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ティアフォー上場会見、トヨタ等と自動運転システム量産化を推進 オープンソース軸にライセンス収益で急成長狙う

企業情報

社名:株式会社ティアフォー
設立:2015年12月
事業内容:オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を活用した自動運転車両の開発・販売、実証・導入支援等

登壇者名

株式会社ティアフォー 代表取締役CEO 加藤真平 氏
株式会社ティアフォー 取締役CFO 阪口聡志 氏

ひと目でわかるTIER IV

加藤真平氏(以下、加藤):みなさま、本日はご多忙の中、当社のグロース市場上場会見にご出席いただきありがとうございます。代表取締役CEOを務める加藤真平です。よろしくお願いします。

それでは、事業計画および成長可能性に関する事項の資料に沿って、当社の概要から説明します。

当社は「⾃動運転の⺠主化」をビジョンに掲げ、誰もが利用可能なオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」の開発を主導し、「Autoware」を基盤とした自動運転システムを提供する事業を展開しています。

トヨタ自動車(以下、トヨタ)、いすゞ自動車(以下、いすゞ)、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)、スズキ、小松製作所(以下、コマツ)といったOEMパートナーのみなさまと共同で、自動運転システムの量産化・商用化に取り組んでいます。前年度の売上は64億円に達し、2022年9月期から2025年9月期の年平均成長率は75パーセントと高い水準を誇っています。

ビジネスモデルの全体像

当社のサービスは、お客さまのニーズに応じてモビリティサービス、デベロップメントサービス、ソリューションサービスの3つから構成されています。

はじめにモビリティサービスです。完成形の自動運転車両を自社で少量生産し、先行的に自動運転レベル4の社会実装を推進しています。

具体的には、MaaS事業者や交通事業者向けに、自動運転レベル4による公共交通サービスのトータルパッケージを提供しています。その中で、当社の自動運転システムを搭載した完成形の自動運転車両を販売しています。

国内では、これまでに全国39都道府県127地域での導入実績があります。今年度からは海外展開も開始しています。

次に、デベロップメントサービスです。こちらは自動車OEMや特殊車両OEMによる自動運転車両の量産事業において、自動運転システムを共同開発するサービスです。

初期段階では、ティアフォーが自動運転システム開発キットを販売し、TIER IVプラットフォーム上でOEMパートナーと共同で、量産に向けた高品質な自動運転システムの作り込みを行います。

量産開始後は、お客さまからTIER IVプラットフォームをご利用いただくためのライセンス料をいただき、継続的に収益を得る仕組みです。OEM生産の拡大に伴い、TIER IVプラットフォームのマーケット浸透が進んでいきます。

最後に、ソリューションサービスです。ソリューションサービスでは、サプライヤーやソフトウェアハウスなどのエコシステムパートナーに対し、自動運転システムの個別コンポーネント開発に必要なソフトウェアやハードウェアのツールを提供します。

ビジネスモデル別の構成

ビジネスモデル別の売上構成です。直近では売上が急速に増加しており、今期は84億円の売上を予想しています。今後は、特にOEMメーカーによる量産が進むにつれて、デベロップメントサービスがコアな成長ドライバーになると見込んでいます。

オープンソースのアプローチ

当社の大きな特徴の1つとして、オープンソースのアプローチがあります。過去のテクノロジーの歴史を振り返ると、コンピューターシステムの「Linux」、スマートフォンの「Android」、直近ではAIの「DeepSeek」と、オープンソースのアプローチが産業変革を起こしてきました。

ティアフォーは、自動運転というテーマにオープンソースのアプローチを取り入れ、業界のゲームチェンジャーとして、OEMやサプライヤーをはじめとする多くのパートナーのみなさまとともに成長し、大きな経済圏を生み出すことを目指しています。

具体的には、当社が主体となって開発を推進している世界最大の自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」の活用が大きな強みです。「Autoware」は誰でも無償で利用でき、⾃動運転に必要な基本機能をすべて包含するオープンソースソフトウェアです。当社はその開発を主導し、最大限に活用して各種事業を展開しています。

当社の提供価値

当社の提供価値について説明します。オープンソースを活用する最大のメリットは、従来のアプローチと比べて効率的に自動運転システムを量産化・商用化できる点です。

自動運転の実装を山登りに例えて考えてみたいと思います。当社のアプローチでは、お客さまはラストワンマイルの開発のみに注力することができます。それにより、低コストかつ短期間での自動運転システムの実装が可能となります。

一方、従来のアプローチでは、自動運転システムを導入する際に、ゼロからすべてを開発する必要があり、多額の投資と時間が必要でした。オープンソースを活用することで開発費を大幅に削減でき、さらにTIER IVプラットフォームを活用することで開発期間も大幅に短縮できます。

しかも、結果として得られる自動運転システムの商用レベルや安全性は変わりません。これが、お客さまからティアフォーが選ばれる最大の理由です。

コアコンピタンス-独自の設計思想「マイクロオートノミー・アーキテクチャー」

オープンソースに加え、当社独自の強みは「マイクロオートノミー・アーキテクチャー」という設計思想にあります。巨大で複雑なシステムを1つのブラックボックスとして作るのではなく、多様な機能コンポーネントを組み合わせることで、スケーラブルかつ柔軟な自動運転システムの開発が可能です。

