企業情報
設立:1977年8月
事業内容:タクシー事業者等に向けた配車システム提供などモビリティ関連事業
登壇者名
GO株式会社 代表取締役社長 中島宏 氏
GO株式会社 執行役員CFO 森亮介 氏
「モビリティ」の価値を最大化するGOの事業展開
中島宏氏(以下、中島):代表取締役社長の中島です。よろしくお願いします。
街中で「GO」とラッピングされたタクシーの車両を見かけることもあるかと思います。当社はタクシーの配車アプリを中心に、車両内の広告や決済といったビジネスに加え、物流および自動運転の取り組み等、モビリティ関連の多角的な事業を展開しています。
日本のタクシーに最適化された総合的な車載サービスを提供
タクシーでは、乗務員の手元と後部座席にスクリーンが設置されていますが、これらはいずれも当社が提供しているサービスです。
広告事業や決済事業を展開しており、これらの収益があるため、このような機器やサービスを導入していただくタクシー会社には、初期投資をうまく按分していただけます。その結果、多くのタクシー会社と提携しています。
同時に、このような機器をご導入いただくことで、乗務員は手元で配車アプリからの配車を受けられるようになります。多くのタクシーやお客さまにとって利便性の高いタクシーアプリを提供しています。
タクシーアプリ『GO』の成長と拡大
現在のカバー率は非常に高くなっています。その背景には、「GO」が2026年2月時点の累計で3,500万ダウンロードとなり、日本で最もダウンロードされている配車アプリとなっていることが挙げられます。
また、47都道府県すべてで利用可能となっており、多くのお客さまにご利用いただいています。
日本のタクシー市場で圧倒的なポジションを確立
現在のポジショニングについてご説明します。プラットフォームのため、サプライサイドとデマンドサイドの両方が重要です。
スライド左側はサプライサイドを示しており、三大都府県のGO提携タクシー車両のカバー率を表しています。現在、65パーセントと圧倒的なカバー率を誇っています。
スライド右側はデマンドサイドを示しており、ユーザー側の利用率を表現しています。こちらは第三者の調査でMAUシェアを示しており、「GO」が70パーセントのカバー率を達成しています。こちらも圧倒的な水準です。
提携しているタクシーの数が多いため、お客さまにとって「早く来る」や「マッチングしやすい」といった強いメリットがあります。その結果、利便性の高いサービスをご利用いただけます。
また、スライド右側で示されているように、ユーザーサイドのカバー率が高い場合、導入するタクシー会社や乗務員にとっても、1台当たりの売上が高くなりやすい仕組みとなり、こちらも利便性が向上します。
このように、サプライサイドとデマンドサイドのシナジーを発揮することで、事業を展開しています。
集中的なマーケティングにより圧倒的なブランド認知度を確立
このような強みを背景に、当社はお客さまから高い認知度を獲得しています。
スライドには、「タクシーの配車アプリといえば何を想像しますか?」という質問に対して、過去にご回答いただいた内容の推移を示しています。2020年当時は、海外のプラットフォームや海外のアプリに比べて、認知度で大きく遅れを取っていました。
しかし、集中的にマーケティングを展開した結果、2021年頃を境にほぼ逆転し、現在に至るまでの数年間、高い認知度を維持しています。
現状の認知度であれば、まだ配車アプリを利用していないお客さまが「タクシーをアプリから呼ぼう」と考えたタイミングで、最初に「GO」を思い浮かべるかたちとなり、競争優位性の高い状態でサービスを提供できます。そのため、高い認知度を維持することを非常に重視しています。
財務サマリー
財務状況についてご説明します。スライド左側に売上高の状況、右側に営業利益の状況が示されています。
まずスライド左側の売上高の推移をご覧ください。直近の2025年5月期は314億円、現在の2026年5月期は408億円を予想しており、引き続き順調に拡大しています。
スライド右側の営業利益は、2025年5月期に通期で初めて黒字化を達成しました。2026年5月期も順調に伸びると見込んでおり、70億円での着地および営業利益率17パーセントを予想しています。
国内の配車事業市場の成長可能性
今後の成長余地についてです。諸外国と比較すると、日本はアプリ配車の利用率がまだ低い状況にあります。
スライド上のグラフおよび数値は、1台のタクシーが1日営業する際にアプリから呼ばれる割合を示しており、諸外国では70パーセントから90パーセントに達しています。
韓国では、日本と同様にタクシーが中心のマーケットとなっていますが、その市場においても、すでに7割台がアプリ経由で呼ばれています。この状況と比較すると、日本はまだ遅れており、2025年5月期の段階では26パーセントにとどまっています。
ただし、過去5年を振り返ると、この数字は大きく伸び始めており、今後もさらなる成長が期待されます。GOにとってはスライドの左側のグラフの余白部分がそのまま、大きな成長余地だと考えています。
新規事業
中長期の取り組みについてご説明します。現在、GOでは新規事業として、EV充電サービスの提供、自動運転への取り組み、物流領域での事業展開を進めています。
特に自動運転の領域では、Waymo、日本交通、GOの3社で東京における実証実験を進めており、非常に順調に推移しています。
Mission
当社は「移動で人を幸せに」というミッションを掲げ、モビリティ領域での社会インフラ強化に引き続き取り組んでいます。
引き続きご注目いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。
質疑応答:競争優位性の維持について
質問者:他社に対して提携台数や利用状況において、優位な状況にあると理解しています。一方で、他社も最近、新しいCMを打ち出したり、宣伝攻勢を強めたりしています。今後、御社の優位性をどのように継続し、さらに強化していくお考えでしょうか?
