目次
秋永吉男氏(以下、秋永):経営管理本部副本部長兼管理部長の秋永です。2025年度決算説明会を始めます。本日は決算説明の後、「中期経営計画2030」の概要についてご説明します。
まずは2025年度決算説明です。2025年度の連結決算の概要、2026年度の連結業績予想、「中期経営計画2025」の総括、サステナビリティ活動のトピックス、参考資料の順でご説明します。
連結業績概要
2025年度の連結業績概要についてご説明します。
売上高は1,103億8,600万円となり、前年度比6億2,300万円の減収となりました。主な要因として、販売価格に関しては印刷用紙などの価格修正効果があったものの、パルプの市況悪化などにより輸出価格が下落し、減収となりました。
紙の販売数量は、前年度並みの60万トンという実績でした。国内では包装用紙・衛生用紙などの拡販により、前年度比で1万2,000トンの増加となりました。一方で、輸出はアジア地域の需要減退により、前年度比で1万3,000トンの減少となりました。
営業利益は、27億4,100万円で、前年度比21億200万円の減益となりました。前述の販売要因に加え、原燃料価格の上昇や修繕費、人件費などのコスト増加が影響し、減益となりました。
経常利益は、33億7,500万円で、前年度比17億3,900万円の減益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、24億4,000万円で、前年度比6億7,900万円の増益となりました。2024年度は中越エコプロダクツ株式会社で減損損失を計上した影響があり、増益となりました。
年間配当金は、90円の予定で、2024年度から20円の増配を計画しています。
自己資本利益率(ROE)は、4.2パーセントとなりました。
減価償却費は、61億4,700万円で、前年度並みとなりました。
期中平均為替レートは、150円31銭で、前年度比2円10銭の円高となりました。
ドバイ原油価格は、1バレル当たり70ドルで、前年度比11ドル安となりました。
連結子会社数および持分法適用会社数については、前年度末から変更はありません。
セグメント別損益
セグメント別の損益です。
紙・パルプ製造事業の売上高は、前年度比9億300万円の減収となりました。セグメント損益は16億9,200万円で、前年度比19億7,100万円の減益となりました。
発電事業については、売上高・セグメント損益とも前年同期並みとなりました。
その他事業については、売上高は、前年度比で4億9,100万円の増収となり、これは建設関連の受注増が主な要因です。セグメント損益は、前年度比で5,300万円の減益となりました。主な要因としては、人件費や諸資材費の増加等によるものです。
セグメント間取引の調整額を含めた合計は、売上高1,103億8,600万円、セグメント損益27億4,100万円となりました。
連結営業利益増減内訳
連結営業利益増減内訳についてです。
営業利益は、2024年度は48億円、2025年度は27億円で、21億円の減益となりました。
大きな減益要因としては、販売価格の影響で10億円悪化しました。このうち紙は1億円の改善でしたが、パルプは海外市況の悪化により、11億円の悪化となりました。
原燃料価格は、5億円悪化しました。その内訳としては、重油や買電単価を含む燃料費で3億円、原木チップは、FOB価格の上昇により2億円、古紙の価格も高止まりが続いていることから2億円悪化しました。その一方で、薬品などは2億円改善しました。
数量差は、4億円悪化しました。紙の生産数量が前年度比で1万トンほど減少したことが影響しました。
原価は、4億円の悪化となりました。変動費については前年度並みとなりましたが、修繕費や労務費を含む固定費の上昇で4億円悪化しました。
一方、増益の要因です。
増益要因は、O&Cアイボリーボード株式会社(以下、OCIB)で1億円改善しました。2024年度は操業トラブルが多くコスト高となったことにより、2025年度は変動費が改善しました。
販管費他は、運送費や輸出フレートの改善により1億円改善となり、2025年度の営業利益は、27億円となりました。
連結有形固定資産増減明細
連結有形固定資産増減内訳についてです。
2025年3月末の有形固定資産の合計額508億9,400万円から53億6,600万円の資産を取得しました。
固定資産の主な増加の内訳は、川内工場における5号発電機の回転子更新で5億円、川内工場の抄紙安全対策通紙装置の設置で3億円、高岡工場での富山新港No.4ベルトコンベアの更新で3億円です。
