■サクシードの事業内容
1. 教育人材支援事業
新学習指導要領の導入や外国語教育の充実、プログラミング教育の実施など教員に求められるスキルが多様化する一方、長時間労働など教員の働き方改革も大きな社会課題となっている。ほかにも、教育の地域格差・経済格差、教室・学校運営、少子高齢化による人材不足など様々な課題が指摘されている。政府・自治体は、こうした課題の解消へ向け、民間事業者への委託を通して積極的に取り組むようになってきた。同社は課題解消へ向けた取り組みを支援するため、塾講師、学校教員、ICT支援員、部活動指導員、スクールカウンセラー、日本語教師など教育に関わる人材を、民間学習塾や学校法人、地方自治体などに紹介・派遣するほか、学内塾等の運営業務を受託するサービスを提供している。また、学校現場における生成AI活用の重要性が一段と高まってきたことにあわせ、文部科学省は2024年12月に「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドラインVer.2.0」を公表した。生成AIは、教育格差の解消、多様な学習者への対応、教員の業務効率化を実現する有力な手段であり、今後の教育現場において不可欠な技術になると考えられるため、同社はAIの活用を支援する体制を構築している。
(1) 塾講師
慢性的な人材不足が続いている学習塾業界において、同社は、他社学習塾にも専任講師やアルバイト講師を紹介・派遣するサービスを展開している。同社では、「教えるシゴト」などの自社媒体や他社有料媒体を通じて求職者を集め、専任のコーディネーターが希望や状況のヒアリングやカウンセリングを行って、求職者一人ひとりのきめ細かなニーズをくみ取る一方、クライアントの求人内容の詳細や個別事情を予め聴取している。求職者とクライアントとのマッチングを最適化することができ、他社学習塾が用いる直接募集と比べてニーズに適した人材を採用できる。
(2) 学校教員
全国の私立の小学校、中学校、高等学校に対して、常勤・非常勤の教員を紹介・派遣するサービスを展開している。かつて教員は人気職種だったが、学校現場の厳しい労働環境が敬遠され、公立小学校の採用倍率が過去最低となるなど人気のない職種になってしまった。今後、公立中学校の35人学級が順次始まり、新たに5年間で約13,000人の教員が必要になるといわれるなか、教員の採用倍率低下に伴う質の低下が懸念されている。同社は、こうした優秀な教員に対するニーズの高まりを受けて教員の転職をサポートするための求人サイトやLP※などのWeb媒体を活用し、教員の登録者を多数有している。
※ LP(Landing Page):様々な切り口で求職者を集める数ページのミニサイトのこと。
(3) 部活動の運営受託
時間外労働など教員本来の業務でない部活動の負担が過剰に増えていることが社会課題となっており、外部委託によって教員の労働時間を軽減し、働き方改革の実現につなげようという動きがある。また、外部委託を活用すればハイレベルな競技実績や理論を有する外部コーチの指導により、生徒の満足度を向上することができる。同社は、上場企業としての信頼を背景に、全国の学校に対して部活動の運営を受託するサービスを展開しており、教員が授業に専念できる環境の整備や、未来を担う子どもたちの学力向上、部活動を通じた豊かな思い出づくりに貢献している。現状、私立学校を中心に普及しているが、予算が確保できるようになれば、公立という大きな市場での需要拡大が見込まれる。
(4) その他
これらのほか、教育現場のDXを推進するため、自治体向けにICT支援員の紹介・派遣を行う人材サービスを提供している。東京を中心にニーズは一巡したが、地方や更新需要、AI活用などのニーズから需要は当面続くと予測されており、同社は全国の自治体にサービスを拡大している。また同社は、人材不足を背景に急増する外国人労働者(及び子弟)に対する語学支援を行う企業や自治体向けに、日本語教師の派遣、オンライン授業の配信、日本語教室の運営受託など様々な語学支援サービスを提供している。人手不足は長期的に続くと考えられ、日本語教育の重要性とニーズは今後も高まると見られている。ほかにも同社は、心理相談業務に従事するスクールカウンセラーや教員をサポートする教員業務支援員など、様々なスキルを持つ人材の派遣・紹介を行っている。
(5) 学内塾の運営受託
少子化に伴い私立学校の生徒獲得競争は激化しており、多くの学校は生き残りを賭けて特徴づくりを急いでいる。同社は、こうした私立中高一貫校、公立中学・高校に対して、長年学習塾を運営してきたノウハウを生かし、生徒の学力や進学実績の向上に寄与する学内塾の運営を受託するサービスを展開している。放課後や土日、早朝の教室において、多彩なカリキュラムで課外授業をサポートしているほか、生徒の学習支援を行うチューター※や進路相談を担当するカウンセラーによるサポートも行っている。同社の学内塾を導入することで、学校教員の負担が軽減するというメリットも享受できる。
※ チューター:塾内で学生への学習補助を行う講師のこと。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)