本日お伝えしたいこと
船渡雄司氏(以下、船渡):本日は大変お忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役 社長執行役員 COOの船渡です。
当期は3期連続で過去最高益を更新しました。当期純利益も100億円に迫り、中期経営計画「MT2027」の初年度としては、非常に良いスタートを切ることができたと考えています。
一方で、今期の業績予想については減収減益の見通しですが、当社としては、これを次なる飛躍に向けた仕込みと、成長を加速するための基盤を固める期間と位置づけています。
そのため、全社を挙げて積極的な受注獲得に注力するとともに、事業投資や事業ポートフォリオの最適化といった必要な施策をスピード感を持って実行し、将来の収益基盤を一層強固なものにしていきます。本日はどうぞよろしくお願いします。
それでは、当期の決算概要について、CFOの府川よりご説明します。
2026年3月期 連結決算概要
府川治氏(以下、府川):CFOの府川です。当期の決算概要についてご説明します。
当期の売上高は前期並みでしたが、大型プロジェクトの利益確定や収益性の向上により、営業利益は3期連続で過去最高値を更新しました。
また、営業利益については、前中期経営計画「MT2024」の1年目における67億円に対し、「MT2027」の初年度となる当期は137億円へと拡大しており、当社の収益力が着実に向上していることをご理解いただけると思います。
一方で、足元の受注環境については、外部要因による停滞が見られました。米国の関税政策やEV市場の減速を背景に、お客さま側で設備投資の時期を見直す、あるいは判断を長期化させる動きが強まり、当期の受注高は計画を下回る結果となりました。
セグメント別業績 (売上高・営業利益)
セグメント別の業績についてご説明します。
自動車事業やヘルスケア事業、航空・インフラ事業といった重点領域事業は、売上高と営業利益率を大きく伸ばし、業績に貢献しました。
プラント・エネルギー事業では、国内向け各種プラント用設備の案件減少により、売上高・営業利益ともに減少しました。
エナジーソリューションズ事業では、北米向けの売上は堅調に推移した一方で、国内向け案件の減少により、売上高・営業利益ともに減少しました。しかしながら、コスト管理の徹底により利益率は改善しました。
産業機械事業では、大型案件の減少による反動が大きかったため、売上高・営業利益ともに減少しました。
エレクトロニクス事業では、中国およびアジア向けの実装機や半導体装置の販売が寄与し、売上高・営業利益ともに増加しました。
自動車事業では、北米、インド、国内向けの大型案件が業績を牽引し、売上高・営業利益ともに増加しました。
ヘルスケア事業では、国内外におけるエンジニアリングを伴う大型案件の増加により、売上高・営業利益ともに大きく伸長しました。
航空・インフラ事業では、空港における省人化ニーズの継続により、エアライン向け地上支援機材の販売が好調に推移しました。その結果、売上高・営業利益ともに増加し、営業利益は前年の約2倍に大きく伸長しました。
海外売上高 (仕向け先ベース)
当期の海外売上高についてです。海外売上高は1,157億円で、比率は52.8パーセントとなりました。
米州エリアでは、エナジーソリューションズ事業の売上が減少し、13.3パーセント減少の442億円となりました。
欧州エリアでは、大型案件の一巡により、59.2パーセント減少して19億円となりました。
インドエリアでは、産業機械事業と自動車事業が伸長し、36.3パーセント増加の89億円となりました。
アジアエリアでは、ヘルスケア事業とエレクトロニクス事業が貢献し、32.2パーセント増加の341億円となりました。
中国エリアでは、産業機械事業と自動車事業の売上が減少し、5.7パーセント減少の264億円となりました。
連結財政状態
連結財政状態についてご説明します。
当期末の総資産は前期末に比べ43億円増加し、1,756億円となりました。これは、未収入金や電子記録債権の減少があったものの、現金および預金や投資有価証券の増加があったことによるものです。
負債合計は66億円減少し、849億円となりました。短期借入金の増加があったものの、未払金や支払手形および買掛金の減少があったことによるものです。
純資産合計は108億円増加し、907億円となりました。主に、配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が99億5,000万円計上されたことによるものです。
