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イノベーション、今期黒字転換を計画 コアデータベースを軸に循環型モデルを構築、データと収益の相互拡大を目指す

本日のアジェンダ

富田直人氏(以下、富田):株式会社イノベーション代表取締役社長の富田です。ただいまより、事業説明会を開始します。

本日は、前期2026年3月期の業績の振り返りと、本日開示した2027年3月期から2029年3月期の中期経営計画の2点についてご説明します。

業績サマリ(前期比)

前期の振り返りです。2026年3月期は、売上高が69億6,800万円、経常損益がマイナス3億3,400万円、親会社株主に帰属する当期純利益がマイナス4億5,700万円となりました。売上高は過去最高を記録しましたが、上場以来の赤字決算となったことを大変申し訳なく思っています。

業績サマリ(修正予想との比較)

スライドは、2026年2月9日に開示した修正予想に対する実績を示しています。売上高は、修正予想の70億8,000万円に対し69億6,800万円、修正予想比はマイナス1.6パーセントとなりましたが、営業損益は修正予想と同程度で着地ができました。

売上高

売上高は2021年3月期以降、順調に伸びています。スライドのグラフの青い部分がオンラインメディア事業、濃い緑の部分がITソリューション事業を示しています。2026年3月期は、上場会社のシャノン社がグループに加わったことで売上高が25億3,800万円増加し、ITソリューション事業は29億1,400万円と大きく拡大しました。

グループセグメント構成

おさらいとなりますが、当社は4つのセグメントに分かれています。「ITトレンド」を中心に展開するオンラインメディア事業、「SHANON MARKETING PLATFORM」「List Finder」を中心にマーケティングオートメーション(MA)・セールスマーケティングのツールを展開するITソリューション事業、そして金融プラットフォーム事業、VCファンド事業です。

前々期の2025年3月期は、オンラインメディア事業が売上の74パーセントを占めていましたが、前期の2026年3月期にはポートフォリオが非常に改善しました。「ITトレンド」の一本足打法から、シャノン社の加入を経て、このようにバランスのとれた売上構成に変わっています。

営業損益

過去5年間の営業損益の推移です。スライドをご覧のとおり、前期は2億4,800万円の赤字となり、残念な結果となりました。

こちらは、まずシャノン社の連結開始に伴うのれんおよび減価償却費が約2億円発生したことが挙げられます。加えて、オンラインメディア事業および金融プラットフォーム事業の売上減少、新規事業開発およびデータプラットフォーム構築への先行投資による販管費の発生が、大きなマイナス要因となりました。

営業損益分析

営業損益の分析です。前々期2025年3月期は3億5,100万円でしたが、前期2026年3月期はマイナス2億4,800万円となりました。プラス要因としては、シャノン社による売上が今期から取り込まれたことです。一方、マイナス要因としては、「ITトレンド」を中心とするオンラインメディア事業の売上減少および金融プラットフォーム事業におけるIFA業務委託部門の売却が影響しました。

売上原価については、シャノン社の原価分8億3,400万円が取り込まれていますが、シャノン社以外では3億9,800万円の原価削減が実現しました。最終的に、営業損益はマイナス2億4,800万円の着地となりました。

EBITDA推移

過去5年間のEBITDAの推移です。前期2026年3月期は、のれんや減価償却費などを加味したEBITDAは2億500万円と、黒字を維持することができました。

業績サマリ(売上高/セグメント損益) オンラインメディア事業

事業ごとの業績推移です。「ITトレンド」は過去4年間順調に推移しましたが、2026年3月期は前年同期比でマイナスとなりました。「ITトレンド」の売上が下がった主な要因としては、生成AIの台頭による情報収集チャネルの多様化で、検索経由のトラフィックが減少したことが挙げられます。

株主のみなさまにおいても、検索エンジンで情報を検索することに加えて、生成AIを活用して情報を探す行動が増えたのではないかと思います。これが直接的に影響し、大きな要因の1つとなっています。

