■丸山製作所の業績動向
1. 2025年9月期の業績概要
2025年9月期の業績は、売上高で前期比3.2%増の41,266百万円、営業利益で同7.5%減の1,080百万円、経常利益で同5.8%増の1,173百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同24.4%増の743百万円となり、増収、営業利益は減益となった。売上面では国内農林業用機械において大型防除機・動力噴霧機の販売が増加し、欧州向け工業用ポンプも堅調であった。一方、コロナ禍の反動により北米向け工業用ポンプ及び刈払機の販売減少が増収幅を抑制した。利益面では値上げ効果が寄与した一方、原材料の高騰や物流費・人件費を中心として販管費の増加が利益を圧迫し、営業利益は前期を下回った。他方、営業外収益にて為替差益を計上し、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は増益となった。設備投資に伴う減価償却負担が一巡したことで、「回収フェーズ」への移行が進んでいる。
2026年9月期中間期は、農林業用、工業用ともに大幅増収増益で黒字回復
2. 2026年9月期中間期の業績概要
2026年9月期中間期の業績は、売上高で前年同期比11.2%増の20,349百万円、営業利益で729百万円(前年同期は24百万円の損失)と黒字転換、経常利益で761百万円(前年同期は24百万円)と大幅増、親会社株主に帰属する中間純利益で427百万円(前年同期は18百万円の損失)となり、大幅な増収増益及び各利益項目の黒字転換を達成した。
売上面では、農林業用機械において、米卸売価格の高騰を背景に農家の設備投資意欲が向上し、農業用機械全般への需要が増加した。海外でもタイでの刈払機新製品の販売が好調に推移した。工業用機械事業では、長引いていた北米市場の流通在庫調整が2025年中に完了し、受注が回復基調に乗ったことが寄与した。特にシェールオイル採掘やインフラ整備向けの大型ポンプがけん引し、北米向け売上高は前年同期比78.0%増と大きく伸長した。利益面では売上増による限界利益の増加や増産効果が寄与した。一方、為替のマイナス影響と人件費や物流費などの販管費増加といった減益要因をこれらが吸収し、黒字転換した。なお国内農業用機械の需要期は3月~7月であるため、第1四半期(10~12月)は他の四半期に比べて売上・利益が少なくなる季節性がある。
米価高騰を背景に稲作関連機械の需要が増加、工業用ポンプは北米で回復基調に転換
3. 事業セグメント別動向
(1)農林業用機械
農林業用機械の売上高は15,195百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益は851百万円(同293.9%増)と増収増益となった。国内では米卸売価格の高騰を背景として農家の設備投資意欲が向上し、稲作関連機械を中心に需要が増加した。動力噴霧機のモデルチェンジに伴う買い替えが進んだほか、大型防除機の販売も拡大した。2026年3月末まで実施した「自走ラジコンセット動噴キャンペーン」では前年実績を上回る販売台数を達成した。海外では北米向け動力噴霧機・刈払機が増加し、タイでは刈払機新製品の販売が好調に推移した。
(2)工業用機械
工業用機械の売上高は3,708百万円(前年同期比37.1%増)、営業利益は807百万円(同90.4%増)と、大幅な増収増益となった。北米において長期化していた流通在庫の調整が完了し、工業用ポンプの受注は回復基調にある。北米では、特にシェールオイル採掘や都市インフラ維持に不可欠な大型ポンプの需要が安定的に伸長しており、同社では受注機会を逃さないよう設備投資による増産対応を実施している。北米向け工業用ポンプは前年同期比78.0%増の大幅増収となった。加えて、利益率の高い工業用ポンプの販売増が商品別の売上構成比を改善し、営業利益も前年同期から2倍近い水準に伸長した。
(3)その他の機械
その他の機械の売上高は1,351百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は125百万円(同2.1%増)と、増収増益となった。消防機械を主体に前年並みで安定的に推移した。
(4)不動産賃貸他
不動産賃貸他の売上高は160百万円(前年同期比23.7%減)、営業利益は79百万円(同38.8%減)と、減収減益となった。一部契約内容の変更などにより前年同期を下回った。
棚卸資産の積み増しに伴い有利子負債が増加も、財務の健全性は維持
4. 財務状況と経営指標
2026年9月期中間期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比5,411百万円増加の44,513百万円となった。流動資産では棚卸資産が前期末比3,394百万円増加の12,380百万円となったことが主な増加要因である。固定資産では投資その他の資産が前期末比1,329百万円増加の7,767百万円となった。同社は3月から7月にかけての農機需要期に向けて棚卸資産を戦略的に積み増す傾向がある。これに加え、足元では中東情勢に起因するサプライチェーン停滞への備えとして、さらなる積み増しを実施した。
負債合計は前期末比4,620百万円増加の22,927百万円となった。有利子負債は前期末比5,521百万円増加の12,648百万円となったことが主因である。一方、買掛債務は取適方改正の対応もあり前期末比1,330百万円減少の5,228百万円となった。
純資産は前期末比791百万円増加の21,585百万円となった。
安全性指標では、自己資本比率が47.9%(前期末比4.8ポイント低下)、D/Eレシオが0.59倍(同0.24上昇)、流動比率が141.3%(同9.3ポイント低下)となった。取適法改正による支払いサイト短縮対応や海外子会社の設備投資を目的としたことにより安全性指標は低下しているものの、財務の健全性は維持した。
5. キャッシュ・フローの状況
2026年9月期中間期の営業活動によるキャッシュ・フローは、3,652百万円の支出となった。主な収入は税金等調整前中間純利益686百万円、減価償却費541百万円であった。一方、主な支出は棚卸資産の増加3,285百万円、仕入債務の減少1,354百万円であった。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,049百万円の支出となった。主な支出は有形固定資産の取得607百万円であった。
財務活動によるキャッシュ・フローは5,042百万円の収入となった。主な増加要因は長短借入金の増加5,504百万円で、配当金の支払額316百万円、自己株式の取得174百万円が支出となった。
この結果、2026年9月期中間期末の現金及び現金同等物は前期末比413百万円増加し、同中間期末残高は3,904百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)