連結キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローについてです。
当期の現金および現金同等物残高は前期末と比べて179億円増加し、518億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは161億円の収入となりました。未払金や仕入債務の減少があったものの、税金等調整前当期純利益の計上、未収入金や棚卸資産の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは2億円の支出となりました。定期預金の減少、投資有価証券の売却による収入があったものの、有形固定資産および無形固定資産の取得、投資有価証券の取得による支出が発生したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは12億円の収入となりました。主に借入金の増加によるものです。
キャッシュ・アロケーション
「MT2027」におけるキャッシュ・アロケーションについてご説明します。
当社は「MT2027」の3年間において、成長投資と株主還元の双方を着実に実行していく方針です。成長投資および株主還元に必要な資金については、事業活動から創出される基礎的営業キャッシュ・フローに加え、バランスシートの最適化、手元資金や借入の活用により確保していきます。
当期におけるバランスシート最適化の取り組みの一環として、政策保有株式4銘柄、計5億2,700万円を売却しました。
スライド中央から右側にかけて、キャッシュアウトの考えを示しています。株主還元については、安定的な配当に加え、5月12日に開示したとおり、資本構成の最適化と株主還元の充実を図るため、50万株・20億円を上限とする自己株式の取得を決定しました。
成長投資については、「MT2027」の3年間累計で150億円を計画しています。今期以降は、既存セグメントを強化する中核領域を中心に、投資の実行を加速していきます。
今後も投資機会や事業環境、キャッシュ・フローの状況を見極めながら、株主還元の充実と成長投資の拡大を両立させていきます。
企業価値向上に向けた取り組み
企業価値向上に向けた取り組みの進捗についてご報告します。
当社では、PBR1倍以上の継続、ROE10パーセント以上、株主資本コストの低減の3点を目標として掲げています。昨年5月時点では、ROEは目標を達成していたものの、市場評価を示すPERが低位にとどまったため、PBRは1倍を下回る水準にありました。
2026年3月末の実績は、ROEが11.7パーセント、PBRは1.14倍となりましたが、PERは約10倍にとどまりました。今後は市場からさらなる評価を得られるよう、みなさまとの積極的な対話と、持続的な成長を通じてPERの向上に一層努めていきます。
取り組み状況および今後の方向性
PBRの改善を支える具体的な取り組み状況と今後の方向性について、4つの観点からご説明します。
はじめに、事業ポートフォリオの最適化です。収益性の向上と事業構造の最適化の一環として、小型バイナリー発電装置事業の譲渡を完了しました。今後は、当社が強みを持つ中・大型バイナリー発電装置や蓄電技術を組み合わせた複合的な提案など、より付加価値の高い注力分野へリソースを集中していきます。
次に、人的資本投資の促進です。月例給与水準のベースアップを実施し、社員が安心して挑戦し続けられる環境を整えるとともに、多様性推進プロジェクトを通じて、女性の活躍推進を含め、全社員が最大限に能力を発揮できる組織作りを加速させています。
3つ目は、積極的な事業投資です。社長直轄の事業戦略室を設置し、従来のボトムアップ型の投資立案に加え、トップダウンでの投資案件も積極的に推進しています。今後は既存セグメントを強化する中核領域を中心に、投資実行フェーズへと移行していきます。
最後に、IR活動の強化です。市場との対話を重視し、機関投資家との面談数は2024年3月期の17件から当期は47件と大幅増加しました。また、個人投資家向けの会社説明会を全国各地で実施しており、こうした地道な活動の結果、株主数は5,454名にまで増加し、投資家層の広がりを実感しています。
これらの取り組みを継続・進化させることで、さらなる企業価値の向上と持続的な成長を実現していきます。具体的な進捗については、今後も適時、開示を続けていきます。