一方で、当社は資料請求1件につき1万2,000円の成果報酬型モデルで事業を行っています。資料請求数は堅調に推移しているため、「量から質への転換」が着実に進捗しています。検索エンジンを中心とした流入の減少という大きな影響を受けていますが、下期以降、新たなビジネスモデルへの転換を推進中です。こちらは後ほどご説明します。

セグメント利益は、スライド右側に示しているとおり、前年同期比で減少しています。

業績サマリ(売上高/セグメント損益) ITソリューション事業

マーケティングオートメーションツールを展開するITソリューション事業の業績推移です。シャノン社の加入により、売上高およびセグメント利益が前年同期比で大きく増加しています。

スライド右側のグラフに示している点線部分は、のれん・減価償却費等が2億1,900万円発生していることを表しています。これにより、セグメント利益は実際には5億9,800万円だったものの、3億7,800万円となっています。

業績サマリ(売上高/セグメント損益) 金融プラットフォーム事業

金融プラットフォーム事業の業績推移です。業務委託部門の売却により固定費の抑制を図ったものの、効果は限定的であり、売上・収益ともに前年同期比でマイナスとなりました。現在はオンラインメディア事業との連携を進めており、リードの獲得と送客の仕組みを構築中です。

参考:株式会社シャノン、TOB後の黒字転換

シャノン社単体の参考資料です。シャノン社は、2022年度から2024年度まで3期連続で赤字を計上していましたが、当社にグループイン後、1年で1億2,000万円の過去最高利益を上げることができました。業績予想を大きく上回り、146パーセントの増益で着地しています。

ミッション

本日発表した中期経営計画についてご説明します。まず、当社は「『働く』を変える」というミッションを掲げています。創業以来、IT業界の営業マーケティングを変革することを目指して取り組んできました。上場後は業界に限らず、「ビジネスにイノベーションを起こしていこう」ということが、グループ全体のミッションとなっています。

成長の軌跡

2007年からの売上推移のイメージです。2026年現在、特にシャノン社がITソリューション事業に加わったことが大きな変化として挙げられます。これにより、当社はオンラインメディア事業とITソリューション事業の2つの大きな柱ができました。

当グループの現在地

当社が「ITトレンド」を立ち上げてから19年が経過し、「bizplay(ビズプレイ)」「ITトレンドEXPO」は、IT製品を導入したいと考えるビジネスパーソンのデータが集まる大きなメディアの1つとなっています。

また、シャノン社、金融プラットフォーム事業、VCファンド事業においては、顧客との接点が大幅に増えており、このデータを活用した経営体制への移行を中期経営計画の核として進めていきます。

市場変更について

申し遅れましたが、2026年6月1日付で、東証グロース市場から東証スタンダード市場に移行しました。これは主に、社会的信頼の深化、ガバナンスの高度化、高度人材の獲得を目的としています。

グロース市場には、上場後10年で時価総額40億円以上という基準に加え、2030年3月1日からは上場後5年で時価総額100億円以上という基準が設けられています。

これらの基準を意識してグロース市場に残ることも検討しましたが、例えば株主配当など、短期的な収益を上げて基準をクリアするよりも、組織や事業をしっかりと固めることを優先したいと考え、スタンダード市場への移行を決定しました。

前中期経営計画の振り返り

中期経営計画のサマリーをご説明します。まず、前中期経営計画の振り返りです。売上高は、目標としていた2026年3月期の83億円に対し、69億6,800万円と未達に終わりました。営業利益についても、残念ながら大幅な未達です。大変申し訳ありません。

要因としては、先ほどお伝えした生成AIの台頭によるオンラインメディア事業の集客環境の変化や、金融プラットフォーム事業の収益化の遅延が大きく影響しています。この反省を踏まえ、先ほどお話ししたコアデータベースを軸とした持続可能な成長モデルへの転換を基本方針としたいと考えています。

成長ストーリー

成長ストーリーです。「出会いがデータを、データが出会いを生む。」「『働く』を変える循環をつくる」ということで、事業戦略としては、グループ全体の事業成長を循環型モデルで定義しました。循環型モデルとは、売上を上げながらデータを取得し、そのデータが収益を生む仕組みで、これを実現することが大きなポイントです。

