見込んでいます。

なお、中東情勢の影響については、現時点で合理的に算定可能な範囲で織り込んでいます。現状では大きな影響が顕在化しているわけではありませんが、輸送や原材料、物流コストなどに今後波及する可能性があるため、保守的に見ています。

現時点では過度に悲観しているわけではありませんが、不確実性が非常に高いことを踏まえ、リスクを織り込んだ堅めの予測とご理解いただければと思います。

26中期経営計画 骨太方針

26中期経営計画についてです。こちらは前回および前々回にも示した内容となります。26中期経営計画の基本的な考え方としては、持続的成長と企業価値の向上を基本方針としています。

その実現に向けて、パワートレイン分野での利益を最大化し、フロンティア分野を次の成長の柱として育成すること、またサステナビリティ、人的資本、DXなどの経営基盤を強化することに取り組んでいます。

当社の成長ストーリーを一言で表すと、足元ではパワートレインでしっかり稼ぎ、将来はフロンティア分野で成長を目指すという内容です。

PBR・ROE改善の取組み

当社の株主還元についてです。当社は資本効率の向上と株主価値の最大化を重要なテーマとして取り組んでいます。

現状認識として、ROEが5.6パーセント、PBRが0.45倍であり、目指す水準とは依然として乖離があると認識しています。このため、政策保有株式の縮減、自己株式の取得、安定的かつ継続的な配当、IR活動の強化を進めていきます。

2026年3月期の年間配当については、業績が予想を上回ったことも踏まえ、年間56円とし、前期比で6円の増配としました。2027年3月期については、利益が減益予想であるものの、年間56円を据え置く予定です。

また、自己株式取得については、政策保有株式売却を原資の一部として実施しており、2025年度には25億円を実施しました。さらに、2026年度については、昨年を上回る上限45億円、400万株の取得方針を5月15日に公表しています。

26中期経営計画の取組状況 パワートレイン

パワートレインの状況です。まず、当社におけるパワートレインの位置づけについてですが、この分野では、事業環境の前提が中期経営計画の策定時と比べて大きく変化しています。

当初の想定よりもEV化の進展が穏やかで、ハイブリッドやプラグインハイブリッドを含むエンジン搭載車の需要が長く続く見通しです。スライドの濃い赤の部分で示すように、当初の予定よりもエンジン搭載車の需要が増加しています。

そのため、当社では経営資源をパワートレイン分野に再配分し、投資も拡大していきます。

26中期経営計画の取組状況 パワートレイン

中期経営計画の策定時に想定していた設備投資については、当初計画の140億円から、最新の見込みでは190億円まで引き上げます。

ここで重要なのは、単にエンジンの需要回復に乗ることではなく、需要が残る市場や地域、競争力の高い製品を効率的に供給する体制を強化することです。

当社の強みとしては、シリンダライナで世界トップシェアを誇ること、充実したグローバル生産体制、技術力、そして営業との一体運営が挙げられます。

特に海外事業は成長の原動力であり、今後も中国、インド、ブラジルといった重要な地域や拠点に注力して取り組んでいきます。

グローバル戦略 パワートレイン

特に中国では、市場シェアNo.1の維持と拡大に加え、中国系OEMの海外進出を見据えた供給体制の整備を進めていきます。

また、インドも注目すべき拠点です。ここでは、高効率ラインの稼働対応に加え、新工場の検討も具体的に進めていきます。

さらに、ブラジルについては、加工ラインの増設や建屋の拡張を進め、エンジン需要が残る市場での供給力を高めていきます。

26中期経営計画の取組状況 フロンティア

フロンティア事業の取り組み状況です。これまで当社はフロンティア分野において、多様なシーズの探索を進めてきました。その中で、どの領域に当社の技術や強みが活かせるのか、また将来の事業として育成できるのかを見極めてきました。

現在は注力分野の見極めがおおむね完了しており、2026年度以降は経営資源を重点的に投下していく段階に入っています。

最終的に、2030年の目標として、フロンティア分野で売上高1,540億円、経常利益113億円を掲げています。この目標は非常に高く、小さいものではありませんが、既存事業で培ってきた技術基盤と外部との共創を組み合わせることで、次の成長の柱として育成していきたいと考えています。