配当金・配当性向
株主還元についてお話しします。
当社は、株主のみなさまへの利益還元を、経営の重要政策の1つとして位置づけています。
成長戦略「V2030」の実現に向けた成長投資や安定配当の継続を総合的に考慮し、配当方針を親会社株主に帰属する当期純利益の40パーセントの配当性向、またはDOE4.0パーセントのいずれか高いほうを基準として、業績に応じた適正な配当を実施しています。
これに基づき、当期の期末配当は、期初予想の1株当たり57円から17円増配の74円としました。これにより、中間配当51円とあわせて、年間配当金は1株当たり125円となります。
なお、今期の配当は、継続的かつ安定配当の観点から125円を予定しています。当社の配当は2015年以降、増配傾向で推移しており、今後も収益力の強化に取り組むとともに、株主のみなさまへの還元を一層充実させていきます。
株主還元 自己株式の取得
自己株式の取得についてご説明します。
当社は、資本構成の最適化と株主還元の充実を図るため、上限50万株、取得総額20億円の自己株式取得を決定しました。5月13日より、すでに市場買付を実施しています。
取得した自己株式については、中長期的な株主価値の向上を図る観点から、消却を予定しています。今後も機動的な資本政策を通じて資本効率の向上に努めていきます。
2027年3月期 通期業績予想
船渡:それでは、ここからは私が2027年3月期の見通しについてご説明します。
「MT2027」の初年度である当期は、営業利益・当期純利益ともに計画を上回る結果となりました。2年目となる今期は、売上高は前期並みを見込んでいますが、売上総利益は高水準を維持しており、当社の収益力は引き続き堅調に推移しています。
また、今期は将来のさらなる成長に向けて、グループ全体で約100名の増員を行い、新入社員から再雇用に至るまでの全社員の給与水準のベースを大幅に引き上げました。
さらに、働く環境の整備やデジタル投資などは、体制強化を目的としたものであり、来期以降の収益拡大につながる戦略的な人的資本への投資と位置づけています。これらの投資を踏まえ、今期は飛躍に向けた基盤構築の年として、成長分野を軸に積極的な営業活動を展開し、受注の回復を確実なものにしていきます。
「MT2027」の最終年度に向けては、ROE11パーセントから12パーセント程度の水準を目指し、最終目標である営業利益150億円および3年間の累計営業利益400億円の達成に向けて、全社一丸となって取り組んでいきます。
セグメント別 業績予想
各セグメントの今期の業績予想です。
詳細については、スライド巻末資料とあわせてご覧ください。
事業ポートフォリオの収益構造と重点・基盤領域
事業ポートフォリオの収益構造と重点・基盤領域についてご説明します。
主要セグメントを中心とした今期の業績見通しです。
エレクトロニクス事業では、中国向け案件の好調や半導体関連装置の売上計上により収益の拡大を見込んでいます。
自動車事業では、車載デバイス向けの自動組立ラインやADAS製品関連装置等の売上計上が着実に進む見通しです。
ヘルスケア事業では、高度管理医療機器の製造装置や大型エンジニアリング案件など、高付加価値の案件が収益を牽引する計画です。
一方、エナジーソリューションズ事業では、北米向け案件の貢献は継続するものの、今期の業績は「踊り場」の状況にあると見ています。
各セグメントとも外部環境を注視しつつ、足元で回復している受注を着実に売上につなげ、収益の最大化を図っていきます。
受注高の推移(四半期毎)
受注高の推移です。
受注状況を四半期ベースでご説明します。こちらのスライドでは、「MT2024」の初年度からの受注推移を示しています。
当期の上半期は米国の関税政策やEV市場の減速など外部環境の不透明感により、お客さまの投資姿勢が慎重になり、受注高は一時的に落ち込みました。しかしながら、下半期に入ると状況が改善し、受注が回復しました。
その結果、2026年3月期第4四半期の受注高は634億円と大幅に増加しました。これは、「MT2024」の期間を含めても四半期ベースで過去3番目に高い水準であり、足元での受注の勢いが力強く回復していることを示しています。
受注残高も、こうした受注高の急回復に伴い、再び積み上がってきています。この第4四半期に見られた力強い回復基調を今期もしっかりと維持し、引き続き営業活動を推進していきます。
「MT2027」および「V2030」達成への中長期的な取り組み
