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ホーチキ、売上高・利益ともに計画を大きく上回り、5期連続で過去最高を更新 海外売上や国内ストックビジネスが牽引

目次

細井元氏(以下、細井):ホーチキ株式会社代表取締役社長執行役員の細井です。本日はお忙しい中、弊社決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。それでは、さっそく説明に移ります。

本日の内容です。2026年3月期の業績、2027年3月期の業績予想、ホーチキグループが2030年に向けて展開している中長期経営ビジョン「GLOBAL VISION 2030/Phase1」の進捗状況、そして最後に資本コストと市場を意識した経営の実践に対する当社の取り組みについてご説明します。

決算ハイライト

決算ハイライトです。2026年3月期の売上高と利益は、計画を大きく上回る業績を達成しました。5期連続で過去最高の売上高と利益を達成したことになります。

業績を牽引したのは、まず海外売上高です。欧州と東南アジアが堅調に伸長しました。また、国内において収益性の柱となっているストックビジネスであるリニューアル工事部門と保守メンテナンス部門の2つが伸長し、収益性の向上を牽引しました。

一方、生産能力増強等の構造改革に伴う投資には遅れが生じています。これについては、Phase2に向けた課題と認識しています。

2026年3月期業績(実績)概要

2026年3月期の決算概要です。売上高は1,058億5,500万円、営業利益は120億6,600万円、経常利益は123億4,400万円、親会社株主に帰属する当期純利益は93億7,700万円となり、いずれも前期比を上回る結果となっています。

スライド下段のROEは14.7パーセント、ROICも13.4パーセントとなり、前期に比べて改善傾向にあります。

スライド右下には、営業利益の増減をウォーターフォール図で示しています。約25億円の増益となりましたが、最も利益にインパクトを与えたのは原価率の改善で、次いで売上高の増加による利益効果が寄与し、これらによって25億円の営業利益が積み上がったということになります。

2026年3月期業績 セグメント別実績

セグメント別の実績です。詳細はこの後のスライドでご説明しますが、スライド上部に記載されている主力の火災報知設備は、売上高が前年同期比6.3パーセント増、利益が24.7パーセント増で、全体の収益向上に大きく寄与した結果となりました。

また、消火設備を除くその他のセグメントについても、増収増益を達成しています。

スライド下側の表に記載されている主要指標については、国内のストックビジネスである保守およびリニューアルの売上高が、前年同期比で4.9パーセント増加しました。これにより収益性の改善が大きく進んでいます。

海外においても、連結売上高に占める海外比率が23.5パーセントまで拡大し、前年同期比で2桁増となっています。

セグメント別実績 火災報知設備

セグメント別の状況をご説明します。数字に関してはスライド左側のチャートをご覧ください。スライド右上の事業環境についてですが、国内では首都圏を中心とした老朽ビルの建て替えや、駅周辺の大型再開発需要が引き続き堅調です。

リニューアル市場でも、設備更新時期を迎える物件需要が順調に拡大しており、今後の潜在的なポテンシャルも非常に高いと考えています。

このような新築とリニューアルの割合の中で、ストック比率が結果として増加したことにより、収益性が向上する傾向にある事業環境だと思われます。

海外については、グローバルベースでこの分野のオーガニックな市場成長率は日本国内よりも高い水準にあります。地域別では、前期において東南アジアで高い成長が見込まれており、実際に当社の主力地域であるベトナムを中心に東南アジアが大きく伸長しました。

東南アジアに限らず新興国では、都市化の進展が市場を牽引している状況であると考えています。一方で、カントリーリスクや地政学リスクなどが存在するため、これらのリスクについては今後も継続して注視が必要であると考えています。ただし、前期において業績に与える影響は非常に限定的でした。

セグメント別実績 火災報知設備・うち国内

火災報知設備セグメントのうち、国内の分野についてご説明します。スライド右上の表のとおり、国内の火災報知設備セグメントは、新築工事、リニューアル工事、代理店・販売店などの機器販売、弱電設備の4つの項目に分類されています。このうち、弱電設備を除いたすべてが前期比で増加しています。