中島:当社の強みは現時点で非常に多層的に構築されており、強い競争優位性は揺るがないと考えています。
具体的には、1層目として、広範なタクシー提携台数が挙げられます。やはりお客さまにとってのコアな価値は、確実にタクシーとマッチングされること、そして、マッチングされた車両が1分でも早く到着することです。つまり、重要なのは、マッチング率とその後のお迎えにうかがう時間です。
ここで強みとして効いてくるのが、広い提携台数です。この点は、強固で揺るがない競争優位性として捉えています。
2層目として挙げられるのは、ユーザー認知度です。この点も非常に重要になってきます。CMを展開しても、それを見た時にアプリをダウンロードするユーザーはあまり多くありません。
重要なのは、そこで認知を広げておくことです。例えば大雨の時や急がなければならない時に、ふとタクシーをアプリで呼びたいと思った際、その瞬間にその方が第一想起するブランドが何であるかが重要になります。この点が新規ユーザーの獲得にダイレクトに効果を発揮する部分です。
市場における認知度をしっかり維持できているかどうかが、重要なポイントとなっています。スライドに示されているとおり、この点で当社は競合に対して高い優位性を維持しています。
こちらは競合も積極的に展開している部分ですので、市場の動向に合わせながらマーケティング戦略をコントロールしていく必要があります。
一度強固なユーザーを獲得すると、先行優位性を発揮できますので、GOはマーケティングをコントロールしながら、この状況を維持できればと考えています。
すでに短くても6年以上、また統合前を含めると10年以上にわたり、グローバルプレイヤーと戦ってきています。この10年の歴史を踏まえると、最近の競合の動きは急激に強まったわけではないと認識しています。
したがって、当社としては、継続的にこの状況を維持しながら戦い続けることが重要だと考えています。
3層目としては、ユーザー数が非常に多いことです。この点は、提携タクシー事業者および乗務員にご理解いただいており、プラットフォームエフェクトの観点からも重要なポイントとなります。
先ほどご説明したタクシーアプリ「GO」の利用率70パーセントというのはMAUの客観的な数字であり、この状態を維持できているのが3層目の特徴です。
以上の3層にわたる強固な強みを有しているため、当社の競争優位性は高いということです。
他社もさまざまな数字やデータを示していますが、この利用率70パーセントというのは2026年4月時点でのデータです。当社としては、このようなシェア率であると認識しています。
質疑応答:自動運転技術に対する戦略について
質問者:現在、日本全体で人手不足が深刻化しています。そのような中で、自動運転タクシーに対する期待が非常に高まっています。
御社も自動運転技術の研究開発を進めていますが、自動運転タクシーが実現した際、御社はどのような役割を果たすプレイヤーとなるのでしょうか? その事業化に向けた方向性についてもお聞きしたいです。
中島:まず、当社は、自動運転システムに対するR&Dには取り組んでいません。この点が非常にわかりやすいご説明になるかと思います。
自動運転システムそのものに関しては、グローバル全体で見ると、少なくとも1兆円から2兆円規模、多ければ10兆円以上の投資が必要とされるマーケットです。こちらは当社の土俵とは捉えていません。
当社の土俵は引き続き、タクシーとお客さまのマッチングであり、自動運転時代においてもアセットライトなビジネスを継続していきたいと考えています。
そのため、提携関係が重要となり、水平分業体制を維持します。迎車に関してはタクシー事業者との提携が、自動運転システムに関してはシステムを提供している企業との提携が非常に重要となります。
当社については、グローバルで第一人者であるWaymoと提携しているため、日本においてこの取り組みをしっかりローンチすることに集中していきます。
質疑応答:初値・終値の受け止めについて
質問者:初値も終値も公募価格を上回る状況ですが、あらためて今日の上場について社長の考えをうかがいたいです。
中島:初値や終値の価格は市場が決めるものと理解しており、当社が関与するものではありません。そのため、この場でなにか具体的なコメントをすることは控えます。ただし、公募価格を上回ったという点については、すばらしいことであると思います。
