企業情報
設立:2016年8月
事業内容:SaaSによるサブスクリプション(継続課金)方式のチャットボットシステム「ChatPlus」「AI AgentPlus」およびFAQシステム「FAQPlus」の開発・提供
登壇者名
チャットプラス株式会社 代表取締役社長 大江繭子 氏
チャットプラス株式会社 取締役CFO兼管理部長 森下俊光 氏
基本情報
大江繭子氏(以下、大江):チャットプラス株式会社代表取締役社長の大江です。よろしくお願いします。
みなさまがさまざまなWebサイトをご覧になる際、画面右下に「何かお手伝いできますか?」といったポップアップが表示される機会が多いかと思います。当社は、そのようなチャットボットを提供している会社です。
目指す姿
当社は、「コミュニケーションによる感動を最大限に追求し、AIを駆使した全自動社会を最速で実現する」というミッションのもと、企業の問い合わせ対応を起点に、生産性向上と顧客体験の向上をチャットボットで支援しています。
沿革
沿革をご覧ください。当社は2016年にシナリオ型と呼ばれる、ルールベースで回答までガイドするチャットボットサービス「ChatPlus」を開始し、コロナ禍の「DX加速」、そして「生成AIの普及」という2つの波を成長機会に変えながら進化してきました。
生成AIをいち早くサービスに取り込み、「AI AgentPlus」や「FAQPlus」を展開した結果、売上は継続的に拡大しています。市場の変化を先取りし、AIを企業の業務で実際に活用できる仕組みへと進化させてきたことが、当社の成長の源泉です。
サービスポートフォリオ
現在、当社は3つのサービスを展開しています。「ChatPlus」は、多くのお客さまにご利用いただいているチャットボットサービスです。当社の安定したストック収益を支える基盤となっています。
「AI AgentPlus」は、「ChatPlus」を進化させたAIエージェントサービスです。問い合わせへの回答だけでなく、設定や運用改善までAIが支援する、現在の成長を最も牽引しているサービスです。
「FAQPlus」は、マニュアルやPDFなどの資料からAIがFAQを自動生成し、その後の更新や改善まで継続的に支援するサービスです。
これら3つのサービスによって、お客さまの課題に応じた提案が可能となり、継続利用やアップセルにもつながっています。
業績推移
業績の推移です。当社は、売上成長と利益成長を両立しています。
2026年6月期の業績は、売上高が前期比19.6パーセント増の12億2,200万円、営業利益が前期比35.4パーセント増の5億円を見込んでいます。
この成長を牽引しているのが「AI AgentPlus」であり、本サービスの売上は前期比67.5パーセント増を見込んでいます。また、高付加価値サービスの構成比が高まったことで、営業利益率は40パーセントを上回る見込みです。
重要経営指標推移
ARRについてご説明します。ARRは将来の収益水準を示す先行指標です。
継続的に積み上がっており、2026年6月期第3四半期時点では約12億円となりました。特に、「AI AgentPlus」のARRは前年同期末から43.9パーセント増加しており、現在の成長を力強く牽引しています。一方で「ChatPlus」も大きなARR基盤として安定した収益を支えており、この両輪が当社の強みです。
このARRの積み上がりが、将来の安定成長を支える土台となっています。
売上構成
売上高の約94パーセントをストック型収益が占めており、安定した収益基盤を有しています。
収益構造
インフラコストの最適化を進めた結果、2025年6月期の限界利益率は約83パーセントと高い水準を維持しています。
さらに、自社プロダクトの活用やAIの利用などにより、1人当たりの売上高は2025年6月期が約5,500万円、2026年6月期は業績予想ベースで約6,500万円と、高い生産性を維持しています。
22名の少人数体制により固定費を一定水準に抑えられていることも理由の1つです。これにより、売上の増加が利益に直結する高い営業利益率を実現しています。
今後も40パーセント以上の営業利益率を維持できるよう、努めていきます。
チャットボットシステム導入の効果
当社の強みについてです。現在、企業では労働力不足やDX推進を背景に、顧客対応のデジタル化が急速に進んでいます。
