■要約
1. 会社概要
IACEトラベルは1982年設立の旅行サービス企業で、クラウド出張手配システム「Smart BTM※」を中心に法人向けの出張マネジメント事業を展開している。事業の中核は、企業の国内外出張における航空券・ホテル・レンタカー・ビザ手配などを一元管理するトータル出張支援であり、「Smart BTM」を通じて出張業務の効率化とコスト削減を支援している。東京、名古屋、大阪、福岡など全国に拠点を持ち、官公庁内や在日米軍基地内にも支店を展開、さらにカナダとメキシコに現地法人を有し、グローバルなサービス体制を構築している。
※ BTMとはBusiness Travel Managementの略で、出張の事前申請・承認、航空券等の手配から精算に至る業務フロー、旅費規程・ガイドラインの遵守、購買プロセス等をトータルに管理することを指す。これにより、出張関連経費の可視化・分析に基づくコスト削減、周辺業務の効率化、コンプライアンスの徹底、ガバナンスの強化を図る。
主要顧客は製造業、商社、大学、官公庁など幅広く、日本旅行業協会(JATA)正会員・国際航空運送協会(IATA)公認などの各種認証を取得している。(株)三井住友銀行や(株)みずほ銀行など主要金融機関との取り引きを通じ、信頼性の高い法人旅行管理の専門企業としての地位を確立している。本社は東京都中央区日本橋馬喰町に所在し、2025年4月に東京証券取引所スタンダード市場へ上場した。2026年3月期末現在で、連結従業員数137名、資本金は524百万円である。
2. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.9%増の3,015百万円、営業利益が同24.2%増の754百万円、経常利益が同28.6%増の755百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同34.2%増の529百万円となり、売上高、各利益ともに過去最高を更新した。主力のBTMサービスでは、「Smart BTM」の導入企業数拡大に加え、既存顧客の利用頻度向上やホテル、レンタカーなど周辺商材のクロスセルが進み、高い成長を実現した。また、売上総利益率の改善に加え、手配業務やバックオフィス業務の標準化・自動化が進展したことで販管費の伸びを抑制し、営業利益率は25.0%と同2.5ポイント改善した。さらにIPOにより財務基盤も大幅に強化され、有利子負債を全額返済するなど、今後の成長投資を支える強固な財務体質を構築した。
3. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期は、売上高が前期比11.9%増の3,375百万円、営業利益が同19.3%増の900百万円、経常利益が同19.2%増の900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.3%増の600百万円を計画しており、取扱高、売上高、利益ともに過去最高を更新する見通しである。引き続き成長ドライバーとなるのはBTMサービスであり、「Smart BTM」の導入拡大に加え、大企業向け営業体制の強化やホテル、レンタカー、保険など周辺サービスの拡充による顧客単価向上を進める。また、RPAやAIを活用した業務自動化をさらに推進することで、人件費の増加を抑えながら利益率を高める方針であり、営業利益率は26.7%まで上昇する計画である。加えて、株主還元についても増配と株主優待制度の新設を予定しており、利益成長と株主還元の両立を図る方針である。
4. 中長期成長戦略
同社は中長期成長戦略「Vision2030」の下、「業務効率化」「既存事業成長」「新規事業開発」の3つを成長戦略の柱に掲げている。AIやRPAを活用した業務自動化により生産性を向上させる一方、中堅・中小企業向け営業に加え、大企業向け営業体制も強化し、BTM市場でのシェア拡大を目指す。また、レンタカーや保険など周辺サービスの拡充、海外子会社との連携強化、M&Aや業務提携によるサービス領域の拡大を進め、市場そのものの拡大にも取り組む。2030年3月期には取扱高500億円、売上高55億円、営業利益15億円を目標としており、営業利益は2026年3月期比で約2倍、営業利益率は27.3%まで向上させる計画である。既存事業が生み出す高収益を新規事業へ投資することで、持続的な企業価値向上を実現する戦略である。
■Key Points
・BTM市場の独立系トップとして、旅行業界に独自のポジションを確立
・2025年4月にIPO実行後は官公庁、大手企業からの信用度もますます高まり契約数も右肩上がり
・閉鎖的な市場であり、ゲームチェンジャーとなる可能性が相応に期待できる
・2027年3月期も取扱高・売上高・利益ともに過去最高を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)