■要約
たけびしは、産業用電機品・電子部品から医療・社会インフラ分野まで幅広く事業を展開している。1926年創業の技術商社で、主力の三菱電機製品に加え、パートナー製品と自社製品、システム開発などを組み合わせたトータルソリューションを提供している。三菱電機系商社としての基盤を持ちながらも、三菱電機製品の取り扱い比率は約30%であり、多様なメーカーの製品を最適に組み合わせるコーディネート力を強みとしている。2026年4月に創立100周年を迎えた。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、売上高で前期比8.8%増の109,862百万円、営業利益で同19.2%増の4,084百万円、経常利益で同18.4%増の4,453百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.2%増の2,957百万円となり、売上高・各段階利益ともに過去最高を更新し、期初計画も大幅に超過達成した。半導体・デバイス事業ではインドのスマートメーター・車載関連向け電子部品の販売が伸長し、国内ではセキュリティカメラやAI関連向け産業用PCが寄与した。社会・情報通信事業では医療機器の商圏拡大や環境分析ビジネスの寄与により増収となった一方、産業機器システムはFA機器の顧客在庫調整の長期化により減収となった。利益面では、人件費を中心に販管費が増加したものの増収効果で吸収し、売上高営業利益率は同0.3ポイント改善した。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.9%増の113,000百万円、営業利益で同5.5%増の4,310百万円、経常利益で同3.5%増の4,610百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.8%増の3,100百万円と増収増益を計画し、2期連続の過去最高更新を目指す。FA・デバイス事業ではFA機器の需要回復やAI投資の継続を見込むほか、インド市場の成長けん引や国内の太陽光発電関連需要拡大を想定している。一方、社会・情報通信事業では前期に好調だった医療機器の反動減を見込むものの、環境商材は堅調に推移する計画である。なお、2027年3月期は中期経営計画の最終年度であるが、売上高及び経常利益は目標水準には達していない。FA機器を中心とした基幹ビジネスの回復が想定より遅れていることに加え、当初想定していた大口案件の後ろ倒しやM&A投資が実行に至っていないことなどが主な要因となっている。さらに、中東情勢などによる先行き不透明感もリスクとして織り込む。一方、これまで進めてきた成長戦略の取り組み自体は着実に進展しており、M&Aなどを含めた成長施策により超過達成の可能性も視野に入れている。
3. 株主還元
同社は累進配当を基本方針とし、配当性向40%以上、DOE(株主資本配当率)4%以上を目標に安定的で継続的な利益還元を重視している。2026年3月期の年間配当は72.0円(配当性向39.0%)となり、DOEは3.1%であった。2027年3月期は、年間80.0円(同41.4%)を予想しており、8.0円の増配、DOEは3.3%を予定している。配当性向は目標水準の達成を見込んでいることに加え、累進配当方針を継続して具現化している。また、株主優待制度も実施しており、保有株式数に応じたクオカードを贈呈している。利益成長と財務健全性のバランスを保ちながら、累進配当方針の下で安定的な株主還元を継続する姿勢を明確にしている。
■Key Points
・2026年3月期は売上高・各利益とも過去最高。AI関連、インドビジネスが業績をけん引
・2027年3月期はFA機器の在庫調整が一巡し、増収増益を見込む
・中期経営計画最終年度の2027年3月期計画は下方修正も、成長投資により超過達成も視野
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)