減価償却費は、60億2,700万円、中越エコプロダクツ株式会社の建屋売却等による除却等9億6,800億円を差し引き、2026年3月末の有形固定資産の合計は、492億6,500万円で、前年度末比16億2,900万円減少しました。
連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フローについてです。
2025年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、46億7,100万円で、その主な内訳は、減価償却費61億円、税金等調整前当期純利益33億円、仕入債務の減少22億円、売上債権の増加12億円、法人税等の支払い9億円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億300万円で、その主な内訳は、有形固定資産の取得46億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、47億9,200万円で、その主な内訳は、長期借入金の減少33億円、配当金の支払9億円となりました。
以上により、前年度末比で41億2,300万円減少し、現金および現金同等物残高は48億8,200万円となりました。
連結業績予想
今年度の連結業績予想についてです。
2026年度は、売上高は1,140億円、前年度比36億1,400万円の増収となる計画です。
主な要因として、販売価格は、紙については、前年度に実施した価格修正が通年で寄与し、改善要因となっています。パルプについても、輸出市況の回復や、円安の影響により、増収となる計画です。
紙の販売数量については、前年度並みの60万トンを計画しています。国内については、デジタル化の進行などによるグラフィック用紙の需要減少が続く一方で、衛生用紙などの拡販が増販要因となっています。
輸出については、拡販の取り組みを進めることで増販となる計画です。国内での販売数量の減少分を輸出で補う計画としており、販売数量全体では前年度並みです。
営業利益は、23億円で、工場の効率改善による原価低減はあるものの、原燃料価格の高騰と修繕費や物流費の上昇、また中東情勢の影響など一過性の要因を織り込み、前年度比4億4,100万円の減益となる計画です。
経常利益は、27億円、親会社株主に帰属する当期純利益は、16億円となる計画です。
年間配当金は、120円で、前年度より30円の増配を計画しています。
ROEは、2.7パーセント、減価償却費は、前年度並みの62億円となる計画です。
期中平均為替レートは、155円、ドバイ原油は、上期は1バレル当たり100ドル、下期は80ドルで、年間では89ドルの計画です。
参考として、スライド左側に当社における期中平均為替レートとドバイ原油価格の感応度を記載しています。為替が1円の円安につき、年間1億3,000万円の減益要因となります。また、ドバイ原油価格は、1ドル上昇につき、年間6,500万円の減益要因となります。
連結子会社数は、6社です。中越エコプロダクツ株式会社を3月31日付で解散したため、前年度末より1社減り6社となりました。持分法適用会社数は、引き続き6社です。
連結営業利益増減内訳(計画)
連結営業利益増減内訳についてです。
2025年度の営業利益は27億円、2026年度の計画は23億円です。4億円の減益の要因をスライドに記載しています。
まず、減益要因です。
原燃料価格は、12億円の悪化を織り込んでいます。この内訳としては主に原木チップの影響です。
原価は、4億円の悪化を織り込んでいます。変動費でコストダウンや効率改善などにより1億円の改善を織り込んでいますが、固定費では昨年度に引き続き修繕費や労務費が増加することで5億円の悪化が見込まれ、差し引き4億円の悪化を織り込んでいます。
売電事業は、4億円の悪化を織り込んでいます。川内工場の木質バイオマス発電設備で2026年度に定期検査を予定しており、これに伴う定検費用の増加や燃料価格の上昇が主な要因です。
販管費他は、運送費や販売費の上昇により、2億円の悪化を織り込んでいます。
増益要因としては、OCIBで2億円の改善を織り込んでいます。これは販売価格の上昇と増販・増産によるものです。
数量差は、4億円の改善を織り込んでいます。紙の生産数量が前年度より1万5,000トン増加することによるものです。
最大の増益要因は販売価格で、34億円の改善を織り込んでいます。前年度に実施した紙の価格修正効果が通年で寄与することによる24億円の改善があり、パルプについても、市況回復等による10億円の改善を織り込んでいます。
昨今の中東情勢等一過性の悪化要因として、32億円を織り込んでいます。その内訳は、主原料である原木チップで23億円、重油で6億円、薬品や諸資材で3億円です。一方で、製品受払差により2027年度へ10億円の繰り越しを織り込んでいます。