チャットボットは問い合わせ効率化のイメージが強いですが、当社が考える役割はそれにとどまりません。コスト削減や顧客満足度の向上、商談機会の創出、データ活用、従業員の生産性向上まで、コミュニケーションを起点として企業全体の価値向上に貢献できることが、当社の強みです。
競争力の源泉ポイント
当社の競争優位性は3つあります。
1つ目は、営業やカスタマーサクセスが顧客課題を直接把握し、開発に反映する迅速なPDCAサイクルです。
2つ目は、AIだけでは実現できない業務設計力です。長年のチャットボット技術と生成AIを組み合わせ、他社が模倣しにくいサービスを実現しています。
3つ目は、中小企業から大企業まで、幅広い企業規模や業種に対応できる柔軟性です。企業の業務に対応するには、AIが自然な文章を生成できるだけでは十分ではありません。
例えば、お客さまの契約内容や会員情報に応じて案内を変えたり、条件に基づき申し込みを受け付けるかどうかを判断したり、さらには予約システムやCRMなどの社内システムと連携して処理を行ったりと、正確な業務フローに沿って動くことが求められています。
当社は、長年培ってきたシナリオ型チャットボットの条件判定や、外部システムとの連携と生成AIの自然な対話能力を組み合わせています。
AIが自然な会話を行うだけでなく、企業ごとの業務ルールにしたがって正確に判断し、必要な処理まで実行できる点が大きな特徴です。私たちは、生成AIを企業の実際の業務で安心して活用できるかたちにすることが重要だと考えています。
競争力の源泉③ 幅広い価格帯と用途展開
当社はメーカー、金融、物流、小売、教育など、幅広い業種・業態のお客さまにご利用いただいています。特定の業界や大口顧客に依存しない、バランスのとれた顧客基盤を構築していることが特徴です。
また、「ChatPlus」を長年ご利用いただいているお客さまに対して「AI AgentPlus」や「FAQPlus」をご提案することで、アップセルやクロスセルも着実に進んでいます。
この幅広いお客さま層は、安定したストック収益を支えるとともに「AI AgentPlus」のアップセル機会を生む重要な資産となっています。
AI AgentPlus
今後のビジネス展開についてご案内します。今後も当社の成長を牽引する中核サービスとして、引き続き「AI AgentPlus」に注力していきます。
現在の「AI AgentPlus」は、それぞれのエージェントに口調や役割、専門性を与え、CRMや基幹システムとも連携した個別対応が可能です。最大100体のエージェント設定が可能であり、企業の問い合わせ対応を幅広く支援しています。
「AI AgentPlus」の平均単価は月額約20万円、売上高に占める割合は約40パーセントですが、アカウント数比率は約10パーセントにとどまっています。
このことから、既存顧客への拡販や新規導入の余地は大きく、「AI AgentPlus」の構成比が高まることで、収益基盤および顧客基盤のさらなる強化につながると考えています。
また、AIによる業務実行の時代へ移行しつつある現在、条件判定や外部連携など、当社ならではの強みをさらに活かし、複数のAIエージェント同士が連携し、役割を分担しながら自律的に業務を遂行する世界を目指しています。
AIが実行を担い、人は判断と意思決定に集中できる、人とAIが本当の意味で協働できる企業の実現を支援することが当社のビジョンです。
当社からのご説明は以上です。
質疑応答:今後の事業環境について
質問者:事業環境について、Anthropic社の影響により今後SaaS事業が厳しくなるのではないかという見方があります。本日もアメリカでIBMの株価が大幅に下がりましたが、今後事業環境が大きく変わるとお考えでしょうか?
大江:当社の製品は複数のAI技術を取り込んで開発しています。AI技術が向上すればするほど当社のプロダクトの精度も向上すると考えているため、AIに直接取って代わられることはなかなかないのではないかと思います。
そして当社のチャットボットは、基本的には社外からのお問い合わせに対し解決を促すものです。社内のナレッジを検索する目的で利用されることもありますが、それがメインではありません。そのため、現状すぐに市販のAIに取って代わられることはないと考えています。
質疑応答:ロードショーでの投資家の反応と評価点について
質問者:ロードショーを実施されたと思いますが、その中で特に印象的だった投資家の反応、また、特に評価されたと思う部分について教えていただけますか?
