■オーバルの中長期の成長戦略
2. 中期経営計画達成に向けた取り組み
具体的な取り組み計画と実績は以下のとおりである。
(1) センサ事業成長戦略
センサ事業では、まず新製品・リニューアル製品の売上拡大に向けて、時代の流れに対応した主力製品のモデルチェンジと新たな市場へ新製品投入を行う。現在の主力製品はコリオリ流量計、容積流量計、渦流量計であるが、2025年3月期には超音波流量計「UC-1」をリリースしている。これは、「完全工事レス」をコンセプトに開発された液体用クランプオン形超音波流量計である。簡単・手軽に流量計測を行うことが可能であるため、工場や商業施設におけるユーティリティ流体(水、温水等の施設の稼働に不可欠な流体)の計測に最適だ。従来はコストや工事期間等の面から導入が困難であった枝管についても、隅々まで流量を可視化することで、水資源の使用状況を把握し、無駄の削減につなげることが可能となり、省エネ・脱炭素への貢献が期待できる。今後も新製品やモデルチェンジ製品を発表し、2028年3月期には、新製品・リニューアル製品の売上高を2025年3月期比30%増とする計画だ。
また、センサ事業では水素・アンモニア関連事業の拡大を目指して、脱炭素社会の構築と代替エネルギーサプライチェーンに関連する製品・サービスの開発・提供に積極的投資・推進をする。2028年3月期には、水素・アンモニア計測向け製品の売上高を、2025年3月期比50%増とする計画であり、地球温暖化対策として脱炭素への取り組みを推進する考えである。
新たな取り組みとしては、主力製品であるコリオリ流量計 ALTImassIIをベースに、視認性・操作性・メンテナンス性を向上させた新製品「ALTImassII PLUS」を、2026年秋に発売開始予定である。この新製品は、従来品の約3倍の解像度を持つ高解像度フルドット液晶表示器のほか、日本語、英語、中国語といった多言語対応、視認性の向上を特長とする。操作面では、高感度な静電容量式タッチスイッチと、上下左右キー及び4点の機能アイコンを組み合わせ、直感的で心地良い操作性を実現、メンテナンス性においては、画面の向きを90°ステップで回転できる機構を搭載する。さらに、同時開発した専用スマートフォンアプリを用いることで、離れた場所から遠隔で設定変更や状態確認が可能となる。この新製品の売上寄与が期待される。
(2) サービス事業成長戦略
サービス事業では、水素・アンモニア関連事業の拡大を目指して、高精度で信頼性の高い水素計測流量計を供給するために、国内でも希少な水素実ガス校正設備を建設した。
同社では、2024年3月期より大流量の水素ガス流量計校正設備「OVAL H2 Lab」建設構想への対応を進めてきた。流量計の精度を左右するのが、「校正」と呼ばれる工程である。校正とは、実際に計測する流体(気体や液体)を流量計に流し、標準器との計測値のズレやバラつきをチェックする作業のことだ。適切な校正は、高精度かつ信頼性の高い計測を実現するうえで重要な役割を果たしている。
2026年2月には、国内でも希少な水素実ガス校正設備が完成した。新設備により、水素計測流量計の品質向上、メーカーを問わず水素計測流量計の校正対応が可能になった。これを背景に、高い信頼性を備えた流量計校正サービスの提供や、国内でも数少ない大流量対応の水素実ガス校正設備を有する強みを生かした他社製品の校正需要の取り込みが進み、2027年3月期からの業績貢献を見込んでいる。同社では、温暖化対策としての脱炭素・カーボンニュートラルの実現といった持続可能社会に貢献するためにも、水素流量計のクオリティ向上に注力しており、この分野のトップランナーであると自負している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)