■加藤製作所の事業概要
3. セグメント別推移
報告セグメント(2026年3月期より変更)は地域別に日本、欧州、その他(中国子会社2社の解散・清算を決定したことに伴い2026年3月期より中国をその他に含む)としている。2022年3月期~2026年3月期の推移で見ると、日本の売上高は、2022年3月期の54,405百万円から2025年3月期は46,653百万円へと減少した。一部主要部品の供給制約や大型ラフテレーンクレーン新型車販売時期先送りなどの影響があったが、2026年3月期には一部主要部品の供給制約の影響が一巡したほか、油圧ショベルの一部製品の弾力的な販売施策も寄与して51,899百万円へ回復した。海外(中国、欧州、その他の合計)の売上高は中国事業の縮小、欧州・米国市場の需要低迷の影響などにより、2022年3月期の11,826百万円から2026年3月期は5,508百万円へと減少した。
営業損益については需要動向という外部要因に加え、構造改革に伴う一過性要因の影響で大きく変動している。2022年3月期は、コロナ禍の影響が和らいで売上高が回復傾向となったが、構造改革の一環として計上した一過性損失(営業利益段階で長期滞留在庫評価減の計上、加藤(中国)工程机械有限公司における貸倒引当金の計上)により、日本及び中国で大幅な営業損失を計上した。また特別損失で希望退職金の計上、常陸那珂工場の減損計上、タイ子会社の解散及び清算に伴う減損を計上した。2023年3月期~2025年3月期は、売上高が一部主要部品の供給制約や海外市場の需要低迷の影響を受けたものの、構造改革の効果や収益性を重視した販売戦略などにより、特に日本の営業損益が大幅に改善(黒字化)した。そして2026年3月期は、売上面では日本の売上高が回復傾向となったが、優先課題である在庫水準の適正化を図るため戦略的に在庫圧縮を行ったことで工場稼働率が低下したこと、資材価格・物流費の上昇、補用部品の長期在庫に対する一過性の評価損計上などにより、営業損失が生じている。
品目別売上高について2022年3月期~2026年3月期の推移で見ると、建設用クレーンの国内売上高は2022年3月期の30,889百万円から2026年3月期は35,443百万円へ、おおむね堅調に推移している。一部主要部品供給制約や大型ラフテレーンクレーン新型車販売時期先送りの影響があったものの、国内向け出荷を優先して国内売上高を確保したほか、2026年3月期は主要部品の供給制約が解消した大型ラフテレーンクレーンの販売再開が寄与した。一方で海外売上高は2022年3月期の6,274百万円から2026年3月期は3,405百万円へと減少した。油圧ショベル等の国内売上高は2022年3月期の11,463百万円から2024年3月期の7,803百万円へと減少傾向にあったが、その後の2025年3月期は7,620百万円、2026年3月期は7,636百万円と横ばいで推移している。海外売上高は中国事業の縮小、欧州・米国市場の需要低迷などにより2022年3月期の13,825百万円から2026年3月期の8,629百万円へと減少した。
海外仕向地別売上高について2022年3月期~2026年3月期の推移で見ると、アジアは中国事業縮小などにより2022年3月期10,745百万円から2026年3月期4,290百万円へと減少した。欧州は需要低迷により2022年3月期4,871百万円から2026年3月期4,304百万円へとやや減少した。北・中南米は2022年3月期の2,998百万円から2024年3月期に6,504百万円まで拡大したが、その後は需要低迷により2025年3月期3,334百万円、2026年3月期2,915百万円へと減少した。
なお海外展開については、中国に代わる新たな主要市場としてインド及びその周辺国を含めた商圏へ拡大する。インド最大手のクレーン製造・販売企業であるACEとインド国内での合弁会社設立に向けた協議を進め、2026年4月に合弁会社ACE KATOを設立した。ACEが手掛けている大型クレーン事業を基盤に、成長市場であるインド国内及び海外市場向けの移動式クレーン(トラッククレーン、クローラクレーン、ラフテレーンクレーン)の生産拠点とする。また欧州市場では事業基盤強化に向けて、2025年5月にイタリアの子会社KATO Construction Machinery Europe S.p.A.(イタリア)への出資比率を引き上げた。米国市場に関しては需要低迷が継続しているが、M&Aを含めて収益基盤強化のための施策を検討中である。
外部要因により業績が大きく変動するため、収益性重視戦略を推進
4. リスク要因・収益特性と課題・対策
建設機械業界の一般的なリスク要因としては景気変動影響、為替影響、競争激化、サプライチェーン混乱、製品不具合に伴う賠償責任、環境規制や技術革新への対応遅れなどがある。市場競合について見ると、最も市場規模の大きい油圧ショベルはコマツ、日立建機といった大手メーカーが多く、競争の激しさが知られている。しかし、その他の建設機械(建設用クレーン、高所作業車、ブルドーザ、道路舗装機械など)は、それぞれ得意分野を持つメーカーが高い市場シェアを獲得するなど、ある程度のすみ分けができている。同社の市場におけるポジションとしては、建設用クレーンではタダノとともに大手、油圧ショベル等では中堅という位置付けである。なお建設機械業界の業績は需要変動・為替変動など外部要因の影響で大きく変動する傾向が見られ、また季節要因として第2四半期(4月~9月)と第4四半期(1月~3月)に売上高が偏重する傾向が強い。なお、同社は売上拡大よりも収益性重視戦略を打ち出している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)