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オービーシステム Research Memo(3):金融機関系や社会公共系システムの更新ニーズに応え業容拡大(1)

■オービーシステムの事業概要

1. 経営環境
国内のICT市場は、自動化・省力化によるコスト削減やレガシーシステムの刷新、効率化に向けた投資に加えて、省エネ投資やアフターコロナの産業流通系等での幅広い投資が見込まれている。そのなかでも、コロナ禍において社会・企業のDXの必要性、緊急性が高まったことで、DX市場への投資が急速に伸長している。同社に対しても、システムの老朽化やIT人材不足等に伴う「2025年の崖」に対応した、金融機関系や社会公共系のシステムのオープン化※1やモダナイゼーションの要請に加え、その新しい基盤上でAI、IoT、オープンAPI、RPA、ローコード等といったデジタル技術を活用して展開するミドルウェア※2等の様々な連携システム、既存システムを含めたクラウド化といったDXへの要請が高まっている。

※1 従来大規模な情報システムで採用されていたメーカーごとに非公開の固有の仕様を持つメインフレーム(大型汎用機)を中核とするシステム構成から、標準規格や公開仕様に基づく汎用製品を主体としたシステム構成に置き換えること。
※2 OS(基本機能を提供するオペレーティングシステム)と、アプリケーション(各種業務処理の遂行に特化したソフトウェア)との間に位置付けられ、OSが提供する基本機能を用いてアプリケーションの開発負担を軽減することに重点を置いたソフトウェア。

こうした状況にあることから、2022年4月にITイノベーション事業本部を設立し、事業領域にとらわれないDX案件の獲得、技術・ノウハウの共有やクラウド環境における技術検証・研究開発の促進、リスキリング等による技術者の育成に着手した。また、主要取引先のDX案件開発企画等、上流フェーズへの提案活動を推進した結果、日立製作所グループとの協業をはじめとして既存顧客の取り引きの延長でDX案件を順調に獲得してきた。同事業の売上高は2024年3月期で586百万円(前期比20.2%増)、2025年3月期で601百万円(同2.5%増)、2026年3月期で671百万円(同11.7%増)と継続的に成長しており、全体の売上高に占める割合も7.8%となっている。ただし、同事業本部はさらなる成長に向け、2027年3月期より金融事業本部に統合されている。

2. 事業内容
同社は、事業領域を金融事業、産業流通事業、社会公共事業、ITイノベーション事業の4つのサービスラインに区分している。各事業において、ソフトウェアの設計・開発・保守等のシステムインテグレーションサービスを展開する。日立製作所グループ、三菱電機ソフトウエアとの取り引きが長く、2025年3月期時点では両社向けで売上高の8割近くを占めていた。両社との取引関係が強固な金融機関・自治体のシステム、電力会社のシステム等社会・公共インフラにかかるシステム開発、並びに電機メーカーでもある両グループとの取引関係が強固な家電、自動車産業等のシステム開発に強みを持つことが同社の背景となっている。なお、GCの連結によりBIPROGYとの取り引きも増加したことで、2026年3月期には日立製作所グループ向け57.0%、三菱電機ソフトウエア向け8.6%の計65.6%と分散化が進展してきている。

システム開発は、主に大手SIerが開発する現場やプロジェクトに同社従業員がチームで参画する形で進められる。新卒採用者については、一定期間の専門的な研修を実施した後、チームに参加しOJTにより専門性を高めていく。チーム自体も新人がワークしなければ納期遅延等が発生するため、現場で教育するという社風・文化が定着しているようだ。同社チームが信頼関係を築いた現場やプロジェクトの大手SIerの担当者が、別の現場やプロジェクトを紹介する形で受注がつながっていくため、必然的に特定のSIerに売上が集中するとともに、あらためて営業活動を行う必要がないのも同社の特徴であり、強みである。

同社の業容拡大、また社会のICT投資の拡大とともに、開発人材不足が顕在化してきているが、同社には120社を超えるビジネスパートナー(以下、BP)企業網があり、BPと連携しながら開発人材を確保している。ただし、日本社会全体の課題であるが故にBP企業側も同様に人材不足に悩んでおり、同社においては社内人員の採用者を増員して対応を進めている。一方、東証に上場したことで知名度が一段と向上したことも追い風となり、新卒採用を通じた人員の確保は順調に進捗している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)

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