目次
吉川浩氏(以下、吉川):頭取の吉川です。みなさま、本日は大変お忙しい中、また足元の悪い中、山陰合同銀行の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
前半では2026年3月期の決算概要について、後半では中期経営計画の進捗状況および当行の成長戦略についてご説明します。その後、みなさまからのご質問をお受けします。限られた時間ですが、どうぞよろしくお願いします。
2026/3期 業績ハイライト
2026年3月期決算の概要についてご説明します。連結決算の全体としては、収益基盤である貸出金の増加に加え、利回りの上昇により、経常収益は1,670億円となりました。
当初、親会社株主に帰属する当期純利益を210億円と見込んでいましたが、貸出金の増加や利回りの上昇などを主因とし、3月に225億円に上方修正しました。結果的に226億円となり、5期連続で過去最高益を更新しました。
次に、スライド右下の単体決算のポイントについてご説明します。まず①の資金利益についてです。資金利益は、貸出金の増加と利回りの上昇を主因として、前期比31億円、4パーセント増加しました。日銀の政策金利引き上げに伴い、預金金利も上昇し、預金利息は前期比174億円増加しましたが、貸出金利息は前期比158億円、有価証券利息配当金も前期比65億円増加しています。
②の役務取引等利益についてです。法人向けコンサルティング活動の定着や、東京でのスペシャライズドファイナンスへの取り組み強化を背景に、法人ソリューション手数料が増加しました。一方、競争環境の激化に伴い住宅ローンの新規実行件数が減少したため、融資・ローン関連手数料は減少し、全体では前期比5億円の減少となりました。
③のその他業務利益のマイナス224億円については、国債や収益性の低いファンドの売却を通じて有価証券ポートフォリオの見直しを進めた結果、債券関係損益としてマイナス153億円を計上しました。また、海外金利の低下を受けて外貨調達コストである通貨スワップ費用が減少したことで、金融派生商品損益は前期比23億円改善し、マイナス77億円を計上しています。
④の顧客向けサービス業務利益は、貸出金利息の増加を主因として前期比27億円、15.1パーセント増加の211億円となりました。
⑤の与信費用は、2025年3月期に保守的・予防的に計上した引当金の戻入もあり、前期比59億円、46.3パーセント減少し、68億円となりました。
以上の結果、当期純利益は前期比38億円、21.3パーセント増加の221億円となり、連結決算と同様に5期連続の最高益を更新しました。
以上が2026年3月期決算の概要です。次のスライド以降で、さらに詳しくご説明します。
資金利益の状況(単体)
資金利益についてです。日銀の政策金利引き上げに伴い、預金利息は174億円増加しましたが、貸出金利息および有価証券利息配当金の増加がこれをカバーし、投信解約益を除く資金利益は前期比32億円増の776億円となり、増益基調を維持しています。
スライド右上のグラフは貸出金利息の推移を示しており、前期比158億円増の777億円となり、利回りも確実に上昇しています。また、投信解約益を除く有価証券利息配当金は前期比68億円増の299億円となりました。
2026年度も、貸出金の増加と金利上昇に加えて、有価証券利息配当金の増加を背景に、資金利益は引き続き増益を見込んでいます。
預金等の状況(単体)
預金等の状況についてです。総預金等の平均残高は前期比2,670億円増加し、6兆7,403億円となりました。セクター別では、法人預金が順調に増加した一方、個人預金は小幅な増加にとどまりました。しかし年金の受け取りや給与振込の件数が着実に増加しており、これを基点として個人取引の強化をさらに進め、粘着性の高い個人預金の積み上げを図っていきます。
2024年10月にスタートしたセカンドブランドアプリ「DanDanBANK」は、全国での個人預金の獲得を目的としたアプリであり、2026年3月末の残高は270億円にとどまっています。しかし、認知度が徐々に高まっており、首都圏、関西圏、山陽圏を中心に残高は積み上がっています。
また、カードローンとの連携や貯蓄専用口座の機能追加など、順次バージョンアップを進めています。今後も効果的な施策を推進し、当行営業地域以外を含めた広域での個人預金の獲得を進めていきます。
貸出金の状況(単体)
貸出金の状況についてご説明します。総貸出金の平均残高は、法人、個人、金融、地方公共団体すべての部門で増加し、前期比3,315億円増の5兆2,325億円となりました。
スライド右側の地域別の状況を見ると、山陰エリアでは、新型コロナウイルス感染症関連のいわゆるゼロゼロ融資の返済も始まっており、伸び率は鈍化しているものの、着実に増加を続けています。一方で、山陽・関西では活動量をさらに強化し、当行が山陰で培ってきた「融資とコンサルの一体運営」が浸透しており、着実な増加が続いています。
また、スペシャライズドファイナンスへの取り組み強化により、クロスボーダーローンや不動産ノンリコースローンを中心に、東京では前期比1,410億円増加し、1兆826億円となりました。
個人ローンの状況(単体)
個人ローンの状況です。個人ローン残高は前期比553億円増加し、1兆4,100億円となりました。関西での住宅ローン増加を中心に、個人ローン残高は着実に増加していますが、金利のある環境に突入したことで金利競争が激化しており、伸び率は鈍化しています。伸び率の回復に向けて、最優遇金利を信用リスクなどに応じて設定するなど、随時商品性の見直しを行っています。
