2026年3月期 通期業績 連結業績ハイライト (1/2)
中嶌清氏:特種東海製紙株式会社執行役員管理本部長の中嶌です。私からは、2026年3月期の通期業績および2027年3月期の業績予想についてご説明します。
まず、2026年3月期の通期業績です。
2026年3月期の通期業績は、売上高が954億1,300万円、営業利益が42億9,600万円、経常利益が57億2,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益が43億6,800万円となりました。経常利益を除き、前年比で増収増益となっています。
売上高は過去最高、営業利益は第3位、経常利益は第5位、当期純利益は第4位と好調な結果ではありましたが、期初の業績予想に対してはいずれも未達成に終わりました。
第2四半期以降に発生した特殊機能紙の需要先製品の停滞感に伴う販売数量の減少などにより、年度後半から計画の進捗が遅れ始めました。
特殊機能紙の数量回復や価格改定効果が通年で寄与した衛生用紙の拡販などで販売面の巻き返しを図ったものの、遅れを完全に取り戻すには至らず、いずれの項目においても業績予想を下回る結果となりました。
2026年3月期 通期業績 連結業績ハイライト (2/2)
前年との比較では、売上高は954億1,300万円となり、前期比6億1,300万円増(0.6パーセント増)となりました。営業利益は42億9,600万円で、前期比3億6,800万円増(9.4パーセント増)です。増減の詳細については後ほどご説明します。
経常利益は57億2,800万円で、前期比4億9,900万円減(8.0パーセント減)となりました。これは持分法投資損益の減少が主な要因です。
親会社株主に帰属する当期純利益は43億6,800万円で、前期比7億6,100万円増(21.1パーセント増)となりました。
この結果、ROEは4.6パーセントから5.4パーセントへと0.8ポイント改善しました。
売上高および営業利益の増加については、生活商品事業における価格改定効果と環境関連事業の好調が主な要因です。
当期純利益の増益については、前年度に計上したフィブリック設備の減損損失および岐阜工場閉鎖費用がなくなったことによる反動増が要因となっています。
配当については、1株当たりの期末配当を22円から32円に増配する剰余金処分案を6月の次回定時株主総会へ付議します。
連結配当性向は、前年比で3.9ポイント増加し、42.9パーセントとなりました。
2026年3月期 通期業績 セグメント情報 (1/2)
各セグメントについて説明します。
産業素材セグメントでは、主力製品である段ボール原紙およびクラフト紙について、日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社(以下、NTI)向けの販売数量が低調に推移したことから、売上高は減少しました。
一方、電力販売を行っている赤松水力発電所は、前年の設備トラブルによる稼働停止からの反動で前年を上回り、営業利益は増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は444億6,700万円、営業利益は11億6,900万円となりました。
なお、段ボール原紙・クラフト紙の損益については、当社および日本製紙がコストと同等の売価で共同販売会社であるNTIに販売するため、両社が稼得した収益はすべてNTIが計上します。
当社においては、この利益を持分法投資損益として経常利益に反映させています。そのため、当セグメントの売上高には計上されますが、営業利益には反映されない点をご承知おきください。
次に、特殊素材セグメントについてです。2024年10月および本年4月に価格改定を実施しており、前期に実施した価格改定の効果が表れている一方で、特殊印刷用紙および特殊機能紙の販売数量は苦戦しました。その結果、価格改定による増収効果が販売数量の減少による減収を相殺するかたちになりました。
特殊機能紙においては、期中に発生した調整局面に対し、拡販などの施策を実施しましたが、輸入パルプなどの原燃料価格や固定費などのコスト増加の影響を受け、減収減益となりました。
当セグメントの売上高は202億8,800万円、営業利益は14億9,400万円となりました。
2026年3月期 通期業績 セグメント情報 (2/2)
生活商品セグメントについてご説明します。販売数量は前年を下回りましたが、トイレットペーパーやペーパータオルなどの衛生用紙全般で価格改定が浸透し、価格要因がプラスに寄与したことで、増収増益を達成しました。
