■極東貿易の業績動向
3. 財務状況
(1) バランスシートの概況
2026年3月期末の総資産は59,506百万円(前期末比1,496百万円増)となった。これは主に投資有価証券の時価評価増によるものである。一方で、約51億円の短期借入金の返済に対し、営業活動で創出されたキャッシュと、長期借入金や社債による調達資金(約21億円)を充当したことで、有利子負債全体を純額で約30億円削減した。なお、事業活動に伴う仕入債務などの増加があったため、負債合計は27,683百万円(同970百万円減)の圧縮にとどまった。これにより、純資産は31,822百万円に増加し、自己資本比率は前期の50.6%から53.5%へと2.9ポイント上昇した。
(2) キャッシュ・フローの概況
キャッシュ・フローの状況は極めて良好である。営業活動によるキャッシュ・フローは、好調な税金等調整前当期純利益に加え、営業債権の回収が順調に進んだことで5,091百万円のプラスとなった。営業活動によるキャッシュ・フローから運転資本の増減に係るキャッシュ・フローを除外した「基礎営業キャッシュ・フロー」についても2,433百万円の収入となり、実質的な本業の稼ぐ力が前期比で約20%向上している。また、フリー・キャッシュ・フローは5,190百万円の収入となり前期から大幅に改善した。この強固なキャッシュ創出力が、新中期経営計画における「成長投資と株主還元の両立」を裏付ける最大の根拠となっている。
■今後の見通し
2027年3月期は大型案件の谷間に伴う一時的な端境期へ
1. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高66,000百万円(前期比2.3%増)、営業利益2,300百万円(同11.0%減)、経常利益2,550百万円(同10.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,450百万円(同33.9%増)と予想されている。
トップライン(売上高)は全社的に成長を維持するものの、営業利益及び経常利益が2ケタの減益となる見通しである。この減益の主因は、産業設備関連部門における「国内事業の大型設備案件」が更新周期の端境期(谷間の時期)に該当するためである。同社の祖業とも言える国内プラント向け機器・設備事業は、顧客である大手鉄鋼・化学メーカーなどの設備投資サイクルに依存する性質が強く、数年に一度の大型更新プロジェクトが完了した翌期には構造的な反動減が生じやすい。2027年3月期はまさにこの反動減の局面に当たるため、会社側は保守的な業績予想を策定している。
事業セグメント別見通しと成長ドライバー
国内設備の端境期という逆風はあるものの、その他の事業セグメント及び海外事業は総じて堅調な成長が見込まれている。
2. 事業セグメント別見通し
(1) 産業設備関連部門
国内の大型設備更新が一巡する影響でセグメント利益は800百万円への減益を見込むが、航空宇宙・防衛事業の伸長や、海外プラント向け重電機器の安定的な需要が下支えする。
(2) 産業素材関連部門
航空機産業の本格的な回復に伴う機内設備向け接着剤のさらなる伸長に加え、食品加工設備におけるオーバーホール案件の引き合いが多数寄せられている。また、海外向け自動車部品も引き続き好調に推移し、セグメント利益は650百万円の増収増益を見込む。
(3) 機械部品関連部門
前期に苦戦した精密ファスナー関連事業が堅調な推移を取り戻すとともに、需要の波があった船舶補修部品事業(ウエルストン)においても市場の回復を見込んでいる。ベトナムやインドへの拠点拡大効果も徐々に発現し、セグメント利益は850百万円の増収増益となる見通しである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)