財務戦略としては、スタンダード市場に上場したことを踏まえ、持続可能なROEの向上を軸にBSの健全化を進め、さらなる拡大投資に備えていきます。

価値提供ストーリー

価値提供ストーリーです。スライドに、「WORK」と「LIFE」の領域を示しています。当社は主にBtoB、つまり企業に勤める人で「ITトレンド」をご覧になる方、「bizplay」で動画をご覧になる方、さらにM&A仲介に関わる経営者の方やCVCで関わるスタートアップ、営業やマーケティングを効率化したい方を対象に、「WORK」のデータを中心に蓄積してきました。

一方で、このデータにはビジネス内個人のデータとして、例えば転職や業務効率化、リスキリング、資産形成、起業、ヘルスケアといった情報が蓄積されてきています。将来的にはこれまでのデータを活用し、新たなステージとして、個人を対象とした「『働く』を変える」という領域でビジネス展開を目指していく方針です。

3つの環境変化

大きく分けて3つの環境の変化があると考えています。1つ目は、先ほどからお話ししているAIの台頭による情報収集行動の変化です。特に2025年から、SEOや検索エンジンでの上位表示、検索連動広告を通じた集客が大きく様変わりしました。これが当社のビジネスに影響を与えた1つの大きなポイントです。

2つ目は、AIエージェントの台頭です。Microsoft CEOのPodcastをはじめ、SaaSがAIによって代替可能かどうかという議論が展開されています。一部では「SaaSの死」ということも言われています。

3つ目は、働き方や雇用が大きく変化していることです。このような環境の変化があると認識しています。

グループのコアバリュー定義

先ほどお話ししたコアデータベースについてです。当社が保有する法人の個人データには、属性データ、行動データ、比較・購買データがあります。具体的には、「ITトレンド」を用いたHR・人材系システムの導入、会計システムの検討、営業の効率化などのデータが継続的に蓄積されています。

このデータの特徴として、経営者や役員、本部長、課長などの役職を持つ方々が全体の70パーセント程度を占めています。売上を上げつつ、データが蓄積されている状況です。

これらのデータを活用し、例えばM&Aで行動履歴の変化をシグナルとして検知したり、「ITトレンドMoney」というサービスも開発していますので、資産運用や資産形成に対応したりすることができます。

また、CVCファンドということで、投資先をグループのシナジーを活用し支援することも可能です。特にSaaS業界においては、企業やプロダクトの売却・買収が非常に増えています。このような環境の変化をもとに、新規事業を展開していきたいと考えています。

グループの戦略フレーム:コアデータベースを中心とする循環型モデルの構築

スライドに、イメージ図を掲載しています。「WORK」の部分では、「ITトレンド」「ITトレンドEXPO」「bizplay」やM&Aといった既存事業によって日々の活動データが収益を生み出し、新たなデータを生成しています。

「LIFE」の部分については、先ほど少しお話ししましたが、「ITトレンドMoney」という資産運用・資産形成を目指す方に向けたコンテンツも充実しています。例えば、「ITトレンドEXPO」というイベントで金融系の著名な方に講義していただくと、多くの方々が訪れます。そのような行動履歴を活用したIFAや資産形成の提案に取り組んでいます。

また、今期からはキャリア支援にも動き出しており、個人の転職支援に挑戦していこうと考えています。このように、資産運用、相続、転職、副業といった分野にも目を向けながら、コアデータベースを活用して事業展開を行っていきます。

グループ戦略の優位性

グループ戦略の優位性についてです。まず、複数の会員流入装置があります。検索エンジンだけでなく、日々の営業活動やコンテンツの充実、さらに当社が展開しているビジネス動画のコンテンツを活用し、さまざまな属性の方々を取り込んでいます。

また、収益を上げながらデータを獲得していくことに加え、グループ全体で顧客獲得コストを最適化し、従来の広告依存から、より採算性の高いコンテンツの活用にシフトしていくことを目指しています。

さらに、先ほどお話しした「WORK」と「LIFE」の多面的なデータを活用していく点が、グループ戦略の優位性となります。

オンラインメディア事業(重点テーマ①:ITトレンドのビジネスモデル転換)

