■今後の見通し
1. 2027年3月期の業績見通し
タクマの2027年3月期の連結業績は、売上高が191,000百万円(前期比15.3%増)、営業利益が17,800百万円(同15.5%増)、経常利益が18,500百万円(同13.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が15,400百万円(同12.1%増)と、2ケタ増収増益を見込んでいる。売上高は豊富な受注残高の順調な工事進捗により、2002年3月期以来の過去最高更新を、営業利益・経常利益も増益を見込む。親会社株主に帰属する当期純利益は、3期連続の過去最高更新を見込んでいる。また受注高は前期に大型案件を多数受注した反動などにより減少するものの、引き続き過去3番目の高水準である200,000百万円規模を見込む。
2. 中長期の成長戦略
同社グループの長期ビジョン「Vision2030」は、再生可能エネルギーと環境保全を軸に、2031年3月期に経常利益200億円以上の達成を目指している。第14次中期経営計画では、一般廃棄物処理プラントの受注拡大やストックを最大限活用した収益モデルの確立に注力している。一般廃棄物処理ブラントの堅調な更新需要を捉えた受注拡大や、メンテナンスをはじめとしたストック型収益の伸長など、事業環境が堅調に推移していることを受け、2025年5月に第14次中期経営計画の目標を上方修正した。修正後の目標に対してもおおむね順調に推移しており、引き続き「Vision2030」実現に向けた成長基盤の強化を図る。
(1) 長期ビジョン「Vision2030」
2030年に向けた長期ビジョンとして「Vision2030」を掲げている。再生可能エネルギーと環境保全を軸に、社会インフラを支えるリーディングカンパニーとして2031年3月期に経常利益200億円以上の達成を目指している。
(2) 第14次中期経営計画
第14次中期経営計画は、「Vision2030」の実現に向けた重要なステップとして、一般廃棄物処理プラントの受注拡大とストック型収益モデルの強化を中核に位置付けている。EPC事業の競争力維持に加え、民生熱エネルギー事業や設備・システム事業の着実な収益拡大、海外事業の実績づくり、M&Aや新規事業創出、経営基盤の強化を基本方針として推進している。
第14次中期経営計画2年目にあたる2026年3月期の業績は、売上高165,620百万円、営業利益15,409百万円、経常利益16,279百万円、親会社株主に帰属する当期純利益13,732百万円、ROE12.4%となった。豊富な受注残高を背景とした順調な工事進捗や、IHI汎用ボイラの連結子会社化などにより増収増益を達成した。
(3)基本方針
環境・エネルギー(国内)事業での一般廃棄物処理プラントの更新・基幹改良工事の受注と、ストックを最大限活用した収益モデルの確立に優先的に経営資源を投入する。また、民生熱エネルギー事業や設備・システム事業において着実に収益を拡大し、海外事業では、将来を見据えた実績づくりを推進する。
a) 経営基盤の強化
「持続的成長の実現に向けた経営基盤強化」を掲げ、特に人材の確保・育成、DXの推進、品質・安全・コンプライアンス体制の強化に注力する。具体的には、エンジニアリング、施工、メンテナンス人材の拡充や現場力向上を図るための教育体系の整備、技術承継やナレッジの共有を促進する取り組みを強化する。また、デジタル技術を活用した業務効率化や安全管理の高度化にも取り組み、リスクマネジメントの高度化と経営の透明性向上を目指す。さらに、企業価値の持続的な向上に向けて、内部統制の整備やコンプライアンス遵守の徹底といったガバナンス体制の強化にも注力しており、「Vision2030」に向けた強固な経営土台づくりが進行中である。
b) セグメント別の進捗状況
環境・エネルギー(国内)事業は、豊富な受注残高を背景とした工事進捗が順調で増収増益となった。将来性に向けては、成長をけん引する中核のドライバーである運転管理やメンテナンスなどのストック型ビジネスのさらなる拡大を推進している。また、EPC事業の拡大やカンエイメンテナンスの孫会社化を通じ、アフターサービス事業の体制強化を図る。環境・エネルギー(海外)事業は、複数のプラントが大きく進捗した前期に比べて進捗が減少したものの、タイや台湾などの現地法人を置く地域を中心に事業を展開している。将来性については、長期ビジョン「Vision2030」におけるグループ事業の柱の1つへと育成することを目指し、現地のニーズに応じたEPC案件の獲得やアフターサービスの拡大・深耕による中長期的な成長基盤の構築を推進している。民生熱エネルギー事業は、受注増加や案件の工事進捗等により大幅な増収増益となった。新しく加わったIHI汎用ボイラとの一貫した体制を強みに、顧客の省エネや脱炭素ニーズに応える製品・サービスの提供を通じてさらなる事業拡大を進めている。設備・システム事業は、建築設備及び半導体産業用設備の減少により減収となったが、建築設備での利益率改善により増益を達成した。今後も培った技術力とサービス体制を生かし、安定的な収益確保と事業基盤の強化を推進している。
c) 資本政策
資本コストを意識したROE目標値の設定として、第14次中期経営計画では、自社の資本コスト(8.9%程度)を上回る水準を目指している。最終年度(2027年3月期)のROE目標値は、当初計画の「10.0%程度」から、2025年5月には「11.5%以上」へと上方修正した。さらに、2026年2月公表時には、これを「13.5%」へと再上方修正している。株主資本コストや資本効率を明確に意識した経営を行うことで、中長期的な企業価値及び株主価値の向上を追求する方針である。
また、新たな株主還元方針として、株主還元のさらなる充実と資本効率の向上を図るため、配当目標を配当性向50%またはDOE(自己資本配当率)4.0%の両基準で算出した金額のいずれか高い方に設定しているほか、2027年3月期までの3ヶ年合計で約180億円の自己株式取得を計画している。これらと並行し、保有目的の適切性や経済合理性を検証した結果に基づき、政策保有株式の縮減を積極的に推進している。
キャッシュアロケーションにおいては、強固な財務基盤を維持しながら、営業キャッシュ・フローなどから得られる原資を成長投資と株主還元へバランスよく配分する。既存事業の基盤強化、脱炭素・M&Aなどの成長投資へ充当するとともに、「株主還元」にも果敢に資金を配分し、最適な資本構成と資本効率の向上を追求している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)