マネーボイス メニュー

澁澤倉庫 Research Memo(1):中期経営計画は順調、目標が射程圏

■要約

1. 会社概要
澁澤倉庫は、1897年に“日本資本主義の父”と言われる渋沢栄一(しぶさわえいいち)により創業された総合物流企業である。創業から120年以上にわたり培ってきた「現在のサステナビリティ(持続的成長)に通じる精神」を脈々と受け継ぎ、昭和初期の全国展開、戦後の陸・海・空への進出、そして積極的な海外展開へと業域を拡大してきた。同社の事業は、「物流事業」と「不動産事業」の2大セグメントで構成されている。同社の強みは、飲料や日用品などの消費財や多品種小ロット貨物の物流で培った圧倒的な現場専門性にある。近年は、車両・配車データのデジタル化や自動搬送機の導入といった積極的な物流DXを推進。さらに、環境負荷を低減する「モーダルシフト」の高度なノウハウを有しており、社会的課題である物流効率化と脱炭素社会の実現を同時に牽引する、確かな成長基盤を確立している。

2. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、営業収益が79,740百万円(前期比1.4%増)、営業利益が4,097百万円(同12.2%減)となった。好調な陸上運送に加え、適正な料金改定や3PL事業の拡充、新規案件の獲得などもあって、増収を確保した。料金改定については、2024年問題などを契機に理解が得られるようになっており、タイムラグはあるが、原価率の高い陸上運送を中心に改定が進んでいる。一方、前々期に竣工した新設拠点の稼働率向上が遅れたこと、前期の新設拠点立ち上げに伴う減価償却費や賃借料など諸費用が先行したこと、処遇改善や最低賃金改定に伴って労務費が増加したことなどにより、営業利益は減益となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が増益となったが、政策保有株式の縮減に伴い投資有価証券売却益を計上したためである。

3. 2027年3月期の業績予想
2027年3月期の業績予想について、同社は営業収益83,000百万円(前期比4.1%増)、営業利益5,000百万円(同22.0%増)を見込んでいる。今期は現段階で新設拠点の具体的な計画はないものの、3PL事業における飲料の好調維持や前々期および前期に稼働を開始した新設拠点のフル稼働を見込み、増収予想となった。一方、物流事業の増収効果、新設拠点の稼働率向上、価格転嫁の効果などにより、2ケタ営業増益を見込んでいる。引き続き政策保有株式の縮減に伴う投資有価証券の売却も予定している。なお、2026年5月に名鉄ワールドトランスポート(株)の全株式を名古屋鉄道より取得し、澁澤ワールドトランスポート(株)に商号を変更した。同社は名古屋鉄道グループとしての強固な事業基盤や国際物流における高度な専門ノウハウなどに強みがある。同社との協業によるシナジー効果は大きく、早期の収益性向上が見込めるものの、今期予想にはこれを織り込んでいない。

4. 「中期経営計画2026」の進捗
同社は、創業者・渋沢栄一の「正しい道理で追求した利益だけが永続し、社会を豊かにできる」という精神を基軸に「Shibusawa 2030 ビジョン」を策定した。そのセカンドステージとなる「中期経営計画2026」を2025年3月期に開始し、収益力の強化、物流ネットワークの拡充、業域の拡大、不動産ポートフォリオの拡充、ESGへの取り組み強化という5つの成長戦略を推進している。中期経営計画2年目も、ロボティクスの導入やDC(Distribution Center)の運営モデル確立、内外の拠点拡充など進捗は順調だった。最終年度となる2027年3月期の業績予想は、営業収益850億円、営業利益53億円、ROE7%以上という中期経営計画の目標に達していないものの、澁澤ワールドトランスポートの業績改善効果などを考慮すれば、目標達成は十分に射程圏内にあると考えられる。

■Key Points
・2026年3月期は、新設拠点の立ち上げ費用や労務費の増加などにより増収減益
・2027年3月期は、拠点稼働率の向上や料金改定などにより増収大幅増益予想
・「中期経営計画2026」は順調に進捗、営業利益53億円など目標達成は射程圏

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。