各セグメントについて詳しくご説明します。メインとなる「ITトレンド」は、これまではエンドユーザーが「ITトレンド」で資料請求すると、1件につき1万2,000円を得る成果報酬型モデルで、IT企業に対してリードを獲得することで収益を上げてきました。

これに加え、現在は「月額サブスクリプション」も提供しています。「ChatGPT」「Gemini」「Google AI Overview」などの生成AIに読まれるためのコンテンツ作りがIT企業に求められています。

例えば、みなさまがIT製品を「ChatGPT」や「Gemini」を利用して探す際に、そこに掲載されていなければ、検討の対象にもなりません。

IT企業ではこのようなAI対策が課題となっており、まさに検索エンジンが登場した頃と同様の環境が生まれています。当社はこの状況にいち早く着目し、すでにマネタイズを実現しています。具体的には、今期に入り、生成AIで上位表示させるための手法であるAIO(AI Optimization)やLLMO(LLM Optimization)についてサービス化しています。

「ITトレンド」が持つ大きな強みである、検索エンジンやAIに読まれやすい特徴を活用し、サービスを立ち上げています。これが、今後の大きな柱の1つとなるのではないかと考えています。

このように、これまでの検索エンジンからの流入および資料請求の成果報酬型モデルに加え、今期からはサブスクリプションモデルを展開しています。

オンラインメディア事業(重点テーマ①:ITトレンドのビジネスモデル転換)

現在、「SaaS比較メディア」から「AIが使うデータベース」として月額収益の拡大を目指しています。データをさらに活用し、当社としての成長を図るため、売上を現在の約37億円から45億円程度まで増やす計画を立てています。

オンラインメディア事業(重点テーマ②:ビジネスパーソン向けサービスの複数展開)

「ITトレンドMoney」「ITトレンドキャリア」は、すでに運用が開始されています。IT製品を検索する人はビジネスパーソンであり、多くの場合、個人の資産運用・資産形成やキャリアにも関心を持っています。

これらのユーザーに向けてコンテンツやデータを活用して運営し、人材仲介会社や証券会社に送客することで利益を上げる仕組みです。市場規模はスライドに記載のとおりで、今期から取り組んでいます。

ITソリューション事業

ITソリューション事業についてです。当社グループに加わったシャノン社の「SHANON MARKETING PLATFORM」は、大企業およびエンタープライズを対象としています。

当社が保有していた「List Finder」はシャノン社に事業譲渡しており、シャノン社の子会社、当社にとっては孫会社のようなかたちです。「List Finder」をシャノン社の管理下に置き、プロモーションを一括で行っています。

「SHANON MARKETING PLATFORM」と「List Finder」は対象が異なりますが、同じマーケティングコストと営業で対応可能です。国内のマーケティングオートメーション市場における市場占有率を高めることを第一目標として推進しています。

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、マーケティングオートメーション業界は、「Adobe Marketo Engage(アドビ マルケト エンゲージ)」「HubSpot(ハブスポット)」「Salesforce Marketing Cloud(セールスフォース マーケティング クラウド)」など、外資系企業が非常に強い業界です。

一方で、日系企業は7社ほど存在していますが、その中でシャノン社と当社との連合体が、日本の国産市場においてNo.1クラスを狙える状況にあります。現在、TOBが完了し、ようやくPMIが落ち着いてきたところです。新しい攻めの姿勢に入るスタートラインに立ったと考えています。

金融プラットフォーム事業

金融プラットフォーム事業についてです。「ITトレンド」にはさまざまなデータがあります。SaaSベンダーの動向やユーザーデータの動きを把握しながら、SaaS企業の再編やSaaSベンダーのプロダクトの売買に取り組んでいき、M&A仲介として事業を立ち上げます。これにはスタートアップも含まれています。

