個人投資家向け銘柄ランキングー割安かつ財務に余力のある伸びしろ企業はー(1)の続き
3. 評価結果を踏まえたランキング
◆総合ランキング
順位 銘柄名(コード) 市場 総合点 PBR 配当
1 アイコム 東証プライム 89 0.58 2.87%
2 キクカワエンタープライズ 東証スタンダード 87 0.51 2.18%
3 和井田製作所 東証スタンダード 87 0.60 3.84%
4 クリエートメディック 東証スタンダード 86 0.58 4.25%
5 トーセ 東証スタンダード 86 0.85 3.89%
6 きもと 東証スタンダード 85 0.51 0.00%
7 リズム 東証プライム 84 0.88 4.44%
8 エスケーエレクトロニクス 東証スタンダード 84 0.91 4.34%
9 ビジネスブレイン太田昭和 東証プライム 82 0.99 4.81%
10 愛知時計電機 東証プライム 80 0.85 4.08%
※2026年6月25日時点のデータに基づく
総合ランキング上位企業には、次のような共通点が見られた。
PBRが1倍前後かそれ以下で、株価が資産価値に対して割安に放置されている
時価総額を上回るほどの手元資金を持つなど、財務に余力がある
特定の支配株主がおらず、株主が銀行・ファンド・信託などに分散している
その中でも、アイコムが総合1位となった。特に評価が高かったポイントは以下の3点である。
(1) 成長・戦略産業に属するコア事業
アマチュア無線機・業務用無線機で国内トップクラス、海外でも高いシェアを持つ通信機器メーカー。外為法上のコア業種(安全保障上重要な産業)に該当する電気機器分野に属し、事業の戦略的価値が高い。
(2) 潤沢な手元資金と割安な株価
時価総額に対しネットキャッシュの割合が大きい。PBR0.6倍前後と1倍を大きく下回る水準で、株価には見直し余地が大きい。
(3) すでに投資家の視線が集まる株主構成
上位株主には投資ファンドも一部散見され、割安に放置された価値に着目した投資家の存在がうかがえる。潤沢な資金の活用や株主還元の強化といった動きが出れば、市場からの再評価につながりうる
総合2位はキクカワエンタープライズである。木工機械・産業機械分野のニッチトップ企業で、PBR0.5倍台となる一方、潤沢な手元資金と投資有価証券を抱える。最大株主の保有比率は7.2%にとどまる。潤沢な手元資金を踏まえれば、増配や自社株買いといった株主還元の余地も大きい。総合3位は和井田製作所である。研削盤など工作機械分野で独自技術を持つ企業で、PBR0.6倍と割安、ネットキャッシュも潤沢を抱えている。株主構成も地方銀行やメガバンクなどに広く分散した株主構成が特徴。配当利回りは3.8%を超えて既に高水準で、財務余力を踏まえれば一段の還元も期待される。
◆【項目別】ポイント解説
1. 上位以外の株主が分散しているのはどこか?
最大株主の保有比率が低く、特定の支配株主が不在の企業ほど、経営に変化が生まれやすいといえる。
ティアック:最大株主3.2%と極めて分散。音響・記録機器メーカー
アドバンスト・メディア:最大株主3.5%。音声認識AIの成長企業
中央倉庫:最大株主4.7%。物流倉庫大手で財務も安定
2. 戦略的な事業価値が高いのはどこか?
成長産業・独自技術を持つコア事業に属する企業は、株価の見直し余地も大きくなる。
アイコム:無線通信機器で国内トップクラス。総合1位
クリエートメディック:医療用カテーテルの専業メーカー
エスケーエレクトロニクス:フォトマスク製造(半導体・ディスプレイ)
3. 財務に余力があるのはどこか?
時価総額に対して手元資金(ネットキャッシュ)が厚い企業ほど、還元強化や成長投資の「伸びしろ」が大きいといえる。
東京機械製作所:新聞用輪転機の老舗
富士精工:切削工具メーカー
キクカワエンタープライズ:前述の通り総合2位
4. 配当利回りが高いのはどこか?
割安・好財務の条件を満たす中でも、足元の配当利回りが特に高い銘柄である。インカムゲインを重視する投資家にも魅力的といえる。
翻訳センター:配当利回り5.8%前後
ヘリオステクノホールディング:6%前後
TSIホールディングス:5.6%前後
■最後に
割安な株価水準、安定した事業基盤、潤沢な手元資金、そして特定の支配株主がいない分散した株主構成。これらが揃った企業は、何らかのきっかけで市場の評価が大きく見直される可能性を秘めている。
本レポートのランキングは、全上場企業を対象に客観的なデータを使って評価したものである。上位に並んだ企業は、いずれも「本来の価値が株価に十分反映されていない」可能性がある銘柄群といえる。もちろん、割安であることには相応の理由がある場合もあり、すべての銘柄が短期的に見直されるわけではない。それでも、こうした企業の中から「次の変化」が生まれる銘柄を探すことは、中長期で資産形成を目指す個人投資家にとって、一つの有力なアプローチとなりえるだろう。
<注>
※ 本レポートの数値は2026年6月25日時点のデータに基づいており、変動する可能性がある。実際の投資判断はご自身の責任において行われたい。
※ 本レポートは情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。
※ データ出所:フィスコ取得データ、各社公表データ