これまでもご説明してきましたが、単に他行との金利比較で対抗するのではなく、信用リスクやお取引内容に応じた適切なプライシングを徹底しています。また、お客さまや住宅業者に対しては、受付から審査回答、契約までを丁寧かつ迅速に行うなど、金利以外のサービス面もご評価いただいていると考えています。さらに、Web申し込みへの移行などにより、お客さまの利便性向上や業務効率化も併せて進めています。
役務取引等利益の状況(単体)
役務取引等利益の状況です。スライド左側の棒グラフで示されている役務取引等利益は、前期比で5億円減少し、119億円となりました。スライド右上の法人ソリューション部門については、ファイナンス関連・コンサル関連ともに順調に推移しています。
2025年4月以降、スペシャライズドファイナンスに関与する行員を延べ4名増員し、総勢25名で活動する予定です。今年度もファイナンス関連の強化を進めるとともに、山陰地域だけでなく、山陽・関西エリアでもお客さまとの接点を増やすことで、融資とコンサルの一体運営を強化し、収益の柱としていきます。
一方、スライド右下の預り資産関連部門については、上期に証券口座に関する詐欺被害対応などの影響で買付額が伸び悩みました。しかし、下期には良好な市況も背景に持ち直しました。
引き続き、野村證券との連携をさらに強化し、良好な市場環境を追い風として収益拡大を図っていきます。今年度も、お客さまへの提案の質や営業活動量を維持・向上させ、付加価値提供の対価としての手数料収益を積み上げていきます。
顧客向けサービス業務利益・コア業務純益の状況(単体・除く投資信託解約損益)
営業店の収益力を示す顧客向けサービス業務利益は、貸出金残高の増加を背景に前期比で28億円増加し、211億円となりました。今年度は預貸金利回り差の拡大も見込んでおり、さらに59億円増加の270億円を計画しています。
例年、当行は下期に実績が拡大する傾向がありますが、今年度は貸出金利の上昇効果が通年で寄与することに加え、昨年度上期に停滞した預り資産業務の強化により、上期から着実に実績を積み上げていきます。
スライド右側のコア業務純益は、本業収益の増加を背景に前期比46億円増の429億円となり、着実に増加を続けています。
有価証券の状況①(単体)
有価証券の状況についてご説明します。日銀による政策金利の引き上げなど、金利環境が大きく変わったことを踏まえ、昨年5月に固定利付債を中心とする運用スタンスから、金利リスク量の小さいアセットスワップを中心とする運用スタンスへ運用方針を変更しました。
この方針のもと、2026年3月期には日米アセットスワップへおよそ1,500億円を投資するとともに、ファンドを1,000億円ほど売却しました。その結果、有価証券残高は1兆8,583億円となり、2025年3月期の2兆887億円から2,304億円減少しました。
2027年3月期も、引き続きアセットスワップを中心とした投資を行い、ファンドの売却による評価損の処理や収益性・流動性の改善を進めていきます。
有価証券の状況②(単体)
ファンドへの投資状況、売却実績と方針についてご説明します。昨年5月時点では、5年間で約2,600億円のファンドの売却を想定していましたが、国内の金利環境や欧米金利の先行き不透明感を踏まえ、今年度はファンドの売却を前倒しで実行し、売却ペースをさらに加速させる方針です。収益性の低いファンドを中心に売却を進めることで、ポートフォリオ全体の収益性改善を図ります。
有価証券の評価損については、与信コストの状況などを考慮しつつ、バッファを活用しながら解消していく方針に変更はありません。
また、貸出残高の積み上げや手数料収益の拡大により利益が予想以上に向上した場合には、従来どおり業績の上方修正を検討していきます。
有価証券の状況③(単体)
評価損益とキャリー収益についてご説明します。昨年12月のIRでは、2030年3月を目途として評価損の解消を目指すことをお伝えしました。計画に沿ってファンド売却による損失計上を進め、金利リスク量の縮減も着実に進めてきましたが、2月末以降の内外金利の上昇を主因として、2026年3月期の評価損は1,011億円へ拡大しました。
昨年度以降、金利の見通しが大きく変化していますが、ファンド売却を中心とする大まかな評価損縮減の方針は維持し、アセットスワップを中心とした投資を継続していきます。金利リスク量を抑えながら、次期中期経営計画の最終年度末には、評価損を350億円以内に抑えることを目指してオペレーションを進めていきます。
スライドの右側をご覧ください。2026年度のグロスキャリー収益は、アセットスワップへの投資の増加により350億円となる見込みです。一方で、資金調達コスト等は政策金利の引き上げに伴い増加し、マイナス240億円となる見通しです。
金利情勢には多くの不透明な点がありますが、今年度も本業収益は好調に推移する見込みです。有価証券収益への依存度をコントロールしながら、最終利益の達成は可能であると見込んでいます。
円金利上昇時の影響(単体)と利回り差
日銀の金融政策変更による収益への影響を試算しています。2026年度の業績予想は、2026年6月に政策金利が0.25ポイント引き上げられ、1パーセントとなることを仮定して策定しています。
仮に、2026年12月に0.25ポイント引き上げられ、1.25パーセントとなった場合、2026年度の資金利益は5億円程度増加すると試算しています。また、2027年6月にさらに0.25ポイントが引き上げられ、政策金利が1.5パーセントとなった場合、2027年度の資金利益は21億円程度増加すると見込んでいます。