ポイントとして、新築工事では、採算性と施工キャパシティを考慮した計画的な受注活動を展開しており、そうした制約がある中でも一定のボリュームを維持しています。

機器販売では、代理店や販売店とのさまざまな協業施策により、特に過去に代理店が納めたリニューアル物件の掘り起こしをメーカーと販売店が協力して進めた結果、効果が上がっています。これにより、リニューアルの伸びとともに代理店向けの機器販売も増加しています。

工事付きリニューアルでは、計画的に先行営業を重ね、有効営業残や受注残を積み上げた結果、なお多くの潜在的な物件が潤沢に存在するとのことで、非常に好調である点がポイントといえます。

セグメント別実績 火災報知設備・うち海外

火災報知設備セグメントの海外についてです。スライド左側のチャートにあるとおり、全体として海外売上高は右肩上がりで推移し、収益性も向上しています。

スライド左下に示している地域別の内訳では、括弧内の数字は為替の影響を除いた現地通貨ベースとなっており、この数字に基づいてご説明します。北米・中南米は前期比で5.2パーセント増加しました。これはOEMの販売および北米におけるシステム販売が計画どおり進捗したためです。

また、ここ数年アメリカ市場はやや低迷していましたが、昨年度は反転を図るために販売体制や事業体制の強化に1年間取り組んできました。今年度は反転攻勢に向けた土台が整ったと考えています。

アジア・パシフィックが最も伸長したエリアであり、前期比で23.4パーセントの増加となりました。特に主力であるベトナムを中心にシステム販売が好調だったことに加え、需要が増加しているバッテリーエネルギー貯蔵システム市場、いわゆる「BESS」と呼ばれる市場での販売増加も相まって、東南アジアは大幅な増収を達成しました。

欧州・中東・インドは、最もボリュームの大きい市場ですが、2パーセントと微増にとどまりました。英国は引き続き堅調な市場動向を維持している一方で、中東とインドは計画未達となり、若干の事業課題を抱えている状況です。それでも全体としては、なんとかギリギリで増収を達成しました。

セグメント別実績 保守

保守についてです。スライド左下の表をご覧いただくとわかるように、当社の保守セグメントは点検契約とそこから発生する整備工事の2つに区分されています。特に整備工事は前期比で12.7パーセントの増加となりました。

事業環境において、保守における営業ターゲットは年々増加傾向にあります。建物の大規模化、複雑化、高度化が進む中で、そのようなシステムの点検においては、メーカー点検の優位性が発揮されるため、需要が高まっていると認識しています。

また、売上高は伸びていますが、当社が点検部分で受託している件数は全国で約1万5,000件の契約があり、ここ数年かけてその見直しを行っています。

一定の採算基準を満たさないものについては契約更新を見送り、その分のリソースを付加価値の高い大型案件に投入する方針を採用しています。その結果、契約件数は減少しているものの、契約単価の増加や契約率の上昇により、点検保有高は増加しています。

また、定期点検後の整備工事に対する積極的な提案営業を活発化させたことで、この分野が大きく伸び、増収につながりました。

利益については、セグメント利益が残念ながら前期に比べて減少しています。これは、スライド右下のフォールチャート図に示しているように、販管費が若干オーバーしていることが要因です。ただし、これは将来の事業体制の強化に向け、先行して人的投資を進めている結果と認識しています。

セグメント別実績 消火設備

消火設備についてです。消火設備は、当社がターゲットとする物件規模が大型化しているため、工事に着手してから竣工するまでの非常に長い期間、現場に拘束されるという特性があります。

したがって、施工キャパシティに合わせてバランスをとりながら受注をコントロールする必要があるため、どうしても波が出てしまう事業特性があるかと思います。

再開発を含めた大型物件の需要は依然として旺盛ですが、施工キャパシティの効率化を図るために、平準化した施工レベルに合わせた受注をいかに計画的に行うかが1つのポイントになると考えています。

セグメント別実績 防犯設備

防犯設備についてです。防犯設備は当社のセグメントの中で最も規模の小さい事業ですが、スライドのとおり収益性は向上しています。

また、セキュリティの防犯部門については、市場や事業成長のポテンシャルが高いと見ています。現在、当社が主力として扱っている製品は、オフィスなどの入退室管理システムであるアクセスコントロールです。