以上の結果として、2026年度の営業利益は、前年度比4億円減益の23億円となる計画です。
中期経営計画2025 概要
牧迫重信氏(以下、牧迫):経営管理本部事業戦略推進室長の牧迫です。「中期経営計画2025」の取り組みの成果についてご説明します。
本計画では、スライド右下に記載の循環型社会のイメージ図にあるように、「既存事業の発展・環境ビジネスの発展・イノベーションにより、森林資源の有効活用を通した循環型社会の構築と持続可能な未来を実現する」という「ビジョン2030」の実現を目指し、「既存事業の構造転換」と「森林資源を活用した環境投資・環境ビジネス推進」の2つを柱として各施策に取り組んできました。
まずは収益目標の結果です。「中期経営計画2025」では、営業利益40億円、ROE5パーセント以上を目標に掲げ、取り組みを進めてきました。
2023年度の実績は、営業利益62億円、ROE6.9パーセントと、計画期間の半ばで一時的に目標数値を上回りました。しかし最終年度の2025年度においては、目標未達という結果となりました。
2030年度の環境目標に対する取り組みについてです。「カーボンニュートラル社会の実現に向けて、製造工程における化石燃料由来のCO2排出量を2030年度までに2013年度比で50パーセント削減する」という目標を掲げています。2025年度のCO2排出量は20万1,000トンとなり、削減率は51.1パーセントで目標を達成しました。
新たな「中期経営計画2030」においては、削減目標を50パーセント削減から55パーセント削減に見直しました。
中期経営計画2025 取り組み実績①
「中期経営計画2025」の取り組みの実績についてです。「既存事業の構造転換」への取り組みとして、生産集約を目的に抄紙機の停機や、新たな事業への展開として家庭紙マシンの新設を進めてきました。
事業領域拡大については、外販パルプの販売を増加させています。2025年度の実績は15万2,000トンで、2020年度比93.2パーセントの増加を達成しました。
関係会社の収益力強化においては、三善製紙と文運堂での取り組みが完了しています。
中期経営計画2025 取り組み実績②
「森林資源を活用した環境投資・環境ビジネス推進」への取り組み実績についてご説明します。まず、セルロースナノファイバー(以下、CNF)の実用化案件として、2025年度に「竹由来nanoforest®」がUVミルクに採用され、「nanoforest®」は腕時計バンドに採用されました。
中越エコプロダクツ株式会社については、3月31日をもって解散となりました。
バイオマス発電の検討については、設備金額や売電価格など外部環境の変化により計画を中断しました。
また化石燃料の削減に向け、既存ボイラーの脱石炭に取り組んでいます。こちらについては、石炭使用量の推移をスライド下部に表記しています。2025年度の使用量実績は約1,000トンで、2020年度比で削減率90.2パーセントと大幅な削減を達成しました。この削減効果をCO2に換算すると、約2万3,000トンに相当します。
植林事業については2022年度から着手し、順次拡大を進めています。
中期経営計画2025 事業ポートフォリオ(売上高構成)
事業ポートフォリオにおける売上高構成比の実績についてです。
スライド中央の円グラフが2025年度の実績を示しており、右側の円グラフは2025年度当初計画の構成比になります。
2025年度の実績において、紙パルプ既存領域における収益力向上を目的とした価格改定の取り組みなどが売上に寄与しました。また紙パルプ拡大領域では、外販パルプの増販や衛生用紙の上市などの影響により事業領域が拡大し、売上全体の10パーセントを占める拡大領域となっています。
エネルギー事業は、総売上高の拡大や一部発電設備の停止により減少しました。
環境ビジネス事業については、中越エコプロダクツ株式会社の解散の影響などにより、当初想定していた売上高の拡大が実現できませんでした。
中期経営計画2025 総括
坪井国雄氏:開発本部長の坪井です。CNF関連の総括についてご報告します。まず、新規分野への「nanoforest®」の展開についてです。当社のCNFは再生可能資源である木材や竹を原料とし、薬品を使用せず水の力だけでナノ微細化を行う環境にやさしい手法で製造しています。
この特徴を活かし、畜産や農業、化粧品といった安心・安全が求められる分野での利用拡大を進めてきました。また、環境負荷の少ないグリーン素材としての利用や、プラスチック資源循環法で掲げる材料リサイクルを目的とした再生プラスチックへの適用についても検討を進めています。
