■要約
ダイコク電機は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売の情報システム事業と、パチンコ・パチスロ遊技機に関わるソフト・ハードウェアの開発・製造・販売等を手掛けるアミューズメント事業を展開している。主力のホールコンピュータ(台管理システム)分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界シェアは首位である。また、パチンコホールの経営を支援する会員制情報提供サービス「DK-SIS」では会員3,347件とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。2022年11月より市場導入されたスマート遊技機※が順調に稼動を高めると、パチンコホールにおける設備投資の回復とともに業績も急拡大し、新たなフェーズに入った。2025年5月には2030年ビジョンと3ヶ年の中期経営計画を公表した。パチンコ業界の未来の創造、並びに新たな市場創出に向けて積極的な先行投資と事業ポートフォリオ改革に取り組む方針だ。
※ 2022年11月からスマートパチスロ機、2023年4月からスマートパチンコ機が市場導入された。玉やメダルに触れることなく遊技することができ、パチンコホールにおける玉やメダルに関わる設備が不要になること、遊技性能が既存の遊技機よりも向上することなどに特長がある。遊技機メーカー団体(日本遊技機工業組合・日本電動式遊技機工業協同組合)が推進していることもあり順調に入れ替えが進んできた。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.5%減の54,337百万円、営業利益が同21.0%減の9,673百万円と減収減益ながら、計画を上回る着地となった。減収となったのは、新紙幣発行に伴う改刷対応特需の反動によるものであり、その点は想定内である。情報システム事業は、スマート遊技機の導入が想定以上に進んだことに伴い、スマート遊技機に最適な同社製品(カードユニットや呼び出しランプ等)が順調に伸びた。アミューズメント事業についても、自社スマートパチスロ機の販売が計画を上回った。その結果、特需はく落の影響を受けながらも、過去2番目の売上水準を確保することができた。利益面でも、特需の反動により減益となったが、ベース利益の積み上げなどにより計画を上回った。活動面では、データ活用ビジネスでの他社との協業やクラウド新サービスの提供開始、新規事業(抹茶関連事業)などで具体的な進展があった。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績予想について同社は、売上高を前期比11.7%減の48,000百万円、営業利益を同53.5%減の4,500百万円と減収減益を見込んでいる。減収となるのは、前期にスマート遊技機の導入が想定を上回ったことの反動(導入ペースの鈍化)により、情報システム事業の伸びが調整される可能性や、前期は自社パチスロ機の販売が好調であったアミューズメント事業について慎重に見ていることが理由である。利益面でも、減収による収益の下押しに加え、将来を見据えた研究開発費の増加などにより大幅な減益を見込む。ただ、年間配当は前期と同額の1株当たり100円を維持する予定だ。
3. 中期経営計画
現在推進中の中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、同時に公表された2030年ビジョン「Make CX Amazing ~未知の顧客体験を世界に~」の実現に向けて、将来の成長のための事業基盤の拡大と積極的な先行投資に取り組む方針である。特に、既存事業における新規分野への進出、並びに事業ポートフォリオ改革に向けた新規ビジネス投資などに取り組む。最終年度(2028年3月期)の目標として売上高490億円、営業利益63億円、ROE8%超を掲げるとともに、2030年ビジョン(2031年3月期)では売上高600億円、ROE10%超を目指すほか、新規事業構成比を25%まで高める構想である。
■Key Points
・2026年3月期は改刷対応特需の反動により減収減益も、計画を上回る着地
・スマート遊技機の導入に伴う主力製品の伸びや自社スマートパチスロ機の販売が業績の上振れに寄与
・2027年3月期はスマート遊技機の導入鈍化や研究開発費増により減収減益も、配当は維持する予定
・中期経営計画では、既存事業における新規分野への進出、並びに事業ポートフォリオ改革に向けた新規ビジネス投資などに取り組む方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)