2026年3月期決算・中期経営戦略説明
近藤康正氏(以下、近藤):株式会社サンゲツ代表取締役社長執行役員の近藤です。本日はご多用の中、当社の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
これより、2026年3月期決算および中期経営計画についてご説明します。
連結損益計算書
初めに、2026年3月期の通期業績についてご報告します。
売上高は前年同期比3.0パーセント増の2,064億4,100万円、営業利益は7.0パーセント増の194億800万円、親会社株主に帰属する当期純利益は16.7パーセント増の146億4,200万円となり、増収増益となりました。
当期を振り返ると、2024年12月に主力仕入先工場で発生した火災事故により、一部床材の出荷に制約が生じました。また、主力市場である日本国内の需要は力強さを欠いていました。
一方、2024年12月に実施した価格改定の浸透に加え、戦略商品の伸長による商品ポートフォリオの改善や、海外を含むグループ企業各社の業績の伸長が大きく寄与し、前年比で増益を確保することができました。
公表計画に対する進捗状況としては、売上高は計画を下回りましたが、国内インテリアセグメントで安定的に利益を確保できたことにより、各利益項目は計画を上回る結果となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、一過性の利益として特別利益を約8億円計上しています。この特別利益は、米国子会社での過去の雇用維持にかかる助成金収入や、北米での退職給付制度の終了に伴う利益等によるものです。
セグメント別売上高・営業利益
セグメントごとのポイントについてご説明します。
主力である国内インテリアセグメントでは、売上高は前年同期比0.1パーセント増の1,641億600万円、営業利益は2.1パーセント増の193億3,300万円となりました。
計画比においては、事業環境は想定以上に厳しかったものの、機能強化やソリューション提案力の拡充に支えられ、また、販管費のコントロールも実行したことから、底堅く推移しました。
国内エクステリアセグメントにおいても、事業環境の厳しさは国内インテリアセグメントと同様でしたが、販売価格の上昇や注力している東海地方と首都圏での拡販効果により、計画を上回る結果で着地しました。
海外セグメントでは、前年同期比で営業利益約8億円の改善が見られたものの、依然として損益ゼロには届きませんでした。しかし、特に北米においては収益改善は着実に進んでおり、底であった2022年3月期と比べて4年間で25億円近い営業利益の改善を果たしています。
北米は引き続き堅調に推移し、経営体制を刷新した東南アジアのインテリア事業では黒字転換となりました。中国・香港は依然として事業環境が厳しいものの、赤字幅は縮小しています。
一方、シンガポールで設計・施工事業を行う空間総合事業では、大型案件での損失や一過性の費用が発生し、計画を下振れました。
繰り返しとなりますが、海外のインテリア事業では着実な改善が見られています。新中期経営計画期間ではこの流れをさらに加速し、北米をはじめとした成長戦略を後押ししていきたいと考えています。
連結営業利益増減(前年同期比4-3月)
営業利益の増減についてご説明します。
サンゲツ単体の販売数量は、主力仕入先工場の火災事故による床材の出荷減と、想定以上に厳しかった内需の影響を受け、前年同期比で減少しました。それに伴い、物流費等の増加は抑制されています。
価格改定と商品ポートフォリオの改善は、利益を確保する重要な要素となりました。
販売費および一般管理費は、前年同期比で増加はしているものの、連結ベースでのコントロールに努めています。国内外ともにグループ会社の収益貢献が大きく、連結経営が軌道に乗り始めました。新中期経営計画では、この流れをさらに加速させていきたいと考えています。
公表計画との対比では、営業利益の計画190億円に対し、実績は194億円となりました。また、主力仕入先工場の火災事故の影響はほぼ想定どおりで、売上高へのマイナスインパクトは約45億円と試算しています。
営業利益ベースの影響額は、その他(商品評価損・火災影響等)のマイナス項目に計上している金額の大部分を占めているとご理解ください。
連結貸借対照表
連結貸借対照表の主な変動についてお話しします。
資産の部では、壁紙メーカーであるクレアネイト社の東広島事業所における設備投資や、物流会社SDS社の株式取得といった成長投資の実行が資産増加につながりました。
また、投資その他の資産では、保有する投資有価証券の含み益や退職給付に係る資産の増加が見られました。
負債の部では、短期借入金が減少し、長期借入金が増加しています。負債の減少要因としては、電子記録債務が約47億円減少したことが挙げられます。これは、後ほど説明するCash Conversion Cycle(CCC)における仕入れに関する支払条件の改善などによるものです。
純資産の部は、利益剰余金やその他包括利益累計額の増加により、資本が想定以上に積み上がっています。
連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フローについてご説明します。
営業キャッシュ・フローは、計画どおりの利益計上などにより143億2,000万円となりました。
投資キャッシュ・フローは、有形固定資産および子会社株式の取得によりマイナス46億2,000万円となっています。
財務キャッシュ・フローにおいては、前期比で増配となり、当期のキャッシュフローにおける配当総額は89億5,000万円となりました。