しかし、それだけでは成長に限界があるため、現在はAIカメラや生体認証との連携によってソリューションの幅を広げ、事業拡張を進める取り組みを行っています。

2026年3月期 受注高・受注残高

受注高と受注残高についての2026年3月期の状況です。スライドに記載のとおり、受注高・受注残高ともに右肩上がりで増加しています。今後の当社の売上高成長を下支えする事業環境にあると認識しています。

2027年3月期業績(予想)概要

今年度の業績予想です。売上高は1,100億円、営業利益は123億円、経常利益は125億円、当期純利益は90億円と予想しています。

当期純利益のみが前期比でマイナスになる見込みです。これは、スライド右上にも記載しているとおり、前期は賃上げ促進税制を適用したことで税負担が軽減されましたが、今期はそれが適用されないためです。残念ながら、当期純利益は現時点では減益となる予想を立てています。

また、ROEおよびROICについても、ポイント自体は前期比より下がる見通しではありますが、一定の水準を適切にコントロールする計画を考えています。

2027年3月期予想 セグメント別

セグメント別の業績予想です。スライドの情報量が多くなっていますが、右上にポイントを記載しています。

火災報知設備は、採算性の改善を前期よりも見込んでいるため、増収増益の見通しです。

保守点検は、ポートフォリオの見直しを継続しており、契約数の減少は見込んでいるものの、1件当たりの単価上昇により増収を予想しています。

消火設備は残念ながら減収減益の見通しです。しかし、これは受注サイクルの端境期にあるため、ある意味では計画的な着地点と考えています。

防犯設備は増収増益を見込んでおり、入退室管理に加え、カメラをセットにした販売を今期は積極的に展開する予定です。

また、地域別ではスライドのとおり、北米は現地通貨ベースで25.0パーセント増を見込んでいます。

アジア・パシフィックは2.2パーセントの微増が見込まれています。また、昨年は微増にとどまった欧州・中東・インドは9.8パーセントの増加を計画しています。この地域では、前期にOEM供給が滞っていたワイヤレスセンサーの販売が今年度に再開される見込みが立っているため、これを営業の武器として事業拡大を図る計画です。

2027年3月期予想 ビジネスタイプ×市場別売上高推移

スライドに私たちのビジネスタイプ別および新築・リニューアルの市場別売上高の推移を示しています。スライド左側のグラフでは、工事付、機器販売、メンテナンス・保守という3つのビジネスタイプの売上構成推移を確認できます。

ご覧いただくとおわかりいただけるように、今期の予想では初めて機器販売が工事付を上回る見通しで、初めて40パーセントを超える結果が見込まれています。

海外のビジネスモデルは機器販売を基本としているため、海外市場の伸長に合わせて機器販売モデルを強化していきます。それぞれのモデルにおいて投下する資本も変動するため、引き続き海外市場の成長に合わせて機器販売モデルを高めていく事業施策を検討しています。

スライド右側は、新築とリニューアルの比率を示しています。今期の見通しでは、新築が37.2パーセント、リニューアルが62.8パーセントとなっています。これは旺盛なリニューアル需要の取り込みにより、相対的に新築の比率が減少したためです。

このような見通しとなっていますが、バランスについては常に適切なコントロールを意識した営業体制を維持しています。構成比については、単なる新築からリニューアルへの構成変化ではなく、収益モデルの転換を意味するものであると認識しています。

引き続き、海外を成長ドライバーとし、国内のストックを収益基盤の強化と位置付け、この両軸で持続的な利益成長を実現していきたいと考えています。

GLOBAL VISION2030 エグゼクティブサマリ

中期経営計画の進捗状況です。当社は2030年ビジョンとして「人と技術の力で世界中にLife Safetyを創造する」を掲げています。

このビジョンは2024年にスタートし、最初の3年間をPhase1、4年目から2030年までをPhase2とする2段階構成としています。今年度は、このPhase1の最終年度にあたります。