各分野別の取り組み内容を簡単にご報告します。まず畜産分野では、鶏舎環境改善資材として「nanoforest-S【ファーム】®」の販売を開始しています。これは、鶏舎の諸環境を改善する資材であり、現在では鶏舎だけでなく、牛舎や豚舎へも適用範囲を拡大しています。
農業分野では、物理的防除資材「nanoforest-S【アグリ】®」の販売を開始しました。国が推奨する総合防除(化学農薬に頼らない病害虫の発生予防)に対応した新しい農業資材として提供しています。ナノファイバーの微細な網で作物を病害から保護するものとなっています。
農林水産省の「みどりの食料システム戦略に基づく基盤確立実施事業計画」の認定も取得しています。
化粧品分野では、化粧品原料向けの「nanoforest【MicC】®」の販売を開始しています。原料には国産竹100パーセントの天然繊維を使用しており、用途に合わせた形態で提供しています。こちらはすでに数社で採用されており、ボディウォッシュやボディミルク、美容クリーム、UVミルクなどに配合されています。
中期経営計画2025 総括
樹脂分野では、CNFを高配合した「nanoforest-MB®」の利用を推進しています。射出成形に加え、発泡成形への利用も推進しています。
ゴム分野では、ナノファイバーをゴムに配合した「nanoforest-ゴムMB®」やゴム-コンパウンド品の拡販を行っています。これらは自転車のタイヤに採用されており、磨耗低減によりタイヤの粉塵を軽減する効果が確認されています。また、腕時計のバンドにも採用されており、グリーン素材の利用による環境負荷低減などに貢献しています。
再生プラスチック分野では、東京農工大学に寄附講座を設置し、CNFを用いた再生プラスチックの実用化に向けた取り組みを開始しています。現在、再生資源を扱う企業で試作機を用いた実証試験が行われています。
エレクトロニクス分野では、電子基板などに使用されるクリーム状はんだ(ソルダペースト)に採用されています。CNFを配合することで、電子基板の欠陥率が減少し、品質向上を実現しています。ユーザーとのメカニズム解明が進められた結果、採用実績が現在増加中です。
中期経営計画2025 総括
続いて高機能CNFパイロットプラント建設に向けた取り組みについてご報告します。2019年5月に計画を発表し、建設に向けた検討を進めていましたが、2020年に発生したコロナ禍の影響を受け、計画の再考を余儀なくされました。
市況の回復を待ちながら既存建屋に主要な生産設備を設置し、運転方法の最適化を目的とした設備検証テストを2022年春から行っています。
「高解繊CNF」「疎水化CNF」「CNF100パーセント成形体」の3品種を総称して「高機能CNF」と呼んでいます。高解繊CNFについては検証テストをほぼ終え、現在は安定操業とコスト削減に向けた取り組みを実施しつつ、製品の製造・販売を行っています。
疎水化CNFについては検証テストにて、操業上の課題がいくつか見つかったため、サンプル品の製造を行いながら運転方法や製造フローの最適化を進めています。
CNF100パーセント成形体については、製品の製造・販売を続けながら、当初より課題であった製造コスト削減に取り組んでいますが、こちらはまだ少し時間を要する状況です。
幅広い分野への利用拡大を目指して製品やサンプルの販売を進めていますが、コロナ禍を機に客先の需要や要望が大きく変化してきています。
高機能CNFパイロットプラント建設計画についても現状のまま進めるのではなく、市況の変化に対応した内容へ変更し、さらなる拡販と収益性の向上に向けて取り組んでいきたいと考えています。
トピックス サステナビリティ(ESG)活動–環境–
秋永:サステナビリティ活動についてご紹介します。まず環境に関して、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助事業をご紹介します。こちらは将来の脱炭素技術に向けた取り組みです。
当社では、脱炭素社会の実現に向けた中長期的な技術選択肢の検討を目的に、清水建設株式会社と共同で、バイオマス資源を活用した水素製造技術や紙パルプ工場での水素利活用の可能性について調査・実証を進めています。この取り組みは、2025年度にNEDOの補助事業に採択されました。
本事業は、研究・検証段階の取り組みであり、将来の事業化や環境負荷低減に向けた知見を蓄積することを目的としています。
トピックス サステナビリティ(ESG)活動–環境–
生物多様性保全の活動として「中パの森」をご紹介します。当社の社有林「中パの森 高岡」は、生物多様性が保全されている区域として、2023年10月に環境省から「自然共生サイト」の認定を受けました。