注力すべき領域は、大きく3つに分けられます。1つ目はモビリティ関連分野であり、ここではEV関連商品を中心に取り組んでいきます。

例えば、樹脂の成型、摺動、シール、遠心鋳造や接合技術など、当社がこれまで自動車部品事業で培ってきた技術を応用し、電動化時代に対応した製品開発を進めていきます。すでに量産中の製品もあり、将来の収益化に向けた具体的な前進が見え始めています。

2つ目はゴム・樹脂・ナノ素材の分野です。ここでは、カーボンナノチューブの応用製品「Yarnable」、便座ヒーター、熱伝導クレイなど、素材そのものだけでなく、用途開発も含めた取り組みを進めていきます。

当社は、単に素材を持つだけでなく、お客さまの課題解決につながるアプリケーションまで見据えることが重要だと考えています。この分野は、そのような意味でも将来性が非常に高いと見ています。

3つ目は未来洞察分野です。ここは、既存の自動車部品の延長線上にとどまらない、新たな価値創出を目指す領域です。例えば、感情推定技術やエンジン付きの水耕栽培システムなど、幅広いテーマに取り組んでいます。

この方針のもと、外部パートナーとの連携や出資を進めており、2030年には新規出資5件、共創事業10件の追加を計画しています。

また、人材面ではフロンティア・イノベーションセンターおよび中国の研究開発拠点である「TANE」などの体制を段階的に拡充し、開発費についても2030年に向けて着実に増加させていく方針です。

フロンティアの分野はまだ投資先行の側面もありますが、既存事業の収益基盤を活かしながら、将来の成長を支える重要な柱としていきたいと思います。

EV関連商品の開発・事業化取り組み フロンティア

こちらは実際に量産化されている製品、またはこれから事業化が進む製品です。このような製品が着実に増えています。例えば、水漏れ排出バルブやモーターシャフト、それからモーターブッシュなどがすでに量産化されている製品です。

現時点では会社の収益を大きく牽引する段階ではありませんが、中長期的には成長ドライバーとしてさらなる成長が期待されています。

2030年に向けての重点取り組み フロンティア

こちらは、先ほどご説明した3つの柱の具体例です。

2030年に向けての重点取り組み フロンティア

外部共創の事例です。東京都が主催する「Tokyo Cross Lab」に当社も参加しています。これは、東京都が中心となり、スタートアップ企業とのシナジー効果を最終目的とした活動です。すでに当社も4社を紹介され、検討を開始しています。

当社の技術と彼らの技術のシナジー効果を追求し、また、当社が持つ設備装置や実験装置を彼らに提供しながら、お互いに協力して良いものを作り出そうとする取り組みです。

フロンティア・イノベーションセンター

こちらは「フロンティア・イノベーションセンター(FIC)」フロアの写真です。このように昨年から改装を進めており、今年4月には内装が完了し、正式に業務が開始されています。

狙いとしては「共創」による新しい価値の創出と、次世代の事業の柱を育てることがあります。また、当社のコア技術である摺動・摩耗技術や材料技術などを軸に、大学、スタートアップ、異業種の企業との連携を強化し、量産技術の確立までつなげる拠点として位置づけています。

新しい研究施設では、単なる研究を行う場所にとどまらず、社内外のコミュニケーションを活性化させることで、新規事業のアイデア創出や事業化の加速に寄与する重要な拠点であると考えています。

品質表彰/環境/健康経営

企業価値の向上を基盤に、サステナビリティ、品質、人的資本経営にも継続的に取り組んでいます。

2025年度の温室効果ガス削減目標については、SBTiの認定を取得しています。また、お客さまから「カーボンニュートラル改善賞」を受賞するなど、環境対応にも高い評価をいただいています。

品質面においては、国内外の多数のお客さまからサプライヤー表彰を受賞しています。これらは、当社の品質力、納期対応力、顧客対応力がグローバルで評価されている証と考えています。

26中期経営計画 人的資本経営の取組み(TPRの変革を進めるためのひとつくり)

人的資本経営の取り組み内容です。人財育成、人事制度改革、採用の強化、職場環境の改善を軸に、TPRの変革を進めるための人財作りを積極的に進めています。当社は製造業を基盤としているため、スライドの右下に示しているように、安全な職場作りに徹底的にこだわり、ゼロ災を目指して取り組んでいます。

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