マネーボイス メニュー

トーカロ、売上高・経常利益とも過去最高を更新 半導体・FPD分野が牽引し今期も売上高650億円へ

本日の内容

小林和也氏(以下、小林):みなさまこんにちは、代表取締役社長執行役員の小林です。本日はご多忙の中、トーカロ株式会社2026年3月期の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日ご説明する内容は、スライドの3つです。決算説明の後に、新・中期経営計画についてご説明します。

2026年3月期連結決算 ハイライト

まず、2026年3月期連結決算の概要をご説明します。売上高584億円、経常利益147億円、経常利益率25.2パーセントと、売上高・経常利益ともに期初計画を上回り、過去最高を更新しました。

2026年3月期連結決算 親会社株主に帰属する当期純利益とROE

親会社株主に帰属する当期純利益は前期比25.0パーセント増の100億円、自己資本利益率(ROE)は15.8パーセントで目標の15パーセントを達成しました。

2026年3月期 連結決算(P/L)の概要

売上・利益については、前期との比較表を参考としてスライドに示しています。

2026年3月期 売上高(分野別)

セグメント別の売上高についてご説明します。最大セグメントである溶射加工(単体)は、産業機械分野が好調に推移した一方、主力である半導体・FPD分野が踊り場となり、第4四半期で巻き返したものの、わずかな上昇にとどまりました。

その他表面処理加工は、農業機械部品向けの在庫調整が継続した影響により減収となりました。一方、海外子会社は好調に推移し、前期比31.7パーセント増となりました。

経常利益 増減要因分析

経常利益の前期比増減の分析です。2026年3月期の経常利益は147億4,500万円となり、前期比で21億8,600万円増加しました。増加の主な要因は、売上の増加と変動費率の低下です。一方、減少の主な要因は、積極的な設備投資による減価償却費の増加と人件費の増加となっています。当社では数理計算上の差異を一括償却していますが、この影響を除けば人件費は11億6,400万円の増加となります。

(参考)実力ベースの経常利益

2026年3月期決算より、数理計算上の差異や補助金収入を除いた実力ベースの経常利益を開示しています。当社の実力ベースの経常利益は136億円です。

2026年3月期連結決算 セグメント別

セグメント別の売上・利益について、前期との比較です。溶射加工(単体)では半導体・FPD分野が踊り場となったものの、産業機械分野が好調に推移し、増収となりました。一方、人件費や減価償却費の増加により減益となっています。

国内子会社については、日本コーティングセンターの切削工具は回復基調にあるものの、寺田工作所の受注が低迷し、増収減益となりました。

2026年3月期連結決算 セグメント別

海外子会社は、半導体関連および鉄鋼関連が引き続き好調に推移し、増収増益となりました。一方、その他表面処理加工は、農業機械部品向けの在庫調整が継続した影響で減収減益となりました。

セグメント情報

各セグメントの売上・利益については、スライドの前期との比較表をご参考ください。

財政状態

2026年3月期末の財政状態についてです。総資産は、有形固定資産の増加などにより前期末比76億円増加しました。自己資本比率は前期末比0.6ポイント上昇し、74.8パーセントとなっています。有利子負債は、新規借入の増加により前期末比35億円増の73億円となりました。

キャッシュ・フローの状況

2026年3月期のキャッシュ・フローの状況についてです。営業キャッシュ・フローはプラス77億円、投資キャッシュ・フローはマイナス99億円で、フリーキャッシュ・フローはマイナス22億円となりました。財務キャッシュ・フローは、配当の支払いが増加したものの、借入の増加によりマイナス11億円となっています。その結果、当期のキャッシュ残高は144億円で、前期末比31億円の減少となりました。

売上高と経常利益の見通し

次に、2027年3月期の連結業績予想についてご説明します。売上高650億円、経常利益150億円、経常利益率23.1パーセントを見込んでいます。売上高は半導体・FPD分野が牽引し、過去最高を更新する見通しです。経常利益についても、増収に伴い過去最高益を更新する見込みです。

親会社株主に帰属する当期純利益とROEの見通し

親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比1.7パーセント増の102億円となる見込みです。ROEは14.8パーセントと、目標の15パーセントをわずかに下回る見通しです。

2027年3月期 連結業績予想

連結業績予想についてご説明します。売上高は650億円を予定しており、前期比で65億円の増加を見込んでいます。主な要因は、半導体・FPD分野での61億円の増収です。売上高の47.7パーセントが半導体・FPD分野となる見通しです。