「MT2027」および「V2030」の達成に向けた当社の中長期的な取り組みについて、詳しくご説明します。
スライド右側に示していますとおり、まず「MT2027」の最終年度である2028年3月期において、売上高2,500億円、営業利益150億円を目指します。さらにその先、成長戦略「V2030」のターゲットである2031年3月期には、売上高3,000億円、営業利益180億円という目標を掲げています。
この目標達成に向けた2つの重要なポイントをお伝えします。
1点目のポイントは、受注の拡大です。
棒グラフの左側が2026年3月期、右側が2027年3月期予想の受注高の割合ですが、セグメントごとにグラフの幅がわずかに変化し各セグメントが受注を着実に積み上げているのが確認できるかと思います。その牽引役となる3つのセグメントのトピックスについてご紹介します。
まず、「踊り場」と表現しましたエナジーソリューションズ事業です。EV市場では若干の減速感が見られますが、お客さまやエリアによっては引き続き投資が行われています。
このEV向け車載用電池製造ラインは、データセンター向けの定置用蓄電池の需要にも対応可能であり、非常に活況を呈している市場です。ここを確実に取り込んでいく方針です。これらの電池製造については、上工程・中工程・後工程がありますが、中工程から後工程においては現在確実に対応できる状況となっています。
今後は、この全工程一括ラインを国内外のサプライヤーとともに、私たちが磨き上げてきたエンジニアリングの力を活かして提案を推進し競争力を高め、受注につなげていきたいと考えています。
次に、自動車事業です。自動車事業は二輪・四輪を対象としていますが、車には安全装置が必須となるのが現在の世の中の趨勢です。お客さまや我々自身も、自動車の安全性を非常に重視しています。
安全規格が変化することで新たな商材のチャンスや需要が生じ、自動運転や先進運転支援システムへの製品の引き合いが増加しています。このような流れを受け、自動組立ラインの展開や、自動車の車体外観検査装置のグローバル販売を強化していきます。
そして、エレクトロニクス事業です。急成長するAI市場を背景に、当社が特に得意とするAIサーバー向けの実装機やAIチップ用のパッケージ基板、半導体の後工程での受注を伸ばしています。地域としては、中国やインドなどのアジア市場、さらには昨今需要が高まっているヨーロッパ市場の旺盛な需要を確実に取り込んでいきます。
2点目のポイントは、「V2030」に向けた投資の実行です。
主な取り組みとして、ヘルスケア事業では、従来の医薬品製造ラインにおけるサプライチェーン強化があります。錠剤の製造工程にも上流、中流、下流がありますが、当社は特に後工程において強みを持っています。それをさらに中・上流側のサプライチェーン強化にまで広げていく取り組みを進めています。
また、新たな領域である化粧品、健康食品、バイオといった市場に対し、当社のバリデーションを含むエンジニアリング機能をさらに強化し、投資を進めていきます。
次に、航空・インフラ事業です。コロナ禍の収束にともないインバウンド需要が復調していることを背景に、エアライン各社の積極的な投資が続いています。こうした投資需要を確実に取り込み業績を達成するとともに、ストックからフロービジネスへの転換を図るため、重点的な投資を行い、将来の収益の柱として育成していきます。
この両輪をしっかりと回すことで、資本政策を確実に実行し、中長期的な成長と企業価値の向上を実現していきます。
経営理念
最後に、当社の経営理念についてあらためてお話しします。
当社は2022年に「人をつなぎ、技術をつなぎ、世界を豊かに」というミッションのもと、経営理念を定めました。
これは取引先、社員、そして株主のみなさまと共有される約束です。私たちは、次世代型エンジニアリング商社を目指し、独自のエンジニアリング機能を核として、お客さまのモノづくりと事業成長を支えることで、持続可能な社会の実現に貢献することを使命としています。
今後もこの経営理念を原点とし、リスクを見据えながら積極的に成長市場への投資を続け、成長戦略「V2030」の実現に向けて着実に歩みを進めていきます。
本日お集まりのみなさまにおかれましては、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
質疑応答:北米の電池設備の売上高と受注残について