スライドの右側をご覧ください。ここでは、政策金利の引き上げに伴い、当行の円貨貸出金と預金等との利回り差を示しています。2025年9月時点では、2025年3月期末における高金利大口預金調達等の影響により、利回り差が0.88パーセントまで縮小しました。しかし、その後下期にかけて適切なプライシングを進めた結果、2026年3月には0.94パーセントまで6ベーシスポイント拡大しました。
今後も着実な利回り差の改善を見込み、2027年3月期には0.99パーセントまで拡大すると想定しています。政策金利の引き上げに伴う預金金利の先行や競争激化を織り込んだ上でも、なお増益は十分可能であると見込んでいます。
貸出金の金利別構成と金利の推移(国内円貨)
スライド左側には、国内円貨貸出金の金利別構成および利回りについて示しています。これまでのIRでは「当行は固定金利貸出の割合が高い」とご説明してきましたが、固定金利貸出の比率は徐々に低下しており、2026年3月末には48パーセントとなる見込みです。2024年3月末と比較すると、9ポイントの低下となります。
同様に、市場金利連動貸出の割合は37パーセントとなり、逆に9ポイント増加しました。
依然として固定金利貸出の中には、マイナス金利時代に実行した低利融資が残存しており、これが当行の貸出収益拡大を加速させない要因となっています。ただし、今後はこの部分の金利更改や、現状金利水準での新規固定金利貸出の実行により、大きく改善の余地があると考えています。
スライド右側では、同じく円貨貸出金の金利推移を示していますが、政策金利の引き上げやスプレッド改善交渉を継続して行うことで、事業性貸出金の利回りは着実に上昇しています。
自己資本比率の状況
2026年3月末の自己資本比率は11.85パーセントとなり、中期経営計画で掲げた目標水準である11パーセント程度を上回り、高い健全性を確保しています。1列右側に示された、有価証券評価損を考慮した場合の自己資本比率は9.65パーセントです。
スライド右側には、リスクに対する資本配賦の考え方を示しています。リスクのバッファとなる配賦原資は、自己資本額から有価証券評価損相当額控除後の3,095億円をベースとしています。
配賦可能資本は、そこから必ず留保すべき自己資本比率4パーセント相当額を控除した1,778億円です。有価証券リスクについては、今後も金利リスク量や市場リスク量を踏まえ、配賦可能資本の範囲内で適切にコントロールしていきます。
筋肉質な組織を支える絶え間ない構造改革(単体)
OHRについてご説明します。2026年3月期のOHRは46.76パーセントと、地方銀行平均を大きく下回る水準にあり、2027年3月期も45.66パーセントを想定しており、良好な経営効率を維持しています。
ここが当行の競争力の源泉の1つであると考えています。このOHRを支えているのは、単に投資を抑制しているからではありません。前々中期経営計画および前中期経営計画において、店舗再編や本部機構改革、DXへの投資を行い、非対面チャネル強化を進めるとともに、経常経費の徹底的な削減を続けてきました。
また、現中期経営計画では、新規の出店に加えて支店の建て替えにも着手し、より効率的な店舗運営とお客さまサービス向上の両立を目指して、投資を進めています。AIへの投資も強化しており、既存業務の効率化や人材育成の高度化を通じて、お客さまとの接点拡大など、「現場力」強化につなげています。
攻めの投資だけでなく、お客さまの大切な資産を守るためにも、戦略分野・成長分野・セキュリティ分野への投資を積極的かつ適切に進めながら、コストコントロールを徹底していきます。
与信費用・貸出資産の健全性の状況(単体)
与信費用と貸出資産の健全性についてご説明します。2025年3月期は、大口与信先の事業計画の下方修正に伴い、引当金を保守的かつ予防的に計上したため、与信費用は計画を大きく上回る128億円となりました。
一方、昨年度は特殊要因の発生がなく、さらにこれまで保守的・予防的に計上していた引当金の戻入もあったため、おおむね計画どおりの水準となりました。
スライド右下の表は、帝国データバンクのデータを基に作成したものですが、当行の営業エリア全体では倒産件数が増加している一方、当行の取引先については予兆管理を徹底した結果、倒産件数を抑制できています。また、与信費用の発生については、特定のエリアや業種に偏りは見られていません。ただし、近年のコスト上昇や人手不足に起因する業績悪化の取引先が一定数発生しており、引き続き、これらに対する予防的な引当をしっかりと行っています。
今後、終わりの見えない中東情勢など、先行き不透明な要因により影響を受けるお客さまが出てくる可能性はありますが、お客さまとの接点をしっかりと確保し、丁寧なヒアリングと迅速な対応を継続していきます。
貸出の質の状況(単体・個人ローンを除く)
事業性貸出の資産の質についてご説明します。個人ローンを除く事業性貸出については、当行は山陰以外の山陽、関西、東京でも貸出を伸ばしています。スライド左側のグラフに示されているように、適切な審査を継続することで、正常先向け貸出の比率は95パーセントを超え、利回りも着実に上昇しています。
一方で、中小・零細企業の比率が高い山陰においても、正常先比率は安定しており、利回りの改善も進んでいます。今後も量の拡大だけを追求するのではなく、質を意識した貸出推進を徹底していきます。
2027/3期 業績予想
今期の業績予想についてご説明します。スライド左側の上段に連結決算、下段に単体決算の内容を記載しており、右側には全体感とポイントを示しています。
連結決算の業績予想では、本業が引き続き好調を維持する見込みであることから、現行中期経営計画で公表した2027年3月期の親会社株主に帰属する純利益目標を235億円から255億円へ上方修正しました。