「日本の“ホーチキ”から世界の“HOCHIKI”へ、グローバル企業を目指した成長実現」を合言葉に、グループ全体で取り組みを進めています。

基本方針は3つあり、スライドに記載の「事業ポートフォリオ最適化による資本収益性向上」「人的資本経営の推進」「DXによるイノベーション推進」を、2030年までを通じた基本方針として位置づけて、各種戦略や政策につなげています。

本日は時間の関係上、基本方針の1つ目である「ポートフォリオの最適化」に関する取り組み状況を中心にお話しします。

Phase1(2024-2026)の総括とPhase2への接続

基本方針についてご説明する前に、我々が認識している2026年度の位置づけについてお話しする前に言及したいのは、2026年度をPhase1の完成年度とするのではなく、Phase2への接続年度と位置づけている点です。

今年度の見通しにおいて、業績面では当初計画を大きく上回る到達レベルになると見込んでいます。一方で、後ほど少しご説明しますが、投資の実行、実行面での質、そしてスピードにおいて課題が残っている状況です。

そうした中、2026年度はPhase1の最終年度にあたり、これまで強化してきた各事業の収益基盤およびキャッシュ創出能力を基盤とし、Phase2へ接続させるための重要な年度と位置づけています。このため、投資判断や実行のスピードをさらに向上させ、成長領域への投資を計画的に積み上げていく1年にしていく方針です。

基本方針1.事業ポートフォリオ最適化による資本収益性向上戦略

その中で基本方針の1つ目である「事業ポートフォリオ最適化」についてですが、スライド左側のバブルチャートに示されているように、事業成長を目的にCAGRや事業セグメントのP/Lの側面、資本収益性としてのROICやEVAというP/LとB/Sの2軸で事業管理を徹底するマネジメントを行っています。

中核事業である火災報知設備については、引き続き国内のリニューアル需要の取り込みと海外市場の強化という2軸で、これらに対する積極的な投資を今後も進めていきます。

また、最もROICが高い保守部門については、採算性を重視した点検および整備工事の拡大を図りつつ、人手不足に対応するための人員体制の強化や、効率向上を目指した点検のスマート化・DX化に向けた投資を加速させています。この両側面への投資により、投下資本を増やして事業価値を高めていく取り組みを進めたいと考えています。

消火設備については、引き続き受注をコントロールしながら、全体のシナジーを最大化する取り組みを進めていきます。

また、防犯設備については事業規模が最小であるため、さまざまなアライアンスやパートナー戦略を駆使し、事業規模の拡大を図ります。

これが各事業セグメントの方向性となります。

スライド左側にある2024年のスタート時点から2026年度のPhase1の最終年度に向けた計画と着地点の予測についてですが、防犯設備を除く各ポートフォリオは、すべて右肩上がりで推移するという見通しです。

この中でも、スライド右側のバブルチャートのピンクで示された部分、いわゆるコアとなる火災報知設備は、当社の中核事業となっています。このセグメントをさらにポートフォリオ上で成長させ、収益性を高めていくため、海外部門とリニューアル部門の2つに注力し、Phase1の期間中に集中的に事業展開を図ります。

加えて、保守部門への投下資本を増やし、事業規模の拡大と収益の向上を図る計画です。この3部門、すなわち海外部門、国内リニューアル部門、国内保守部門をPhase1の注力部門として位置づけて展開しています。

スライド下部に記載された数字は、今期の実績が当初の計画対比および前期対比でどのようになったかを示していますが、結果としてこの3部門はいずれも当初計画や前期を上回る成績を残しています。

事業戦略➀海外におけるシステム販売拡張

今ご説明した3部門について、まず海外に関しては戦略が3つあります。1つ目は、システム領域を拡張することです。従来の火災報知設備という枠から、非常放送設備など周辺領域を拡張するための取り組みを進めています。

2つ目は、マルチブランド化です。顧客へのリーチ数を増やすために、グループ内で持つブランドを重ね合わせ、可能な限りお客さまへのアプローチ網を広げていく取り組みを行っています。