この結果、期末の現金および現金同等物の残高は、前期末から約15億円増加し、350億1,000万円となっています。今後も、着実な事業成長とサプライチェーンマネジメントの強化を通じてキャッシュ創出力を高め、それを成長投資や株主還元に適切に反映させていく方針です。
連結Cash Conversion Cycle
連結キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)についてです。
売上債権と棚卸資産回転期間は、営業現場の努力やサプライチェーンマネジメントの進化により、順調に改善が進んでいます。一方で仕入債務回転期間が短くなったことにより、結果としてCCCが長くなっています。
この背景としては、当社の仕入先には中小規模の企業が多数存在していることを踏まえ、健全で持続可能なサプライチェーンを維持・構築するために、取引条件の適正化や商流の変更を進めています。この結果、仕入債務回転期間が短縮されているとご理解ください。
国内インテリアセグメント 国内建設市場の状況
主力の国内インテリアセグメントを取り巻く、国内建設市場の状況についてご説明します。
新設住宅着工戸数や新設住宅着工床面積は、前年実績を下回りました。特に、2025年4月に施行された建築基準法および建築物省エネ法改正に伴う駆け込み需要の反動減が影響し、4月から3月にかけての落ち込み幅がより大きくなっています。
非住宅においては、ホテルは堅調でしたが、オフィス、工場、倉庫、医療福祉施設などでは新設需要が前年を下回りました。
一方、リフォーム・リニューアル市場は住宅・非住宅ともに堅調です。当社のビジネスモデルは、従来、新設住宅が主流でしたが、現在は住宅・非住宅双方でリフォーム・リニューアルにおいても事業拡大を目指し、商品開発や営業活動の強化を進めています。
来期の見通しについては、中東情勢の影響も加わり、一段と不透明感が強まっている状況です。
市場全体が縮小していくことは避けられませんが、その中でもリフォーム・リニューアルをはじめ、新たに生まれる市場や成長する市場が必ずあると考えています。これらの市場でのポジショニングを強化していきたいと思います。
国内インテリアセグメント 壁装材・床材売上状況
当社の主力商品である壁装材・床材の売上状況についてご説明します。
壁装材の当社出荷数量は前年同期比マイナス4.6パーセントと、業界全体を下回りました。2024年12月の価格改定に際し、当社が他社に先行した影響などが要因と考えています。
各種機能やソリューション提案力については、当社に強みやコアがあると考えており、市場シェア自体は引き続き高い水準を維持できる見込みです。
床材の当社出荷数量については、繊維系床材が前年同期比マイナス1.7パーセント、仕入先工場の火災事故による供給制約の影響を受けた塩ビ系床材が前年同期比マイナス12.8パーセントと、いずれも壁装材と同様に業界全体を下回っています。
塩ビ系床材については、すでに該当商品の供給を再開しており、今後は着実なシェア回復に努めていきます。
床材については、商品数を拡充し、プロダクトミックスが充実してきています。一方、競合メーカーと比較した際の競争優位性の確保が課題となっていますが、当社としては引き続きプロダクトミックスの充実を図っていきたいと考えています。
国内インテリアセグメント 戦略商品売上状況
これまで「中型商品」と呼んでいた高付加価値商品や高成長が見込まれる商品について、「戦略商品」という呼称にすることとしました。
具体的には、リアテック(粘着剤付化粧フィルム)やガラスフィルムといったフィルム商品、カーペットタイルやフロアタイルといった機能性床材、そして椅子生地などを指します。
当期の売上高は445億2,000万円、前年同期比6.8パーセント増となり、引き続き高成長を維持しています。国内インテリアセグメント全体の売上の4分の1以上を占めるまでに成長してきました。
こうした戦略商品のさらなる展開に加え、市場ニーズや社会課題に応える新たな商品の開発を強化していきます。
2027年3月期 業績予想の前提
2027年3月期の通期業績予想についてご説明します。
まず、ご理解いただきたい前提として、当社は新しい中期経営計画の策定に向け、2025年秋以降、積み上げて実務を進めてきました。その中には、2027年3月期の通期計画も含まれています。
策定を終え、機関決定のプロセスを経る段階で、アメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃が発生しました。
この影響により、エネルギーや原材料価格の動向が非常に不安定な変数となり、現時点ではその影響を合理的に算出することが困難な状況です。そのため、今回の業績予想にはこれらを織り込んでいません。
また、不透明なコスト増を見据え、一定の前提を置いた上で、2026年7月に18パーセントから30パーセントの幅で価格改定を行うことを2026年4月に発表しています。この価格改定の効果についても、現状の業績予想には一切織り込んでいません。
状況の推移を慎重に見極め、合理的な影響額の算出が可能となった段階で、速やかに新たな業績ガイダンスをお示ししたいと思っています。
連結業績予想
以上の前提を踏まえ、現在の業績予想についてご説明します。
売上高は前年同期比3.2パーセント増の2,130億円と増収を見込む一方で、営業利益は前年同期比で減益となる190億円を計画しています。
営業利益のプラス要因としては、仕入先工場の火災事故による一部の床材供給制約がほぼ解消すること、および海外事業の成長が挙げられます。