単体決算においては、日銀の政策金利変更により、預金利息などのコストは上昇しますが、貸出金残高の増加と利回りの改善によってこれを吸収し、①の資金利益を中心とした本業での利益成長を継続していきます。
②の債券関係損益と株式等関係損益を合算した有価証券関係損益については、株式の益を一部活用するとともに、収益性の低いファンドを売却することでポートフォリオの見直しを進めていきます。
③の経費については21億円の増加が見込まれますが、経常的な経費は引き続き抑制し、AIやDX、人的資本への投資を戦略的に進め、一層の効率化や「現場力」のさらなる強化につなげていきます。
④の与信費用については、お客さまとの接点を増やし、モニタリング活動を通じた予兆管理を実施し、貸出資産の健全性確保に努めていきます。
その結果、連結の親会社株主に帰属する当期純利益は255億円、単体の当期純利益は250億円となる見込みで、6期連続で過去最高益を更新する計画です。
株主還元の充実および政策保有株式の状況
株主還元方針と政策保有株式の状況についてご説明します。株主還元については、利益還元の充実を図るため、2025年3月期以降、株主還元方針の目安をこれまでの総還元性向40パーセントから配当性向40パーセントへ変更し、配当水準を引き上げています。2026年3月期は過去最高益の更新を踏まえ、年間配当を60円とし、12円の増配を予定しています。
また、自己株式の取得については、今期総額30億円の実施を5月15日に決定し、現在進めています。今年度も過去最高益を更新する見込みですが、適切な株主還元や戦略的な投資を継続していきます。
政策保有株式については、引き続き縮減を進めています。前期は上場株式を取得原価ベースで17億円縮減し、保有銘柄数も減少しました。
2030年までに対連結純資産比率を10パーセント未満に縮減する方針に変更はありません。
中長期的なROEの展望と資本コスト
中長期的なROEの展望と資本コストについてご説明します。2025年10月に当行が認識する資本コストを6パーセントから7パーセントへ見直しました。スライドのグラフでは、株主資本ベースのROEと、いわゆる東証基準である自己資本ベースのROEを示しています。
2026年3月期には、自己資本ベースのROEが7パーセントを上回りましたが、この水準を安定的に上回り続けるため、貸出資産の積み上げなどの適切なリスクテイクを進めるとともに、法人・個人におけるコンサルティングや預り資産営業といった戦略分野の体制強化を通じて収益性を高めていきます。
このような取り組みにより、資本コストを上回るROEを安定的に確保し、その結果としてPBR1倍の実現を目指します。
中期経営計画の進捗状況と手応え
2024年4月にスタートした現中期経営計画の進捗についてご説明します。現中期経営計画2年目である2025年度は、貸出金利息や有価証券利息配当金が順調に増加しており、中期経営計画最終年度の目標達成に向けて着実な成果を残すことができました。
財務指標については、先ほどご説明したとおり、2026年度の連結当期純利益の計画を255億円へ上方修正しました。本業である貸出金残高の増強と利回りの改善を軸に、計画達成を見込んでいます。また、人的資本指標や社会的インパクト指標も、計画を上回るペースで進捗しています。
なお、次期中期経営計画の策定を現在進めており、決定後にあらためてご報告します。
中計達成に向けたウォーターフォール
中期経営計画の利益目標である255億円達成に向けたウォーターフォールについてご説明します。スライド左側には、中期経営計画2年目である2025年度の増減要因を、右側には中期経営計画最終年度である2026年度の増減要因を示しています。最終年度の当期純利益目標255億円を達成するため、貸出部門が資金利益を牽引し、役務利益も着実に伸ばしていくことで、利益成長を実現します。
また、有価証券評価損の解消や突発的な与信費用の発生については、バッファを活用しながら対応します。中期経営計画最終年度は次期中期経営計画への準備期間でもあり、将来的な純利益400億円への道筋を次期中期経営計画策定の中で具体化していきます。
現場力を起点に再現性のある利益成長モデルの確立
ここからは、当行の成長ストーリーとして、再現性のある利益成長モデルについてご説明します。私は昨年の頭取就任以降、「当行の強みは『現場力』である」と継続的に発信してきました。
あらためて、「現場力」とは単にお客さまのもとへ足を運ぶことではなく、現場の行員一人ひとりがお客さまとのコミュニケーションを強化し、真の課題や悩みに気づき、プロフェッショナルとしての知見とコンサルティング力を発揮して、迅速に解決策を提示すること、場合によってはお客さまに伴走してともに解決すること、これが当行の示す「現場力」だと考えています。
この一連のサイクルを高速回転させるために、積極的な人的資本投資に加え、AIやDXを活用し、役員・支店長・担当者の各層でお客さまとの接点を強化し、真に頼りにしていただける関係作りを絶え間なく進めています。
私自身も、お客さまとの接点のみならず、本部や営業店の行職員の考えを直接理解することが重要と考え、この1年間で全31ヶ所を訪れ、約400名の行職員と意見交換を行いました。その結果、行職員の考えや日々の行動について直接把握し、現場の声を施策に反映させることができると考えています。
現場と経営・本部との距離感や風通しの良さが、当行の大きな強みであると考えています。
1人あたりの活動実績(単体)