特に今年度は、グループ会社である受信機メーカーKentec(イギリス所在)が持つブランドを活用し、当社が所有するセンサーやデバイスをケンテックのブランドとしてシステム構成に組み込み、まずはアメリカ市場でHOCHIKIブランドとは異なるリーチを取りながら事業展開を行う計画です。

また、3つ目の戦略として、R&Dおよび生産サプライチェーン体制の強化があります。スライドの右下に「事業投資の考え方」と記載していますが、投下資本については、海外市場において商品レンジの拡充や販売体制の整備を進めるため、今後数年間で累計数十億円を投下する予定です。

期待する成果としては、システム販売の領域拡張に伴い、付属するセンサーの販売数量が増加し、これにより事業の収益性が向上すると見込んでいます。

短期的には基盤整備に時間をかけることになりますが、中期的には販売の拡大が進み、Phase2では収益貢献が本格化すると考えています。

事業戦略②建物ライフサイクルに沿ったリニューアル需要への対応強化 国内

注力部門2つ目のリニューアルについてです。リニューアルに関しての戦略は3つあります。

1つ目は、計画的受注の営業モデルを確立し、さらに強化することです。

2つ目は、施工負荷の平準化です。新築とのバランスの中で、いかに施工を平準化しながらリニューアル需要を取り込むかが重要となります。この戦略を掲げ、徹底していきます。

3つ目は、リニューアルの潜在的なポテンシャルについてです。スライドの真ん中下部に記載がありますが、過去に当社が納めた設備の更新時期が迫っており、まだまだ潜在的な需要が存在します。これを確実に取り込むためには、グループ全体の施工体制を強化する必要があると考えており、それを3つ目の施策として挙げています。

今後の投下資本については、人員増強や協力会社を含めた施工体制の強化を中心に、年間数億円規模の継続的な投資を行う方針です。さらに、ストックの積み上げによって、利益率の向上とキャッシュ創出力の強化を図ります。短期的には人員増強や協力業者の育成によるコスト増加の影響が一定程度出ると予想していますが、中期的にはこの更新需要を確実に取り込むことで、さらなる収益性向上につなげていきたいと考えています。

事業戦略③総合防災メーカーとしての差別化戦略による保守事業拡大 国内

3つ目は保守事業です。保守事業の営業母数は依然として潤沢に存在します。一方、営業ターゲットに対する点検契約の成約率や整備工事の提案獲得率には、まだ改善の余地があると考えています。これらをポテンシャルとして見極め、着実に取り込んでいくことが施策となります。まずは、リソースや時間を創出するために、点検保有高や受託案件のポートフォリオをあらためて見直していきます。

また、整備工事については、安全機能維持の観点からお客さまにご理解いただける提案を推進し、着実に売上拡大につなげていきます。加えて、中長期的には人手不足の進行を背景に、人的要素が非常に大きい点検作業をいかにITやDXを活用してスマート化するかが、今後の重要な戦略課題であると考えています。

したがって、投下資本については、今後IT基盤や開発投資に対して、段階的に年間数億円規模の投資を実施していく方針です。既存事業の生産性向上に加え、「ライフセーフティの創出」をキーワードに、新たな付加価値サービスの事業創出に向けて検討を進めています。短期的には業務効率化を推進し、中期的には事業拡大と収益機会のさらなる拡張を目指す位置づけです。

基本方針2.人的資本経営の推進

「人的資本経営の推進」についてです。時間の関係上、ご説明を省略します。

基本方針3.DXによるイノベーション創出

「DXによるイノベーション創出」についてです。同じく時間の関係上、ご説明を省略します。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

資本コストと市場を意識した経営の実践についてです。スライドに記載のとおり、ホーチキグループとして積極的に取り組みを進めています。

現在、資本コストと株価を強く意識した経営への転換をグループ全体で推進しています。スライド左側に記載しているPBR、ROE、PERについても、数年前は非常に低迷していましたが、こうした取り組みを評価いただき、前期末時点ではスライドに記載の水準まで改善することができました。