一方でマイナス要因としては、通常の事業活動の範囲内で想定される原材料費や物流費の上昇、人件費、成長戦略に向けた投資を含む販管費の増加を織り込んでいます。こうした要因を踏まえた結果、減益予想となる見込みです。
今後どのような施策を講じていくかについては、次の中期経営計画のパートでご説明します。
株主還元実績・予想 1株当たり配当金推移
2026年3月期は公表どおり1株当たり年間配当金155.0円を予定しています。2027年3月期の配当金については、中東情勢などの極めて不透明な状況を踏まえ、現時点では中間と期末を合わせて前年と同じ155.0円を予想しています。
当社はこれまで、継続的な増配を実現してきました。今期も、株主還元を重視する基本姿勢に変わりはありません。しかしながら、期初段階では未確定なリスクを考慮し、据え置きの予想としています。
中期経営計画 2029(2027年3月期~2030年3月期)
2027年3月期から2030年3月期までの4ヶ年を対象とした、「中期経営計画 2029」についてご説明します。
TOP MESSAGE
今回は、初めに「TOP MESSAGE」の資料を入れています。
新しい中期経営計画の全体感として、あらためてサンゲツのコアである「トータルインテリア」に立ち返り、その強みを起点とした成長戦略に舵を切り、変革と挑戦、イノベーションの創出を実現し、最終年度の営業利益250億円を目指します。
具体的な施策や打ち手、財務戦略については、この後詳しくお話しします。
新中期経営計画を進めるにあたって前中期経営計画を振り返り、成果と課題を冷静にレビューしたうえで、ステークホルダーのみなさまに一本の正しいベクトルを示す必要があると判断し、この「TOP MESSAGE」を冒頭に掲げました。
具体的には、目指す企業像の再定義と社是についてです。当社は2020年に長期ビジョンを発表し、「内装企業からスペースクリエーション企業への転換」を掲げました。
そして、前回の2023年に発表した中期経営計画では、この転換を加速させるために、「ビジネストランスフォーメーションを進める」と定めていました。この期間、主力であるインテリア事業は着実に成長を遂げ、海外においてもインテリア事業の成長の兆しが見えてきています。
一方、空間総合事業とエクステリア事業については、当初想定していた成長スピードには至らず、各事業に起因する課題が明らかになったと判断しています。
こうした振り返りを踏まえ、新中期経営計画では当社のコアである「トータルインテリア」の強みに立ち返り、目指す企業像を「素材とデザインを起点に、インテリアから文化をつくる企業」と定めました。
インテリア商品の拡充にとどまらず、素材・デザイン・物流・施工といった機能を掛け合わせたトータルインテリアの強みをテコに、お客さまが求める暮らしを実現し、新たな暮らしの文化を育んでいきます。
また、目指す企業像の再定義に合わせて、当社が1849年の創業以来大切にしてきた社是「誠実(INTEGRITY)」をあらためて掲げることとしました。
新中期経営計画を実現し、さらに長期にわたる持続的な成長に向けて、当社グループとして大切にする価値観にしていきたいと考えています。
TOP MESSAGE|目指す企業像
こちらのスライドは、先ほど申し上げた目指す企業像の概念図です。
今回、新中期経営計画以降を見据え、当社が取り組む事業を整理し、国内インテリアセグメントに属する事業として「インテリア事業」と「空間総合事業」、国内エクステリアセグメントに属する事業として「エクステリア事業」、海外セグメントに属する事業として「海外インテリア事業」と「海外空間総合事業」に区分しました。
インテリア事業と空間総合事業は、シナジーがあることや隣接したビジネスであることは確かですが、事業モデルが異なるため、それぞれを分けて損益管理や進捗の管理を行うべきだと判断しています。
TOP MESSAGE
スライドは「社是」「目指す企業像」「中期経営計画 2029 スローガン」、そして2年前に発表した「サンゲツグループ企業理念」をまとめたものです。
前中期経営計画【BX 2025】振り返り
前中期経営計画の定量面について振り返ります。
スライドの表の一番右側が2023年度に策定した当初計画であり、その左隣が2025年に見直した修正計画です。これらの対比について、主要な指標に基づきご説明します。
売上高は当初計画を上回り、ほぼ1年前に策定した修正計画どおりの数字となりました。営業利益は当初計画を11億円下回りましたが、2025年に策定した修正計画に対してはほぼ計画どおりとなっています。
営業利益が当初計画を下回った主な要因としては、国内エクステリアセグメントと海外セグメントの未達が挙げられます。この詳細については、次のスライドでご説明します。
前中期経営計画【BX 2025】振り返り
セグメント別の実績についてご説明します。
営業利益に関しては、国内インテリアセグメントは底堅く推移しましたが、国内エクステリアセグメントは当初計画比で約9億円のマイナス、海外セグメントは当初計画比で約8億円のマイナスとなりました。
前中期経営計画【BX 2025】振り返り
こちらのスライドには、先ほどの説明を定性的に記載しています。海外セグメントの中で海外インテリア事業の改善が顕著になり、成長の兆しが明確になってきています。
前中期経営計画【BX 2025】振り返り
株主還元の振り返りです。2025年度の配当は、1株当たり年間配当金155円を予定しており、これによって12期連続の増配を実現する見込みです。
本業での利益の積み上げによる株主資本に加えて、その他包括利益累計額も積み上がり、自己資本は計画を上回りました。
前中期経営計画【BX 2025】振り返り