営業店での行職員の活動成果についてご説明します。スライド左側のグラフは、地銀協のデータを基に算出した当行の1人当たりの貸出金利息および役務取引等利益を示しています。当行は地銀平均と比較して1人当たりの貸出金利息および役務取引等利益の絶対額が高く、2026年3月期は前期比850万円増加し、1人当たり5,060万円となりました。2024年3月期と比較しても、着実に稼ぐ力が向上していることがおわかりいただけるかと思います。
また、右側のグラフでは、山陰、山陽・関西、東京の各エリア別に法人コンサルティングに関する1人当たりの手数料額を示しています。山陰エリアでは、法人営業人員を減らしながら1人当たりの手数料額を増加させています。また、山陽・関西、東京では、人員を増加させつつ、付加価値を高めた提案を行うことで1人当たりの手数料額が大きく伸長しています。
この背景には、1日当たりのお客さまとの接触頻度がコロナ禍前と比較して約35パーセント改善していることが一因と考えています。引き続き、活動量にこだわりを持ち、各種施策を矢継ぎ早に打つことで、収益の増強を図っていきます。
人員構成の変化と戦略的再配置
当行の「現場力」強化の根底にあるのは、最大の資産である人材の戦略的配置です。スライド左上のグラフのとおり、2018年4月に3,132名だった行職員数は、2026年4月時点で2,836名まで減少しています。特に窓口・事務部門を担う行員は、前中期経営計画開始時の2021年4月から2026年4月にかけて127名削減しました。
このような構造改革に加え、再配置対象の行員がリスキリングに取り組むことで、法人営業部門やAI・DX等に関与する本部戦略部門へ戦略的に再配置し、「現場力」を強化してきました。限られた人員の中でも、積極的な人材投資によって一人ひとりの能力向上を図ることで、収益性の高い活動が可能となります。
今後も、各行員がリスキリングを通じて多様な現場で活躍できる仕組み作りを進めていきます。
野村證券との銀証連携の発展(法人部門)
2020年9月に開始した野村證券株式会社との包括的業務提携の状況について、法人部門と個人部門に分けてご説明します。法人部門では、提携開始以降、当初想定していた運用商品の提案のみにとどまらず、事業承継コンサルティングを起点としたバランスシートの見直しや、運用商品の紹介から融資対応につながる案件など、総合的なソリューション営業へと発展しています。
その結果、過去最高となる3億300万円の手数料を計上しました。今後も銀行と証券、それぞれのソリューションを組み合わせ、お客さまの課題解決に一層貢献していきたいと考えています。
野村證券との銀証連携の発展(個人部門)
個人部門においては、証券口座数とNISA口座数が着実に増加しています。アライアンス開始当初には、2026年3月に預り資産残高8,000億円を目標としていましたが、これを約2年前倒しで2024年2月末に達成し、現在では1兆2,528億円となっています。
全資産アプローチやゴールベースアプローチを徹底し、良好な市場環境を背景に、ニーズに沿った提案を進めていきます。
DXによる非対面取引の拡大
スライドには、DXによる非対面取引の拡大状況を示しています。現在、個人分野では「ごうぎんアプリ」を中心に非対面取引を強化しています。
アプリの登録者数は39万4,000人に達しており、多くの利用者のみなさまが窓口ではなくアプリを活用して振り込みなどを行っています。その結果、2026年3月期の窓口での手続き件数は2023年3月期と比較して約25パーセント減少しました。
また、先ほども触れましたが、減少する窓口などの部門から戦略分野へ人員を振り向けることが可能となっています。
AIの活用
当行における生成AIの活用状況をご紹介します。先ほどご説明した人員の戦略的配置を可能にしている背景の1つは、生成AIの積極的な活用にあります。日常業務にAIを取り入れることで、業務の効率化を図るとともに、お客さまへの提案の質の向上、均一化、スピードの向上を実現してきました。
また、本年4月の機構改革において、AIイノベーション部を新設しました。AI技術を最大限活用し、銀行全体のDXを強力かつ抜本的に推進していきます。
オープンイノベーションによる価値創造
当行は中期経営計画において、ベンチャーキャピタルやスタートアップへの投融資、オープンイノベーションの取り組み強化を通じて、地域の持続的成長に貢献することを掲げています。
本年3月に第2回「ごうぎんスタートアップフェス」を松江市の本店で開催し、延べ1,300名を超える地元の経営者、スタートアップ、ベンチャーキャピタル関係者のみなさまにご参加いただきました。
このフェスは、単なる交流の場にとどまらず、当行の取引先とスタートアップ、ベンチャーキャピタルが対話を通じて実際のビジネス機会を創出することを目標に掲げています。今後も継続開催することで、取引先および当行双方の企業価値向上につながる新たなビジネスへ発展させていく方針です。
また、子会社であるごうぎんキャピタルにおいては、2025年度に22社のスタートアップへの投資を実行し、地方銀行系列のベンチャーキャピタルとして国内No.1の投資実績を記録しました。
単なる投資ではなく、投資先のノウハウを当行の取引先に展開し、その企業価値向上につなげること、またスタートアップが有する先進的なセキュリティ対策や人材採用ソリューションなどを銀行グループが実際に活用することで、当行自体の企業価値向上にもつながります。
引き続き、ベンチャーキャピタルやスタートアップとの連携を強化し、新たな価値を創造していきます。
ごうぎんエナジーの取り組み
2022年7月に設立された発電事業会社ごうぎんエナジーの取り組みについてご紹介します。2026年3月末時点で、当行の取引先とのPPA事業契約による電力供給は94件となり、CO2の想定削減量は1万3,000トン以上となっています。
