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日本アビオニクス:防衛予算拡大で受注残高積み上がる、データセンター向け接合機器も成長軸に

日本アビオニクスは、防衛用システム製品や宇宙用電子部品を手掛ける情報システム事業と、接合機器や赤外線サーモグラフィを展開する電子機器事業を主力とする電子機器メーカーだ。売上高の約8割を情報システム事業が占めており、防衛予算拡大の恩恵を直接受ける数少ない上場企業の一社として注目されている。防衛分野では表示・音響装置や指揮統制関連機器、搭載装置などを手掛けるほか、宇宙用電子部品も展開している。一方、電子機器事業では電子部品製造向け接合機器や赤外線センシング技術を活用したサーモグラフィ製品を提供している。競争の激しい汎用品市場ではなく、高度な技術力や信頼性が求められるニッチ分野に経営資源を集中している点が特徴だ。

2026年3月期は大幅な増収増益となった。売上高は291億円(前期比45.1%増)、営業利益は55億円(同97.2%増)で着地した。期中には2度の業績上方修正を実施したが、最終的にはその修正計画も上回る好決算となった。最大の要因は情報システム事業の拡大である。防衛予算の増加を背景に受注が大きく伸長し、情報システム事業の売上高は238億円(前期比48.8%増)、セグメント利益は50億円(同67.2%増)となった。受注高は332億円(同44.5%増)、期末受注残高も296億円(同46.5%増)まで拡大しており、翌期以降の成長を支える案件が積み上がっている。

防衛関連需要の拡大は一過性ではなく継続的な成長要因とみられる。日本政府は防衛費をGDP比2%水準へ引き上げる方針を掲げており、スタンド・オフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力、領域横断作戦能力、機動展開能力などへの重点投資が進んでいる。同社はこうした分野で使用される電子機器やシステムを手掛けており、中長期的に年率10%程度の成長を見込んでいる。防衛関連企業の中には大型装備品を主力とする企業も多いが、日本アビオニクスは電子機器分野に特化しているため、防衛装備の高度化が進むほど恩恵を受けやすい構造となっている。

電子機器事業も改善が進んでいる。2026年3月期の売上高は53億円(前期比30.4%増)、セグメント利益は4億円となり黒字化を達成した。接合機器ではスマートフォンなどの電子部品製造装置向け需要や車載関連需要が堅調に推移したほか、赤外線機器では発火監視用途や設備監視用途の需要が拡大した。特に近年はリチウムイオン電池の廃棄や保管時の発火事故が社会問題化しており、自治体やプラント向けに赤外線サーモグラフィを活用した監視システムへの需要が高まっている。同社は国内トップクラスの赤外線センシング技術を有しており、この分野で競争優位性を持つ。

2027年3月期の会社計画は売上高320億円(前期比9.6%増)、営業利益61億円(同10.6%増)と引き続き増収増益を見込む。前期の大幅成長後にもかかわらず2桁近い利益成長を計画している点は評価できる。特に情報システム事業は受注残高の積み上がりが進んでおり、防衛需要を背景とした安定成長が期待される。電子機器事業についても増収増益を計画しており、両事業がそろって成長する構図となっている。

競争優位性としては、防衛分野と産業機器分野の両方で独自技術を持つ点が挙げられる。防衛分野では参入障壁が高く、長期間にわたり培った信頼性や品質管理体制が強みとなっている。電子機器分野でも接合機器や赤外線サーモグラフィといったニッチ市場に集中しており、価格競争に巻き込まれにくい。

中期的には2026年度からスタートした中期経営計画「STEP4」が注目される。同社は2030年度に売上高500億円、営業利益100億円を目標として掲げている。2026年度計画の売上高320億円、営業利益61億円から見ても高い成長目標であり、防衛需要の拡大を背景に事業基盤を一段引き上げる方針だ。今後は人員増強や設備投資を進めながらも、利益率を維持しつつ売上と利益の絶対額を拡大する戦略を採る。

長期的な成長ドライバーは引き続き防衛関連事業だ。日本の防衛力強化政策が続く限り、防衛電子機器への需要は拡大が見込まれる。また、電子機器事業ではデータセンター向け接合機器の拡販を進めており、接合機器売上に占めるデータセンター関連比率を現在の約10%から2028年度には30%まで引き上げる計画だ。AI普及に伴うデータセンター投資拡大は世界的なトレンドであり、防衛以外の成長エンジンとして期待される。

株主還元については安定配当を基本方針としている。2026年3月期の年間配当は10円、2027年3月期は15円を予定している。現状は配当よりも成長投資を優先する段階にあるが、同社は時価総額の拡大や株価上昇を通じた株主還元を重視しており、防衛需要拡大を背景とした利益成長が今後の企業価値向上の鍵となる。

総じて、同社は防衛予算拡大という強力な追い風を受ける成長企業だ。足元では受注残高が大きく積み上がり、電子機器事業も黒字化したことで収益基盤は一段と強固になった。短期的には人員や設備への先行投資負担があるものの、防衛需要とデータセンター需要という二つの成長テーマを取り込める点は大きな魅力であり、中長期での成長余地は大きいと考えられる。

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