資金配分についてです。キャッシュインでは、3年間の累計で463億9,000万円の営業キャッシュ・フローを創出しました。
M&Aを含む成長投資が計画比未達となったことや、株主還元が計画の下限にとどまった結果、期末の保有現金残高は357億1,000万円と、計画を超過しました。
この結果を踏まえ、今回の新中期経営計画では、稼ぐ力の進捗に応じて資本構成の再構築に取り組んでいきます。
事業環境と内部課題
以上の振り返りを踏まえた事業環境および内部課題のレビューです。
事業課題として、スライド上段には当社にとっての課題である「チャレンジ」、下段には成長に向けた「ポテンシャル」が挙げられています。
これまで主力市場であった日本においては、引き続きシェアにこだわりつつ、同時にビジネスの質を向上させていきます。先ほどご説明したとおり、成長市場や新しい市場でのポジショニングを上げることに努めていきます。
また、海外市場のポテンシャルを実感できる段階に至ったことから、北米については成長戦略を後押しし、進めていく考えです。
事業環境と内部課題
内部課題については、スライドに記載のとおりです。
社員全員がこれを自覚し、現行のビジネスモデルに安住することなく、事業ポートフォリオの変革や新たな事業機会の創出に取り組みたいと考えています。そのための基盤となる人材育成やDXも進めていく方針です。
中期経営計画 2029
新中期経営計画の具体的な内容についてお話しします。
今回は期間を4年間としました。2020年度にスタートした中長期ビジョン【DESIGN 2030】の最後の4年間として、総仕上げの期間に臨む考えです。
また、私が2年前に社長に就任して以来、社員に伝えてきたメッセージ「変革と挑戦、そして、イノベーションの創出」を新中期経営計画のスローガンとしてあらためて採用しました。
中期経営計画 2029
当社は、2014年度に3ヶ年中期経営計画をスタートし、以降3年ごとに中期経営計画を策定してきました。スライドは、その推移を示しています。
今回は、期間を長期ビジョンの残り4年に合わせました。前中期経営計画では、内装企業からスペースクリエーション企業への転換を加速する「ビジネストランスフォーメーション」を目指しました。
その結果を振り返りつつ、当社が直面している事業の課題と成長の可能性を検証しました。そして、当社グループのコアであり強みでもある「トータルインテリア」に立ち返り、それを基盤とした成長戦略の推進に取り組んでいきたいと考えています。
中期経営計画 2029
今回の新中期経営計画の基本方針の6項目です。
「インテリア事業の強化」「空間総合事業とエクステリア事業の育成」「海外事業の成長」「次世代事業の探索・創出」、そして「人的資本」「デジタル資本」です。詳細はこの後お話しします。
中期経営計画 2029
スライドは当社グループの事業ポートフォリオの概念図です。基本方針に基づき、グループのコアビジネスであるインテリア事業をさらに高度化し、キャッシュ創出力を高めていきます。
また、空間総合事業とエクステリア事業については、まず事業基盤をしっかり固めて「稼ぐ力」をつけることを目指します。海外では、北米を中心にグループ全体の成長を牽引する高いスピードが期待されます。
そして、そのような既存事業の隣接領域で新たな事業機会を見いだしていきます。これが、スライドの図の左上にある次世代事業です。
また、成長の道筋としてはオーガニックな成長はもちろん、戦略的なM&Aも重要な選択肢として積極的に検討していきたいと考えています。
中期経営計画 2029 経営指標|連結
こうした施策を通じた定量目標は、スライドに記載のとおりです。今回、営業利益の目標を当初掲げていた270億円から250億円に引き下げています。
この理由は、昨今の事業環境の変化、先ほど触れた当社が直面する各事業の特性やポテンシャル、課題を総合的に勘案し、営業利益目標を250億円に設定しました。
トップラインおよび利益の伸長を実現するとともに、適切な資本コントロールによってROE14.0パーセントの達成を目指します。
一方、ROICについては、戦略的成長投資の実行に伴う一時的な資産増加に加え、新リース会計基準によりオンバランスされる資産の増加が影響し、足元の水準から低下すると見込んでいます。
なお、現在掲げている目標には、2027年3月期予想と同様に、中東情勢に伴う各種コストの上昇および当社による価格改定の要素を織り込んでいません。合理的な算出が可能となった時点で、変更が必要な場合には、あらためてガイダンスを発表します。
中期経営計画 2029 経営指標|セグメント別
セグメント別の定量計画です。
繰り返しとなりますが、国内インテリアセグメントを深掘りし、進化させるとともに、国内エクステリアセグメントの基盤を強化していきます。そして、海外セグメントでは成長加速を実現します。
海外セグメントについては、オーガニックな成長に加えてインオーガニックな成長も見込み、売上・利益ともに大きな飛躍を目指します。
各セグメントの詳細については、今後の説明会などで進捗を開示していきます。
中期経営計画 2029 事業戦略|国内インテリアセグメント/インテリア事業
当社のコアビジネスである、インテリア事業の具体的な事業戦略についてです。
5つの戦略を掲げており、事業を高度化し、キャッシュ創出力を強化することで、当社のコアビジネスとしての特徴をさらに際立たせることを目指しています。
中期経営計画 2029 事業戦略|国内インテリアセグメント/インテリア事業
国内インテリアセグメントにおけるインテリア事業の施策の1つである「成長市場でのポジショニング向上」についてです。
