■沿革
アール・エス・シーは1971年9月に建物内外の安全及び維持管理を目的として、東京都港区に総合ビル管理(株)として設立された。設立当初は、官公庁や民間企業の事務所ビルをはじめ、公共機関の警備等を受託することで安定した事業基盤を確立した。1978年に「サンシャインシティ」が完成すると、以降、今日に至るまで重要顧客かつパートナーとして(株)サンシャインシティと強固な関係を築いてきた。1981年には人材派遣事業に参入(本格的なサービス展開は1986年より)し、総合提案力の基盤ができ上がった。また、地方へは、1972年の名古屋営業所(現 アール・エス・シー中部)を皮切りに、1987年の大阪営業所(現 大阪支店)、1999年の仙台営業所(現 仙台支店)へと展開してきた。1995年に事業拡大、イメージ向上を目的として商号を現在の「(株)アール・エス・シー」に変更すると、1997年には(認)日本証券業協会に株式を店頭登録(現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場)した。2000年に新規参入した介護サービス事業については収益化の遅れにより2021年に撤退したものの、セコムとの業務提携締結(2018年1月)及びセキュリティロボット「cocobo(ココボ)」の導入に関する合意(2022年2月)、丸ビル・三菱ブロックの常駐警備業務開始(2021年7月)、内装工事等を手掛ける友和商工の子会社化(2023年2月)、AI警備システムの開発・販売を行うアジラとの業務提携によるサンシャインシティプリンスホテルでの行動認識AIを活用した警備業務の開始(2024年4月)など、今後の事業拡大や警備DXに向けて着々と取り組んでいる。さらに2025年11月にはSBRとAI警備ソリューションの共同推進を目的とする資本業務提携を締結した。
■企業特長
総合力を生かしたワンストップソリューションに加え、新技術の導入でも差別化を図る
1. ワンストップソリューションの提供
警備保障、清掃、設備・工事はもとより、受付、イベント運営等の人材サービスなど、施設や入居するオフィス・テナント向けに幅広いサービスをワンストップで提供できるところは、とりわけ大規模複合施設を受託するうえで大きな差別化要因である。顧客にとっては、それぞれを別々に委託し管理するよりはるかに効率が良く、同社にとっても施設当たりの単価向上や収益性向上につなげることができる。同社では、重要なパートナーとして強固な関係を築いてきたサンシャインシティへの総合的なソリューション提供を「サンシャインシティモデル」としてモデル化し、他の大規模総合施設等へも展開している。
2. エリア管理体制の構築
同社のコア事業である警備保障を中心に、個々施設への配置から、エリア単位での管理により省人化を推進しているところも戦略的な特長と言える。すなわち、前述したワンストップソリューションを点から面へ展開するイメージである。業界として人材不足が課題となるなかで、エリア単位で集積度を高めていくことで効率的な警備員の配置や管理・運営が可能となり、その結果、顧客にとっても警備保障に関わるコスト効果を高めることが可能となる。同社では、重点エリアである池袋地区、日本のビジネスの中心地である丸ノ内・有楽町地区を中心にエリア管理体制の拡充を図る考えであり、特に池袋地区においては、サンシャインシティとの連携を進める。
3. 新技術の導入に向けたアライアンスの強化
業界DX化に向けて、機械化や新技術の導入にも積極的である。2019年9月にはセコムとの業務提携契約に基づき、「サンシャインシティ」で自律走行型巡回監視ロボット「セコムロボット X2」を活用した実証実験を開始し、有効性や安全性等が確認できた。2022年6月にはセコムから最先端技術を活用したセキュリティロボット「cocobo(ココボ)」を導入し、「サンシャインシティ」でのサービスを開始した。また、2023年8月にはアジラとの業務提携契約を締結し、「サンシャインシティ」での実証実験(2024年9月から本格運用)、並びにサンシャインシティプリンスホテルにてAI警備システムを活用した警備業務を開始するなど、新技術の導入に向けたアライアンスに積極的に取り組んでいる。なお、このような独自技術を有する企業との業務提携を可能としているのは、サンシャインシティとの戦略的な関係があるからにほかならない。アライアンス先にとっては、日本有数の集客力を誇るサンシャインシティにおいて、自ら開発した技術を導入し、さらに完成度を高める機会を得ることは大きなステップになる。「サンシャインシティモデル」についても、新技術の導入という新たな価値提案が加わることにより、今後さらに発展することが期待される。加えて、サンシャインシティのみならず、ビルオーナーやデベロッパーとの長期的な信頼関係は同社の強みであり、SBRを含む様々なDXサプライヤーとの連携が、同社が目指す「共創型サービスモデル」の基盤をなしている。
■業績動向
売上高はコア施設を軸に安定推移する一方、収益体質の強化を図る方針の下、着実な利益成長を実現
これまでの業績を振り返ると、売上高は継続受託施設を軸として安定推移してきた。違った見方をすれば、成長性に欠けるとの評価もできるが、この数年はトップラインの伸びよりも収益性の改善に注力してきたことや、労働集約的な事業特性により社内リソースの制約を受けてきたことが、その要因と考えられる。利益面では、2017年3月期に新規受注業務への先行費用などにより営業損失を計上したものの、その後は収益体質の強化に取り組み、着実な利益成長を実現してきた。特に2021年3月期に収益化が遅れていた介護サービス事業から撤退すると、丸ビルの警備業務を開始した2022年3月期には上場以降、過去最高水準の営業利益となり、営業利益率も3.8%の水準にまで引き上がった。2023年3月期はM&Aなどに関わる先行費用により一旦減益となったが、2024年3月期は内装工事を手掛ける友和商工の連結効果等により大幅な増益を実現した。ただ、2026年3月期は既存事業が好調であったものの、人的資本投資や物価上昇等により利益率が悪化したことに加え、大型スポット売上の反動減により減益となった。
財政状態を見ると、資産合計は2022年3月期まで大きな変動なく推移してきた。一方、自己資本は内部留保を着実に積み増してきたことから自己資本比率は上昇傾向をたどってきた。2023年3月期に総資産が拡大した一方、自己資本比率が低下したのは、友和商工を連結化したことによる。もっとも、2026年3月期の自己資本比率は60%水準となり、M&Aに関わるのれん計上額も80百万円にとどまることから、財務の安全性に懸念はない。
また、資本効率を示すROEについては、ほぼ営業利益率と連動して改善傾向をたどり、2022年3月期には10%近くに到達した。2023年3月期は先行費用により減益となったことでROEも低下したが、2024年3月期は営業利益率の改善と有価証券売却益(一過性要因)が重なり12.4%に大きく上昇した。ただ、2025年3月期以降は原価増や先行費用等により低下傾向にある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)