PBR向上に向けては、スライド記載のロジックツリーに基づき、さまざまな施策を展開しています。本日はこの中から、赤色でピックアップした3点についてご説明します。

➀事業ポートフォリオ経営の推進【取り組み内容】

1つ目は、事業ポートフォリオ経営の推進です。社内のマネジメント体制を大きく見直しています。

この取り組みにあたり、組織変更も実施しました。従来の機能別の本部組織に加え、事業を横断的に、かつ一気通貫で責任を持ち、戦略立案を担うことを明確にした事業部門制を導入しています。また、従来はP/L中心だったマネジメントを、資本コストを意識し、資本収益性を高めていくスタイルへ転換する取り組みを進めています。

また、全社ベースでは事業ポートフォリオ委員会を設置し、各事業部門が策定する事業戦略を厳格に評価しています。そのうえで、必要な投資や戦略の実行について、経営側と執行側が議論を重ねながら事業の最適化を目指すマネジメント体制に移行しています。

当社は2030年をターゲットに、常に7年先を見据えた中長期の事業プランを事業セグメントごとにローリング形式で策定しています。

各事業戦略について、オーガニック成長を基盤とした事業計画と、M&Aなどインオーガニック要素を含めた成長戦略の2軸で継続的に議論しています。

➁資本効率性の改善【取り組み内容】

2つ目の取り組みの資本効率性については、ROICを経営の重要指標として位置づけています。前期の実績ではROICが13.4パーセントとなり、前々期比で2.3ポイント改善しました。各事業でNOPAT率の向上方法に加え、投下資本の最適なコントロールに各事業部門が注目しながらマネジメントを進めています。

前期の投下資本回転率は前々期比で大幅な改善には至りませんでしたが、現状ではさまざまな事業環境下において適正にコントロールされた水準を維持していると認識しています。

スライド右側に記載のROICやEVAについても、全社単位ではなく事業ごとに評価・分析し、事業戦略に反映する取り組みを進めています。

また、右下に小さく記載しているとおり、従来当社内で設定していたWACCは7.65パーセントでしたが、見直しを実施し、現在は10.38パーセントを基準として位置付け、この水準を基準に各事業の収益性評価を行っています。

③株式市場の対話強化【取り組み内容】

3つ目の取り組みは、株式市場への対応強化です。スライドをご覧のとおり、各投資家のみなさまと多くの対話の機会を設けながら進めています。これまでは接点を増やすことを重視していましたが、現在は対話を通じていただいたさまざまなご意見やご示唆を経営にしっかり反映させることに注力しています。

スライド右側に記載しているように、投資家のみなさまからいただいた内容については、経営陣や取締役会を中心に社内で共有し、フィードバックを行っています。例えば、流動性の低さに関するご指摘に対しては、2024年に株式売出しを実施しました。

また、先般実施した株式の3分割についても、いただいたご意見を経営施策に反映しています。

株主還元に関しては、さらなる改善の余地があるとのご指摘や、方針をより明確にし、外部に対してコミットするべきとのご意見もいただいています。

当社は累進的配当方針を採用しており、その時々の状況を踏まえ、最適な株主還元を実施していると認識しています。さらに、定量目標や方針の開示については、今年度中に中期経営計画Phase2開始に向けて社内で検討を進めていく予定です。

キャッシュアロケーションと戦略投資

キャッシュアロケーションと戦略投資についてです。先ほど課題認識の中で、将来に向けた投資に遅れが発生しているとご説明しましたが、スライドにキャッシュアロケーションの状況を示しています。2024年から2026年の予測を含めたキャッシュアロケーションをご覧いただくと、営業キャッシュフローは当初想定を上回る水準で創出できる見込みです。

一方、将来に向けた生産能力増強投資や生産合理化推進投資については大きく遅れが生じているため、これらの投資を早期にキャッチアップし、投資判断の実行スピードを引き上げることが、Phase2につなげる上での今年度の大きな課題だと認識しています。

配当方針

配当についてです。株式分割後ベースで示すと、2026年3月期は1株当たり40円の配当、配当性向は31.8パーセントです。

2027年3月期も同様に40円を想定しています。引き続き、配当については財務状況や成長投資の実行状況など、さまざまな要素を総合的に勘案した上で、株主還元を実施していきます。これらの基本的な考え方は今後も変わりませんので、ご理解いただければ幸いです。