国内建設市場の規模が全体として縮小していくことは、避けられないと考えています。ただし、繰り返し申し上げますが、新しい市場や成長する市場は必ず存在します。
当社はこれまで新設住宅市場を主なターゲットとしてきましたが、近年では非住宅やリフォーム・リニューアルにも注力してきました。
こうした活動をさらに加速すると同時に、市場ニーズや社会課題には次々と新たなテーマが出てくるため、素材・デザイン・物流・施工といった各種機能を組み合わせたソリューション提案力を高め、これらへの対応を図っていきたいと考えています。
中期経営計画 2029 事業戦略|国内インテリアセグメント/インテリア事業
プロダクトミックスの最適化についてご説明します。
今回は当社の商品群を「主力商品」「戦略商品」「新機軸商品」に再定義し、そのポートフォリオの最適化を図っていきます。それぞれの商品の定義はスライド左側に示されており、各商品の下に太字で記載しています。
インテリア業界では、従来のプロダクトアウトよりも、マーケットインによる商品企画や開発ニーズ、つまり市場ニーズや社会課題の解決に迅速かつ的確に対応するソリューションが求められているとあらためて感じています。
当社は製造業ではありませんが、商品企画・開発を担当する商品統括部門や営業を担当する事業部門とのいわゆる製販連携を強化し、高成長を目指す海外市場へもつながる商品ポートフォリオを構築していきたいと考えています。
中期経営計画 2029 事業戦略|国内インテリアセグメント/インテリア事業
サプライチェーンの最適化についてです。
当社のオリジナル商品数は約1万2,000点あり、多品種商品のビジネスモデルにおいて、サプライチェーンマネジメントの重要性は言うまでもありません。
3年前に専門人材をキャリア採用し、その人物が中心となってサプライチェーンマネジメントの最適化を着実に進めてきました。
前中期経営計画期間においても成果が見えてきており、引き続き強化を進めることで、競争力の向上やキャッシュ・フローの最大化につなげたいと考えています。
中期経営計画 2029 事業戦略|国内インテリアセグメント/空間総合事業
国内インテリアセグメントの空間総合事業についてお話しします。当社は2017年にフェアトーン社を買収し、空間総合事業に参入しました。
その後、2019年にサンゲツ本体にスペースクリエーション事業部を立ち上げ、2023年度からスタートした前中期経営計画期間においては、専門人材の拡充を進め、将来に向けた基盤強化を先行して進めてきました。
一方、これまで私たちが担ってきたインテリア事業とはビジネスモデルが異なることは事実です。事業を深掘りするため、高度専門人材を2026年4月1日付で執行役員として迎え入れ、より実効性の高い事業体制の構築に取り組んでいます。
空間総合事業については、グループ全体のトータルインテリア機能を強化する観点から位置づけています。その上で、収益基盤の1つとして育成していきたいと考えています。
中期経営計画 2029 事業戦略|国内エクステリアセグメント/エクステリア事業
次に、エクステリア事業についてです。前回の中期経営計画期間においては、想定した成長を達成することができませんでした。
その要因としては、サンゲツ本体とエクステリア事業を主体的に担うグループ企業であるサングリーン社との戦略連携をもう少し丁寧に進めるべきだったという反省があります。
2025年4月にサングリーン社の経営体制を刷新し、サンゲツ本体もこれを支援するかたちで、スライドに記載されている取り組みを通じて利益計画を達成し、収益基盤の1つに成長させていきたいと考えています。
中期経営計画 2029 事業戦略|海外セグメント/海外インテリア事業・海外空間総合事業
今回、成長の大きな牽引役として期待している海外セグメントでは、売上高を350億2,000万円から542億円へ、営業利益をマイナス4,000万円から30億円へ拡大する計画です。主力市場は北米です。
中期経営計画 2029 事業戦略|海外セグメント/海外インテリア事業・海外空間総合事業
海外セグメントにおいては、足元で東南アジアや中国・香港にも改善が見られます。海外インテリア事業・海外空間総合事業を、グループ全体の成長の起爆剤として位置づけていきたいと考えています。
中期経営計画 2029 財務戦略|資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
財務戦略および資本コスト、株価を意識した経営の実現に向けた全体像についてご説明します。
当社は、事業ポートフォリオの変革による収益の拡大、財務戦略による資本の最適化、そして経営基盤の強化を通じて資本コストの低減に取り組みます。
これにより、資本コストを上回る資本収益性を維持・向上させ、エクイティスプレッドの拡大を目指す考えです。
PBR向上の大前提となるROEについては、前中期経営計画の12.5パーセントから、今回の中期経営計画の最終年度には14.0パーセントまで引き上げることを掲げました。そして事業戦略の遂行を通じて稼ぐ力を高め、連結営業利益率10パーセントの達成を実現していきます。
また、最適な資本構成を追求するためには、配当下限を155円、配当性向60パーセント以上を目安とする株主還元に加え、自己株式の取得による機動的な資本コントロールを実行していきます。
市場からの評価であるPERについては、スライドに記載の施策を実行することで、資本コストの抑制や持続的な成長期待の醸成を図ります。
これらの取り組みを推進し、株主資本コストである6パーセントから8パーセント程度を安定して上回るリターンを創出することで、PBRの持続的な向上を目指していきます。