経常利益は150億円を予想しており、前期比で2億円の増加を見込んでいます。実力ベースでは、前期の136億円と比較し14億円の増益となる見通しです。

連結業績予想 経常利益 増減要因分析

経常利益予想の前期比増減要因の分析です。主なプラス要因は売上の増加です。一方、マイナス要因としては、賃上げや生産増に対応した人員増に伴う人件費の増加16億300万円と、積極的な設備投資による減価償却費の増加が挙げられます。なお、人件費の増加には、前期に発生した数理計算上の差異6億6,200万円が含まれており、これを除いた人件費の増加は9億4,100万円となります。

半導体・FPD分野の売上推移

半導体・FPD分野の売上推移についてです。2027年3月期の予想は、売上高が310億円、そのうち半導体分野が287億円、FPD分野が22億円となっています。半導体市場は今期も高水準の需要が継続し、好調に推移する見通しです。

半導体・FPD分野以外の売上推移

半導体・FPD分野以外の売上推移についてです。2027年3月期の予想は、前期の335億円から0.9パーセント増の338億円となっています。前期に成長を支えた海外子会社はやや落ち着き、前期並みの計画となっています。産業機械分野や鉄鋼分野は、子会社を中心に堅調に推移すると見込んでいます。また、その他表面処理加工については、農業機械部品向けの受注回復を受け、回復基調となる見込みです。

設備投資額と減価償却費

設備投資と減価償却費の推移についてです。2027年3月期の計画では、設備投資額を100億円、減価償却費を40億円としています。

当社単体では、東京第二工場および北九州工場の新棟建設や生産設備の導入、研究設備の拡充などに総額80億円を予定しています。国内子会社では、寺田工作所の新棟建設や日本コーティングセンターの生産能力増強などに総額7億円を予定しています。海外子会社では、TOCALO USA-Arizonaの工場新設などに総額13億円を予定しています。

研究開発費

研究開発費の推移についてです。2027年3月期の研究開発費は19億円で、売上高比率は3.0パーセントを見込んでいます。

1株当たり配当額と配当性向の推移

配当額と配当性向の推移です。2026年3月期は期末配当を直近予想より15円増額し、年間配当を1株当たり85円とします。2027年3月期の年間配当は1株当たり86円を予定しています。

ROEとDOEの推移

ROEとDOEの推移についてです。2027年3月期はROEが14.8パーセント、DOEが7.4パーセントを見込んでいます。

2026年3月期決算のご説明は以上です。この後、決算と同時に公表した新・中期経営計画についてご説明します。

公表した新・中期経営計画では、新たなミッションとして「すべてのステークホルダーから、信頼していただける会社であり続けること」を掲げました。今後、この「信頼」という言葉をトーカログループを率いる当社経営の中心に据え、ステークホルダーのみなさまとともに新・中期経営計画の目標達成に向けて取り組んでいきたいと考えています。

新・中期経営計画「TOCALO2030」の策定にあたり

2026年5月11日に公表した新・中期経営計画についてご説明します。2026年3月期をもって前・中期経営計画期間が終了したことを踏まえ、当社はさらなる成長と飛躍を目指して、2027年3月期を初年度とする5ヶ年の新・中期経営計画「TOCALO2030」を策定しました。

新・中期経営計画「TOCALO2030」は全6章で構成されています。本日はその中から、特に重要なポイントに絞り、前・中期経営計画の振り返り、新・中期経営計画「TOCALO2030」の基本方針、目標達成に向けた成長戦略についてご説明します。

まず、新・中期経営計画「TOCALO2030」の策定にあたり、私からのメッセージをご紹介します。今回策定した新・中期経営計画「TOCALO2030」では、新たなミッションとして「すべてのステークホルダーから、信頼していただける会社であり続けること」を掲げました。いかなる経営環境でも関係者のみなさまの期待を切らないよう、このミッションのもと、すべての従業員とともに取り組んでいきます。

また、「TOCALO2030」では、これまでの延長線上ではなく、さらなる飛躍に向けて次の4点を重要案件として進めていきます。

1つ目は、大胆な経営資源の投入による半導体・FPD分野などの成長ビジネスの拡大です。2つ目は、当社の競争力の源泉となっている技術開発体制の強化や、ものづくり・品質管理システムの高度化です。3つ目は、新市場開拓を含むグローバル市場への展開です。4つ目は、持続的成長のための経営基盤の強化です。これには、人財育成、サステナビリティ、サプライチェーン、財務基盤、ガバナンスなどが含まれます。