さらに、売却した譲渡企業側の資産運用を支援し、一時収益と継続収益を組み合わせた複合モデルを構築していきたいと考えています。

VCファンド事業

VCファンド事業については、現在も投資中であり、今後売却益が発生すると考えています。当社は、ファイナンシャルリターンのみを目的とした財務投資は行わず、コアデータベースの活用やアセット連携、さらに企業理念との整合性を重視しながら、「『働く』を変える」事業に投資しています。また、一部で協業を行いながら運営しています。

各セグメントの重点方針

財務計画についてご説明します。大きく3つのパートに分けています。1つ目は、拡販・売上伸長です。先ほどお話しした「ITトレンド」のサブスクリプションモデルへの転換や、ビジネスパーソン向けサービスの複数展開に取り組んでいきます。

2つ目は、金融プラットフォーム事業の立て直しです。現在赤字事業となっているため、黒字化させることが目標です。

3つ目は、利益率の向上です。「ITトレンド」のリード送客における旧来型のモデル、つまり広告費を使い、その分だけ売上を上げるモデルについては、より効率的に事業運営を進めていきます。また、国内マーケティングオートメーション市場で占有率を上げ、より効果的・効率的にお客さまの獲得を行います。これらの大きな方針の下、運営を進めていきます。

連結財務目標

前期2026年3月期の実績は、先ほどお伝えしたとおりです。2027年3月期は、すでに開示しているとおり、売上高は70億3,000万円、営業利益は1億3,000万円を計画しています。

2028年3月期の売上高は80億円から90億円、営業利益は5億円から10億円、2029年3月期の売上高は100億円から120億円、営業利益は14億円から21億円を見込んでいます。かなり高い営業利益率を目指したいと考えています。

ROEは、前期はマイナスでしたが、今期は約1パーセントとなる見込みです。2028年3月期には約9パーセント、2029年3月期には20パーセントを超えるような水準を目指したいと考えています。

資本効率の現状認識と方針

現状の認識として、ROEはマイナスであり、株主資本コストは8パーセントから10パーセント程度と推定しています。株主資本コストをしっかり意識し、これを上回るROIC15パーセント以上を目標に掲げ、2029年3月期に向けて取り組んでいきたいと考えています。

次ページからは、リスク情報等について本日開示していますので、後ほどご覧ください。

一方的な説明となり恐縮ですが、以上で説明を終わります。

質疑応答:「ITトレンド」の差別化ポイントについて

質問者:中小企業向けのITサービスは、他社を見ても似たような内容に聞こえることがあります。「ITトレンド」は、他社のBtoBの事業者向けサービスやクラウドとは、どのように違うのでしょうか?

他社のシステムやクラウドは、データを掛け合わせてオリジナリティがあるものにしていると、それなりに顧客が多いBtoBの事業者もおっしゃっていると思います。

御社のサービスは具体的にどのような違いがあるのか、またそれを使ってどのようなことができるのか、注目してほしい点など、可能な範囲でお聞かせいただければと思います。

富田:「ITトレンド」の競合はいくつかあり、具体的には日経BP社が運営している「ITpro」が中心で、加えて上場会社が運営している「ITmedia」があります。また、ベンチャー企業では「ミツモア」や「BOXIL(ボクシル)」などいくつかの競合がありますが、一番大きな違いはリード獲得の質です。

具体的には、クライアントから「月間100万円を予算として100件の見込み客を獲得したい」といったご要望をいただくとします。そこで最も評判が良い点はデータの質です。これは「ITトレンド」の仕組みや構造によるもので、一括資料請求を抑えていることが関係しています。

例えば「勤怠管理システムを導入したい」と思ったときに、「ITトレンド」では一括で60製品ほどの資料請求が可能ですが、それをしにくいUI/UXを設計しています。一方、他社では一括資料請求を促進するような作りになっています。

クライアントにとって、一括資料請求が少ないということは、資料請求1件あたりの問い合わせの重複数が少ないため、決定しやすく、質が高いと評価されています。これが当社の大きな特徴です。したがって、クオリティの高いデータをどのように活用するかが重要となります。

質疑応答:2029年3月期における営業利益目標の計画の背景について

質問者:現在の時価総額は約21億円ですが、営業利益を3年後に約21億円まで拡大する計画です。私の知る限りでは、御社はこれまでに2桁億円の利益を出したことがなかったのではないかと思いますが、利益を大幅に向上させられると考えた背景についてお聞かせください。