中期経営計画 2029 財務戦略|資金配分
資金配分についてです。基本方針は、成長投資と資本最適化の両立です。ROE14.0パーセントの実現に向けて成長投資を積極的に実行し、最適な資本構成を追求していきます。
キャッシュイン・キャッシュアウトの金額はスライドに記載のとおりです。本日みなさまにお伝えしたいポイントとしては、当社のスタンスとして、中長期的な利益のアップサイドに結び付く成長投資に主眼を置いています。
一方で成長投資の進捗や資本効率の状況を見極め、状況に応じて、自己株式の取得を含めた機動的な追加還元を検討していきます。
中期経営計画 2029 財務戦略|投資方針
投資方針についてご説明します。ここでは、大きく3つの領域に資金を投じます。
1つ目はR&Dです。新素材や新商品の開発、パートナー企業とのアライアンス、オープンイノベーションの強化を進めます。また、R&Dを推進するための拠点設立を計画しています。
2つ目は企業ブランディングです。新たに目指す企業像「素材とデザインを起点に、インテリアから文化をつくる企業」を広く発信し、ブランディングや認知度を高めるため、マーケティングおよびプロモーション機能を強化していきます。
3つ目はM&Aおよび新規事業です。コアであるインテリア事業や、成長を牽引する海外事業を主軸として、商品ポートフォリオの拡充やM&A、新規事業といった事業機会を探索し、戦略投資を実行していきます。
中期経営計画 2029 財務戦略|株主還元方針
株主還元方針です。これまでと同様に安定配当を基本とし、1株当たり年間配当金155円の下限と、配当性向60パーセント以上を目指していきます。
また、市場環境や資本効率、成長投資等の状況を踏まえ、機動的に自己株式の取得を検討する方針です。
今回の新たな方針では、「安定的な増配の継続」という株主さまの期待を維持しながら、新たに配当の原資、すなわち利益の増大に連動させることを掲げました。先ほどご説明した成長投資による利益創出を確実に実現し、株主還元をさらに拡充していきます。
中期経営計画 2029 経営基盤|人的資本
人的資本についてです。前回の中期経営計画では、次の飛躍に備え、人員の量的拡大を図りました。
今回の中期経営計画では、量的拡大よりも、一人ひとりの能力やスキルの向上に主軸を置きます。構想力、実行力、倫理観を持ち、戦略的意思決定、変革推進、リーダーシップの発揮を担える人材を育成し、増やしていきたいと考えています。
社員一人ひとりのモチベーションを高めるために、企業風土や職場環境の整備も着実に進めていきます。
中期経営計画 2029 経営基盤|デジタル資本
デジタル資本の重要性については、当社に限らず国内外すべての企業に共通すると考えています。いち早く体制を構築できる企業が競争に勝つことは、自明です。
当社においても、この点にはまだ大きな改善余地があります。先ほどサプライチェーンマネジメントに関して「高度専門人材を採用した」とお話ししましたが、その人材を中心に、キャリア人材の採用を含めてデジタル資本の強化をさらに加速していきたいと考えています。
中期経営計画 2029 経営基盤|連結経営
連結経営についてです。当社はこの10年で、M&Aを通じてグループ会社の数を増やしてきました。現在、従業員数は単体で約1,400人、グループ全体では3,000人を超える規模感になります。
この連結経営の重要性を強調することについて、投資家のみなさまは「何を当たり前のことを」とお感じになるかもしれません。
しかしながら、短期間で事業領域を拡大してきた当社グループとしては、まず社員のグループ意識を高めて全員のベクトルを1つに統一することが重要であると考え、今回の中期経営計画に記載しています。
また、各グループ会社の収益力の強化を今後さらに推進していきたいと考えています。
中期経営計画 2029 経営基盤|サステナビリティ
サステナビリティについては、スライドに記載のとおりです。
社会的責任をしっかり果たすこと、健全な企業経営を行い収益を確保すること、この2つを責任をもって両立させ、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に最大限貢献していきます。
具体的には、スライドに記載のとおり、「地球環境保全」「企業活動における人権尊重」「社会貢献活動の推進」「ガバナンスの強化」の4点を柱としています。
中期経営計画 2029 経営基盤|サステナビリティ目標
サステナビリティの目標についてです。DE&Iやコミュニティへの参画については、スライドに記載のとおり、定量的な目標を設定しています。
また、地球環境保全については、脱炭素と資源循環、さらに商品を通じた環境負荷の低減に取り組んでいます。ここには定性的な目標が記載されていますが、着実に進めていきたいと考えています。
先ほどご説明のとおり、事業領域の拡大や連結経営の強化に伴い、グループ全体の成長が進む中で、多様な人材の活躍が一段と重要になっています。スライドに掲げた項目は、その一部です。
多様性に関しては、ジェンダーのみならず、キャリア人材、グループ会社のプロパー社員、外国人材など、当社グループには多様な人材がいます。これらすべての人材が活躍できる企業風土を醸成していきたいと考えています。
以上、2026年3月期決算および「中期経営計画 2029」に関するご説明でした。長時間ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:中東情勢の影響について
質問者:「中東情勢の影響を計画に入れていない」というご説明について質問です。今後、どのような影響が考えられるのでしょうか?