これらを実行することで、会社の成長をより確かなものにするとともに、社会的責任を果たしていく所存です。

トーカロの新たな5年間にご期待ください。

当社の概要について簡単にご説明します。すでにご存じの方も多いと思いますので、簡単にご説明します。

経営理念、ビジョン、ミッション

当社の経営理念、ビジョン、ミッションです。先ほどご紹介したとおり、新・中期経営計画「TOCALO2030」よりミッションを新たにし、「すべてのステークホルダーから、信頼していただける会社であり続けること」としました。

会社概要

会社概要です。当社は、溶射を中心とする表面改質加工を手掛ける会社として事業を展開しています。連結売上高は584億円、連結従業員数はおよそ1,500名の規模になります。

トーカロの主な事業所

国内の主な事業所はスライドのとおりです。

トーカロのグループ会社

グループ会社はスライドのとおりです。

トーカロの沿革・業績の推移(1951年度~)

当社の歴史と業績の推移です。1980年代までは鉄鋼分野を中心に成長し、2000年前後から半導体・FPD分野に本格的に参入しました。その後は、半導体・FPD市場の拡大と子会社の成長などにより業績を拡大してきました。

前中計レビュー「TOCALO2025」総括

ここからは、2022年3月期から2026年3月期までの5年間にわたる前・中期経営計画「TOCALO2025」の振り返りを行います。

前・中期経営計画期間においては、売上高530億円、経常利益120億円の計画を1年前倒しで達成しました。また、最終年度となる2026年3月期の実績も計画を上回り、売上高584億円、経常利益147億円となりました。内訳としては、半導体・FPD分野が中期経営計画の260億円に対し、一時的な調整局面もあったため248億円と若干未達となる一方、鉄鋼・産機・子会社等は計画の270億円に対し336億円と大きく伸長しました。

前中計レビュー「TOCALO2025」成果と課題

こちらのスライドは前・中期経営計画「TOCALO2025」の成果と課題をまとめています。成果については、売上高・経常利益ともに業績目標を達成し、産業機械や環境・エネルギー、航空・宇宙関連など成長分野への対応力強化が進展した他、子会社の業績も順調に拡大しています。

また、全事業所で「ISO45001」(労働安全衛生に関する認証)を取得し、生産に対する事業基盤を強化した他、サステナビリティ面においてもGHG排出量の削減目標を達成するなど、着実な歩みを進めました。

収益性に関しても、経常利益率20パーセント超を維持し、最終年度のROEは15.8パーセントと目標を達成しました。

一方で課題としては、半導体・FPD分野については、市場変動に耐えうる収益構造への転換を図りつつ、2030年に向けた市場成長を確実に取り込んでいきます。また、顧客のグローバル展開に対応できるグローバルリスク管理体制の強化や海外人財の計画的な育成も、新・中期経営計画における重要なテーマと認識しています。

トーカロを取り巻く外部環境

ここからは、新・中期経営計画「TOCALO2030」の基本方針をご説明します。まず、当社を取り巻く外部環境について、スライドにまとめました。社会情勢の変化、サステナビリティ要請の高まり、技術と社会の構造変革という3つのメガトレンドが相互に影響し合い、大きく変化しています。

成⾧ポテンシャル① 半導体市場の見通し

このような外部環境のもと、代表的な当社の成長ポテンシャルとして、半導体市場の見通しと一般産業分野の動向を取りまとめました。スライドは半導体市場の見通しです。

成長ポテンシャル➁ 一般産業分野の動向

スライドは、環境・エネルギー、航空機産業の動向です。ご参考にご覧ください。

「TOCALO2030」基本方針

ここからは、新・中期経営計画「TOCALO2030」の基本方針についてご説明します。

ビジョンは、前・中期経営計画から継続して「人と自然の豊かな未来に貢献する」とします。新・中期経営計画では、新たなミッションとして「すべてのステークホルダーから、信頼していただける会社であり続けること」を定めました。そして、この信頼を深める要素として、安全、技術、グッドサービス、ものづくり・品質、環境・社会貢献、人財の6項目を選定しました。

これら一つひとつの項目に真摯に取り組むことで、信頼をより強固なものにしていくという姿を、イメージ図として示しています。なお、この6つの要素は、今後当社のマテリアリティやKPIを構成する中心的なテーマとしていく予定です。