なお、当期の第3四半期に発生した一部販売先での物流混乱の影響により、一過性要因として販売数量が減少しました。これを第4四半期で挽回すべく施策に取り組みましたが、遅れを取り戻すには至りませんでした。
この結果、当セグメントの売上高は189億9,300万円、営業利益は7億9,800万円となりました。
次に、環境関連セグメントです。本セグメントは、リサイクル事業を行う資源再活用事業と、社有林関連や土木建築事業を行う自然環境活用事業の2つで構成されています。
資源再活用事業については、2024年4月にグループ化した株式会社貴藤の損益が通年で寄与したことに加え、この会社への出資に際して前年に計上した一過性のデューデリジェンス費用が、当期は発生しなかったことによる反動増が寄与しました。
また、建築廃材を中心に取り扱うリサイクル関連会社の収益向上も、セグメント業績に寄与しました。
なお、株式会社貴藤は決算期変更に伴い、当連結会計年度においては14ヶ月分を連結する変則決算となっています。
自然環境活用事業については、建設事業の完成高が前年同期を上回り、ウイスキー販売も堅調に推移しました。この結果、売上高は180億8,900万円、営業利益は7億5,500万円と、増収増益となりました。
2026年3月期 通期業績 利益の増減要因
営業利益および経常利益の増減要因について、連結ベースの階段グラフに基づいてご説明します。
まず営業利益についてです。前期の39億2,800万円に対し、今期は42億9,600万円と、3億6,800万円、9.4パーセントの増益となりました。
マイナス要因として、原燃料価格の高止まりと労務費をはじめとする固定費の増加が挙げられます。一方で、生活商品事業における価格改定効果、水力発電の売電事業の反動増、環境関連事業の続伸などを通じて対抗しました。しかし、販売数量面では力強さを欠き、コスト上昇分を完全には吸収できませんでした。
なお、その他子会社利益等の増加は、特殊要因によるものです。当期前半に予定していた特殊素材事業本部の生産設備更新工事に伴い、一部製品の在庫を積み増したことで、固定費の一部が在庫に滞留しました。すなわち、製品として払い出されなかった原価分がプラス要因となっています。
この後の業績予想でも言及しますが、このプラス要因は、積み増した製品在庫を販売する際に原価として払い出されるため、一過性のものであることを補足します。
続いて、経常利益です。営業利益が増加した一方で、経常利益は前年度の62億2,700万円から今期は57億2,800万円となり、前年比では4億9,900万円、8パーセントの減益となりました。
これは、持分法による投資利益が前年比で約7億円減少したことが主な要因です。
持分法投資利益は、先ほどご説明したとおり、産業素材事業におけるNTIなどで構成されています。原燃料価格の高騰が続く中、需要全体が弱含みで推移したため、NTIが減益となり、結果として当社の持分法投資利益も減少したという状況です。
2026年3月期 通期業績 連結B/S概要
連結バランスシートの状況は、スライドに示したとおりです。
現預金の圧縮により流動資産が減少しました。これに伴い、有利子負債は25億円程度減少しました。また、廃棄物燃料製造会社の工場新設や新東海製紙島田工場の新ボイラー建設などを要因として、固定資産が増加しています。
自己資本比率は58.9パーセントで、前年度比2.6ポイントの増加となりました。
中期的には成長投資を行うことを踏まえ、中期経営計画における資本政策の中で自己資本比率の規模感について検討しました。
詳しくは後ほど木村が中期経営計画のパートでご説明します。
2027年3月期 業績予想 連結業績予想・配当の状況
2027年3月期の業績予想は、売上高1,000億円、営業利益32億円、経常利益58億円、親会社株主に帰属する当期純利益46億円を公表しています。
売上高については、特殊素材事業における本年4月からの価格改定や生活商品事業での価格改定、また、昨年調整局面だった特殊機能紙の回復などにより、過去最高の1,000億円とする増収を見込んでいます。経常利益および当期純利益は増益の予想ですが、営業利益は前年からの減益を見込んでいます。
これは当期における特殊要因によるものです。1つは、過年度の業績説明で申し上げた特殊素材事業における生産設備更新工事に伴うマシンの停止と、それに伴う在庫増加による固定費払い出しのマイナス影響です。
もう1つは、資源再活用事業における新たな商権獲得に向けた費用の先行支出です。