価格上昇だけでなく、調達への懸念もあります。ナフサ由来の原材料の調達不足が生産面に影響を与える可能性など、今後、どのような影響が考えられるかについて教えてください。
近藤:「2027年3月期および新しい中期経営計画には中東情勢の影響が含まれていないという前提で、どのような影響が想定されるのか」というご質問であると理解しました。
2026年2月末にアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が開始され、3月、4月、5月と進んでいますが、当社の商品である壁紙、床材、カーテンの製造および供給については、相応の信頼性や安心感を持っています。
例えば、壁紙や床材の原料である塩化ビニルは、もともと輸出比率がある程度高い商品です。しかし現在、日本のメーカーが輸出量を大幅に削減して国内市場へ振り向けているため、この部分の原料調達には大きな影響が生じないと考えています。
次に、壁紙や床材の主要原料の1つである可塑剤についてです。例えば中国では、今回のイラン情勢に起因した石油化学の生産減少の影響は限定的であると考えています。可塑剤は、中国をはじめとする海外からの輸入も可能です。
以上のように、私どもの主力商品を製造し、お客さまにお届けすることは可能です。しかし、みなさまもご存じのとおり、シンナーなどに関連する接着剤や塗料には不足感が強まっており、タイト感が強くなっていることは事実です。
先ほどお話ししたとおり、壁紙・床材・カーテンのお客さまへの供給については、例えば2ヶ月前に比べて、随分と自信を持てる状況になっています。一方で接着剤や塗料、インクといった商品のタイト感は高まっているという印象です。
政府が発表しているとおり、全体としては国内出荷分に対応可能だと思っていますが、リスクとして、当社の商品が完全に商品化される、いわゆる施工プロセスに必要な接着剤などの供給がタイトになっている部分があります。
また、私は商社時代を含めて長く石油化学製品であるプラスチックに携わってきましたが、ナフサの価格がここまで上昇するのは、40年近い社会人生活の中で初めてのことです。しかもご存じのとおり、毎日のように状況が変化しています。
繰り返しとなりますが、価格改定については、これだけの原材料等のコスト上昇を転嫁せざるを得ないため、確実に進めていきます。どの程度で落ち着くのか、あるいはどのような状況になるのか、安定した段階で目途が立ちましたら、適時適切なタイミングでガイダンスを示したいと考えています。
質疑応答:空間総合事業の収益力強化について
質問者:中期経営計画における、空間総合事業について質問です。稼ぐ力をつける計画であるとのことですが、どのように空間総合事業で稼ぐ力をつけていくお考えでしょうか?
空間総合事業はインテリア商材を販売するためのツールとして必要だと考えています。一方、空間提案だけで稼ぐのはなかなか厳しいのではないかという意見もあるかと思います。どのようにして稼げる体制を整えるのか、ご教示ください。
近藤:ご質問のとおり、私どもは空間総合事業において「空間提案」という目標を掲げています。
当社の空間総合事業を担うグループ会社は、国内外に各1社あります。国内の1社はフェアトーン社、もう1社はシンガポールのD’Perception社です。
フェアトーン社は、当社がグループ会社化して以降、着実に利益を上げています。彼らは、空間提案よりも設計・施工を基盤として収益を上げる企業です。
D’Perception社は、2024年7月に当社グループの一員となった会社です。2025年度は大型案件、特に彼らとしては慣れていないホテル関連の案件を受注した結果、大きな損失が発生しました。
しかし、彼らにとって空間提案は付加価値であり、基本的には設計・施工の領域でどのように収益を上げるかが重要とされています。
率直に申し上げると、私自身、このような業務に直接的な経験はありませんでした。そのため、フェアトーン社やD’Perception社の事例を参考にしながら、思考を整理してきました。
また、先ほど「専門人材を執行役員としてキャリア採用した」とお話ししました。この人材は、建設会社出身です。
前回の中期経営計画期間中に、空間提案や設計・施工ができる実務の人材は揃えています。このキャリア人材を活用し、コンストラクションの力を強化して稼ぐ基盤を築き、収益力を高めていきたいと考えています。
足元でD’Perception社は2025年度に損失を出しましたが、それ以前は非常に堅実に収益を上げてきた会社です。グループ内にフェアトーン社やD’Perception社のような参考となる企業があるため、それらの取り組みをサンゲツ本体でも展開していきたいと考えています。
質疑応答:中期経営計画における海外利益計画について
質問者:中期経営計画における海外の利益計画についてお聞きします。ご説明の中で、海外の計画にはインオーガニックな数字が含まれているように感じました。このインオーガニックな部分がどの程度計画に含まれているのか、ご教示ください。
また、北米では売上・利益の伸長が非常に大きいようですが、北米における売上・利益の伸長をどのような施策で実現していくお考えでしょうか?