「TOCALO2030」経営目標

「TOCALO2030」の最終年度である2031年3月期の経営目標は、売上高900億円、経常利益200億円とします。資本効率については、前・中期経営計画で達成したROE15パーセントの水準を安定的に維持していくとともに、新たにROIC13パーセントという指標を設定しました。

セグメント別の売上目標は、半導体・FPD分野で450億円、一般産業分野で260億円、子会社で190億円としています。また、配当性向50パーセント程度およびDOE5パーセント以上は継続します。

これら目標の達成に向け、グループ一丸となって挑み、飛躍を実現する5年間としていきます。

「TOCALO2030」経営目標(ウォーターフォール・チャート)

売上高900億円達成のロードマップです。半導体・FPD分野でプラス202億円、一般産業分野でプラス75億円、子会社でプラス39億円の積み上げを目標としています。経常利益の実質的な増加目標は64億円となります。

「TOCALO2030」成長戦略-3つの柱

次に、経営目標を達成するための成長戦略についてお話しします。まず、連結売上高900億円達成に向けた3つの柱についてご説明します。第1の柱はコア事業の深化です。第2の柱は戦略的事業領域の拡大です。第3の柱は持続的成長を支える経営基盤の強化です。それぞれの詳細については、次のスライドでご説明します。

コア事業の深化

戦略の柱の1つ目は、コア事業の深化です。まず、半導体・FPD分野の飛躍においては、積極的な設備投資を継続し、PVD・CVDなどの薄膜先端技術への挑戦、露光機などエッチング以外の新たな製造装置への展開、リコートビジネスの強化を推進していきます。

一般産業分野では、景気変動に左右されない安定した収益基盤の維持、ポスト半導体となりうる複数の収益の柱の育成、当社の強みを活かした新たなマーケットの開拓、そして量産品の受注拡大に注力し、基盤の強化を図ります。

また、顧客との信頼関係の深化、「トーカロらしさ」の追求、生産性向上による利益率の改善、さらに強い財務体質の維持による高収益体制の維持を図っていきます。「トーカロらしさ」とは、最新技術や難易度の高いものづくり、さらには厳しい品質認証や資格などで他社との差別化を図っていくことにあります。

戦略的事業領域の拡大

2つ目の戦略の柱は、戦略的事業領域の拡大です。新技術・新領域(分野)の拡大については、薄膜技術やレーザ加工を活用し、環境・エネルギーや航空・宇宙関連市場など成長分野への事業拡大を図ります。また、グループの技術を結集させることで、グループ全体の企業価値を最大化していきます。

グローバル市場への展開においては、中国、台湾、米国市場に加えて、アセアン市場のタイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールを新たな候補地として検討を開始しました。また、中長期的な将来を見据え、インド市場への進出も視野に入れています。これらの新たな技術開発やマーケット開拓を通じ、戦略的事業領域を広げ、グローバルな成長を加速させていきます。

持続的成長を支える経営基盤の強化

3つ目の戦略の柱は、持続的成長を支える経営基盤の強化です。ものづくりと品質管理の高度化においては、自動化や高効率ブースの導入による生産性の向上、DXなどを活用した検査能力の向上やヒューマンエラーの低減を推進します。品質管理体制については、引き続き世界水準であるPQPの高度化を図ります。

これからの日本は労働人口の減少が進むことが明らかであり、今後の売上増を人員増で賄うことが難しくなると想定されます。そのため、生産性の向上は当社の成長には不可欠な課題であると認識しています。

サステナビリティについては、ESG経営を継続的に推進していきます。環境負荷低減と環境保全への継続的な取り組み、サプライヤーを巻き込んだ持続可能なサプライチェーンの構築、コーポレートガバナンスの高度化を推進していきます。

人的資本経営は当社の持続的成長に欠かせないテーマであり、中長期的な人財育成プランの充実、従業員満足度の向上、働きがいのある職場環境の整備を加速していきます。

技術開発戦略(2030年に向けて)

次に、2030年に向けた技術戦略ロードマップについてご説明します。当社の強みである溶射技術を深化させるとともに、薄膜やレーザなどの革新技術へ領域を拡大し、2030年の成長市場を確実に捉えることで、持続的な競争優位性を築いていきます。

