■ケンコーマヨネーズの今後の見通し
1. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の97,000百万円、営業利益で同3.7%減の4,000百万円、経常利益で同4.1%減の4,150百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同3.0%減の2,840百万円と増収減益を見込み、EBITDAも同4.2%減の6,623百万円となる見通しだ。売上高は販売数量の回復に加えて、2025年4月に実施した価格改定効果の一部と2026年4月に実施した価格改定効果※が寄与する。利益面では、価格改定効果や数量増効果、生産性向上などの増益要因があるものの、原材料費や物流費、固定経費等の増加を吸収しきれず減益を見込む。なお、計画には2026年3月に勃発した中東紛争による原油高の影響は織り込んでいない。直近では資材価格の値上げ要請がきているほか物流費の上昇が見込まれ、想定よりも費用が増加する可能性がある。これに対し、同社ではコスト上昇分の自助努力による吸収は困難と判断し、9月1日納品分より追加の価格改定を実施する。この改定効果によりコストアップ分を補填し、計画達成を目指す。
※ 原材料価格や資材価格、エネルギー価格の上昇、物流費や人件費等の増加に対応するため、マヨネーズ・ドレッシング類、タマゴ加工品、一部のロングライフサラダ類など合計約760品目を対象に、約1~25%の値上げを実施することを発表した。ソース類と和惣菜については据え置きとしている。
主要市場の動向について見ると、外食業界は2026年に入ってからも前年同月比で6〜8%増と堅調に推移している。客数、客単価ともに1ケタ台の増加が続いている状況で、今後については物価や金利上昇による節約志向の高まりが懸念されるものの、円安を背景にインバウンド需要が拡大していることもあり、1ケタ台の増加ペースが続くものと予想される。一方、中食業界のうち惣菜の販売動向についても同3〜5%の伸びが続いており、今後も堅調に推移する可能性が高いと弊社では見ている。
調味料・加工食品事業の売上高は前期比6.5%増の78,220百万円となる見通し。内訳は、サラダ・総菜類で同8.6%増の23,152百万円、マヨネーズ・ドレッシング類で同3.5%増の29,466百万円、タマゴ加工品で同8.5%増の23,669百万円、その他で同5.9%増の1,930百万円を見込む。前期に販売数量が落ち込んだサラダ・総菜類とタマゴ加工品については価格改定効果に加えて販売数量の回復も想定し、相対的に増収率を高く見込んでいる。一方、総菜関連事業等の売上高は顧客先の内製化が進む影響で同0.1%減の18,160百万円と横ばい水準にとどまり、その他売上高は店舗数減少(前期末比2店舗減の7店舗)の影響で同16.2%減の620百万円と減収を見込んでいる。
営業利益の増減要因は、価格改定効果で3,721百万円、生産効率の向上で727百万円、販売数量の増加で209百万円の増益となる一方で、物流費の増加で214百万円、原材料価格上昇の影響で2,223百万円、固定経費等の増加で2,375百万円の減益を見込んでいる。生産効率の向上では、2026年2月にタマゴ加工品の製造拠点であった子会社の会津若松工場を閉鎖し、静岡富士山工場に集約化した効果が大きく、280百万円程度を見込んでいる。一方、原材料価格の上昇については、鶏卵以外の材料価格上昇が大半を占める。物流費については、トラックの待機時間減少や積載効率の向上に取り組むことで、増加額を前期よりも抑制する。固定経費等の増加額が大きいが、賃金ベースアップによる人件費の増加に加えて、9月に旧東京本社から移転予定の事業開発本部の研究部・開発部や品質保証室の移転費用や新東京本社ビルの通年稼働による賃借料の増加、海外戦略費用の計上などが主な増加要因となる。
なお、2027年3月期の主な設備投資として、ソース類の生産能力増強と安定供給、稼働の平準化を目的に、西日本工場に小型容器のソース製造ラインを新設し、2026年9月から稼働を開始する予定となっているほか、山梨工場でのライン増強も計画(2027年6月稼働予定)している。投資額は約26億円で、年間の営業キャッシュ・フローで約2.5億円の創出効果を見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)