また、2025年4月からは富山県射水市で里山保全活動に取り組む一般社団法人金山里山の会と連携し、「中パの森 高岡」の利用促進やモニタリングを共同で進めています。
生息する貴重な動植物の分布や個体数の変化を継続的に把握し、長期的なデータの蓄積を通じて生物多様性の保全に活用する予定です。
また、鹿児島県においても同様に、社有林「中パの森 川内」の本年度中の認定を目指し、「自然共生サイト」への登録準備を進めています。
トピックス サステナビリティ(ESG)活動–社会–
人的資本の取り組みについてです。当社は、2033年3月までに管理職に占める女性労働者と中途採用者の合計割合を25パーセント以上とする目標を設定しています。現在、管理職に占める女性・中途採用者割合は16.7パーセントで、前年と比較して若干上昇しています。
育児休業取得率については、2025年度において男女ともに100パーセントを達成し、目標を達成しました。
【参考資料】原燃料価格推移(対2017年度比較)
スライド18ページ以降は参考資料です。業績の推移やROEの推移などをグラフで示しています。スライド22ページの原燃料価格推移については、中東情勢の不透明化により2026年度の予想値は記載していません。
こちらの参考資料については、後ほどご覧ください。
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牧迫:「中期経営計画2030」における取り組み内容についてご説明します。昨年11月に中期経営計画の基本方針を公表し、その後、実行フェーズに向けた整理を進めてきました。本日は、中期経営計画の考え方と取り組み内容についてご説明します。
「中期経営計画2025」の振り返り、「中期経営計画2030」の基本方針と目標、事業戦略、経営戦略・資本政策の順でご説明します。
1. 中期経営計画2025 振り返り 取り組み実績
「中期経営計画2025」の振り返りとして、取り組み実績についてお話しします。「既存事業の構造転換」に関しては、紙パルプ事業の生産体制再構築や、グループ関係会社の事業収益力強化に取り組んできました。
主な実績としては、生産集約に伴い高岡工場6号マシンの稼働停止や、家庭紙マシン新設を通じた衛生用紙への新規参入を行いました。
さらに、事業領域の拡大を目指し、パルプ生産体制の強化による外販パルプの販売拡大に取り組んでいます。
関係会社の収益力強化では、三善製紙の営業権譲受および文運堂の文具事業譲渡を完了しました。
継続する課題としては、グラフィック用紙をはじめとする既存の紙の需要減少に対応するため、紙の新規利用拡大に取り組んでいます。また、脱プラスチック需要の取り込みを目的とした販売促進や高付加価値品の開発促進も課題となっています。
次に「森林資源を活用した環境投資・環境ビジネス推進」についてです。主な実績として、「nanoforest®」の実用化が挙げられます。化粧品原料やエレクトロニクス分野、ゴム分野での採用がありました。「nanoforest®」の用途開発においては、鶏舎の環境改善資材や農業用物理防除資材での開発を進めてきました。
また、化石燃料使用量の削減の取り組みとして、石炭削減操業の実施や化石燃料使用ボイラーの1基停止を行い、CO2削減を進めてきました。
継続課題としては、CNFの売上拡大に向けた早期事業化への取り組みが挙げられます。
また3月31日に解散した中越エコプロダクツ株式会社の「マプカ(MAPKA®)」事業の承継については、4月1日に脱プラスチック関連事業推進室を設置し、脱プラスチック関連事業の可能性を模索していきます。
省エネ・脱化石燃料の取り組みでは、残存化石燃料の継続的な削減を進めていきます。
植林については、川内や富山を中心とした国内植林の拡大に向け、取り組みを推進する予定です。
1. 中期経営計画2025 振り返り 数値目標
数値目標に対する結果についてです。まず収益目標について、2025年度の営業利益40億円、ROE5パーセント以上を達成するという目標を掲げて取り組みを進めました。各種取り組みの推進と、コストダウンや価格転嫁を進めた結果、計画期間の半ばである2023年度において、営業利益とROEの両方で目標値を達成しました。
しかしながら最終年度である2025年度については、海外パルプ輸出価格の下落や紙需要の減退といった市況の悪化、地政学リスクの高まりや米国関税政策などの影響による世界経済の減速、さらに原燃料価格や人件費、輸送費の高騰といったコスト増加などにより、目標を達成することができませんでした。
