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クリアル Research Memo(8):中期経営計画1年目は堅調に推移

■クリアルの成長戦略

1. 中期経営計画の進捗状況
2025年5月に発表した中期経営計画「Game Changer 2030」では、対象期間を2026年3月期から2030年3月期までの5ヶ年とし、最終年度において年間獲得GMV2,500億円、売上総利益270億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円の実現を目指す。CAGR(年平均成長率)については、年間獲得GMV58%、売上総利益36%、親会社株主に帰属する当期純利益50%の目標を設定し、財務目標は、ROE40.0%(2025年3月期比9.8ポイント上昇)、自己資本比率40.0%(同30.2ポイント上昇)、当面の目安として配当性向15%程度(同1.8ポイント程度上昇)を設定した。計画を通じて、既存の不動産投資関連サービス(プロダクト)に加えて、不動産STやオルタナティブ投資プラットフォームを構築し、業界のGame Changerとなることを目指す。不動産STでは、証券のデジタル化により比較的少額から多様な資産へ投資が可能となるほか、現在の市場環境としてインフレや景気動向に左右されにくい不動産を扱うことで、需要を見込めるだろう。オルタナティブ投資プラットフォームに関しては、同社が現在扱うオルタナティブ商品の不動産にインフラやプライベートクレジット等を加えるとともに、株式や債券等を組み入れることで、投資家のリスク選好に合わせた多彩な商品ラインナップで需要を逃さず収益を最大化する考えである。

初年度の2026年3月期は、計画の売上総利益74億円、親会社株主に帰属する当期純利益18億円に対し、達成率はそれぞれ105.2%、107.8%と堅調に推移した。一方で、KPIの獲得GMVについては、計画400億円に対し達成率は78.5%で未達となったが、不特法3号4号ファンドにより挽回を目指す。財務目標について、ROEは前期比6.7ポイント減の23.5%と低下したものの、自己資本比率は同15.7ポイント増の25.5%と大きく上昇した。配当性向は2025年3月期同水準の13.2%となった。初年度はおおむね堅調な滑り出しといえるだろう。

2. 今後の成長に向けた取り組み
(1) 不動産ST市場への参入
2027年3月期上期の不動産ST市場への参入に向けて、子会社の臼木証券が第一種金融商品取引業の変更登録や投資運用業に係る許認可手続き、体制整備等の準備を進めている。不動産STは不特法ファンドと異なり金融商品取引法に基づく取り引きであるため、分離課税の取り扱いとなり、特に高所得な資産形成層や富裕層にとって採算性の高い投資商品である。これにより不動産投資市場で顧客取引基盤のさらなる拡大を図る。販売手法については、SBIホールディングスとの協業も視野に入るようだ。2027年3月期はGMV70億円の獲得を目指す一方、営業利益は先行投資を要因に臼木証券の損失を見込み、2028年3月期以降の黒字化を目指す。なお、「CREAL ST」では、デジタル社債で企業やファンドに直接投資するプライベートクレジットやオルタナティブアセット等の不動産以外を投資対象にファンド組成する方向性も見据えており、顧客層のさらなる拡大も視野に入るようだ。

(2) ホテル運営事業
2025年11月、新ニーズに応えて新たな顧客層を獲得するため、新ブランド「VAYS(ヴェイズ)」の立ち上げを発表した。ハイグレードアパートメントホテルやプライベートヴィラで、限定的なサービス提供と中~高価格帯の料金設定により、「LACER」とターゲット顧客の棲み分けを図っている。「VAYS」ブランドで今後4年間に50棟を運営する目標を持つ。なお、同事業における2026年3月期時点のホテル運営パイプラインは10物件(362室)で、2026年から2028年の開業を予定しており、運営物件の増加に伴い人件費や運営費の増加が予想されるため、DXやAIを活用してコストを吸収し利益率の向上を図る計画だ。

また、「CREAL」や「CREAL PRO」との連携も進んでいる。「CREAL」では蓄積されたホテル運営の知見を物件調達に生かすことで、案件数増加や案件規模拡大が進んでいる。実際2026年3月期はホテル物件を4件売却した。なお、物件売却後は「CREAL HOTELS」が運営を受託することで収益獲得機会が継続する。「CREAL PRO」においても同様にホテル運営の知見を開発用地取得から生かすことで、大口投資家の期待リターンに合わせた案件組成を実現する。これらの過程では、用地仕入れに伴うフィー収入や、ファンド運営中のホテル運営収益、物件売却益といったメリットの享受が期待できる。運営体制構築に向け先行投資を積極化する方針の下、2027年3月期は一時的に営業損失となるが、2028年3月期以降の黒字転換に期待する。

(3) DX×AI戦略
DX・AIの活用による生産性向上に向けたプロダクト開発を進めている。前述のホテル運営のレベニューマネジメントシステムのほか、「CREAL」「CREAL PRO」では不動産取得時の対象物件のアンダーライティングにAIを活用している。関連する資料をAIが読み取りデータを抽出し、検討要否の判定後に高収益物件を選別することで、抜本的な業務効率化と精緻かつ迅速な案件組成を可能とする。試験運用中の現在、データ抽出精度は90%で、引き続き精度向上の取り組みを進めている。今後は物件賃料や市況データ等外部データと連携し、社内の投資委員会資料の作成を自動化する計画もある。大量分析・大量組成を実現する不動産投資AI基盤の構築を目指している。このほか、不動産STのシステム開発では、フロントシステムや証券バックシステムの内製化を進めている。開発コードの98%をAIで生成するなど、開発期間を通常の2~3年から1年に短縮し、開発コストの大幅削減に成功している。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)

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