■要約
ケンコーマヨネーズは、サラダ・総菜類、マヨネーズ・ドレッシング類、タマゴ加工品などを手掛けるケンコーマヨネーズ本体の調味料・加工食品事業と、連結子会社で展開する総菜関連事業等からなる業務用食品メーカーである。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比0.7%増の92,354百万円、営業利益で同14.3%減の4,155百万円となった。売上高はマヨネーズ・ドレッシング類の販売増と2025年4月以降、全商品で実施した価格改定効果により若干ながら増収を確保したものの、一部顧客先で失注した影響が残ったほか、鶏卵を中心とした原材料費の増加や固定経費等の増加により、営業利益は3期ぶりの減益に転じた。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の97,000百万円、営業利益で同3.7%減の4,000百万円を見込む。取引シェア回復に伴う販売量の増加に加えて、2025年4月及び2026年4月に実施した価格改定効果により増収となるものの、原材料費や固定経費等の増加を吸収しきれず、営業利益は減益が続く見通しだ。なお、業績予想には2026年3月以降の中東紛争による原油高の影響は織り込んでおらず、想定以上のコスト増に対しては、生産性向上などの自助努力を進めるとともに、2026年9月に実施するさらなる価格改定によってどこまでコストアップ分を吸収できるかが業績を見るうえでのポイントとなりそうだ。
3. 中長期経営計画「KENKO Vision 2035」の見直し
同社は2024年5月に発表した中長期経営計画「KENKO Vision 2035」(2025年3月期〜2036年3月期)について、市場環境の変化や業績の進捗状況なども踏まえて、2026年2月に見直しを行った。基本戦略である「事業ポートフォリオの再構築」と「成長戦略」を見直したほか、「スマート化」戦略の位置付けの再整理、経営数値目標の上方修正と株主還元の拡充を図った。経営数値目標では、2036年3月期の売上高を当初目標の1,250億円から2,000億円へ大きく引き上げた。特に海外売上比率の目標を当初の10%から30%に引き上げ、M&Aでグローバル展開を加速する。このため、2028年3月期までの第1フェーズでM&A投資枠として約200億円を設定し、本格的に検討を進める。12年間の年平均成長率で見ると、売上高は8.5%となり、EBITDA(償却前営業利益)マージンは2024年3月期の6.4%から2036年3月期は12.0%に引き上げる。ITを基盤とするビジネス・プロセス・トランスフォーメーション(以下、BX)の推進や製造拠点の再編、新規設備投資により生産性・収益性の向上を図る。成長加速のカギを握るのはM&A戦略であり、今後どのような企業をグループ化していくのか注目される。
4. 株主還元策
株主還元策については配当方針を見直し、DOE(株主資本配当率)の目標水準を引き上げた。具体的には、中長期経営計画の第1フェーズ(~2028年3月期)はDOE1.5%以上から2.5%以上に、第2フェーズ(~2032年3月期)は2.0%以上から3.5%以上に、第3フェーズ(~2036年3月期)は2.5%以上から4.0%以上にそれぞれ引き上げた。同方針に基づき、2026年3月期の1株当たり配当金は前期比24.0円増配の67.0円(DOE2.5%)と3期連続の増配を実施し、2027年3月期も同3.0円増配の70.0円を予定している。また株主優待制度についても導入※している。
※ 毎年3月末時点で100株以上保有の株主に対して保有株数に応じて自社製品(1,000円または2,500円相当)の贈呈を行っている。
■Key Points
・2026年3月期は原材料高が響き減益となるも、下期は増益基調に転じる
・2027年3月期は固定費増で減益を見込むも、売上高は連続過去最高更新へ
・約200億円のM&A投資枠を設定、成長加速で経営数値目標を上方修正
・DOE水準の段階的引き上げにより、今後も増配基調が続く公算大
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)