国内の注目銘柄を紹介する連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」。ビジネスモデルやファンダメンタルズの分析を通じて、中長期で保有できる優良銘柄の見極め方が身につく実践的シリーズです。今回は、ミライアルを取り上げます。
世界トップシェアの搬送容器を手がける半導体関連株
ミライアル(4238)は、半導体の材料であるシリコンウェーハ(半導体チップを作る円盤状の基板)を運ぶ容器や、製造装置まわりで使う高機能樹脂製品を手がけます。2026年1月期のセグメント売上高ベースでは、半導体関連製品やフルイドシステム製品(薬液などを流す配管・継手)、電子部品、金型を扱うプラスチック成形事業が87.8パーセント、竪型射出成形機(樹脂を金型に流し込む装置)や金型を扱う成形機事業が12.2パーセントでした。
売上の大半が半導体関連に偏るため、同社の業績は半導体の生産量や設備投資の波を強く受けます。ただし、2027年1月期第1四半期は、売上高39億2,500万円で前年同期比26.4パーセント増、営業利益2億3,900万円で同121.2パーセント増となり、足元では回復の兆しも出ています。
FOSB・FOUPで競争優位、精密成形と品質管理が参入障壁に
主力は、FOSB(ウェーハを出荷するときに使う容器)やFOUP(工場内でウェーハを工程間搬送する容器)を含むシリコンウェーハ搬送容器です。会社資料では、これらの搬送容器で世界トップシェアを誇るメーカーと説明されています。
半導体製造では、ウェーハ表面への異物付着や微細な傷が歩留まりを悪化させます。そのため容器には、外部の汚染からウェーハを守る清浄度、搬送中の接触やズレを起こしにくい寸法精度、使用中に不純物を出しにくい材料安定性が求められます。
容器の品質が顧客の製造効率に直結するため、認定済み部材は切り替えにくく、精密成形と品質管理を積み上げてきた同社に有利に働きます。
2028年にシリコンウェーハ出荷面積が過去最高へ、搬送容器の需要回復に期待
最重要テーマは、ウェーハ搬送容器の需要回復です。SEMI(国際的な半導体製造装置・材料の業界団体)は、世界のシリコンウェーハ出荷面積について、2028年に過去最高を更新すると予測しています。
FOSBはウェーハメーカーからデバイスメーカーへの出荷や工場間輸送で使われるため、ウェーハ出荷の増加が需要回復につながりやすいと見られます。またFOUPは半導体工場内の工程間搬送で使われるため、デバイス工場の稼働率や投資動向もあわせて確認する必要はあるものの、シリコンウェーハ出荷面積の増加は追い風になると考えられます。
2027年1月期第1四半期のプラスチック成形事業は、売上高35億5,800万円で前年同期比21.9パーセント増、営業利益3億9,300万円で同28.8パーセント増でした。会社は、AIを中心とした半導体市場の需要が回復し、ウェーハの在庫調整は底打ちしたものと見ています。これは、搬送容器の需要回復シナリオを確認する上で前向きな材料です。
これを受けて熊本事業所ではFOSBやFOUPの生産ライン自動化を進める方針で、需要回復と稼働率改善が重なれば、収益率向上につながる可能性があります。
2028年度に営業利益率20%目標、需要回復と新製品育成が焦点
同社は中期成長戦略の中で、最終年度の2028年度(2029年1月期)に売上高239億円、営業利益47億円、営業利益率20.0パーセント、ROE 11.1パーセントを目指しています。一方、2026年1月期実績は売上高125.7億円、営業利益5.1億円にとどまり、目標との距離は大きいと言えます。
半導体市場の回復が緩やかで搬送容器の需要が戻り切らなかったことや、売上減少による工場稼働率の低下、減価償却費の増加が響きました。2027年1月期第1四半期は回復しましたが、中期目標の営業利益率20.0パーセントに対して、本格回復はまだ確認途上です。半導体市場の自然回復を待つだけでなく、搬送容器を深耕しながら、高機能樹脂製品や成形機もあわせて育成できるかが目標達成の焦点になりそうです。
また、同社は2027年1月期第2四半期累計の業績予想として、売上高79億7,000万円、営業利益4億8,000万円を開示しました。プラスチック成形事業は緩やかな回復基調が続く一方、既存品の需要回復には時間を要すると見ており、通期業績予想は引き続き未開示です。
総還元性向30%またはDOE 2%を下限に、配当安定化にも注目
なお株主還元面では、2026年1月期から配当方針として「総還元性向30パーセントまたはDOE 2パーセントのいずれか高い方」を下限とする見直しがありました。2027年1月期の配当予想は、第2四半期末配当が30円、期末配当は未定です。
2026年1月期の年間配当50円は会社資料でDOE 2パーセント相当と説明されており、1株当たり純資産が大きく変動しなければ、今期も前期並みの年間配当水準が意識されやすくなります。半導体関連らしい業績変動リスクは残るものの、DOE基準による配当安定化があり、直近の第1四半期では業績回復の兆しも見えました。
配当が一定程度支えられつつ、SEMIの予想どおりシリコンウェーハ出荷面積の回復が進めば、業績面の上積みも見込める銘柄と言えそうです。
さらに詳しく知りたい方へ――ログミーIR Movieのご案内
事業内容や成長戦略に触れ、「もっと詳しく知りたい」と感じた方へ。ミライアル 代表取締役社長の兵部匡俊氏と、取締役執行役員CFOの羽山哲生氏が市場環境の見通しや中期経営計画、直近のM&A、第1四半期決算、資本政策について説明しています。
また、本動画は、「PERAGARU(ペラガル)」を運営する株式会社hands代表取締役の塩谷航平氏とのインタビュー形式でお送りしています。
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【PERAGARUコラボ】ログミーIR Movie 半導体株はここから反転する?ミライアル社長に直撃取材
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執筆者プロフィール
執筆:西田哲郎
ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。
※記事内容、企業情報は2026年7月2日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。