■会社概要
3. BPO事業
クオールホールディングスのBPO事業には、主にアポプラスステーションで展開するCSO事業(CMR派遣)やCRO※1事業(治験支援サービス)、アポプラスキャリアで展開する医療系人材(薬剤師、登録販売者、保健師、看護師等)の紹介派遣事業、メディカルクオールで展開する医療系出版事業で構成される。売上構成比はCSO/CRO事業が約7割と大半を占めており、医療系人材紹介派遣事業が2割強、医療系出版事業が1割弱と続く。また、2025年11月にEDC※2によるデータマネジメント業務分野に特化したCRO事業を展開するクリンクラウド(株)をグループ化した。
※1 CRO(Contract Research Organization)とは、製薬企業等と契約を結び、医薬品等の開発にかかる治験や臨床研究等を受託する事業を指す。
※2 EDC(Electronic Data Capture)とは、治験・臨床試験で得られたデータを電子的に収集・管理するシステムを指す。クリンクラウドは国内大手である米国Fountayn社製EDCの唯一の国内代理店であり、EDCの導入支援やCRO業務を展開している。年間売上高は数億円程度と見られる。
(1) CSO事業及びCRO事業
CSO事業とは、MRを採用・育成し、契約先の製薬企業に派遣する事業である。MRとは、販売する医薬品に関する知識や情報を医師や薬剤師などに提供する営業担当者を指す。ここ数年、製薬企業では新薬の開発対象を顧客ターゲット(医療施設や医師)の多いプライマリー薬(生活習慣病治療薬等)から、顧客ターゲットが限定されるスペシャリティ薬(抗がん剤等)にシフトしており、自社で抱えるMR人材を削減しCMRに切り替える動きが広がりつつある。実際、(公財)MR認定センターが発行している「2025年版MR白書」によれば、2024年度末のMR数は43,646人(前年度末比6.6%減)と11年連続で減少している。CMR数についても4,249人(同2.4%減)と微減となったものの、MRに占めるCMRの比率は9.7%(同0.4ポイント上昇)と年々上昇している。こうしたなか、同社は採用力と教育力を強みにCMR人材の増員を進めており、2026年3月末時点でCMR数が約700名、業界シェアで約18%の2番手となっており、取引先企業数も70社程度と業界トップクラスの実績を持つ。
一方、CRO事業では医療用医薬品、OTC薬品、機能性表示食品、ヘルスケア商品などの領域において、治験・臨床研究に関して企画からパブリケーションまでトータルソリューションを提供している。同社は特定保健用食品など食品分野の治験で豊富な実績を持ち、医薬品分野では皮膚科、眼科領域で実績がある。
(2) 医療系人材紹介派遣事業
医療系人材紹介派遣事業では、薬剤師や保健師、登録販売者などの紹介派遣を行っているが、なかでも薬剤師の紹介派遣が主になっている。薬剤師の派遣者数ランキングでは業界トップ10に入り、保健師についても同様にトップ3に入る実績を持つ。そのほかアポプラスキャリアでは、薬局の事業承継・経営支援サービスや企業向けに健康経営コンサルティングサービスなども提供している。
第一三共エスファはAG製品を主力とする後発医薬品のファブレス企業大手
4. 製薬事業
製薬事業は、藤永製薬と第一三共エスファの2社で構成されるが、売上高の約98%は第一三共エスファで占められる。第一三共エスファは、第一三共が後発医薬品市場への参入を目的に2010年に設立した企画と販売に特化したファブレスメーカーである。後発医薬品で国内第3位の売上規模があり、AG製品では2022年度で約26%のシェアを持つトップ企業である。売上高の65~70%をAG製品で占めており、第一三共以外にも複数の製薬企業とAG製品の開発販売権許諾契約を結び製品化しており、2026年3月末時点で24品目を販売している。生産委託先は国内の製薬企業である。
藤永製薬は1941年設立(創業は1924年2月)の製薬企業で、精神科・皮膚科を主な事業領域とし、製造品目としては抗てんかん薬のフェノバールやヒダントール(いずれも先発薬)、睡眠障害やうつ病などを適応症とした炭酸リチウム「フジナガ」(後発医薬品)などがある。また、2022年12月より体外診断用医薬品としてSARSコロナウイルス抗原検査キット「テガルナ(R)スティックSARS-CoV-2 Ag」を製造販売している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)