■要約
アーレスティは、国内10拠点に加えて海外5ヶ国7拠点でグローバル展開するアルミダイカスト(以下、「ダイカスト」)専業のリーディングカンパニーである。Research、Service、Technologyの追求と統合によって豊かな社会の実現を目指すことを企業理念として掲げ、それぞれの頭文字RST(アール・エス・ティー)を続けて読んだ社名を冠する。主力となる自動車向けのダイカスト製品のほか、ダイカスト用金型・周辺機器、アルミニウム二次合金地金、フリーアクセスフロアなどを製造・販売する。地金製造をはじめ、製品設計から金型製作、鋳造、機械加工とグループ内で一気通貫の生産体制を整え、図面1つで世界の各工場での同一製品の生産・供給を可能にする「ワンプリントマルチロケーション」を強みとし、自動車の電動化・軽量化に伴うダイカスト需要の増加に応え成長を目指す。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、売上高が前期比2.6%増の167,092百万円、営業利益が同10.9%増の3,739百万円となった。国内自動車生産の回復や新規量産品の立ち上がりに加え、生産体制の合理化や価格転嫁の推進が寄与し、増収・増益を確保した。特に国内事業の収益改善と北米事業の損失縮小が利益成長をけん引した。一方、為替差損の計上により経常利益は減益となったものの、関係会社売却益の計上などにより親会社株主に帰属する当期純損益は黒字転換した。収益構造改革の成果が顕在化し始めている。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期は、売上高161,600百万円、営業利益1,400百万円を見込んでいる。中東情勢に起因するアルミ原材料価格高騰影響や中国市場の不透明感、自動車生産動向を慎重に織り込んだ保守的な計画となっている。一方で、同社によれば北米では米国・メキシコ拠点の一体運営強化による収益改善を進めており、北米セグメントの黒字化を目指す考えだ。また、国内ではSMARTなものづくりの浸透による生産性向上、インドでは旺盛な需要を背景とした事業拡大を進める方針である。また、価格転嫁効果や北米再建の進捗も注視したい。
3. 「2040年ビジョン」「10年ビジネスプラン」と中期経営計画
同社は2040年に向けたグループの進むべき方向として「2040年ビジョン」を掲げ、それに基づく長期経営計画「10年ビジネスプラン」のなかで2031年3月期に売上高1,800億円、営業利益率4.5%の達成を目指している。また、現在推進している25-27年度中期経営計画では「Reinvent Ahresty」をコンセプトに、SMARTなものづくりによる収益力向上を重要課題に位置付ける。新たなKPIとして「VAPH:1人時間当たりの付加価値(総付加価値÷総労働時間)」を導入し、付加価値創出を重視した経営への転換を進める。さらに、北米事業の再建、中国拠点の最適化、インド市場での成長加速を通じて地域ポートフォリオ改革を推進する。「10年ビジネスプラン」で掲げている電動車売上比率55%やCO2排出量50%削減の目標達成に向け、成長と持続可能性の両立を図る方針である。
■Key Points
・収益構造改革の進展により、2026年3月期は増収・営業増益、最終黒字化を達成
・2027年3月期の計画は保守的、北米再建と価格転嫁の進展が上振れ要因
・SMARTなものづくりと電動車シフトを推進し、持続的な成長基盤を構築
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)