なお、中東情勢の影響については、原油価格の上昇による原材料価格や物流コストの上昇分を、基本的にはコスト削減や価格改定で吸収することを想定しています。しかし、コスト上昇だけでなく、原材料やエネルギーなどの供給面も極めて流動的な状況であると認識しています。
今後のさまざまな要因によって予想数値が大きく変動する可能性がありますが、開示すべき事項が生じた場合には速やかにお知らせします。
2027年3月期 業績予想 利益の増減要因
営業利益および経常利益の増減要因について、連結ベースの階段グラフを用いてご説明します。
まず、営業利益についてです。前期の営業利益は42億9,600万円でしたが、今期の営業利益は32億円と、10億9,600万円、25.5パーセントの減益予想となっています。
製紙各セグメントでは、原燃料価格や労務費をはじめとする固定費の高騰が続いています。ただし、2026年4月から特殊素材や生活商品の価格改定による回復を想定しており、この特殊要因を除けば、ほぼ前年並みの利益を見込んでいます。
特殊要因については、前年の固定費の払い出しが最も金額規模が大きく、当期に発生する固定費と両建てで原価となるため、特殊素材事業の営業利益を押し下げる要因と想定しています。
この要因は階段グラフのその他子会社利益等に含まれており、更新工事にかかる修繕費も固定費に含まれています。
環境関連事業では、再資源化ビジネスの領域で、新事業を開発するための業務委託費用が発生することを見込んでいます。
また、労務費や仕入れ価格の上昇などにより、経営環境の変化に加えて費用の増加を見込んでいます。
ただし、この費用は一過性のものであり、中長期的に再資源化ビジネスの事業拡大を図る上で必要な先行支出と位置づけています。
以上、2026年3月期通期業績および2027年3月期業績予想のご説明でした。
目次
木村隆志氏:代表取締役社長の木村隆志です。あらためまして、本日はお忙しい中、特種東海製紙の決算説明会をご覧いただき、誠にありがとうございます。
本年度から開始している、第7次中期経営計画についてお話しします。スライドに記載した順番でお話ししますが、ポイントは大きく3点あります。
1つ目はこれまでの取り組みとその課題について、2つ目は2035年に向けた当社の目指す姿、そして3つ目は、2035年に目指す姿の実現に向けて、今後3年間でどのように成長を実現していくのかという点です。
特に環境関連事業や再資源化ビジネスは、成長の中核として位置づけています。
前中期経営計画の振返り 方針と取組み
まずは、前中期経営計画の振り返りです。当社は、これまで株式市場の要求に応えるには既存の製紙事業だけでは困難であると認識し、事業ポートフォリオの変革に取り組んできました。
具体的には、環境関連事業を成長エンジンと位置づけ、製紙と環境の両輪で成長を目指す方針です。この方針のもと、環境関連事業においては積極的に投資を行い、経営資源を重点的に投入して成長の基盤を構築しています。
また、製紙事業においては、成長市場への新製品投入や価格改定の実行などを通じて、収益構造の改善に取り組んできました。
前中期経営計画である第6次中期経営計画の主な施策として、以下の3点をご説明します。
1点目は、リサイクルの高度化です。この施策は計画どおりに進捗したと評価しています。具体的には、リサイクル事業を営む2社をグループ化し、対象地域やリサイクル品目の拡大を実現しました。
また、既存事業の周辺では、RPF製造工場の移転やプラスチックの高純度選別ラインの導入など、将来を見据えた投資を実行してきました。
2点目は、社有林の有効活用です。こちらも計画を達成したと評価しています。 ウイスキー事業では、2024年11月に3年物の販売を開始し、昨年度は黒字化を実現しました。
また、ウイスキーを製造する井川蒸溜所では、さまざまな環境に配慮した取り組みを行っています。民間企業としては日本で初めてGreen Destinationsの「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選出され、第8回「エコプロアワード」で最高位の「財務大臣賞」を受賞するなど、環境価値創出の面でも成果を上げることができました。
3点目は、製品構成の入れ替えとサテライト創出についてです。こちらに関しては残念ながら未達と評価しています。
製品の改廃や、株式会社巴川コーポレーションから機能紙の商権譲渡を受けるなど、製品構成の一部入れ替えは進んだものの、成長市場で使用される製品の拡販は計画を下回りました。
また、サテライト創出ですが、CNF(セルロースナノファイバー)を用いたフィブリックという製品が、蓄電池のセパレーターとして実際に採用されています。
