■たけびしの業績動向
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、売上高で前期比8.8%増の109,862百万円、営業利益で同19.2%増の4,084百万円、経常利益で同18.4%増の4,453百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.2%増の2,957百万円となった。売上高・各段階利益ともに過去最高を更新し、期初計画も大幅に超過達成した。
売上面では、半導体・デバイス事業においてインドのスマートメーター・車載関連向け電子部品の販売伸長に加え、国内ではセキュリティカメラやAI関連向け産業用PCが寄与した。社会・情報通信事業では、医療機器の販売が商圏の拡大により伸長したほか、環境分析ビジネスが通期で寄与した。一方、産業機器システムではFA機器の顧客在庫調整が長期化し減収となった。
利益面では、人件費を中心に販管費が増加したものの、増収効果により吸収し、売上高営業利益率は前期比0.3ポイント上昇の3.7%となった。在庫償却及び評価損の減少も増益に寄与し、営業利益以下の各利益項目はいずれも2ケタ以上の増益となった。
2. 事業セグメント別の動向
(1) 産業機器システム
産業機器システムは、売上高で前期比1.9%減の39,578百万円、営業利益で同1.8%減の1,921百万円、営業利益率は4.9%となった。スマートファクトリー構築に関わる装置システム(半導体・液晶関連向け)は堅調に推移した一方、FA機器は大手顧客の在庫調整が長期化し、産業メカトロニクス案件(放電・レーザー加工機)も伸び悩んだ。ただし、高付加価値な装置ビジネスが利益率を下支えし、減益幅は小幅にとどまった。
(2) 半導体・デバイス
半導体・デバイスは、売上高で前期比13.8%増の38,056百万円、営業利益で同51.1%増の848百万円、営業利益率は2.2%(前期比0.5ポイント上昇)となった。インドでは、スマートメーターや車載関連向け電子部品の販売が大幅に伸長した。国内でも、防犯意識の高まりを受けたセキュリティカメラやAI関連向け産業用PCが寄与した。また、梅沢無線電機の業績回復や、のれん償却の一部終了も利益率の改善に寄与した。
(3) 社会・情報通信事業
社会・情報通信事業は、売上高で前期比18.4%増の32,228百万円、営業利益で同44.7%増の1,314百万円、営業利益率は4.1%(前期比0.8ポイント上昇)となった。社会インフラの売上高は22,942百万円(同22.7%増)となり、大きく伸長した。放射線がん治療装置の商圏を中四国エリアへ拡大した効果が表れたほか、防衛事業関連向け非破壊検査装置の増加も寄与した。情報通信の売上高は9,285百万円(同9.1%増)となった。Windows 10サポート終了に伴うOA機器更新需要に加え、ファーストブレインの環境分析ビジネスも好調に推移した。同ビジネスは高利益率であり、営業利益率の改善に寄与した。
在庫圧縮を中心に運転資金負担を軽減、財務の健全性が向上
3. 財務状況と経営指標
2026年3月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比1,197百万円増加の64,889百万円となった。流動資産は売上債権が1,677百万円減少、棚卸資産が706百万円減少により、同1,293百万円減となった。一方、固定資産では、投資有価証券が2,079百万円増加、有形固定資産が545百万円増加したことにより、同2,490百万円増加した。なお、投資有価証券の増加は新規取得ではなく既保有株式の時価上昇によるものである。
負債合計は前期末比2,196百万円減少し、20,649百万円となった。流動負債は、買掛債務が2,587百万円減少したことを主要因として同2,709百万円減となった。固定負債は512百万円増加した。
純資産は前期末比3,393百万円増加の44,240百万円となった。
収益性指標では、ROAが6.9%(前期比1.1ポイント上昇)、ROEが7.0%(同0.3ポイント上昇)となり、いずれも上昇した。安全性指標では、自己資本比率が68.1%(同4.0ポイント上昇)、流動比率が266.7%(同27.8ポイント上昇)、D/Eレシオが0.03倍となり、財務の健全性が一段と向上した。
4. キャッシュ・フローの状況
2026年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,981百万円の収入となった。税金等調整前当期純利益4,448百万円、減価償却費484百万円、売上債権の減少1,676百万円、棚卸資産の減少681百万円が収入増加に寄与した一方、仕入債務の減少2,590百万円が支出となった。売上債権は、長期案件の売上計上に伴い減少した。また、それに伴い仕入債務の支払サイトを短縮したことから仕入債務も減少した。棚卸資産については、意識的に削減を進め、運転資金負担の軽減を図った。同社では、棚卸資産の適正水準を月商の約1ヶ月分としている。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,804百万円の支出となった。主な支出は有価証券の取得700百万円及び有形固定資産の取得671百万円であった。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,158百万円の支出であり、配当金の支払1,057百万円が主要因である。この結果、2026年3月期末の現金及び現金同等物は88百万円増加し、同期末残高は8,850百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)