富田:おっしゃるとおり、アグレッシブな目標であることは間違いありません。しかし、前期を振り返ると、無駄な広告宣伝費や無駄な組織が散見されました。そのため、まずは効果的かつ効率的なプロモーションを開始することで原価経費を下げられるため、利益率が相当上がってくると考えています。

もう1つは、先ほどから繰り返しお伝えしているデータの活用です。1つのデータベースからアップセルやクロスセルを行い、同じお客さまに対して異なる商品を販売できることがポイントです。

現在縦割りになっている組織について、データだけでなく組織も統合し、同じお客さまに複数の商品を販売していく仕組みを構築することが重要です。

したがって、原価および経費の削減、データを活用した効果的かつ効率的なプロモーションの2点が、利益率を高める施策となります。これは、ユーザー向け、クライアント向けのどちらも同様です。確かに難度は高いと思いますが、決して実現不可能な数字ではないと考えています。

質問者:1年目、2年目、3年目で利益水準がだいぶ変わると感じました。何年目まではある程度実現可能性の高い数字なのでしょうか?

富田:今期の営業利益は、1億3,000万円という非常に保守的な計画を出しています。

質問者:20億円程度を目指せる手応えがあるのでしょうか?

富田:20億円を超えるというのはかなりアグレッシブで、3年先の目標となりますが、イメージはできています。また、2028年3月期の5億円から10億円はターゲットに入っています。

グループ会社に加入したシャノン社も非常に好調に推移しています。また、「ITトレンド」は昨年、非常に大きなネガティブ要素がありましたが、これを改革することで利益率が向上していくと考えています。

サブスクリプション型のAIOのサービスは、原価がほとんどかからない収益モデルです。例えば、資料請求1件あたりには一定の広告費が必要ですが、AIOの場合、売上に対して非常に高い利益率を実現できると考えています。このような読みのもと、計画を立てています。

質問者:7割、8割はシャノン社が寄与するということでしょうか?

富田:イノベーショングループ全体です。今回はシャノン社を中心とした開示となっていますが、今期以降はシャノン社も含めて同じくらいのイメージを持っています。

質疑応答:シャノン社の成長見通しについて

質問者:シャノン社は良いペースで業績が進捗していますが、どの程度まで伸びると考えていますか?

富田:マーケティングオートメーション市場の成長は鈍化しており、これまではCAGR120パーセントや130パーセントで伸びていたものの、リサーチ会社の予測では、今後は115パーセント程度にとどまる見込みです。

一方で、先ほどお話しした「Adobe Marketo Engage」「HubSpot」「Salesforce Marketing Cloud」といった外資系ベンダーが、マーケティングオートメーションツールに関してトーンダウンしており、AI分野に注力しているため、お客さまへのサポートがやや弱くなっています。

具体的には、導入したものの十分に活用できておらず、例えば「毎月50万円払っているが、メール配信しかしていない」という企業も多く存在します。

こうした企業について、一社一社丁寧にリプレイスを進めることが可能だと考えています。ブームが去った今だからこそ、しっかりとサポートできる企業が強くなると捉えています。この取り組みを強化することで、シャノン社もさらなる成長が期待できると考えています。

質疑応答:採用計画について

質問者:従業員数はどのくらい増やす想定ですか?

富田:従業員数は現在333名ですが、シャノン社は約80名減っています。

山﨑浩史氏(以下、山﨑):取締役会長の山﨑です。シャノン社は約250名だったところから、現在は約180名まで減っています。

富田:だいぶ効率的な営業ができるようになっています。どちらかというと、人を増やして売上を上げるという方針ではありません。当社では、新卒採用は継続していますが、今期に入って中途採用を一時的にストップしています。

今回お伝えしませんでしたが、AIの活用が社内で相当進んでいます。技術部門では外注していた業務を内製化し、マーケティング部門では広告代理店に依頼していた広告をすべてAIに任せることで、毎月数百万円の原価を削減しています。