カーボンニュートラルに向けて

「TOCALO2025」において掲げた、2031年3月期のGHG排出量を2014年3月期比で46パーセント削減する目標については、すでに前倒しで達成しています。

「TOCALO2030」では、高まる社会からの要請に応えるべく、2040年カーボンニュートラルの達成を目指します。2040年カーボンニュートラルの達成に向けて、さらなるGHG排出量の削減、省エネ、創エネ、省資源設備の導入などの取り組みを加速させます。持続可能な社会の実現に向け、環境負荷低減という重要課題にグループ一丸となって挑戦していきます。

キャッシュアロケーションと成長投資

最後に、企業価値向上に向けた取り組みについて簡単にご説明します。

当社は、連結売上高900億円の達成に向け、半導体・FPD、一般産業、海外の各分野で積極的な成長投資を実行していきます。「TOCALO2030」の期間中において、5年間で800億円から900億円の営業キャッシュ・フローを生み出す見込みです。このキャッシュ・フローを原資に、400億円から600億円規模の成長投資を実施し、将来のさらなる収益拡大につなげていきます。

株主還元は5年間で250億円から350億円規模に達する見込みであり、株主のみなさまへの還元も継続的かつ安定的に実施していく方針です。

株主還元

株主還元の方針については、現在の方針を継続し、連結配当性向50パーセント程度、純資産配当率(DOE)5パーセント以上を目途とします。

従業員の皆さんへ

スライドには、従業員へのメッセージを掲載しています。

説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:2027年3月期の為替影響による利益減少について

質問者:スライドの2027年3月期経常利益増減要因分析で「為替影響による利益減少3億円」とありますが、為替の前提をどのようなレートで見込まれているのでしょうか?

後藤浩志氏(以下、後藤):取締役専務執行役員管理本部長の後藤です。これは為替だけではありません。2027年3月期の為替影響はニュートラルで見ており、前期に出ていた為替差益が減少するということです。

質問者:差益の影響でしたら問題ありません。

後藤:なお、為替の前提はドル円レートの約150円で作成しています。

質疑応答:海外子会社における2027年3月期の一服感と中期的な成長見込みについて

質問者:海外子会社についてです。2027年3月期は、半導体分野が大きく伸びている中で「一旦落ち着く」とのお話がありましたが、一服感となった理由をご説明いただけますか? 中期経営計画でも海外子会社の成長は比較的緩やかに見えるので、この背景や中期経営計画での海外子会社の位置づけについてもあわせてお聞かせください。

小林:海外子会社の一服感については、世の中で言われている「最先端技術の販売が制約を受けている」という状況があります。

当社では、半導体製造装置メーカーと協力して海外へ製品を提供していますが、中国市場においては、米中関係や日米関係における最先端技術の取り扱いに関するさまざまな制約があります。これまでは、既に公開された技術で対応可能な領域が大きく成長し、順調に進行してきました。しかし、次世代の新しい技術要求が徐々に高まるにつれて、一定の制約が生じてくると見込んでいます。そのため、中期経営計画はある程度、保守的な目標となっています。

質疑応答:2027年3月期の産業機械分野の見通しについて

質問者:2027年3月期の産業機械分野についてです。ベアリングとエネルギーそれぞれの事業環境や見通しをお聞かせください。

小林:当社ではNAS電池に大きな期待を寄せて、同分野が大きく成長する可能性を見込んでいました。しかしながら昨年撤退を発表し、新エネルギー関連で大きく期待していた部分がなくなった状況です。これに代わる新たなものを選び、挑戦しながら実りある成果を目指していきたいと考えています。ただし、2027年3月期は横ばいで推移する見込みです。

質疑応答:中期経営計画における半導体市場の見通しについて

質問者:半導体市場の見通しについてです。スライドのグラフでは、2022年を起点にした2030年までの年平均成長率が10パーセントになっていると思います。これに対し、2025年から2026年を基点にした場合、どれくらいを前提として見られていますか?

小林:さまざまな説がありますが、2022年をベースにスライドのような成長を遂げ、2030年には1兆3,000億ドルに達するという情報が公表されており、正確で間違いない数字だと判断し、記載しています。

これは半導体業界全体のお話であり、当社の状況とは若干異なる部分がありますが、「2023年3月期を起点として約2倍の成長を見込んでいる」というざっくりとした状況しかつかめていません。

質疑応答:半導体分野における中期経営計画の成長目標と市場成長の連動について

質問者:半導体分野について、2026年3月期から2031年3月期までの5ヶ年で12.7パーセントの成長を見込んでいると思いますが、この目標は半導体市場の成長よりも高い成長と見ているのでしょうか? それとも、低い成長と見ているのでしょうか?