環境目標への取り組みについては、製造工程における化石燃料由来のCO2排出量削減を進めた結果、2025年度において51.1パーセントの削減を達成しました。これは、化石燃料を使用するボイラーの停止、省エネルギー化および脱化石燃料の推進による効果が表れたものです。
1. 中期経営計画2025 振り返り 営業損益増減概要
営業損益の増減内訳についてです。
2020年度の営業損失は3億円でしたが、ウクライナ情勢の悪化による原燃料価格高騰に対し、紙・パルプの増販や価格改定により、51億円の改善効果となりました。また、コストダウンの取り組みによる14億円の改善効果により、2023年度の営業利益は62億円と、中期経営計画期間中の最高益を達成しました。
しかしながら、原燃料価格の上昇や海外市況悪化の影響に加え、労務費をはじめとした固定費等の上昇を吸収しきれずに35億円の悪化要因が発生し、2025年度の営業利益は27億円となりました。
2. 中期経営計画2030 基本方針
「中期経営計画2030」の基本方針についてご説明します。
現在の外部環境として「コスト高」「紙需要の減少」「環境対応意識の高まり」があります。それに対し、必要な取り組みとしては「市場構造変化への対応」「新規事業への取り組み」「カーボンニュートラルへの歩み」を挙げています。
これらを踏まえ、外部環境に対応する営業活動の展開と事業構造転換による企業価値向上、その後の新規事業領域への展開を見据え、「紙パルプ事業の基盤強化」「新規事業」「GX(グリーントランスフォーメーション)推進」の3本の柱を基本方針とします。
紙パルプ事業の基盤強化により安定したキャッシュを創出し、新規事業を通じた脱炭素への貢献やGX推進による競争力強化によって、企業価値の向上を目指していきます。
さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)や人的資本経営の推進を通じて、組織全体の効率性と持続的成長を実現し、各施策の実行力を高めていきます。
3. 中期経営計画2030 目標
「中期経営計画2030」の目標値についてです。
基本方針に沿った各種施策を作成・遂行し、連結収益目標や環境目標の達成を目指します。連結収益目標は、営業利益80億円、ROE8パーセントです。
環境目標は、2030年度での製造工程における化石燃料由来CO2排出量の2013年度比55パーセント削減です。
これらの目標達成に向けた取り組みを進めていきます。
3. 中期経営計画2030 目標 連結収益目標 営業損益見通し
連結収益目標における営業損益見通しの差異内訳についてです。
2025年度の営業利益27億円から、販売強化の取り組みとして、紙需要の減少を営業戦略の展開による拡販および価格修正効果でカバーし、17億円の改善効果を見込んでいます。
また、競争力強化の取り組みとして、コストダウンなどにより25億円の改善効果を実現する計画です。
さらに、事業構造転換と事業ポートフォリオの転換により11億円の改善効果を見込み、2030年度には連結営業利益80億円を確保するという目標を掲げています。
3. 中期経営計画2030 目標 事業ポートフォリオ
事業ポートフォリオによる売上高構成比についてです。
スライドのグラフは2025年度との対比となります。
紙パルプ事業では、減少するグラフィック用紙の需要減への対応として、パッケージング用紙や衛生用紙、特殊紙、パルプの売上伸長に向けた取り組みを推進します。また新規事業にも取り組んでいきます。
その結果、紙パルプ事業のグラフィック用紙は売上高比率で51パーセントから43パーセントへ縮小し、それ以外の事業は40パーセントから46パーセントへと、6パーセントの増加を見込んでいます。
エネルギー事業は横ばいの5パーセント、新規事業では1パーセントの売上高構成比を見込んでいます。
3. 中期経営計画2030 目標 環境目標 CO2 排出量推移
環境目標として掲げるCO2排出量の推移についてです。
当社は2030年度の目標として、2013年度比で55パーセントの削減を掲げています。この目標達成に向けて、燃料の転換や石炭使用量の削減、省エネの推進、植林による森林吸収の促進といった取り組みを進めています。
さらに、2050年度のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みも加速させていく予定です。
4. 中期経営計画2030 事業戦略 戦略ステップ
事業戦略の戦略ステップについてです。
「収益基盤強化フェーズ」「収益拡大フェーズ」「新規事業着手フェーズ」の3段階のフェーズで事業ポートフォリオの転換を目指します。
第1段階は収益基盤強化フェーズです。既存の紙事業を強化するとともに、省エネおよび脱化石燃料による収益力の回復を図ります。