質疑応答:海外戦略について
質問者:競合他社の場合、海外でも利用可能であるとか、逆に海外の人々がユーザーとして利用できるという強みを持っているかと思います。例えばインバウンド戦略など、海外戦略として考えていることがあれば教えてください。
中島:おっしゃるとおり、グローバルには時価総額の非常に大きなプレイヤーが何社か存在します。その中で、当社は日本マーケットで戦っている状況ですが、グローバルの市場環境を全体的に見渡すと、それぞれのリージョンで勝ち組が分かれている点が大きな特徴だと思います。
例えば、北米では「Uber」、中国では「DiDi」、ASEANでは「Grab」、韓国では「Kakao T」です。
ソーシャルネットワークなどのサービスとは異なり、グローバルネットワークの広さが競争優位性につながるのではなく、ローカライズの巧みさが競争優位性の鍵となるというのが、このマーケットの特徴であると理解しています。
そのような特徴を持つマーケットは多々ありますが、配車アプリにおいてもそちら側に利点があると捉えています。
日本マーケットについては、「GO」が他のプレイヤーよりもうまくローカライズをこなしており、しっかりとシェアを取れたことから、後で見た時に日本マーケットの特徴となるのかなと思います。引き続き、しっかりとローカライズに取り組み、市場での競争を繰り広げていきたいと考えています。
日本マーケットは、実はタクシーとライドシェアを含む市場規模で世界第3位です。1位と2位は中国、アメリカですが、世界第3位の市場でしっかり存在感を示すことは、非常に大きな価値があると思います。この市場で引き続き取り組みを進めていきたいと考えています。
質疑応答:中島社長のモビリティ事業における10年の振り返りについて
質問者:中島氏といえば、DeNA時代に取り組まれたZMP社とのロボタクシーから、モビリティへの関与が始まったという記憶があります。
当時はまだDeNAにいらっしゃったと思いますが、ここまで長い間モビリティ事業そのものに関わると思っていたのかどうか等、一言でかまいませんので、この10年を振り返っていただけますか?
中島:私の過去の取り組みについてご質問いただき、ありがとうございます。おっしゃるとおり、私は実は2014年からモビリティの分野、特に自動運転に関連する領域に強い関心を持って取り組んできました。
もう12年近くになりますが、当時から今に至るまで変わらないのは、「社会課題の解決に事業を通じて取り組みたい」という私の中の強い思いです。特に日本においては、いまだに多くの課題が残されている状況で、そこに着目して取り組んできたのだと感じています。
振り返ると、10年前にも世間では「来年からロボタクシーが始まる」と言われていました。そして現在も「来年から始まる」といった状況で、そう考えると10年前とあまり変化はないように思えます。
ただ、大きく異なるのは、すでに諸外国ではロボタクシーが実装され、数千台が実際に走行しているという現実です。課題を解決するためにも、日本でも実装を進めていきたいと思います。
質疑応答:成長ドライバーについて
質問者:資料の成長ドライバーについての箇所で、1実車当たりの平均売上高がCAGR34.9パーセントと記載されていますが、伸びしろはむしろ実車数にあるように見受けられます。
この単価自体については、まだ伸びていく余地があるのか、現時点での163円という数値を、例えばUberのテイクレートなどと比較するとどのように評価すればよいのか、うかがいたいです。
森亮介氏(以下、森):執行役員CFOの森です。今後の成長ドライバーの考え方についてですが、一義的には、諸外国と比べてまだ低いアプリ配車率が課題です。そのため、日本にアプリ配車をしっかりと根づかせることが、当社の中長期的な成長の最下層に流れているグロースドライバーだと捉えています。
その上で、スライドには1実車当たりの売上高の推移も記載していますが、まずは、より良い顧客体験と、より満足いただけるサービスをお客さまに提供することが重要だと考えています。
それに加えて、ご満足いただいた内容に見合う対価としての1実車当たりの売上高を、今後もしっかり向上させる努力をしていきたいと思います。
この2つがしっかりと機能すると、実車回数と1実車当たりの売上高が持続的に成長する状態を目指すことできると考えています。そのための企業努力を重ねていきます。