また、特に「ITトレンド」のユーザーやクライアントから非常に多くの問い合わせが寄せられており、5名の専任メンバーが対応していましたが、2名で対応できるようになるなど、AIを活用したコスト削減が実現しています。

AI活用により人員を増やさずにトップラインを伸ばし、収益が向上するような方向で組織を考えています。したがって、従業員数は約300名という規模から大きく増加することはないと見込んでいます。

質疑応答:シャノン社の売上推移、営業利益の見通し、人件費削減方針について

質問者:シャノン社の売上は前期と比べて伸びているのでしょうか? そのため、人件費は削減するということでしょうか?

山﨑:TOB以降、シャノン社は不採算だった新規事業などを売却しているため、直近ではトップラインは減少しています。ただし、本業である「SHANON MARKETING PLATFORM」は伸びています。

シャノン社全体として見ると、当社がTOBする前は小規模な買収を繰り返していた影響で売上は増加していましたが、大幅な赤字を抱えていました。そのため、不採算事業を売却した結果、トップラインが減少しています。これにより、本業に集中した状態となりました。

リストラは行っていませんが、採用抑制を2年間続けています。また、経営体制の変更もあり、経営方針に賛同しなかった社員が退職したこともあって、大幅に人員が減少しました。

一方で、AI活用などを含めて業務効率が向上した結果、1人当たりの労働負荷は低下しています。従業員数は約250名から180名程度まで減少しましたが、労働時間をチェックしたところ短縮されており、コスト効率が非常に向上しています。

売上については、先ほどお話ししたとおり、本業は伸び続けています。本業はサブスクリプション型の事業であり、基本的に毎月定額の収入が入る仕組みです。

清算した事業はワンタイムで収益を上げるもので、受注時には利益が上がる一方で、受注がない時にはコストだけが残るという体制でした。その事業がなくなったことで、安定して売上が伸びていくかたちとなっています。

また、スライドの数字はシャノン社との合計を示しており、わかりにくいですが、先ほど「当社の目標とする営業利益が非常に高い」というご質問がありました。シャノン社は当社が56パーセントの持分を保有する連結子会社であるため、営業利益は100パーセント取り込まれます。

したがって、この営業利益の数値にはシャノン社の利益もそのまま反映されますが、今後9年間にわたり、のれんが毎年2億円発生する予定です。そのため、シャノン社が上げた営業利益から2億円を差し引いた金額が、当社の営業利益として計上されます。

例えば、シャノン社の今期の営業利益予想が約3億円ですので、2億円を引いた約1億円が当社の営業利益に含まれることになります。そのため、イノベーション単体で営業利益を約3,000万円計上すると達成するということです。

前期は大きな赤字となりましたが、今期は計画以上の結果を目指しています。シャノン社の数字と約3,000万円以上の利益を出すことで、これは達成可能です。したがって、すでにコミットされた数字といえます。

当然ながら、当社はシャノン社がさらに上方修正を出せるよう、引き続き利益を拡大していきます。また、イノベーションも計画の数値を確保するだけでなく、さらに利益を伸ばしていく方針です。その結果、この数字を上回ることができると考えています。

中期経営計画のイメージについては、先日、四季報で「シャノン社は今期に約5億円の利益が出る」という予想を出していましたが、例えばシャノン社が来期に5億円を計上した場合、2億円ののれんを差し引いても、3億円となります。つまり、当社として単体で2億円の利益を出せば、合計5億円を達成できます。

さらに過去を振り返ると、当社は約7億円の営業利益を達成したことがありますので、7億円にシャノン社の3億円を加えれば、10億円の達成も可能性として十分にあると考えています。したがって、この計画には蓋然性があると思っています。

そして、10億円の達成が見えてくると、最終年度の目標と比較してさらに4億円以上を出せるかが計画達成までの差分になります。このようにご理解いただくと、実際にはそこまでハードルは高くないのではないかと思います。ただし、環境の変化は非常に激しいため、コミットするのは決して簡単ではないと考えています。

質疑応答:シャノン社ののれん償却期間について

質問者:のれんの償却は、あと何年ほどかかりますか?