私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:中東情勢による影響と対応策について

質問者:スライドの16枚目についてうかがいます。中東情勢、原油高、ナフサ不足などの影響により、住宅メーカーで浴槽が製造できなくなるというような話があります。今後、材料が手に入らないという同様の理由で、大型ビルの着工時期や完成時期が後ろ倒しになる可能性も考えられると思います。

また、御社製品についても、プラスチック部材などの調達が困難となり、生産に支障が発生するなど、さまざまな影響が想定されます。これらについて、現時点でどのように認識されているのか、対策として値上げ対応やサプライチェーンの複数調達の見直しなどをどのように検討されているのかをお聞かせください。

細井:中東情勢における当社事業への影響についてですが、現時点では建築案件の着工や完成工期に直接的な影響が出ているという情報は当社には入ってきていません。その一方で、石油由来製品の調達については、なんとか調整しながら対応を進めているというのが各社の状況です。

今後、この状況が長期化した場合の影響については見通しが立っていませんが、現時点でお客さまからうかがっている範囲では、大きな影響が出ているわけではないと認識しています。ただし、コスト面では影響を受けており、大きな上昇傾向にあります。ゼネコンやサブコン各社においても、コスト上昇を受けて、現在計画されている建築案件の工期変更や計画の見直しが求められるリスクがあると考えています。

また、当社製品に使用しているプラスチック関連部材については、現時点では生産を継続することが困難な状況には至っていません。ただし、特にプラスチック樹脂関連では、サプライヤー側から先々のオーダーには対応していただけていない状況が続いており、短期的な発注に対して短期的に納入していただくことを繰り返している状態です。そのため、将来に備えた在庫の積み増しは現状では難しい状況です。

したがって、現時点では部材不足が原因で生産できないという状況ではありません。今後については、調達環境がどの程度変化するかによると考えていますが、現状の認識はそのような状況です。

質問者:在庫を増やせていないというのは、御社に限らず各社共通の状況だと考えています。要するに、樹脂メーカー側が現在、需要に対して十分に供給できない状態であり、在庫積み増しのために多めに発注しても対応が難しい、ということでしょうか? 

細井:おっしゃるとおりだと思います。

質問者:先ほどお話にあった工期変更や計画見直しは、どちらかというと主にゼネコン側の状況だと思います。仮に御社側でもコスト上昇が発生した場合は、価格改定や価格見直しの交渉を行うという理解でよいでしょうか? 

細井:そのとおりです。コストについては、まず最大限、企業努力で吸収していくことが前提です。それでも吸収しきれない部分は、その時々の状況下で価格転換についてご相談させていただくという流れになると考えています。

質疑応答:「K-system」の北米展開戦略と売上見込みについて

質問者:スライドの22枚目についてです。2026年度よりイギリスのKentecブランドの「K-system」を北米市場へ投入する計画とされていますが、新ブランドを加えたマルチブランド展開を進める上で、既存ブランドとの差別化をどのように図るのでしょうか? 具体的には、高価格帯と普及帯なのか、顧客の業種別なのか、あるいは北米市場における地域別展開なのか、戦略についてお聞かせください。

また、北米市場については2026年度に35億円弱の売上を見込まれているとのことですが、このうち、今回投入する「K-system」ブランドの寄与分をどの程度見込んでいるのかも教えてください。

細井:北米での「K-system」ブランド展開における、既存のいわゆるホーチキブランドとの住み分けについては、Kentecはイギリスの受信機メーカーで、世界中に販路を持っています。これまでも受信機単体を北米市場に販売していました。

今後はその販路を活用し、Kentecブランドとしての「K-system」をシステム販売で展開する方針です。従来のホーチキブランドとは異なる客層に向けて、Kentecブランドを用いて販路を複線化していく考えです。

また、北米市場における売上寄与分は約5億円を見込んでいます。

質疑応答:売上原価率改善の見込みについて

質問者:2027年3月期の業績予想についてです。スライドの15枚目を見ると、昨年同様、ポートフォリオ改革やストックビジネスの構成比上昇により収益性の改善を進めているにもかかわらず、売上原価率改善の寄与が昨年比で弱く見えます。昨年は26億円の改善だったのに対し、今年は約11億円にとどまっています。この差が生じる理由について教えてください。

