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ミラタップ Research Memo(3):高い商品企画力やEC直販モデルにより、建材市場の購買体験を変革

■事業概要

1. 事業内容
ミラタップは住宅設備機器・建築資材の企画開発・輸入・販売を行う住設・建材EC事業を主力としている。キッチン、洗面、バス、タイル、床材、建具、エクステリアなど、住空間や商業空間を構成する商品を幅広く取り扱い、設計事務所、ゼネコン、工務店などの建築プロと、施主である一般消費者にも、ECサイトを通じて直接商品を提供している。販売はオンラインストアを中心に行い、商品情報、価格、施工イメージをインターネット上で開示することで、顧客が比較・検討しやすい購買環境を整えている。

同社は住宅設備機器・建築資材のEC直販モデルを採用している。従来の建材流通ではメーカー、商社、代理店、販売店、施工会社など複数の事業者を経て商品が提供されるケースが多い。これに対して同社はメーカーや協力工場から直接仕入れ、オンラインストアで顧客に販売することで、流通過程を簡素化している。また、購入者の属性にかかわらず同一条件・同一価格で販売する「ワンプライス」を採用している。価格の分かりにくさが残りやすい建材市場において、価格の透明性と購買のしやすさを高めている。

収益構造を見ると、自社で企画・開発したオリジナル商品や、国内外メーカーから仕入れた商品を販売し、仕入・製造委託コストとの差額が粗利益となる。自社工場を持たないファブレス型の体制を取ることで、商品ごとに適した国内外の協力メーカーを活用することができる。固定資産を抑えながら商品カテゴリを拡げられるため、デザイン性の高い商品を効率的に開発・販売しやすい構造となっている。売上高拡大に伴い物流費、人件費、広告宣伝費、システム関連費用などは増加するものの、ECを基盤に顧客接点を拡げることで一定のスケールメリットを見込むことができるモデルである。

同社の強みは、デザイン性の高い商品企画力と建材流通の効率化を両立している点にある。自社開発商品では「ミニマリズム」をデザインコンセプトに掲げ、空間全体の調和を意識した商品づくりを進めている。売上高の約8割をオリジナル商品が占めており、商品の企画、デザイン、開発・製造、ショールーム展示までを一貫してプロデュースする体制を整備している。また、海外輸入商品ではイタリアを中心とする欧州メーカーとの関係を生かし、国内では入手し難いデザイン性の高い商品を取りそろえている。

ECを主力としながら、実物確認の場を持つ点も競争力の1つである。住宅設備機器や建築資材はサイズ、質感、色味、空間との相性を確認したうえで選ばれる商材であるため、オンラインだけでは購買判断が難しい側面がある。その点、同社は東京、大阪、仙台、名古屋、京都、福岡に有人ショールーム、札幌と横浜にスマートショールーム(R)を展開しており、顧客が実物を確認できる体制を整えている。オンラインで商品を探し、ショールームで確認し、ECで購入する流れを構築することで、デジタルの利便性とリアルの納得感を組み合わせた販売体制を築いている。

また、住宅事業では同社独自のデザインコードを加盟工務店に提供する「ASOLIE」や、家づくりを希望する顧客と専門家をつなぐプラットフォーム「SUVACO」などを展開している。住設・建材EC事業で培った商品力とブランド認知を、空間づくり全体の提案へ拡げる取り組みである。主力のEC販売に加え、住宅・リノベーション領域との接点を持つことで、建築プロと施主の双方に対する接点を深め、商品販売にとどまらない事業領域の拡張を進めている。

2. 競合環境
同社が属する住宅設備機器・建築資材市場では、商品カテゴリごとに大手メーカーや専門商社が競合となる。主な競合先はTOTO、LIXIL、パナソニック ホールディングス、タカラスタンダード、クリナップ、ダントーホールディングス、アドヴァングループ、永大産業、ウッドワン、株式会社平田タイルなどである。キッチン、洗面、バス、タイル、床材、建具などの各領域では、長い取引実績や施工会社との関係、高いブランド認知を持つ企業が存在する。特に大手メーカーは機能性、施工対応力、保守・アフターサービス網に強みを有しており、住宅会社や工務店、販売代理店を経由したBtoBの商流で高い存在感を有している。

一方で、同社の特徴は従来のBtoB中心の建材流通とは異なり、建築プロと一般消費者の双方に直接アプローチしている点にある。競合各社も一般消費者向けにショールームや商品情報を提供しているものの、販売面では代理店や施工会社を介するケースが多い。これに対して、同社はオンライン上で商品情報と販売価格を開示し、購入者の属性にかかわらず同一価格で販売している。一般消費者が自ら商品を比較し、建築プロと同じ視点で検討できる点は他社との大きな違いである。価格が見えにくい建材市場において、分かりやすさと選びやすさを提供していることが、同社の差別化要素となっている。

同社の競争優位性の1つは、デザイン性と価格競争力を両立させている点である。大手メーカーは品質・機能・施工実績などに強みを持つ一方で、商品ラインや価格体系は既存の流通構造に沿って設計されることが多い。同社は空間全体の見え方を意識したシンプルで意匠性の高い商品をそろえながら、流通段階を抑えることで価格面でも訴求力を持たせている。単に低価格を打ち出すのではなく、デザイン性の高い商品を納得感のある価格で提供している点に同社の競争力がある。

商品ラインナップの豊富さも競合との差別化に寄与している。同社は約6,000アイテムを取り扱い、キッチンや洗面などの住宅設備に加え、タイル、床材、建具、エクステリアまで幅広い商材をそろえている。競合は特定カテゴリで強みを持つ企業が多いのに対し、同社は空間づくりに必要な商材を横断的に提案することができる。建築プロにとっては複数カテゴリの商品を同じブランド感や価格感で選定しやすく、施主に対する提案の自由度を高められる。一般消費者にとっても、住宅設備や建材を個別に探すのではなく、空間全体の統一感を意識しながら検討できる点が利点となる。

加えて、BtoBとBtoCの双方に接点を持つ販売体制も特徴である。既存の建材流通では、商品情報や価格情報がプロ向けに提供されるため、施主が自ら商品を比較・選定しにくい面がある。同社は建築プロに対して提案しやすい商材を提供する一方で、一般消費者に対しても商品情報や価格をわかりやすく提示することで、建築プロの提案力を高めるとともに、施主の主体的な商品選びを支えることができる。大手メーカーの標準的な商品や既存の建材流通では満たしにくいデザイン性、価格の透明性、選択肢の多さを求める顧客層に対応している点が、同社の競争優位性であると考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)

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