マネーボイス メニュー

アクセル Research Memo(4):2026年3月期はG-LSIの新製品が順調に立ち上がり2期ぶりの増益に転じる

■アクセルの業績動向

1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は売上高で前期比3.9%減の14,656百万円、営業利益で同13.9%増の1,664百万円、経常利益で同16.2%増の1,792百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同25.7%増の1,230百万円と、減収増益となった。売上高は2期連続の減収となったが、各利益は2期ぶりの増益に転じた。主力のLSI事業が遊技機器の市場規模(年間販売台数)※減少(前期153万台から148万台)の影響により減益となったものの、AI事業が大口案件の売上貢献により前期の495百万円から168百万円に損失縮小したことが増益要因となった。また、期初計画に加え、2025年9月に発表した上方修正計画に対しても売上高、各利益とも上回って着地した。AI事業で大口案件を受注したことに加えて、LSI事業のG-LSIの販売数量が新製品「AG6R」の投入効果で計画(期初計画40万個、修正計画45万個)を上回る46万個となったことが要因だ。

※ 同社推計値。

売上原価率は前期の71.2%から67.9%に低下した。AI事業の増収効果に加えて、LSI事業でも利益率の高いG-LSIの売上構成比が上昇したことで、原価率の改善に寄与した。この結果、売上総利益は前期比7.3%増の4,709百万円となった。販管費は同117百万円増加した。研究開発費がLSI事業を中心に93百万円増加したことに加え、業績連動型賞与の支給に伴い人件費も若干増加したことが主因だ。営業外収支は同45百万円増加したが、為替差益を49百万円計上したことが主な増加要因である。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が経常利益よりも大きくなっているのは、前期に特別損失として計上した投資有価証券売却損125百万円が剥落したことが主因だ。

LSI事業のうち、G-LSIは新製品投入効果で増収に転じる

2. 事業セグメント別の動向
(1) LSI事業
LSI事業の売上高は前期比6.8%減の13,793百万円、セグメント利益は同1.7%減の2,566百万円となった。製品別売上高を同社が開示している売上構成比から試算すると、G-LSIは同5%増の54億円、メモリモジュールが同13%減の68億円、その他周辺LSIが同13%減の14億円となった。利益率の高いG-LSIが増収となったこともあり、セグメント利益率は前期の17.6%から18.6%に上昇した。

G-LSIは販売数量で前期比約10%減の46万個となったが、販売単価で同約16%上昇したことが増収要因となった。販売単価の上昇はプロダクトミックスの変化によるもので、新たに投入した低消費電力版の「AG6R」が順調に立ち上がったことに加え、チップ単体での販売に加え、基板実装タイプでの販売も多かったことも寄与した。新製品の受注が増えたこともあり、リユース率は前期の40%から35%に低下した。期初計画ではリユース率50%を前提に40万個の販売計画を立てていたが、「AG6R」の受注が想定を上回ったことで結果的にリユース率が低下し、販売数量の上方修正につながった。市場シェアは約55%と前期並みの水準だった。

メモリモジュールはメモリ容量の大きい高単価製品の販売数増加により平均販売単価が前期比10%上昇したが、販売数量が同21%減の65万個に落ち込んだことが減収要因となった。遊技機器の市場規模が減少したことに加えて、リユース率が前期の30%から45%に上昇したことが主因だ。遊技機器メーカーが部材コスト削減のためメモリモジュールのリユースを強化した。なお、市場シェアは約80%と前期並みの水準であった。遊技機器に搭載されるメモリモジュールの平均記憶容量については、映像コンテンツの充実や高精細化が進む中で年々増加傾向にある。現状は128GB前後がボリュームゾーンとなっているが、最大容量で480GBを搭載する機種も出てきており、今後もメモリ容量の上昇トレンドは続くものと予想される。なお、LSI事業における期末受注残高は14,929百万円と前期末比で35.8%増加した。メモリ市況の高騰でメモリモジュール価格も上昇していることや、さらなる価格高騰や品不足に備えて前倒しで発注する顧客が増えていることが要因と見られる。

(2) AI事業
AI事業の売上高は前期比96.0%増の862百万円、セグメント損失は168百万円(前期は495百万円の損失)となった。期初計画は売上高700百万円だったが、AI実装支援サービスで大口案件を受注したことで上回った。トピックスとしては、ゲームで使用するコンテンツが問題ないかどうかをAIで検索するシステムを開発したほか、組込み機器向けG-LSIの販売も好調に推移したが、そのほかの事業については目立った進展はなかった。今後はハードウェア開発の知見を最大限に生かせるAIコンピューティング事業に注力し、早期の収益化を実現する考えだ。

無借金経営で自己資本比率も80%台と財務内容は良好

3. 財務状況と経営指標
2026年3月期末の資産合計は、前期末比1,066百万円増加の16,109百万円となった。流動資産では現金及び預金が830百万円減少した一方で、売掛金及び契約資産が195百万円、在庫が951百万円それぞれ増加した。固定資産では投資有価証券が637百万円増加した。負債合計は前期末比350百万円増加の2,377百万円となった。主に未払法人税等が393百万円増加したことによる。純資産合計は同716百万円増加の13,732百万円となった。自己株式が196百万円増加(減少要因)した一方で、利益剰余金が736百万円、その他有価証券評価差額金が161百万円それぞれ増加した。

経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は84.3%と引き続き高水準を維持している。無借金経営で現金及び預金と有価証券あわせて56億円と潤沢なキャッシュを有していることから、財務内容は健全な状態にあると判断される。収益性に関しては売上高営業利益率で11.4%、ROEで9.3%、ROAで11.5%とそれぞれ前期から1ポイント強上昇した。水準としてはここ数年比較的安定しているが、今後LSI事業の拡大やAI事業の収益化によって、さらに引き上げていく余地はあると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。