ただし、この採用された蓄電池自体の販売拡大が進まないことから、商用プラントの建設は困難であると判断し、最終的には撤退することとしました。また、パッケージ事業については縮小する方針を決定しました。
今後は、本年3月にリリースした「MyPUP」というデジタル技術を活用したサービスの提供など、新たな方法で取り組んでいきます。
前中期経営計画の振返り 資本・財務戦略
投資はおおむね計画どおりに実行しました。
成長投資枠から約88億円を充当し、環境関連事業3社のM&Aを実施しました。これにより、再資源化ビジネスの基盤拡大を進めることができたと考えています。
株主還元については、総還元性向30パーセント以上の方針を掲げていましたが、各期で40パーセント程度の還元を実現しました。なお、2026年3月期の期末配当については、先日公表したとおり、22円から32円へ10円増配することとしました。
前中期経営計画の振返り 数値実績
数値の実績については、環境関連事業の収益力を計画どおり伸ばせたことに加え、製紙事業全般では原燃料価格の高騰を背景に価格改定を実施したことで、営業利益は3年連続で増益となりました。また、経常利益については2年連続で過去最高益を更新しました。
一方で、特殊素材事業における拡販施策の遅れや持分法投資損益の減少などの影響もあり、最終年度の目標に対してはROEを含めて下回る結果となりました。
前中期経営計画の振返り 総括
6次中期経営計画の総括として3点挙げます。
1つ目は、成長エンジンである環境関連事業です。計画どおり進捗しているものの、今後さらなる成長には追加の施策が必要であると考えています。
2つ目は、基盤となる製紙事業です。事業環境は引き続き厳しいものの、価格改定の進展に伴い、収益改善が見られました。特に、資本収益性が低かった生活商品事業については、製品構成の見直し、工場のコストダウン、価格改定などの収益向上策を徹底し、安定した収益を上げる基盤が整ったと考えています。
今後については、成熟市場の中でも存在感を高め、頼られる会社となること、さらに継続的な取り組みとして、成長領域での拡販をスピード感を持って進めることが求められます。
3つ目は、資本市場からの評価です。PBR(株価純資産倍率)1倍割れの状況を踏まえ、事業の成長を図るとともに、株主還元も同時に進めることが必要だと考えています。
以上の3つの総括を踏まえ、長期ビジョンと第7次中期経営計画を策定しました。
ビジョン2035 経営理念/目指すべき企業像
ここからは「ビジョン2035」について説明します。中期経営計画の策定にあたり、これまで掲げてきた長期目標を整理し、「ビジョン2035」として明確化しました。スローガンは「つくる、ふたたび。未来へ」です。
ビジョン2035 スローガン
当社グループは今後も製紙事業と環境関連事業の両輪で成長を果たす方針に変わりありません。ただし、将来に向けて成長を続けるためには、現状を変え、進化していく必要があります。
このスローガンには、当社の製造業でもあり、リサイクラーでもあるという独自性を活かし、既成概念にとらわれることなく、未来に向けて新たな価値を創出していくという思いが込められています。
そして、未来への矢印の先に掲げている「社会・環境課題のソリューション・パートナー」が、当社が2035年に目指す姿です。
これまでのように、単に物やサービスを提供するだけでなく、課題解決手段を提供することで、お客さまや地域社会に必要とされる会社へ進化していきます。
ビジョン2035 中期経営計画の位置づけ
ビジョン2035は、2035年までの9年間を指します。その間、第7次、第8次、第9次の3つが続いていきます。右のスライドに記載されている「『つくる』の進化」「『ふたたび』の輪」は、これら3つの中期経営計画を段階的に表すようにデザインされています。
1段目の第7次中期経営計画では、将来の成長に向けた領域を見定め、経営資源を積極的に投入する「BUILD」として、基盤固めの期間と位置付けています。2段目の第8次中期経営計画は、第7次中期経営計画での成果を取り込みつつ、付随する事業領域への挑戦を行う「GROW」として、育成の期間としています。
3段目の第9次中期経営計画は、第8次で広げた領域を充実させ、多面的にソリューションを提供できる、循環型社会の形成に欠かせない企業集団への「SCALE」として、飛躍する期間と位置付けています。
ビジョン2035 長期的な事業ポートフォリオ
この図は、2035年に向けた事業ポートフォリオを示しており、円の大きさで利益の規模を表しています。