質疑応答:ライドシェアおよびロボタクシーの展望について
質問者:人手不足への対応に関して、日本ではライドシェアとロボタクシーという2つの大きなテーマがあると思います。
この点について、ソリューションとしてどのように実装していくのか、どのようなタイムラインで計画を描いているのかをお聞かせください。
中島:まず自動運転に関しては、世の中では「今か今か」と期待されていることは理解しています。
ただし、当社では、提携パートナーのみなさまともすり合わせを行った結果、「このタイミングまでに」ロボタクシーをローンチするという目標を掲げるのは、かえって良くないだろうと認識しています。
なぜかというと、「このタイミングまでに」という目標を掲げてしまうと、コミットメントにつながりますので、なんとしてもそれまでにローンチしたいというモチベーションが発生してしまいます。
サービスの特性によってはそちらが適切な場合もあるかもしれませんが、ロボタクシーは公共交通に対してその命をお預かりするものであり、確かな自信がない状態でコミットメントすると、安全性や安心感がないがしろにされる可能性が高まります。
安全と安心が最も重要であることを踏まえ、安易な目標設定は避けるべきという結論に至りました。そのため、現時点での目標時期についてはオープンにしていません。
ただし、先ほどご説明したとおり、すでに日本以外の諸外国で実装されているサービスであるため、決して夢物語ではありません。着実に進めていき、近い将来にリリースしたいと考えています。
そのためにしっかりと積み上げるように取り組んでいきたいというのが、自動運転やロボタクシーに関する当社の認識です。
ライドシェアについてご回答しますと、現在、日本全体でライドシェアのドライバーは約1万人が稼働している状況です。国のさまざまな場で規制緩和の議論が行われた結果、このようなかたちで進んでいます。
当社としては、しっかりと規制が緩和され「このようなかたちであれば実施可能」となったものには、非常に積極的に取り組みたいというスタンスです。
現時点で稼働している約1万人のライドシェアドライバーのうち、約8,000人が「GO」に登録しています。つまり、実は大部分の方に「GO」を使っていただいています。
ドライバーの立場に立てば、お客さまが多い場所、すなわち売上が多いところで稼働したいと思うのは自然なことです。ライドシェアの特性上、アプリを通じてしか売上を上げられないため、必然的に最も規模が大きく、収益を上げやすいプラットフォームにドライバーが集まるということです。
こちらはマーケットの原理によるものと理解していますが、当社としては許認可の降りた範囲内で取り組んでいきたいと考えています。
ただし、現在の状況を見ると、日本ではタクシー不足がすでに解消されている地域も多くなってきています。そのような状況において、日本ではタクシーとライドシェアが補完関係にあると位置づけられています。
そのため、今後ドライバーの稼働人数が大幅に増加することは、規制の趣旨とは異なると理解しており、現在のところ大きな伸びは期待できないと考えています。
市場においてタクシー不足やライドシェア不足が叫ばれるような需給バランスの変化が発生すれば、規制のあり方について再び議論され、マーケットの需給バランスに適したかたちで供給も調整されると考えています。それに従い、GOとしても積極的に取り組んでいきたいと思います。
質疑応答:今後の資金調達や財務戦略について
質問者:今回のIPOでは募集を行わず、売り出しのみとなっていましたが、今後の成長投資に向けた資金調達や財務戦略についておうかがいできますか?
森:当社は2025年5月期に経常利益を黒字化しており、現在は営業キャッシュフローもプラスに転じています。足元の既存事業を着実に成長させていく限りにおいては、現在大きな資金ニーズは認識していません。
一方で、市場の流動性を高め、より多くの投資家の方々に積極的に当社の株式を売買していただくため、十分な流通株式を提供することを目的に、多くの既存株主の方々にご協力いただきながら、今回は売り出し中心のIPOとなりました。
今後、新規事業において、当社が日本のタクシー業界に自動運転を根づかせ大きく展開する中で、初期投資の負担を軽減する役割を持ち、必要な資金については、キャピタルマーケットへのアクセスを今回手にしたことを踏まえ、柔軟に選択肢の中から調達方法を検討していきたいと考えています。