■要約
ティアは、葬儀会館「ティア」を中部・関西・首都圏・北海道で直営及びFC展開している。「葬儀価格の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱し、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」をスローガンに、「徹底した人財教育によるサービスの向上」を実践することで成長を続けてきた。2023年11月に葬儀運営会社2社((株)八光殿(大阪府)、(株)東海典礼(愛知県))をグループ化したのに続き、2025年7月に(株)メモリアジャパン(現 (株)ティア北海道)※を傘下に収めるなど、M&A戦略によるサービスエリアの拡大を推進している。
※ 札幌市内に家族葬ホールを3店舗運営しており、2025年10月より「ティア」ブランドにリブランディングした。連結業績には2026年9月期より組み込まれている。
1. 2026年9月期中間期の業績概要
2026年9月期中間期(2025年10月~2026年3月)の連結業績は、売上高で前年同期比1.4%減の11,422百万円、経常利益で同42.3%減の909百万円と減収減益となり、期初計画(売上高12,100百万円、経常利益1,180百万円)に対しても未達となった。期初計画未達の主因は、これまで新規出店やシェア拡大により伸長してきた葬儀件数(直営)が前年同期比3.6%減の10,308件にとどまり、計画を9.5%下回ったことにある。これまで堅調に推移してきた死亡数が、2025年後半以降は前年同期比で減少に転じ、葬儀業界全体で需要が落ち込んだことや、地盤とする名古屋市内のシェアも競争激化で若干低下したことが影響した。料金プランの見直しによる商品原価率の改善に取り組んだものの、件数減少による固定費比率の上昇により、営業利益率も前年同期の13.5%から8.8%に低下した。
2. 2026年9月期の業績見通し
2026年9月期の連結業績は、売上高で前期比9.9%増の23,700百万円、経常利益で同15.8%増の1,825百万円と期初計画を据え置いた。前提となるグループ直営店舗数は前期末比10店舗増の147店舗、葬儀件数は同12.6%増、葬儀単価は同2.4%減としている。計画達成には下期の葬儀件数で前年同期比31.5%増が必要となりハードルは高い。ただ、同社の葬儀件数は前第4四半期より落ち込んでおり、前下期の水準が低い点や、名古屋市内も含めて再び顧客獲得の強化に取り組み、シェアを拡大することで計画値の達成を目指す。葬儀単価は中間期が前年同期比1.0%減の894千円となっており、下期も同水準で推移したとすると通期は0.3%減と前提を上回る水準となり、件数が下振れたとしても葬儀価格の上振れにより、一定程度吸収可能と見られる。また、店舗の出店及び改修の先送りや経費節減にも取り組んでいく。
3. 中期経営計画と株主還元方針
2028年9月期までの3ヶ年の中期経営計画では重点施策として、1)ティアグループによる計画的な出店と既存エリアにおける営業促進の拡充、2)トータル・ライフ・デザイン(以下、TLD)※領域の拡大及びグループ間連携の強化、3)計画に則した人財確保・育成とエンゲージメントの向上、4)上場会社グループとしての体制構築と潜在的なM&Aニーズの掘り起こしの4点に取り組んでいく。各エリアで継続的に出店し、2028年9月期末のグループ店舗数を前期末比71店舗増の290店舗(うち、直営店は同38店舗増の183店舗)を目指す。2028年9月期の業績目標は売上高で25,790百万円、経常利益で2,330百万円とし、年平均成長率は売上高で6.1%、経常利益で13.9%となる。市場環境の悪化により滑り出しはやや厳しくなったが、2026年後半以降は葬儀需要も回復に転じる見込みで、そのなかで新規出店やM&Aによりシェアをいかに拡大できるかが業績目標達成のポイントとなる。なお、株主還元策については安定配当を基本に1株当たり年間20.0円の配当を続けてきたが、2026年9月期は創業30周年の記念配当3.0円を加え23.0円とする予定だ。また、2027年9月期以降も業績向上時には積極的な利益還元を行う方針である。
※ 「相続・不動産支援サービス」「樹木葬販売」「宗教者紹介サービス」など葬儀周辺のサービスを指す。
■Key Points
・2026年9月期中間期業績は葬儀件数の減少により減収減益に転じる
・名古屋市内のシェアを奪還し、2026年9月期業績は期初計画達成を目指す
・積極出店によるシェア拡大とTLD領域の拡張により、年率2ケタ増益を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)