また、昨年11月から系統用蓄電池事業にも参入するなど、新たな分野への挑戦や地方自治体との連携を通じて、地域の脱炭素への取り組みを推進し、地域の取引先の課題解決に貢献しています。
人的資本経営の取り組み① 〜人的資本経営の取り組みへの外部からの評価〜(人材育成と多様性が当行の成長の原動力)
当行の人的資本戦略およびそれに対する外部評価については、多くの投資家のみなさまから評価をいただいていますので、引き続きスライドに掲載しています。適宜ご参照ください。
人的資本経営の取り組み② 〜多様な人材の集まる組織〜
多様な人材採用や特徴的な入行式の取り組みについてご紹介します。新卒入行者数は年々増加しており、2026年度は91名を採用、2027年度は70名程度の採用を予定しています。
また、新卒採用に加え、多様なバックグラウンドを持つ経験者の採用を強化しており、即戦力としてご活躍いただいています。
今年度は入行式にも趣向を凝らし、新入行員にとってたった一度の思い出に残るものとするべく、これまでとは違ったイベントに仕立てました。
人事に係るさまざまな取り組みを展開することで、優秀な人材を確保し、その人材の定着を図るとともに、教育にも力を入れていきたいと考えています。
人的資本経営の取り組み③ 〜ダイバーシティの推進〜
ダイバーシティ推進の状況についてご説明します。スライド左側の女性登用については、2026年3月末時点で係長相当職以上に占める女性の比率が36.0パーセント、課長相当職以上では25.5パーセントとなり、年々上昇しています。
一方で、当行では職員全体の約半数が女性であることから、さらなる改善の余地があると認識しています。
ただし、これらのKPIはあくまで手段であり、目的は女性の活躍を通じて組織の成長と活性化、ひいては当行の企業価値向上を実現することです。今後も実効性のある取り組みを継続していきます。
人的資本経営の取り組み④ 〜エンゲージメントの向上〜
当行では、派遣社員やパートタイマーを含むすべての職員を対象に、グループ全社で無記名のエンゲージメント・サーベイを外部専門機関と連携して半年に1回実施しています。課題の把握と具体的な対策を継続してきた結果、高いスコアを維持できています。
他社比較では、金融業界平均を大きく上回る水準にあり、多くの行職員が働きがいを感じ、高い満足度を持っていることがおわかりいただけるかと思います。
エンゲージメントの向上にゴールはないため、現状に満足することなく、より良い職場環境の実現や従業員のモチベーション向上に向けて、取り組みを続けていきます。
ガバナンスの取り組み
スライドには、当行のガバナンスにおける取り組みとして、コーポレートガバナンス改革の推移を記載しています。スライド左上には、取締役会の目指す姿を掲げています。
取締役会の現在の構成は、社外取締役比率は53.8パーセント、女性取締役比率は38.4パーセントです。
本日は4名の社外取締役にご出席いただいています。それぞれの専門的な見地から厳しいご意見をいただきながら、より良い経営と企業価値の一層の向上に向け、コーポレートガバナンス体制の強化に継続的に取り組んでいきます。
社外取締役への期待
スライドには、社外取締役7名のスキルマトリックスを記載しています。当行の経営理念、長期ビジョン、マテリアリティ、経営戦略を踏まえ、特に重要と考える8つのスキルをバックキャスト手法で設定しています。社外取締役のみなさまには、専門的知見と豊富な経験を活かし、経営の監督・助言を通じて当行の企業価値向上にご貢献いただいています。
社外取締役の紹介
スライドには、監査等委員を除く取締役4名の主な経歴を記載しています。
また、特徴的な社会貢献活動や、気候変動・自然資本への取り組みについては資料編に掲載しています。後ほどご覧いただければと思います。
当行は2028年12月に創立150周年を迎える予定であり、今月から創立150周年に向けた記念事業を順次進めていきます。これまでのお客さま、株主さまへの感謝の気持ちとともに、新たな山陰合同銀行を築いていく所存です。
今後も安定した収益基盤と成長力、そして社会的価値創出を両立させ、投資家のみなさまのご期待にお応えしていきます。
私からのご説明は以上です。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:ROE達成と収益改善に向けた経営戦略について
質問者:頭取からの力強いメッセージをいただき、感銘を受けました。PBRとROEについてお聞きします。これまで非常に力強い実績を重ねてこられたため、計算上では今期業績をしっかりと達成されると東証ベースのROEが8パーセントに近づき、ほぼ到達するのではと想定しています。
株価も順調に上昇しており、PBRは1倍近いところまできたということで、私も含めた投資家としては「ROE8パーセントをクリアして、次にどこを目指されますか?」という点に期待を抱かせていただくようなステージに入っているのではないかと思います。
また、来年からは次期中期経営計画ということで、現時点では「次期中期経営計画ではどのようなことを行いますか?」という段階であり、具体的なお話をうかがえる状況ではないかと思いますが、これまでの御行の「ROE8パーセントを中長期的に目指す」という目標や、「PBR1倍をターゲットにそこに向かっていく」といった点からも、さらにギアを上げて取り組まなければならない段階にきていると考えます。そのような中で、頭取や社外取締役のみなさまの「このようなことを考えていきたい」といった思いやメッセージをお聞かせいただけますか?