大江:「少ない人数で非常に効率的にやっていますね」というお話をいただくことは、度々ありました。確かに、現在、当社の人員は22名です。先ほどお伝えしたとおり、1人当たりの売上高もかなり高いのではないかと思っています。
スピーディな経営を目指す中で、会社の文化として毎朝ミーティングを行っています。このミーティングでは、今日のタスクのほか、週次・月次・年次のタスクがカレンダーのようにびっしりとありますので、全員で進捗状況を確認しています。
また、お客さまの声もそこで確認するようにしており、昨日発生したことに対してその場ですぐに判断ができる体制を構築しています。
お客さまの声を確認するのは朝のミーティングに限ったことではありませんが、開発や営業、我々管理・経営部門を含む全員で、いち早くお客さまの声に耳を傾けることを非常に重視しています。
人員の少なさに驚かれることは多くありましたが、このような効率的なやり方も、私たちの特徴であると感じています。
質疑応答:上場後の成長戦略について
質問者:上場後の成長戦略はどのように描かれていますか?
大江:まずは「AI AgentPlus」という製品を、集中的に伸ばしていきたいと考えています。
「AIエージェント」という言葉は、昨年「AIエージェント元年」として話題になりましたが、現場ではまだ十分に活用が進んでいる状況ではありません。
やはり、「人を1人雇うのと同じくらいの働きをする」という価値観のもとで導入していただけるよう、さらなる機能向上を図り、AIエージェントがさまざまなことをしっかりと判断し、遂行できることを目指していきたいと思っています。
質疑応答:調達資金の使い道について
質問者:調達資金の使い道について教えてください。
森下俊光氏(以下、森下):取締役CFO兼管理部長の森下です。調達資金の使途については、私から回答します。調達資金は、新規機能の開発、新規サービスの開発、人材投資、販売促進活動に使用する予定です。
一方、当社はすでに安定的かつ経常的に利益を上げられる収益構造となっており、その結果としてフリーキャッシュフローが積み上がっていきます。そちらは、将来のさらなる成長投資に充てていきたいと考えています。
質疑応答:解約率について
質問者:解約率はどのくらいですか?
大江:月次平均で、だいたい1.8パーセントから1.9パーセントです。
森下:補足でご説明します。既存の安定収益を支える「ChatPlus」は1.8パーセントから1.9パーセントですが、事業内容のご説明で取り上げた「AI AgentPlus」は、それより少し低い解約率となっています。
「AI AgentPlus」は単価が高く、解約率も低いことから、LTVの最大化・最適化が可能となるため、収益への貢献度も大きくなっています。
質疑応答:上場初日の株価に対する受け止めについて
質問者:上場初日の株価はどのように受け止めていますか?
大江:現時点では、まだ株価が確定していない状況です。
質疑応答:将来的なM&Aの可能性について
質問者:将来的に、M&Aは可能性として考えていますか?
大江:現時点で具体的な計画はありませんが、将来的にはM&Aも視野に入れつつ、人数や事業規模の拡大を図りたいと考えています。
質疑応答:将来的な海外展開の方針について
質問者:将来的に、英語や中国語を含めた海外展開についてはお考えですか?
大江:現在、具体的に海外のどこかで展開することは考えていません。ただし、当社の「ChatPlus」はすでに13ヶ国語に対応しており、クレジットカードでの購入も可能です。
把握している中には海外からの直接の申し込みもありますが、日本企業の現地法人で利用されているケースもいくつかあります。
例えば、タイの現地スタッフの方が顧客とのやり取りをタイ語で行っているとうかがっています。タイに限らず、インドや東南アジアを中心に利用されていることも把握しています。
質問者:海外のローカル企業への販売などはお考えですか?
大江:現状、具体的には考えていません。
森下:「AWS Marketplace」などは少しありますね。
大江:そうですね。「売らない」というわけではありませんが、そこに注力するかという観点で言えば、現時点でそれほどプライオリティは高くないと考えています。
森下:一部、例えば海外においてAWSが提供するプラットフォームで展開しているものもありますが、そこに注力できているわけではありません。
ただし、将来的な海外展開を目指し、足掛かりとなるかたちは作りつつあるという状況です。
質疑応答:今後の株主還元方針について
質問者:現在も配当を実施されていると思いますが、株主還元の今後の方針について教えてください。
森下:当社はまだ成長途上の企業であるため、成長投資を優先して考えています。その中で、すでに安定的かつ経常的に利益を出せる事業基盤にはなっているため、余剰キャッシュフローを活用した株主還元を検討していきます。
したがって、安定的な収益が計上される限り、経常的に配当を実施していくことを考えています。
また、配当性向については上場したばかりで実績が十分でないこともあり、今後の成長投資や業績を踏まえて検討していく予定です。決まり次第、適時開示等で公表します。