細井:数字的な裏付けをすぐに示すことはできませんが、私の認識としては、2025年度、つまり前期は非常に原価率が良好でした。従来から収益性が高いリニューアル案件に加え、新築案件の採算性も大きく改善していたためです。

一方、2026年度については、火災報知設備の新築案件の中でも大型物件を多数受注する計画を進めています。その受注時点での原価率は昨年比で悪化する前提で計画を立てています。この影響が1つあると考えています。

さらに、前期は消火設備のセグメントで採算性の高い大型案件の売上の計上がありました。今年度はそのような採算性の高い大型案件が比較的少ないため、消火設備においても原価率の改善幅は限定的になる見込みです。

質問者:ある程度は価格転嫁を進めていくとのご説明でしたが、それを織り込んでも、受注案件全体で原価率は悪化すると見ているのでしょうか? それとも現時点で保守的に見積もっているのでしょうか? 

細井:特段保守的に見ているという認識ではありません。価格転嫁については、今年2月に当社として2回目となる価格改定を実施しています。しかし、既存の営業残や受注残があるため、価格改定の効果が現れるにはタイムラグがあります。その影響も含めて収益性の計画に織り込んでおり、その前提で現状の業績計画を立てているとご理解いただければと思います。

質疑応答:保守点検1件当たり単価上昇の要因について

質問者:保守点検について、1件当たりの単価が上昇しているとのお話があったと思います。これはより大型の案件をとりにいっていることによる単価上昇なのか、それとも同様のサービスに対する価格改定によるものなのか、内訳を教えてください。

細井:全国で約1万5,000件の点検契約を保有していますが、比較的少額の点検契約案件も含まれています。これらの案件は、どうしても採算性が低いケースがありますので、一定の基準に基づきお客さまと相談しながら契約更新を見送るという対応を進めています。その結果、契約件数は減少しましたが、大規模物件の構成比が高まったため、1件当たりの点検契約金額が上昇している状況です。

現在、各点検契約の価格改定に向けた交渉も進めているため、単価上昇にはそのような要因も含まれています。

質疑応答:調整額増加の要因について

司会者:「今期予想の調整額が83億円と、前期比で14億6,400万円というご質問です。

小林靖治氏(以下、小林):代表取締役専務執行役員の小林です。細かい数字は別として、14億6,400万円増加の主な要因は人件費の増加です。共通項目として、人的資本投資に関連する費用を各部門横断で計上しており、その影響が最終的に調整額として反映されているものが中心になると思います。

質疑応答:今期業績予想における中東情勢と価格改定の影響について

司会者:「今期業績予想に、中東情勢の影響をどのように織り込んでいますか? また、2月から実施している価格改定の効果をどの程度見込んでいますか?」というご質問です。

小林:スライド16枚目の下段にも記載していますが、一連の中東情勢については、先ほど細井からご説明したように、先行きの不透明感が強く、確定的に見通せる状況にありません。そのため、今回の業績予想には中東情勢による影響を数字として織り込んでいません。

また、価格改定については、商品によって異なるものの、主に機器販売では2月からボリュームゾーンで10パーセントから15パーセント程度の値上げを実施しています。ただし、この値上げは原材料や仕入価格の上昇に対応するためのもので、売上については機器販売ベースで一定のプラス効果を見込んでいますが、利益面への影響は今回の業績予想では軽微と考えています。

質疑応答:保守事業における人材採用と技術継承の課題について

質問者:保守事業における需要拡大の対応のため、先行的に人員増強を進められていますが、今後の事業拡大にあたって、人材採用や技術継承がボトルネックになる可能性はあるのでしょうか?

細井:ご指摘のとおり、ボトルネックになる可能性はあると認識しています。現行の保守事業規模であれば、現在の人員および協力会社、パートナーとの連携体制で対応可能だと考えています。一方で、依然として大きな潜在需要が存在するため、その需要を取り込んでいくためには、さらなる人的補強が必須だと考えています。

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