この図の縦軸は市場の成長性を、横軸は資本の収益性を示しています。成長性の高い環境関連事業に経営資源を重点的に投入し、将来的には製紙の3事業と環境関連事業を同規模にしていく計画です。
環境関連事業については、産業廃棄物の発生量自体は今後減少すると予測しています。しかし、リサイクルの周辺事業は大きく変化し、新たなビジネスチャンスが生まれるとみています。これに伴い、成長性をやや上げた位置にプロットしています。
製紙事業は成熟市場ながらも安定した収益基盤を維持できると考えており、将来の縦軸は少し下げるものの、利益を示す円は大きくプロットしています。横軸の資本収益性は、利益の拡大と効率的な事業運営により、両事業とも向上させていきます。
ビジョン2035 各事業の展望
大きな成長を目指して取り組んでいく再資源化ビジネスについては、ここに示した4つの環になぞらえて成長の姿を描いてきました。これまで、この環に基づき、地域戦略も含めて順調に推移しています。現在は、スライドで赤い丸で示された第3の環の中盤から終盤に位置していると考えています。
ビジョン2035では、この歩みをさらに進め、第4の環として再資源化サイクルを構築し、循環型社会の形成に欠かせない存在を目指していきます。
当社がこの領域で成長できると考える理由は2つあります。1つ目は、市場の構造的な成長です。資源に関する安全保障上の問題や脱炭素、資源循環といった早期に解決すべき重要な課題があります。この課題に対して、国や自動車、家電業界など一部の産業ですでに取り組みが始まっており、再資源化への動きは中長期的に拡大が見込まれています。
2つ目は、当社の独自ポジションです。今後のリサイクル事業では、より高度で精密な技術や再生品の高品質化が求められると考えています。当社はリサイクラーでありながら、製造業として再資源化した素材を使用する側の知見やもの作りのノウハウも有しています。
これらの点が他社との差別化要因となり、製造業でありリサイクラーでもあるという当社の独自ポジションが活きてくると考えています。
これらを背景に、今後はこれまでの歩みをさらに進め、量の拡大と質および領域の拡張という2つの軸で成長を図っていきます。
第7次中期経営計画 長期的な事業ポートフォリオ基本方針と数値目標
ここからは、第7次中期経営計画のご説明です。第7次中期経営計画は、ビジョン2035に向けた最初の3年間であり、基盤固めの3年間として位置づけています。ただし、重要なのは単なる基盤整備の3年間ではないという点です。将来の収益を生み出すための種まきと、これまで培ってきた事業経営基盤の強化という土壌作りを同時に進めていきます。
いわば仕込みと仕上げを同時に行う3年間となります。このため、戦略的な投資も積極的に実行していきます。
数値目標として、経常利益80億円、ROE7.0パーセント以上を掲げていますが、これはあくまで通過点だと認識しています。円グラフのとおり、製紙事業で安定的にキャッシュを創出しながら、環境関連事業、特に再資源化ビジネスの比重を大きく引き上げていきます。
第7次中期経営計画 重点戦略と各セグメントの計画
第7次中期経営計画の重点戦略は、以下の3点です。
1点目は、生産体制および製品サービス構成の最適化です。2点目は、環境事業の基盤固めと周辺領域への拡大で、3点目は、成長を支えるサステナビリティ経営の高度化です。これらの施策を推進し、右側に示しているセグメント利益を実現していきます。特に環境関連事業は、7億円から17億円への2倍以上の成長を計画しています。
第7次中期経営計画 製紙3事業の戦略
ここからは、セグメント別の施策のご説明です。まず、製紙事業ですが、製紙事業は安定した収益基盤としての位置づけを強化していきます。
市場が成熟する中でも収益を確実に生み出し続けるため、製品構成や生産効率の向上、販売方法の見直しを進めていきます。成熟市場だからこそ、既存のビジネスや製品の枠にとらわれず、当社の強みを活かしてお客さまの課題解決に繋げることで、お客さまに必要とされる会社へと進化していかなければならないと考えています。
第7次中期経営計画 産業素材事業
産業素材事業では、先日公表していますとおり、日本製紙株式会社およびダンボール原紙の販売会社であるNTIとともに、ダンボール専業メーカーの株式会社トーモクとの協業検討を開始しています。
業界構造が変化する中で、専業メーカー同士が連携しながら競争力を高めていく必要があると考えています。
また、将来的な人手不足への対応も重要な課題と認識しています。特に、規模の経済が利く産業素材事業では自動化の効果が得られやすいと考えています。そのため、パルプ製造や倉庫などにおいて自動化を推進し、スマートファクトリー化のモデルを構築することを目指しています。