質問者:エナジーソリューションズ事業の北米の電池設備について、前期の売上実績、今期の売上見通し、および現在の受注残高と北米が占める割合について教えていただけますでしょうか。
府川:エナジーソリューションズ事業として、2026年3月期の売上高実績は400億円、2027年3月期の売上高予想は245億円、現在の受注残高は345億円です。北米の電池設備案件の具体的な金額はお伝え出来ませんが、受注残高の大部分を占めています。
質疑応答:ヘルスケア事業および航空・インフラ事業の今期売上・利益予想について
質問者:ヘルスケア事業および航空・インフラ事業は、これまで売上高・営業利益ともに大きく伸びてきたと思います。しかし、今期は両事業とも頭打ちになる見通しですが、どのような状況の変化があると考えればよいでしょうか。
船渡:ヘルスケア事業については、前期と比較して売上高が若干下回る見通しです。これは現在、大きな案件を追いかけている途中で、その谷間に差し掛かっているためですが、中長期的に見れば、この数字は大きく伸長していくものと考えています。
航空・インフラ事業については、お客さま、特にエアライン各社からの発注が中長期的なものとなっており、今期に売り上がる案件が限定されている状況です。ただし、これらは年度をまたいで売上が計上されていく見通しであり、業績が減速しているというわけではありません。
質疑応答:現預金の適正水準と成長投資への活用について
質問者:現在、現預金が膨らんでいるように見受けられますが、キャッシュの適正水準をどのようにお考えでしょうか。
府川:現預金に関しては、多いのではというご意見をさまざまな投資家さまからいただいています。現在、ネットキャッシュは約460億円ありますが、期末の回収が進んだこともその一因として挙げられます。
当社は産業機械を取り扱っており、受注から出荷、そして検収に至るまでの納期が非常に長いという特性があります。そのため、仕入先への先行払いが発生することから、一定の資金余力を確保しておく必要があります。それに加えて、「下請取引適正化推進法(取適法)」の影響により、立替資金が発生していることも背景にあります。
また、エレクトロニクス事業および航空・インフラ事業が現在活況を呈しており、これらの分野で戦略的に在庫を確保する必要があるため、先行払いが伴う状況です。
さらにエナジーソリューションズ事業では、電池関連の受注により数十億円単位で立替資金が発生する場合があり、このような状況に対応するため、ある程度の資金需要に備える必要があると考えています。
信用格付けA格を維持しながら利益を確保していきたいと考えており、目安としてはおおよそ400億円を保有することを基準にしています。その上で、残りの資金については成長投資に充てたいと考えています。借入などの資金調達が可能であれば、さらに成長投資に回すことができると考えています。
質疑応答:2026年3月期の受注高と今後の見通しについて
質問者:2026年3月期の受注高は、御社の中期経営計画「MT2027」の計画を下回る結果かと思いますが、その要因と今後の見通しについて教えてください。
船渡:主な要因としては、地政学的リスクやEV需要の減速などを背景に、お客さまの投資判断が長期化してしまったことが挙げられます。さらに、設備導入時期の見直しも影響しており、状況を見極めてから対応したいというご意向もありました。
ただし、需要そのものがなくなったわけではありません。世の中の状況が落ち着き、判断がしやすい環境になれば、再び設備投資が実行されると考えています。
質疑応答:エナジーソリューションズ事業の現状と成長見通しについて
司会者:「エナジーソリューションズ事業は今期『踊り場』とのことでしたが、それを加味しても、営業利益が半減以下になるのは影響が大きいように感じます。今期減少する原因と、来期以降で回復を見込む背景を教えてください」というご質問です。
船渡:エナジーソリューションズ事業は、電池の製造設備を提供しており、主な供給先は自動車業界となります。自動車関係は若干減速しており、お客さまの投資が少し控えめになったことで、その分受注も減少しました。一方で、データセンターやAIサーバー関連では、定置用蓄電池であるESS(エネルギー貯蔵システム)の需要が非常に活況を呈しています。
これらの設備は自動車用電池の製造ラインとほぼ同様であり、サプライヤーも国内外の非常に競争力のあるメーカーと連携しています。当社はそこにエンジニアリング力を注ぎ込み、大型案件の受注を目指しています。