小林:市場成長と連動しているとは考えています。ただし、当社は個々のお客さまから出てきたフォーキャストに基づいて成長を慎重に検討した上で中期経営計画値を決定しているとご理解ください。

質疑応答:半導体分野における成長率とアプローチ方法について

質問者:例えば、現在の半導体分野にはディスクリートやセンサなど、さまざまなジャンルがあります。その中で、御社が関わっている分野は先端のメモリやロジックが多く、全体としてはピュアに成長率を押し上げる領域かと思います。

また、溶射に関連する特定のお客さまは複数いらっしゃり、その部分の伸びは比較的高いと認識しています。そのような背景を考慮すると、年平均成長率15パーセントを目指すという考え方もあるかもしれません。その他、エリアの拡大や独自成長もあるかもしれません。

市場平均との連動の場合、ある意味で市場動向についていくかたちになると思いますが、そのあたりの考え方をおうかがいしたいです。

小林:公表している内容としては、エッチング装置メーカーさまとの取引が挙げられるかと思います。ただし、米国の某社さまなどは、エッチングを中心に事業を行っているわけではなく、当社がアプローチしているエッチングの分野や露光装置関連などのエッチング以外の半導体製造装置に向けてのアプローチについても、現時点での予想を踏まえて作成した数字となっています。

質問者:中期経営計画の数字には、そのような新しいものは入っていないのでしょうか?

小林:新しいものもほぼ含まれていると考えてください。

質問者:露光装置関連も含まれているということですか?

小林:現時点では大きくは見込んでいませんが、少しずつを見込んで含めています。

質疑応答:中期経営計画における経常利益の見通しと考え方について

質問者:中期経営計画の経常利益率についてです。最終年度で22パーセント目標とのことですが、2026年3月期は25.2パーセント、実力ベースでも23.3パーセントでした。そのため、ほぼ横ばいか、若干減少するという見方ができるかと思います。

単純に考えると、半導体分野の比率が上がれば利益率も上がるという考え方もできるのではないでしょうか? 計画値について、慎重な見通しとしているようでしたらそのようなご回答でもかまいませんので、具体的なお考えをご教示ください。

後藤:慎重というわけではありませんが、やはり5年先のお話になります。

当社では、これから人的資本投資や設備投資を積極的に行っていくことを考えています。また、2030年以降の世界がどのようになっているかによりますが、5ヶ年の中期経営計画の4年目・5年目には、その先を見据えた積極的な設備投資を行っている可能性もあると思っています。

そのような点も踏まえた上で、ご指摘のとおり足元の23パーセントに比べて22パーセント程度としています。「2026年3月期から少し下げているではないか」というご指摘かと思いますが、やや慎重に見積もった数字として設定しています。

小林:議論を重ねた末の数字ですが、ある程度慎重に目標値を設定したのが正直なところです。

質疑応答:足元の状況と予算策定時の乖離について

質問者:足元の状況と予算策定時の乖離が一定程度あるのではないかと思います。おそらく予算は1月や2月頃に策定して今回発表されているかと思いますが、他社では3月から4月にかけてやや強含みの傾向が見られています。そのあたりの乖離の状況をお聞かせください。

御社の場合、基材の入り方がやや律速となる可能性もあるのかと思いますが、その点も含めてご説明をお願いします。

小林:足元で半導体関連の数字は大きく上昇しています。正直なところ、非常に大きく変動しているので正確に捉えられていません。そのため、予算策定時の数字ではなく、4月に集計し直した数字を反映しています。ただし、4月以降も10パーセントほど上回っている分野・企業も実際には存在しています。

質問者:承知しました。上方修正を期待しています。

質疑応答:中期経営計画における設備投資と生産能力の見通しについて

質問者:中期経営計画における設備投資についてです。400億円から600億円と発表されていますが、この投資を行った場合、どの程度の生産能力を確保できるでしょうか?