これにより、生産性の向上と安定操業の両立を図っていきます。
第7次中期経営計画 特殊素材事業
特殊素材事業においては、前中計で積み残しとなった成長市場の開拓が大きな課題となっています。そのため、従来のやり方にとらわれず新たな取り組みを目指し、組織を変更しました。本年4月1日には、紙販売代理店である株式会社TTトレーディングの吸収合併を実施し、さらに開発部隊を事業部内に配置しました。これにより、製造・販売・開発が一体となり、これまで以上にスピーディにお客さまの課題に対しソリューションを提案できる体制を強化していきます。
また、これも前中計からの継続となりますが、絶縁や耐熱といった機能性を活かした製品開発を進めるとともに、アラミドペーパーや株式会社巴川コーポレーションから商権譲渡を受けた絶縁紙の拡販を推進していきます。
第7次中期経営計画 生活商品事業
生活用品事業では、将来的に原料である古紙の調達が難しくなることが予想されています。そのため、産業素材事業で使用している比較的安定的な調達が見込める段ボール古紙を配合しながら、品質や使用感を損なわない製品の開発を進めていきます。
製品構成の見直しやブランドの訴求に加えて、先ほど少し触れました「MyPUP」というデジタル技術を活用したサービスの提供を推進していきます。
第7次中期経営計画 環境関連事業 再資源化ビジネスの戦略
次に、成長の要である環境関連事業です。これまで当社はM&Aを通じて地域の拡大や再資源化品目の拡大を図り、環境関連事業の基盤を構築してきました。その結果、利益は拡大し、第4の事業と呼べる段階に達したと考えています。
リサイクル市場に関しては、資源に関する安全保障上の問題などを背景に、今後大きく変化していく見込みです。
第7次中期経営計画では、変化が起こると予測される領域に加え、現在当社が手がけている既存事業のノウハウを活かせる領域を絞り込み、経営資源を傾注させたいと考えています。
また、新しい領域への投資だけでなく、既存の再資源化ビジネスの規模拡大や基盤強化も継続し、収益の安定性と成長性の両立を図っていきます。なお、ここに示したセグメント利益の17億円はあくまでも通過点であり、投資190億円に対する効果をすべて反映したものではありません。
第7次中期経営計画 環境関連事業
環境関連事業は、リサイクルを行う資源再活用事業と、当社の井川社有林における活動や土木建築を行う自然環境活用事業、この2つで構成されています。
第7次中期経営計画 環境関連事業
資源再活用事業では、処理・製造基盤の強化と外部連携、新規参入による成長エンジンの複線化を図る基本戦略のもと、既存事業に隣接する領域への新規参入を実現するために、経営資源を大胆に投入していきます。これは第7次中期経営計画における最重要の定番テーマであるため、スピード感を持って進める必要があります。
地元の静岡県島田市と官民連携による地域循環共生圏の構築に関して、先日、連携協定を締結しました。当社のインフラ設備や環境関連事業のノウハウを活用し、地域課題の解決に貢献していきたいと考えています。
自然環境活用事業では、井川蒸溜所のウイスキーにおいて12年物を本命と位置づけています。ウイスキーの品質向上とブランド価値向上を推進し、中長期的な成長事業として育成していきます。
この事業は、単なる酒類の販売事業にとどまらず、森林や水資源、地域資源といった自然資本を活用し、環境価値や地域価値を創出する取り組みでもあると考えています。今後は地域との連携をさらに深め、観光や体験価値も含めた独自性のある事業へと発展させていきます。さらに、森林の保全やCO2吸収源としての価値など、自然資本に関する新たな価値の創出にも取り組んでいきます。
第7次中期経営計画 対前中計最終年度の経常利益改善計画
以上の施策を実行し、経常利益を2026年3月期の57億円から80億円へ増加させることを目指していきます。
製紙事業は成熟市場であるため、なにもしなければ減益になることを前提としています。その上で、生産効率の向上や価格転嫁など、製造・販売の両面での強化を図りつつ、成長領域で使用される紙製品の拡販を進めていきます。また、環境関連事業では、新規の再資源化ビジネスへの参入により増益を目指していきます。
第7次中期経営計画 人的資本に係る方針と取組み
当社は事業ポートフォリオを変えながら成長を図っていく中で、人的資本は重要不可欠な要素と考えています。