吉川:確かにこの255億円を達成した暁には、東証ベースのROEが8パーセントに近づいていくことになると思います。ただし、我々が認識している株主資本ベースにおいてはまだ距離があると考えており、そこに向けて進めていきたいと考えています。
現在の収益向上は、金利がある環境となり、地方銀行を含む金融機関全体の収益環境が良化したことによるものと認識しており、実力でPBR1倍に近づいたという認識は持っていません。したがって、さらに一段階踏み越え、我々独自の取り組みを進めることで、より高いROEを目指したいと考えています。
先ほどおっしゃっていただいたROE8パーセントについては、当然ながら通過点として捉える必要があると思います。次の中期経営計画においては、そのような思いを持ち、より特徴的な取り組みを踏まえて策定していきたいと考えています。
質疑応答:構造改革の推進における背景について
質問者:後半の成長ストーリーについて、「すばらしいな」と思いながらお話をうかがいました。御行は地銀の中でいち早く構造改革や生産性改善に取り組まれ、その成果が継続的に現れているという認識を持っています。今日のお話では、それをさらに加速させていくという内容だったと理解しています。
一般的には、生産性改善がある程度進むと一段落するような印象ですが、御行は「もっとやろう」とさらにギアを上げていかれているように見えます。頭取のお考えも当然反映されていると思いますが、頭取お一人の判断で進められるものではなく、行員の方々全体の協力があってのことだと思います。その背景にはどのような要因があるのでしょうか? また、社内のモチベーションがどのように維持されているのかもおうかがいしたいです。
吉川:構造改革については、他行のみなさまよりも先んじて、かつ強力に進めてきたという認識があります。当行が本店を構える山陰地域の経済情勢や人口減少、事業者数の減少を踏まえると、これで終わりではなく、常に構造改革を進め、無駄を削減するとともに、戦略的な投資を積極的に行っていく必要があります。
この動きを絶え間なく続けなければ、地域的には最もハンディキャップを抱えているエリアであると考えています。この地域をマザーマーケット、源流と位置づけている当行は、この拠点を守り抜くためにも、不断の構造改革に取り組んでいきます。
戦略投資を続けていくことは、行職員全員のDNAとして染みついているものだと思います。そのため、終わりのない、ゴールのない目標に向けて一丸となって進めていきたいと考えています。
質疑応答:社外取締役からのメッセージと今後の目標について
質問者:社外取締役のみなさまから、なにかメッセージがありましたらお願いします。
倉都康行氏:取締役の倉都です。ROEについては、確かに8パーセントを達成したら次は9パーセント、そして次は10パーセントといえるのが理想的ですが、あまり大風呂敷を広げるのもどうかと思います。
正直にお伝えすると、8パーセントという数字は非常に高い壁であると私自身も感じていますし、現時点で当行が抱える課題も少なくありません。その課題をしっかりと克服し、8パーセントを確実に定着させていくことが重要です。
そこがまず目指すべきゴールであり、それを確実に達成してから次の段階に進むべきだと考えています。やや慎重に聞こえるかもしれませんが、そのように思っています。
構造改革については、先ほど吉川頭取からお話があったとおり、私たちは常に危機意識を持っています。私たちが油断すると、山陰地域全体が日本中から取り残されてしまうという恐怖感があります。
そのため、時代に先駆けて絶えず変化していかなければ、私たち自身の経営基盤が脆弱になるという思いは行員全員が共有していると考えています。そのような意味でのモチベーションは今後も変わらないと感じています。
後藤康浩氏:取締役の後藤です。先ほどの「次の中期経営計画でどのようにギアを上げていくのか?」とその方向性についてですが、頭取が述べたように、やはり「現場力」を高めるということです。その中身については、独自性が高く、センスのあるコンサルティングを提供できる組織にすることだと考えています。
日本経済の方向性については、2つのベクトルがあると思います。1つ目は、大手企業や外資の国内投資、いわゆる日本回帰という動きです。それが主に地方に向かっており、山陰地区にもそのような波を引き込む動きを山陰合同銀行として作りたいと考えています。そして、その波に対するコンサルティングを当行で提供できたらよいと思います。
2つ目のベクトルは、日本の中堅中小企業が海外展開を新しいステージで進めていることです。日本の少子高齢化はさらに加速していく中で、中堅中小企業は生産拠点の移転だけではなく、海外で売上を立て、現地で物を売り、利益を生み出していくことが求められています。山陰合同銀行として、そのような企業を支援するコンサルティング力を高めることが、新たなステージでは必要だと考えています。
本井稚恵氏:取締役の本井です。構造改革とこれからの成長ストーリーについて、私自身が考えていることをお話しします。
現在、人的資本への投資に非常に力を入れていますが、一人ひとりの行員のモチベーションが成長を支えている非常に大きな要素だと考えています。先ほど、行員の意識やエンゲージメントが非常に高いというお話をしましたが、これが何によって生まれるのかというと、やはり成功体験を行員に与えることが非常に重要だと感じています。
また、組織が持つエネルギーを行員一人ひとりが実感できることも重要だと思っています。この2点について、取締役会でもさまざまな取り組みや、先ほどのエンゲージメント・サーベイの結果を踏まえた議論を重ねています。