これまでは、特定のエリアに偏った自動車向け電池を主体とした案件が業績を牽引してきました。しかし、これからはエリアが分散し、自動車および蓄電池関連の製造設備が主流になることを踏まえ、エナジーソリューションズ事業の成長は再度加速していく見通しです。
質疑応答:中期計画最終年度の営業利益達成見込みについて
質問者:現状で中期経営計画最終年度の営業利益達成に関してどのような手応えを感じていますか。今期は減益とのことですが、もっと前倒しで最終年度の営業利益を達成する可能性が示されるかと思っていました。しかし、この結果を見ると、前期が良すぎたようにも見えます。
不確実要素が増えているとは思いますが、最終年度の仕込みなどを含めて、現時点でどのような手応えを感じておられるか、お聞きしたいと思います。
船渡:中期経営計画「MT2027」最終年度については、現在進めている受注獲得に向けた取り組みが最終的に売上や営業利益につながるものであり、今期は非常に重要な年であると考えています。今期を乗り越えることで、最終年度の目標を達成できる見込みです。また、さらにその先の成長戦略「V2030」を見据え、投資を確実に実行していくことで、最終年度のKPIも達成可能であると考えています。
質疑応答:AI進化による機械商社の未来について
質問者:AIが劇的に進化している中で、機械商社の仕事の進め方がどのように変わるのかについて、社長の肌感覚でお聞かせいただけますか。
AIが進化する中で生き残る商社と、逆に淘汰される商社の違いはどこに現れるとお考えでしょうか。誰にもわからない部分かもしれませんが、現時点でのお考えをおうかがいしたいです。
船渡:私自身もAIをさまざまな取り組みに活用していますが、モノづくりという観点で考えると、現時点ではまだAI自体が物を作ることはできないという点があります。
例えば、業務の効率化、ヒューマノイドロボットの導入による生産効率の向上や省人化など、この分野におけるAI技術は、今後さらに進化していくと思います。人間とヒューマノイドロボットが一体となる部分は、近い将来、現実的になると考えています。
しかし、そのもっと前段階として、物を組み立てたり作ったり、それを品質管理していくプロセスが重要です。単品同士をどのように組み上げ、どう立ち上げていくかをグローバル規模で行うことは、AIやロボットだけではできない部分があります。
当社の強みは、このグローバルな展開にあります。各地域に外国籍社員を含むエンジニアがしっかり配置されており、さまざまな国から集まる設備をエンジニアリングしてモノが作れるようにしています。
この分野では、お客さまのモノづくりに対する考え方に、当社がさらなる付加価値を加えて提供するエンジニアの力が必要です。そのため、これがすべてAI化されることで当社の価値が失われる可能性はほとんどないと考えています。
一方で、社内の計算やデータ処理など、自社の業務改善のためのAI活用はどんどん進めていきます。
我々は、モノづくり機械を扱う専門商社として、お客さまがモノを作る現場が存在する限り、必要な設備をまとめて提供し、モノづくりを支えるエンジニアの役割はなくならないと考えています。差別化はますます加速していくと見込まれますが、業務の効率化とともに当社の強みを磨き続け、生き残りを実現していく方針です。
また、我々単独ですべてをまかなえるわけではありません。そのため、今後はコンソーシアムを構築し、多様な業者や同業他社とも連携しながら、日系・非日系を問わずグローバルにお客さまをサポートしていくことが、我々の今後の方向性であると認識しています。
質疑応答:営業利益率目標6パーセントの達成について
司会者:「前期の営業利益率は6.3パーセントと高水準でしたが、今期の減益予想、営業利益率は5.7パーセント予想です。この数字を見る限り、高い収益率は一過性のものなのでしょうか。」というご質問です。
府川:営業利益率については、6パーセントを目指すというのが基本方針です。今期は5.7パーセントとなり、少し物足りないと感じられるかもしれません。
営業利益に関しては、当社が今回ベースアップを実施したことも影響しています。適時開示したとおり、新卒の初任給を22パーセント引き上げ、全社員の月例給与水準のベースアップを行いました。
これらが営業利益を引き下げる要因となっていますが、受注残高や粗利率については、高水準を保つようにしています。そのため、受注がしっかり獲得できれば、6パーセント以上の営業利益目標は達成可能と考えています。