■業績動向
1. 2026年3月期の業績概要
キャリアリンクの2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比10.5%増の44,642百万円、営業利益で同44.6%増の3,895百万円、経常利益で同45.0%増の3,915百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同41.5%増の2,588百万円と3期ぶりの増収増益に転じ、いずれも期初計画を上回った。
売上高は主力の事務系人材サービス事業が地方自治体向けBPO関連事業の回復もあって同9.1%増と3期ぶりに増収に転じたほか、製造系人材サービス事業も政府施策関連案件の受注増もあって同17.6%増と好調に推移した。利益面では、地方自治体向けBPO関連案件の生産性向上等により、売上総利益率が1.9ポイント上昇し、売上総利益で同21.0%増の9,922百万円となった。販管費は業容拡大並びに業務多様化に向けた人件費の増加で264百万円、システム等投資の増加で124百万円、募集費等の増加で133百万円となったが、増収効果により販管費率は同0.1ポイント改善した。この結果、営業利益率は8.7%と同2.0ポイント上昇した。
期初計画との比較では、地方自治体向けBPO関連事業において、マイナンバー関連案件や各種窓口業務及び戸籍法改正関連案件に対して新規取引先の開拓も併せて積極的に受注活動に取り組んだ結果、想定を上回る受注ができたこと、また製造系人材サービス事業においても、政府施策関連案件のほか既存取引先からの受注が想定を上回ったことが、売上高、営業利益での上振れ要因となった。なお、期末の連結従業員数は前期末比34名増の932名となっている。
地方自治体向けBPO関連事業が19%増収と高成長
2. 事業セグメント別の動向
(1) 事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業の売上高は前期比9.1%増の35,534百万円、営業利益は同46.6%増の3,517百万円と3期ぶりの増収増益に転じ、営業利益率も9.9%と前期比で2.5ポイント上昇した。直近2期間は特定大型案件の業務縮小や終了の影響で減収減益が続いたものの、このマイナス影響が一巡したことに加えて、地方自治体向けの長期契約案件となる各種窓口業務の受注が進んだことや、短期契約案件となる戸籍法改正関連案件を受注したことが増収増益要因となった。また、利益率も増収効果に加えて受注した案件効率的運用や登録者募集費などの経費の節減が奏功し改善となった。売上高を契約形態別で見ると、人材派遣が同9.7%増の18,134百万円、請負が同8.5%増の17,303百万円、その他(紹介予定派遣、人材紹介)が同11.0%減の95百万円であった。
a) BPO関連事業部門
BPO関連事業部門の売上高の内訳を見ると、地方自治体向け(直接受注)が前期比19.6%増の15,219百万円、民間企業向けが同2.4%増の11,496百万円とそれぞれ3期ぶりの増収に転じた。BPO案件数が同13.7%増の240件となった。地方自治体向けは、マイナンバー関連案件や給付金案件が堅調に推移したことに加えて、各種窓口業務などの長期契約案件を中心に受注業務領域の拡大について積極的に取り組んだほか、2025年春から始まった戸籍法改正関連案件の受注を獲得できたことなどが増収要因となった。単年度取引自治体数は前期比5.0%減の95自治体と若干減少したものの、1自治体当たりの受注件数が1.5件から1.7件に増加したことや、1件当たり平均受注単価が87百万円から94百万円に上昇したことが増収要因となった。特に、同社はここ数年、1自治体当たり複数業務の受注獲得に注力しており、その成果が出たものと評価される。請負契約売上高に占める長期契約型案件(1年超の契約)の比率も5~6割程度を占め、収益基盤の強化が進んだと言える。
一方、民間企業向けでは、大手BPO事業者経由の中央官庁を事業主とする案件を受注したことや、金融機関からの大型フィールド業務案件の受注が堅調に推移し、増収となった。民間企業向けでは大型案件が終了した影響で、平均受注単価はBPO案件数では前期の173百万円から146百万円に低下したものの、案件数が65件から79件に増加したことにより増収となった。
b) CRM関連事業部門
CRM関連事業部門の売上高は前期比13.2%増の3,587百万円と3期ぶりの増収に転じた。前期に稼働していた首都圏の既存取引先経由の中央官庁を事業主とする大型コールセンター業務派遣案件の終了や地方支店における既存取引先経由の地方自治体を事業主とするコールセンター業務派遣案件やインターネットサービス企業グループへの派遣案件の規模が縮小したものの、地方支店において大手テレマーケティング事業者経由の民間企業向けコールセンター業務派遣案件の受注量拡大が増収要因となった。テレマーケティング業界ではAIの普及によりオペレーターの規模を縮小する動きとなっているものの、営業体制を強化した効果が出た。
c) 一般事務事業部門
一般事務事業部門の売上高は前期比4.1%減の5,231百万円となった。地方自治体向けマイナンバー関連派遣案件や窓口業務派遣案件が堅調に推移したほか、民間企業向けもインターネット広告事業者等の既存取引先からの受注量が拡大したものの、前期に稼働していた金融機関向けの新NISA案件が大幅な規模縮小となったほか、地方自治体及び公益法人の短期派遣案件が終了または規模縮小となったことが減収要因となった。
(2) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前期比17.6%増の8,855百万円、営業利益は同38.0%増の353百万円と増収増益が続き過去最高業績を更新した。食品加工部門の売上高は、一部取引先において減産に伴う派遣案件の規模縮小や終了、派遣から直接雇用に切り替える動きなどがあり受注量が減少したものの、調味料や冷凍食品など既存取引先からの受注量が拡大したことや健康食品製造などの新規取引先を開拓できたこと、さらには農産物加工の請負案件を受注したことなどにより増収を確保した。製造加工部門の売上高は、住宅設備製造からの政府施策関連大型派遣案件を中心に総合電機製造や住宅設備製造など既存取引先からの受注量が拡大したほか、包装資材や電子部品製造など新規取引先の開拓も進んだことで2ケタ増収となった。
利益面では、派遣単価の引き上げに取り組んだほか、登録者募集費や事務機械費などの経費節減と効率運用に取り組んだことで大幅増益となった。営業利益率も前期の3.4%から4.0%と初めて4%台に乗せたが、事業規模を拡大していくことで利益率もさらに上昇する可能性があると弊社では見ている。
(3) その他
自動車管理事業の売上高は、前期比10.9%減の252百万円、営業利益は同37.1%減の24百万円となった。退職社員の補充ができなかったことに加え、取引先の組織改組の影響で受注量が減少し減収減益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)