400億円から600億円という幅がある中で、有形固定資産回転率を考慮すると、売上高目標900億円の半分である450億円という数字より、もう少し大きな生産能力が用意されるのではないかと推察しています。特に半導体向けの生産能力について、どの程度の準備を進めていくのか、可能な範囲でお考えをお聞かせください。

小林:スライドに記載のとおり、2026年3月期から新たな設備投資を積極的に行っています。当社はこれまで年間約45億円の投資をしてきましたが、2026年3月期から100億円近い規模に拡大しており、新・中期経営計画の5年間の前半も年間90億円から110億円の範囲で設備投資を継続する予定です。

半導体関連については、2024年もしくは2025年から約2倍の生産能力を目指しています。それに加え、航空機関連業界や海外向けの設備投資にも取り組む計画です。その結果、合計で合計400億円から600億円規模の投資を予定しています。半導体業界の生産能力を2倍に拡大するとともに、その他の領域でも新たな成長機会を創出していきたいと考えています。

質疑応答:土地取得の計画と追加投資の可能性について

質問者:工場のスペースは先行して用意する必要があると思いますが、2031年3月期時点では建屋や土地に余力を持たせる計画でしょうか? 装置に多くの資金を投入して追加の投資が必要となった場合、さらに予算が上振れる可能性があるのでしょうか?

小林:土地については名古屋地区で準備を進めており、隣接する土地も購入する方向で検討しています。ただし、購入できるかは現時点で未定です。

その他の部分についても、必要に応じて土地を取得する計画を立てています。ただし、中期経営計画に具体的に組み込んではおらず、それらも含めて年間100億円程度で推移すると考えています。

質疑応答:露光機分野参入の際に活用する技術について

質問者:新技術についてご解説をお願いします。露光機分野などへの参入には、どのような技術を活用していくのでしょうか?

小林:既存の溶射技術で必要とされている部分があります。また、要求があればPVD・CVDといった薄膜技術やその進化系を活用しながら、表面改質を行うことを考えています。もちろん材質も重要ですが、表面の形状も非常に重要で、大きな意味を持っています。

例えば、形状としてどのような粗さにするのか、あるいは1ミクロン高さの凹凸を付けるのか、5ミクロン高さの凹凸を付けるのかといった、マイクロストラクチャーの形成も視野に入れています。

こうした技術を組み合わせながら、さまざまな分野への応用を進めています。露光機分野だけでなく、それ以外の成膜技術への応用も含めて幅広く検討しています。

質疑応答:AMについて

質問者:スライドで積層造形(AM)のお話がありましたが、詳しいご説明を聞いたことがないのでご解説いただきたいです。

小林:AMはAdditive Manufacturingの略で積層造形のことですが、特に樹脂系では3D積層と表現したほうがわかりやすく適切かもしれません。具体的には、紫外線硬化樹脂を使用して紫外線で硬化させ、形状を作るという技術です。現在は機械加工メーカーを中心に、レーザクラッドなどを併用することで金属系でも積層させながら製造できる技術が進化しています。

当社はレーザクラッドや溶射といった溶かす側の技術開発の会社ですが、AMに関しても積極的に取り組んでいます。現段階としてはそれほど大規模なものではありませんが、素材を製造することができると考えています。

これまで当社は完成した素材にコーティングをしていましたが、今後は素材そのものを製造してコーティングをしたり、新素材の開発を提案するといったかたちで、新たな市場の可能性を見据えています。AM技術に取り組む多くの企業が、おそらくそのような未来を夢見ていると思いますが、当社もコーティング側から参入し、コーティングの基材となる素材を創造する側への移行にも注力していきたいと考えています。

質疑応答:半導体製造装置の基材および新素材へのコーティングについて

質問者:半導体製造装置の基材については、セラミックスや金属が継続するのでしょうか? それとも、ガラス系や新素材へのコーティングなどがターゲットになってくるのでしょうか?

小林:もちろんそのような部分もあると思います。溶射だけに限定すると金属がほぼメインですが、セラミックスの上にコーティングをする場合や、新素材や特殊素材の上にさらにコーティングをする取り組みも徐々に進んでいくと考えており、アプリケーションの開発を進めています。

質疑応答:AMを活用した将来の事業展開について

質問者:AMについてです。これまで御社の事業は、基材にコーティングをすることだったと思います。一方、AMでレーザを使用して積層する場合は、基材とコーティングが同時にできるといったイメージでしょうか? それとも、基材自体を作るイメージに近いのでしょうか?

小林:現在のAMは、基材そのものを作り上げる技術です。そのため、例えば内部に空隙があるようなものでも、積層を重ねていくことで、空隙を残したまま素材を形成することが可能です。一例としてはタービンブレードや航空機のブレードなどの形成があり、当社は形成後の製品にコーティングをしていますが、当社内で素材を作りコーティングまでできるような未来も視野に入ってくると考えています。

質問者:コーティングプラスアルファの事業展開というイメージですか?

