■中長期の成長戦略
1. 3つの成長戦略
ネオマーケティングは中長期的な事業成長に向けて、(1)コンサルタントの採用と戦力化、(2)対応エリアの拡大、(3)顧客単価増大の3つの成長戦略に取り組んでいる。また、戦略的M&Aを含めた投資を積極的に行い、成長戦略の推進を加速させる。
(1) マーケティングコンサルタントの採用と戦力化
マーケティングコンサルタントの人員数は、2026年9月期中間期末で61名となった。
中間期においては営業活動にリソースを集中する方針を採ったため、採用活動の本格化は下期となる。しかしながら、今期の目標である74名体制の構築に向けては、一定の目途が立っている状況だ。新卒入社8名が2026年10月に現場に配属の予定であり、中途採用においても数名の入社が確定している(2026年5月時点)。現在は、若干名の退職者を補う数名の獲得に向けて選考を進めている。なお、中途採用市場は人材獲得競争の激化により厳しい環境が続いているが、同社は即戦力となる経験者の確保に固執せず、ポテンシャルを持った優秀な人材を採用し、強みである教育体制を通じて育成する方針だ。
採用した人員の早期戦力化については、2年前に設置した「教育委員会」を中心に育成体制をアップデートしている。実際の効果検証をもとに、スキルを段階的に習得するための仕組みや、個々人の習熟度に応じた育成体制など、新たな取り組みを毎年行っている。育成体制におけるPDCAの成果は確実に出てきており、2026年9月期は新卒社員の現場配属を当初予定から前倒しする予定である。
(2) 顧客数拡大とエリア拡大
2026年9月期中間期の顧客数は569社(前年同期比16社増)となり、過去最高を更新した。
この堅調なトレンドをけん引している最大の要因は、足元で進めてきた営業体制の強化である。積極的なマーケティングコンサルタントの増員と社内教育体制の高度化が成果を出し始めており、新規顧客へ効果的にアプローチできる強固な体制が確立されている。また、サービスメニューの拡充も、顧客とのタッチポイントを広げ、新規アプローチ体制の稼働の後押しとなった。納品データの品質向上や提供スピードの迅速化といった取り組みも、顧客満足度の向上による既存顧客のリピート受注拡大といった好循環を生んでいる。
一方、首都圏に偏重しない収益基盤の構築を目指す「エリア拡大戦略」については、関東圏以外の顧客割合に劇的な変化をもたらすまでには至っていない。しかし、先行してリソースを投入した関西エリアは好調に推移しており、人員増強の投資効果が徐々に表れ始めている。さらなる営業リソースの投下によって、関西エリアの顧客数拡大は可能と同社はみており、現地での追加採用を進める計画だ。同社は、地方の優良企業におけるマーケティング支援の潜在ニーズは大きいと確信しており、地方市場へのアプローチを継続する方針である。
(3) サービスメニューの強化・拡充による顧客単価増大
2026年9月期中間期の顧客単価は2,357千円(前年同期比97千円増)と、顧客数と同様に過去最高となった。
領域別に見ると、インサイトドリブン領域では複雑なビジネス課題を解決する高付加価値案件が伸長し、全体の単価上昇に大きく寄与した。また、デジタルマーケティング・PR領域では、新たに構築した専任の営業体制が機能し提案力が大幅に向上、クロスセルなど追加受注の堅調な拡大につながっている。これらは、単発のスポット支援に留まらず、顧客の課題に対して川上から川下まで並走する「一気通貫型の統合マーケティング支援」が着実に成果を結んでいる証左と言えよう。
2. 戦略的M&Aへの取り組み
成長戦略における自律的成長に加え、2026年4月に同社は、エッセンスマーケティングとPA Communicationを子会社化した。この2件の戦略的M&Aが、下期以降のサービスメニューの強化・拡充を実現し、顧客単価の増大や顧客数拡大に寄与する見込みである。
エッセンスマーケティングは、これまで同社が単独では保有していなかった「SNS運用」という新規サービスをラインナップに取り込む意味を持つ。また、参入障壁の低い安価な商材として活用できるため、新規顧客開拓におけるフロントフックとしての役割も期待でき、柔軟性の高いシナジーを見込んでいる。
PA Communicationは、美容・ファッションをはじめとするライフスタイル分野のブランディング及び統合型マーケティングコミュニケーションにおいて、25年以上にわたり培ってきた豊富なナレッジと実績を持つ。これまで同社が外注に依存していた広報・PR領域の専門機能をグループ内に取り込むことで、同社の「マーケティングにおける一気通貫体制」をさらに高度化する。自社グループの強みとして包括的な提案・販売が可能になり、顧客に対する提供価値を高め、単価の高い大規模な統合プロモーション案件の獲得数増加につながることが期待される。
■株主還元策
株主優待でデジタルギフトを贈呈
同社は、中長期的な視点から株主価値の向上を目指しており、利益の再投資を通じた株主価値の向上を図るとともに、事業環境や業績・財務状況等を総合的に勘案したうえで、株主への利益還元を行うとしている。2024年9月期に株主優待制度を導入しており、現在は9月末を基準日として500株以上を保有する株主に対し、2万円相当のデジタルギフト(Amazonギフトカード、QUOカードPayなど)を贈呈している。また、2025年5月から8月にかけては、自己株式取得も実施している。一方、成長過程にある同社においては、将来への事業投資が株主価値の向上により資するとの考えにより、現時点において配当は実施していない。配当実施を含めた追加的な株主還元施策については、事業成長の進捗を考慮しつつ検討していく方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 西村 健)