この左側の円で示している「チャレンジ」「共創」「多様性」の3つを、人が活躍するためのキーワードとして掲げました。例えば、リサイクル事業やDXなど重要な領域でのキャリア採用、社内公募制、グループ行動規範の見直しなど、さまざまな施策を実行し、グループ全体が一体となることで異なる文化が刺激し合い、融合し、果敢に変化に対応していく企業風土を醸成していきます。
目指しているのは、社員の成長に伴い会社も成長していくという好循環が生まれ、持続的な成長を図れる強い企業集団となることです。
グループ全社員が企業価値の向上を自分事として感じられるようにするため、株式を交付するESOPを導入しました。
第7次中期経営計画 ガバナンス
グループ内の取締役および執行役員を対象とした譲渡制限付株式報酬制度(RS)の導入を計画しています。先ほど説明した従業員向けのESOPと合わせることで、グループ全体の役員・社員が当社の株式を保有することになります。
グループ全体で株価を意識した経営を今後さらに推進していきたいと考えています。
また、右側に示しているとおり、取締役会の体制は独立社外取締役を過半数とする体制を目指します。取締役の構成は、スキルマトリックスを考慮し、多様性と専門性を重視した構成としていきます。
第7次中期経営計画 資本コストと株価を意識した経営の取組み
そして、こちらも非常に重要な事項ですが、資本コストと株価を意識した経営についてです。
当社は現在、PBRが1倍を割る状況にあります。これは、市場から十分な成長期待を得られていないことを示していると認識しており、この事態を真摯に受け止めています。
課題は明確であると考えており、ROEの改善と市場から成長期待を獲得すること、その両面が必要だと認識しています。そのため、製紙事業の収益力の底上げ、成長領域でのリターン向上、株主還元の強化、そしてIR活動の充実による認知度向上、この3点を同時に進めていきたいと考えています。
第7次中期経営計画 投資計画
こちらは投資計画です。再資源化ビジネスを中心とした成長投資に重点的に配分していきます。M&Aやアライアンスを通じた事業領域の拡張に加え、新規事業の立ち上げや既存事業の拡張に向けた投資を積極的に行っていきます。
投資の規模は3年間の合計で470億円としており、前中期経営計画の215億円から大きく引き上げています。また、長期のキャッシュアロケーションを見ても、この第7次中期経営計画での投資額の比重が非常に大きい期間であることがご確認いただけるかと思います。
投資の成否は非常に重要です。そのため、投資を実行する際にはROIといった定量基準に加え、既存事業とのシナジーや将来の成長性などの定性面も重視し、中長期的な企業価値向上に資する投資であるかを十分に選別していく所存です。
第7次中期経営計画 株主還元
次に株主還元です。資本効率の改善を考慮し、第7次中期経営計画期間中の配当方針を、配当性向50パーセントまたはDOE4パーセントのいずれか高い方へ変更しました。
これにより、利益成長に応じた還元の拡大と、資本水準に応じた安定配当の双方を実現していきます。
自己株式の取得も、資本効率性や市場環境を踏まえながら機動的に実施します。今後も株主のみなさまとの長期的な信頼関係を重視し、企業価値の向上に取り組んでいきます。
第7次中期経営計画 キャッシュアロケーション
キャッシュアロケーションは記載のとおりです。ビジョン2035に向けて、財務の健全性と株主還元のバランスを保ちながら、積極的に投資を実行していきます。
2026年3月期末時点での自己資本比率は58.9パーセントです。第7次中期経営計画期間中には、これを50パーセント程度まで圧縮することも視野に入れていますが、この水準であれば財務の健全性は維持され、成長投資も問題なく実行できる水準だと当社は考えています。
つくる、ふたたび。未来へ
以上が本日の説明となります。最後に、当社は現在、大きな転換点にあります。資源に関する安全保障上の問題や環境問題、社会構造の変化といった、現在世の中で起こっているこれらの事象はリスクであると同時に、大きな機会でもあると捉えています。
当社は製造業であると同時にリサイクラーとしての独自の強みを活かし、この変化を捉えて成長の機会へと変えていきます。第7次中期経営計画は、その可能性をより確実かつスピーディに前進させるための3年間です。紙だけを扱う会社から、循環型社会の形成に欠かせない会社へ。「あるといいな」ではなく、「なくてはならない」という新たな会社を目指していきます。
ぜひ中長期的な視点で当社の変化と成長にご期待いただき、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。私からの説明は以上です。本日はありがとうございました。