成功体験を得ることでモチベーションが高まり、日々新鮮な気持ちでお客さまに向き合えるようになり、結果として大きな成果につながると考えています。この成功体験を若い段階から実感として持たせることを、経営陣も全力で取り組んでいます。
さらに、組織のエネルギーについてですが、今回2回目となるスタートアップフェスへの参加を通じて、行員が山陰合同銀行のエネルギーや周囲を巻き込む力を実体験できると考えています。
人的資本への投資を通じて「人を育てる」「人があってこその山陰合同銀行」を実現することが、私が特に重視しているポイントです。
Graeme David Knowd氏:取締役のKnowdです。頭取や他の社外取締役と似たような意見ですが、金利がある環境で8パーセントを達成することができたという点は評価できます。しかし、経済には常にサイクルが存在しますので、景気が悪くなった際にも、金利や景気の状況に左右されることなく、持続的に8パーセントの資本コストを超えるROEを達成できる銀行になりたいと考えています。
それは非常に挑戦的な取り組みですが、実現すれば成長ストーリーも伴います。ただし、構造改革が必要であり、これがないと、景気が悪くなると再びROEが5パーセントや4パーセントに落ち込んでしまいます。
そうしますと、倉都が言うようにやはり地元山陰に課題やチャレンジが数多く残される中で、それを乗り越え成長を実現しながら、景気が良い時も悪い時も安定的に8パーセントのROEを達成できる銀行になる必要があると考えています。
質疑応答:個人ローンの状況について
質問者:個人ローンの状況についてです。住宅ローンがやや鈍化してきているという話があったかと思いますが、今年度において非常に強い伸びを示している要因を教えてください。
吉川:個人ローンについてですが、住宅ローンは2027年3月末に向けて再び増加基調に戻すことを目指し、戦略を立てています。商品性を大きく見直し、信用リスクに応じたプライシングに幅を持たせるほか、給料振込などの基盤的な項目によってレートを変更する取り組みを進めることで、競争力を強化しています。
昨年度までは金利がかなり劣後していましたが、他行の金利も上昇したことから、金利上の競争における不利な状況が大きく改善し、競争が可能な金利環境になってきました。このような背景を踏まえ、計画を立てています。
また、消費者ローンについては2026年3月末時点で減少する傾向にあるように見えますが、その中でも一般的な車のローンや教育ローンなどは着実に増加しています。
一方で、住宅ローンに伴うつなぎ資金が消費者ローンの部分に含まれており、これは住宅ローンの申し込みに密接に連動する部分です。住宅ローンの申し込みが鈍化したことで、つなぎ資金が大幅に減少し、結果として消費者ローン全体が減少した状況です。ただし、この部分も住宅ローンの増加に伴い回復すると見込んでおり、2027年3月期についてそのような計画を立てています。
質疑応答:預金の獲得戦略について
質問者:預金の獲得戦略についてです。前年度と今年度の預金の伸びを比較すると、貸出の伸びよりも低く、預貸率が現在8割程度になっている状況かと思います。
これからどのようにして預金を獲得していくのか、また債権の流動化や起債対応といった話も地銀業界で取り上げられていますが、このような点についてどのようなお考えをお持ちなのかを教えてください。
吉川:預金の状況についてですが、ご指摘いただいたように、計画はこれまでと比較するとやや保守的に見えるかもしれません。これは金利がある環境になり、預金の獲得競争が激化しているためです。
それでも、私たちが貸出の成長を続ける限り、預金を減らすことはできません。そのため、粘着性のある預金の取り組みを着実に進める一方で、地元外の山陽、関西、東京での預金を推進し、7兆円規模の預金を維持したいと考えています。
これまで当行は、約4年から5年にわたり、バランスシートを拡大することで成長を実現してきました。しかし、今後は金利環境の変化に伴い、預金調達コストが上昇することを踏まえ、単純にバランスシートを拡大する方針ではなくなります。
具体的には、資金調達手段の多様化や、場合によってはバランスシートを一時的に調整する、または預金調達状況に応じて貸出金のスプレッドを引き上げるといった取り組みを進めます。これにより、バランスシートの中身を改善し、ROA(総資産利益率)の向上を重点的に図っていきたいと考えています。
質疑応答:地方におけるAIとDX活用の可能性について
司会者:「頭取にご質問します。『可能性は無限』を合言葉にして、と統合報告書にありますが、この言葉に込めた思いを教えてください」というご質問です。
吉川:「成長への『可能性は無限』」というメッセージをこれまで各所で発信してきました。先ほど社外取締役のみなさまからのお話にもありましたが、厳しい地元環境下では、どうしても行職員や地域の経営者のみなさまが縮小均衡に陥りがちです。しかし、人口減少の進む現在においても、地方には生産性を向上させる余地が多々残されていると考えています。
そのような意味で、AIやDXの活用は地方にとって大きなチャンスをもたらすのではないでしょうか。たとえ人口減少という環境には抗えなくても、一人ひとりの生産性が向上することで、一人ひとりが豊かな人生を送る可能性があると、最近強く感じています。
このような考えをみなさまと共有しながら、一人ひとりの付加価値を高め、域内GDPや1人当たりのGDPを大きく向上させていく可能性を広げるため、このようなメッセージを発信し続けています。