近藤:北米については、先ほどお話ししたとおり、2022年3月期、すなわち2021年度と2025年度を比較すると、営業損益で25億円近い改善となっています。
投資家のみなさまもよくご存じのように、経営の改善は一言で「こうしたからできた」といった単純なものではありません。
1つには経営者を交代し、その下で大幅な人員の入れ替えを行い、新たな経営チームを形成したことが挙げられます。
さらに、私が指している「変革と挑戦」や「イノベーションの創出」も進展しています。一つひとつを見ていくと、北米は製造業であるため、製造現場における原価の改善や販売網の拡充に取り組んでいます。
現在取り組んでいるのは、壁紙だけでは成長に限界があるため、壁周りの商品のトレーディングも一部開始しています。
先ほどインオーガニックについて触れましたが、現状でインオーガニックを前提としているのは海外では北米だけです。北米は営業利益を8億6,000万円から30億円へ増加させる計画ですが、増加部分のうち約半分をインオーガニックによる伸びと想定しています。
質疑応答:中国・香港・東南アジアでの課題について
質問者:中国・香港・東南アジアにおけるインテリア分野では、増収額のわりに利益改善幅がそれほど大きくないように見えます。この点に関するお考えや、現時点での課題感があれば、教えてください。
近藤:先ほどお話ししたとおり、東南アジアは2025年度に黒字転換し、中国・香港では赤字幅が圧縮されました。
東南アジアは2017年度に私どもが買収して以降、ほとんどの期間において赤字となっていた事業ですが、直近では回復傾向にあります。中国においても月次で黒字転換が見られるなど、改善が進んでいます。ただし、ここでは成長戦略というよりも、事業の再構築として現段階では経営改革を進めています。
今回、私が中期経営計画を策定するにあたって、北米に対しては現地の主体的なアイデアを素直に採用しました。
一方、東南アジアおよび中国・香港のインテリア事業については、原則はオーガニックでどこまで進めるかという方針です。改善は進んでいるものの、大きく成長するための施策はまだ十分ではない状況です。
そのため、具体的に何をすべきか試行錯誤を重ねている状況です。これらを踏まえて、中国・香港・東南アジアのインテリア事業はやや保守的な計画としています。
質疑応答:国内エクステリア事業の見通しについて
質問者:中期経営計画の国内エクステリア事業について質問です。
今回の中期経営計画の最終年度でも、営業利益は5億円を計画されています。前回の中期経営計画で掲げられていた10億円に比べて約半分の水準であるため、やや寂しい印象を受けます。
あらためて、中期経営計画期間においてエクステリア事業の利益が5億円にとどまる理由、そして国内エクステリア事業の売上・利益成長がさらに加速していくタイミングはいつ頃になるとお考えなのかを教えてください。
近藤:ご指摘のとおり、前回の中期経営計画期間における空間総合とエクステリアの事業に関する課題として、「事業の本質に起因する問題が見えた」とお話ししました。
まず、スライドに記載しているセグメントの営業利益についてです。こちらは、当社のグループ会社であるサングリーン社の業績をそのまま反映しています。
サングリーン社はこれまで、営業利益としておおむね5億円程度を計上してきた会社です。ただし、サングリーン社もサンゲツと同様に空間総合事業に着手しており、先行投資が進んでいるため、現在は収益が低下している状況です。
サングリーン社の事業構造はサンゲツとは異なり、エクステリアの卸売事業を展開しています。
一方、サンゲツは自社で商品企画や商品開発を行うためにオリジナル性が高く、これが高い粗利益率につながっています。残念ながら、サングリーン社にはそのような強みがない状況です。
サングリーン単体では、2026年3月期の営業利益1億1,000万円から、4年後の2030年3月期には5億円を計画しています。ただ、サンゲツグループ全体としては、オリジナリティのある商品の拡充が重要です。
オリジナリティのある商品は、サングリーン社が販売する部分と、サンゲツが販売する部分がありますが、現時点ではサンゲツが販売する部分の数字は含まれていません。そのため、現在の計画では5億円にとどまっています。
サングリーン単体を見ると、前述のとおり卸売事業モデルのため、大きな目標を掲げることは難しい状況です。この点については、サングリーンの社長とも十分に協議しながら事業計画を立案しています。
事業ポートフォリオ管理の観点からは、同事業でどのような勝ち筋を描くことができるのかを見極めながら、事業活動を進めていく方針です。
そのための戦略の1つとして、サンゲツ、あるいはサンゲツとサングリーンが連携して商品開発を推進し、それがどの程度市場に広がるのか、さらには技術力のあるメーカーに資本参加できる可能性がないかを検討していきたいと考えています。
質疑応答:R&D拠点の開設計画と新素材・新商品の展開構想について
質問者:新商品開発に関連して、R&Dへの投資についておうかがいします。
先ほど「マーケットインの考え方で製品開発を進める」というご説明がありましたが、R&D拠点の開設についてお考えを教えてください。また、そこではどのような新素材や新商品を展開していく構想をお持ちなのか、可能な範囲でお話しいただけますか?
近藤:当社の主力商品には壁紙、床材、カーテンがあります。元をたどれば、1965年に社長となった日比賢昭氏が「トータルインテリア」としてこれらの事業を拡大してきました。
私が先ほどお話しした「トータルインテリア」は、単なる商品数の拡充を超えた、素材・デザイン・物流・施工を組み合わせた概念として位置付けています。日比賢昭氏はこの3つの主力商品を中心に事業を展開し、拡大を図ってきました。
その後、それぞれの商品の規模は大きくなりましたが、実際に個別採算がどのようになっているのかを検証する必要性が出てきました。そのため、この10年ほどは壁紙、床材、カーテンという形式で、いわば縦割りの形態で商品戦略や新商品の開発を進めてきました。
一方、これは日本の当社が直面している製造業の問題にとどまりませんが、今回のイラン情勢を受け、「日本の石油化学産業のサプライチェーンがここまで弱っているのか」と感じました。
やはり縦割りではなく、商品間でシナジーを生み出していく必要があります。また、当社は壁紙および床材で一定のシェアを持っているため、新商品に対する貪欲さを、ここ最近はもう少し強めるべきだったと考えています。
現在、個別で進めている壁紙、床材、カーテンの事業や、それに関連する開発、ブランディング、素材開発は、1つの拠点に統合すべきだと考えています。具体的には、名古屋の本社に十分なスペースがあるため、そこを活用して拠点を設置する計画です。
この拠点が完成すれば、原材料メーカーやサプライヤーだけでなく、新たな素材開発や商品の開発パートナーとのアライアンスを通じて、オープンイノベーションを進めることが容易になることから、現在、拠点の設立を計画しています。
したがって、私は「コアに立ち返る」と申し上げましたが、当社は商品開発や商品企画力に優れた会社です。そのため、より先を見据えた拠点作りとして、R&D拠点の設立を計画しています。