小林:はじめからというイメージです。

質問者:基材を加工する側から入ってくるということですね?

小林:はい。そうなった場合、現在はコーティングを専門としていますが、最終的には部品を含めた部材全体を一括して引き受けるといった事業展開が視野に入ってくるかもしれないと考えています。

質疑応答:2026年3月期の為替レートについて

司会者:「2027年3月期の為替前提は150円とのことですが、2026年3月期の実績レートを教えていただけますか?」というご質問です。

後藤:当社では為替前提をドル円レートで150円程度としていますが、主に為替換算で使用するのは台湾ドルと人民元です。2026年3月期の実績としては、人民元で20円81銭、台湾ドルで4円81銭、米ドルで149円62銭でした。

質疑応答:半導体分野の地域別構成比について

司会者:「半導体分野を台湾、韓国、米国、中国、その他の地域で分類した場合、構成比が25パーセントよりも高い地域と低い地域を教えてください」というご質問です。

後藤:25パーセントとおっしゃったのは?

司会者:全体の平均だと思います。御社では25パーセントというご認識は特にありませんか?

後藤:ご質問の趣旨は理解しましたが、特定の地域の構成比を高くするといった計画は組んでいません。先ほど社長が説明したように、半導体製造装置メーカーさまのフォーキャストに基づいて計画を組んでおり、半導体市場の成長がどの地域で高いかを考えて計画を立てているわけではありません。このため、ご質問に正確にお答えすることは難しいです。

小林:おそらくデバイスメーカーのようなイメージで、各国の半導体の状況について言及されているのだと思います。

当社は半導体製造装置に関連する事業を展開していますが、半導体製造装置メーカーさまとタイアップしている関係で、主に米国の2社と国内の2社がメインとなっており、その中の何社かと取引があります。そのため、どうしても米国と日本に偏ってしまうという部分はあります。

なお、事業として大きな数字は見込んでいませんが、サービス拠点は台湾や中国などにもあり、各拠点でサービスを提供しています。

質疑応答:半導体分野における国内顧客と海外顧客の成長の差について

司会者:「御社の半導体分野については、国内顧客と海外顧客で伸び率の違いはありますか? あるいは同程度でしょうか?」というご質問です。

小林:おそらく当社のメイン顧客である半導体製造装置メーカーさまで、日本と米国といった状況にあるというのではなく、各拠点で展開していると思っていらっしゃるご質問かと想定しています。

半導体製造装置メーカーさまは引き続き成長されています。国内と海外で伸び率の違いがあるかはわかりませんが、当社の市場範囲が広がれば海外顧客の割合も上がっていくため、一概に比較することは難しいと思います。

質疑応答:2027年3月期の営業利益率計画値について

司会者:「2027年3月期の業績予想についてです。半導体分野の売上高構成比が上がっている中で営業利益率が前期実績を下回っていますが、どのような要因を見込んでいるのでしょうか?」というご質問です。

後藤:おそらく2026年3月期と比較して営業利益率が下がっている点を指摘されているのではないかと思います。その点については、今回から開示した退職給付の関係や、経常利益における補助金の関係が影響しており、それを除いたベースではもちろん増益の計画を立てています。

ただし、半導体製造装置メーカーさまの決算発表でも年度後半の予想を未定とされているところもあるため、当社の計画上も下期はやや保守的に組み込んだことは事実です。

質疑応答:メモリや各種材料の価格高騰の影響について

司会者:「メモリ価格高騰や、各種材料の価格引き上げの影響は出ているのでしょうか? また、2027年3月期業績予想にはそのような影響を織り込んでいますか?」というご質問です。

小林:メモリ価格の高騰が当社事業に直接影響を与えることはないかもしれません。ただし、メモリ価格の高騰によって製造装置の販売が増えることになれば、当社の需要が伸びる可能性はあります。しかし、それが現在どれだけ反映されているかについては、はっきりと理解できていません。

材料価格の高騰については、今後さまざまなかたちで顕在化してくると思われますが、現時点では計画に織り込んでいません。最終的に材料価格をどのように公表するのか、サーチャージ的にするのか、あるいはその都度交渉していくのかについては、現在検討している段階です。

現在貯蔵している在庫材料で年内は対応可能であることから、2027年3月期業績予想には材料価格の高騰を織り込んでいませんが、どのタイミングで織り込むか、またどのように織り込むかについては、今後検討を重ねながら対応を決定していきたいと考えています。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。