山﨑:9年程度です。10年償却で20億円を償却しています。

質疑応答:セグメント利益と本部管理コストの関係について

質問者:セグメント利益には、本部の管理コストも含まれていますか?

富田:含まれていません。

質問者:単純に事業の利益ということですね。オンラインメディア事業の売上約11億円とITソリューション事業の売上約3億円、つまり14億円から他の事業部門の損益を引いても、まだかなりの利益が残っているのではないかと思います。そこから本部の管理コストなどが引かれて、最終的な着地となるのでしょうか?

富田:そのとおりです。営業利益は、セグメント利益から本部の管理コストを差し引いたものになります。

質問者:本部管理コストの上がセグメント利益ですか?

富田:おっしゃるとおりです。

質疑応答:データ活用を売上拡大につなげていく取り組みについて

質問者:今後の売上拡大のための取り組みに関しておうかがいします。先ほど社長からお話があったとおり、データベース管理を行い、アップセルやクロスセルを通じてLTVを向上させていくという方針かと思います。

SaaS製品ではコモディティ化がかなり進んでおり、商品間の格差が少なくなっている中で、どちらかというとITや効率性ではなく、アフターフォローや感情的なリアルコミュニケーションなどに注力していくと理解しています。

私の感覚では、データベースを活用してLTVを向上させるというのは多くの企業が掲げているものの、実際にはリアルへの転換が難しく、苦手な企業が多いように感じています。今後、計画している数字を作り出す過程で、営業や実際の販売活動とどのように結びつけていくのかについて教えてください。

山﨑:まずはデータの質についてお話しし、その後でリアルの部分についてご説明します。当社のデータは、業界内で非常に価値が高いと言われています。

例えば、日経グループの日経ID会員数は約1,000万IDですが、これらのIDは「日経電子版」や日経BPの雑誌を読むために登録されたものです。彼らが抱える課題は、登録時の情報がそのまま変更されずに使われていることです。なぜなら、情報を更新しなくても新聞や雑誌を読むことが可能だからです。つまり、データがアクティブに利用されていません。

ここで言う「データがアクティブではない」とは、新聞を読むという行動自体はアクティブでも、データそのものが更新・活用されていない場合を指しています。

当社のデータはそこまで多くはありませんが、資料請求やさまざまな製品の購入といったアクションが日々発生しているデータとなっています。そのため、実はすでにリアルと結びついているデータだと言えます。

例えば、Amazon.com社では「Amazon」の購買利益といったデータがあります。当社の場合は、BtoBにもかかわらず、珍しくアクションが発生しているデータを持っているという特徴があります。

BtoBのデータは、一般的にはあまり動いていないことが多いのですが、当社のデータは動いている点に大きな価値があります。しかし、当社はBtoBのマッチングに焦点を当てていたため、アクティブデータに関心を持たずにいました。

アクティブデータは非常に希少で、このデータベースを持っていることが当社の強みとなっています。「それを使ってビジネスを展開しよう」ということが、今回説明しているお話です。

質問者:質の高いデータを持っていることは理解しました。一方で、私の経験上、そのような質の高いデータも扱う人次第で成果に結びつかないことがあると思います。この点についてはどのようにお考えでしょうか?

富田:事業横断的な取り組みが必要で、クロスセル・アップセルでは組織運営が非常に重要になると考えています。営業やカスタマーサポート、カスタマーサクセスの担当者がデータをどのように活用するかは、マネジメントにかかってくると思います。

部門間の情報共有、評価といった組織運営に関連する部分が非常に重要であり、難易度が高いことだと考えています。

質問者:おそらく、横軸の一気通貫は非常に重要だと思います。データベースに対する実利を作る部分は、他の会社でも意外に困難で、簡単にできそうに見えても1年後に実現できていないことがあるため、質問させていただきました。

富田:ありがとうございます。

富田氏からのご挨拶

富田:株主のみなさまへのご期待に応えられるよう、がんばっていきますので、今後ともご支援のほどよろしくお願いします。長時間にわたりご質問いただき、誠にありがとうございました。

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