製品ポートフォリオの転換においては、脱プラスチック需要を取り込んだパッケージング用紙の販売拡大や、耐油紙などの高付加価値特殊紙の開発を検討し、グラフィック用紙の減少を補う取り組みを進めていきます。
エネルギーコストの低減については、省エネや燃料転換を推進し、製造原価の低減を図ります。
第2段階は収益拡大フェーズであり、事業構造の転換によって利益水準の向上を目指します。生産の選択と集中では、抄紙機の改造による対応品種の拡大や、生産の集約化による固定費の削減を通じて、利益率の高い領域へのシフトを図ります。
さらに、パルプ生産体制の一層の強化に取り組み、その先にあるパルプの高度利用への布石を打ちます。
また、今年度に開始される排出量取引では、CO2排出削減の取り組みをコストではなく収益機会として捉え、利益の積み増しを図ります。
最後のフェーズでは、新規事業への着手を進めます。創出したキャッシュを活用し、新規事業に取り組むことで新たな事業ポートフォリオの形成を目指します。
JV(ジョイントベンチャー)やM&Aなどを通じた共創ビジネスとして、外部連携の選択肢を視野に入れ、事業規模拡大を目指していきます。
また、パルプの高度利用として、外販パルプの高付加価値化や紙原料用途以外での展開を進めていきます。
さらに、パルプの用途拡大を目指す新規事業や、紙事業以外の将来の成長エンジンを模索するため、バイオリファイナリー事業の検討を進めていきます。
4. 中期経営計画2030 事業戦略 スケジュール
事業戦略のスケジュールについてです。
紙パルプ事業の基盤強化では、グラフィック用紙の需要減少を補うための施策を検討し、生産の集約を進める計画です。
また、収益拡大に向けて、抄紙機の改造や外販パルプの生産強化に取り組みます。加えて、期間を通じて高付加価値製品の開発を展開していきます。
新規事業に関しては、JVやM&Aの検討を進めるとともに、外販パルプの高付加価値化や紙原料以外への用途展開の検討、さらに紙パルプ事業以外の将来の成長エンジンを模索していきます。中期経営計画期間の後半での事業化を想定して進めていく予定です。
GX推進に関しては、排出量取引によるCO2削減の取り組みの収益化を、2027年度からスタートする計画です。
また、残存化石燃料削減に向けた取り組みとして、ボイラーの石炭レス操業化やパルプ製造工程のライムキルン設備の燃料転換を検討していく予定です。
5. 中期経営計画2030 財務戦略・資本政策
財務戦略と資本政策についてです。
まず、政策保有株式の縮減方針についてご説明します。当社は、コーポレート・ガバナンス・コードの要請に応じ、2015年以降、保有していた株式12銘柄を縮減してきました。
さらに、「中期経営計画2030」の期間中には、資産効率の向上と適切な資本構成の実現により、企業価値の最大化を図ります。そのため、最終年度である2031年3月末までに、保有する政策保有株式の時価総額を約30パーセント(30億円)縮減することを目指します。
政策保有株式の売却で得た資金は、持続的成長に向けた投資や株主還元に活用する方針です。削減後の政策保有株式時価の連結純資産比率は9パーセント台に低下する見通しです。
5. 中期経営計画2030 財務戦略・資本政策
株主還元方針についてです。
本中期経営計画期間では、将来の事業展開を見据えて積極的な投資を行いながら、株主還元の充実を図ります。
1株当たりの年間配当については、連結配当性向30パーセントおよび連結自己資本配当率(DOE)2.5パーセントを指標として、配当額を決定する方針です。
5. 中期経営計画2030 財務戦略・資本政策
キャッシュアロケーションについてです。
スライド左側には中期経営計画2025の実績を、スライド右側には「中期経営計画2030」の取り組み期間におけるキャッシュ配分の方針を記載しています。
「中期経営計画2030」では、既存事業である紙パルプ事業の収益力強化に加え、事業基盤強化の取り組みを通じて安定したキャッシュを創出し、営業キャッシュ・フローとして約510億円を見込んでいます。
政策保有株式の売却により約30億円、借入調達金についてはD/Eレシオ1.0倍以内という方針のもと約240億円を調達し、キャッシュインとして合計約780億円を計画しています。
それに対して、設備維持更新収益投資に約295億円を充当し、新たな取り組みである事業基盤強化に約70億円、新規事業・GXに約335億円を充てる計画です。設備投資としては、合計で約700億円となります。
株主還元では、設備投資の拡大局面においても株主還元を拡充し、配当性向30パーセント、DOE2.5パーセントを指標として約80億円を見込んでいます。キャッシュアウトの合計は約780億円とする方針で進めていきます。