スライドの左端に示した「Autoware」は、オープンソースの自動運転ソフトウェアです。そこに、TIER IVプラットフォーム上でサードパーティ製品のさまざまな機能コンポーネントを組み合わせられるようになっています。

さらに、OEMパートナーが自由にカスタマイズできる自動運転システムの「型」となるリファレンスデザインを提供することが、当社事業の本質となっています。このリファレンスデザインが、お客さまのさまざまな車種やニーズに対して、ラストワンマイルの開発のみで応えることができるポイントとなっています。

様々な車両への実装実績

当社では、多くのOEMパートナーとともに、すでにさまざまな車種への自動運転システムの実装を実現しています。

海外では、ロボタクシーなど特定のユースケースに特化した開発が先行していますが、当社はスケーラビリティと柔軟性の高いアーキテクチャおよびプラットフォームによって、あらゆる車種に自動運転システムを提供できる点が大きな特徴です。

事業展開方針

当社の事業展開方針を説明します。MaaS事業者や交通事業者を対象としたモビリティサービスにおいて、まず国内で社会実装の地域数を拡大させ、その結果として車両運用台数を増やすことが重要となります。

2026年4月時点で、すでに前年の通期実績を上回る47地域からの受注を獲得しており、こちらは着実に進捗しています。

デベロップメントサービスは、各OEMパートナーとの量産に向けた案件を着実に進めていくことが重要です。今後、それぞれのOEMとのプロジェクトが量産フェーズに移行するタイミングをきっかけに、ライセンス料収入による急速な事業成長を見込んでいます。

2030年度までに1万台の自動運転サービス車両を社会実装するという政府目標の追い風も受け、車両運用台数の大幅な拡大を目指しています。

中長期的な方向性

最後に、中長期的な方向性を説明します。国内では、本日説明した3つのサービスを確実に成長させていきます。次のステップはグローバル展開です。すでに世界各地のパートナー企業と協力し、将来の事業開発に向けた実証実験などを推進しています。

特に足元では、当社の自動運転車両による海外展開案件が立ち上がり始めています。さらなるステップとして、宇宙やまち作りなど、自動運転技術を周辺領域に拡大する計画も進めています。

技術面では、車載半導体チップなどソフトウェア以外の領域においても研究開発を進めています。将来的には半導体チップの設計をオープンソース化する計画もあります。ソフトウェアと同様にハードウェアの領域でも競争環境をオープン化し、当社とパートナー企業のみなさまの事業成果の最大化を目指します。

質疑応答:国産自動運転車開発の意義について

質問者:世界に目を向けると、自動運転はすでに実用化が進んでいる地域もあります。日本では開発や実用化の遅れが指摘されていますが、国産で自動運転を開発していく意義や、それに込める思いをお聞かせください。 

加藤:自動運転の技術やマーケットは、ようやく今始まったばかりだと思っています。この黎明期において、海外では特にロボタクシーなどの分野で一部先行している地域があることは事実です。

我々はむしろその先行部分を学び、これからどのようにマーケットで競争力を高めていくかを考えると、ティアフォーも私自身も、国産の自動運転車が十分にこれからのマーケットで浸透していくと考えています。

我々のように、自動運転システムそのものをオープンソースとして開発できる企業が国内にあることは大きな強みです。このアプローチによって、自動運転システムやソフトウェアの分野で追いつくことができると考えています。

加えて、日本の虎の子産業である自動車産業との連携が進んでいます。これにより、一部海外で先行しているロボタクシー等の分野においても、日本は量産能力で上回ることができると考えています。

日本が強みを持つ公共交通や特殊車両の領域において、現時点ではむしろ先行している部分をさらに維持することもできると思っています。

今後は、自動運転システムをオープンソースとして開発し、技術水準を高めていきます。それと同時に、OEMの量産能力を最大限活用するエコシステムを構築することで、日本の国産自動運転車が世界のマーケットを獲得していけると考えています。

質疑応答:車両タイプ別の実装計画について

質問者:さまざまな車両への実装実績があるかと思いますが、今後メインターゲットにしていく車両タイプはどのようなものになるのか教えてください。

加藤:短期・中期・長期でそれぞれ変わってくると思いますが、短期的には、現在、公共交通向けのバス・シャトル、工場内搬送、建設機械などの特殊車両が先行しています。例えば、工場内搬送では小型のカート、建設機械では大型のダンプなどの自動運転において、量産化・商用化を進めています。

これが十分に市場に浸透し、技術的・事業的に成熟していけば、そこからの横展開として、中期的にはロボタクシーや自家用車が浸透していくと考えています。そのほか、鉱山や港湾など特殊車両の領域には多様な車種があり、エンターテインメント領域ではレーシングカーなども含まれます。

公道に目を向けると、バス・シャトル、ロボタクシー、自家用車に加え、トラックや小型配送ロボットなども挙げられます。これらは、中期から長期にかけて市場に浸透していくと考えています。

このように、短期・中期・長期で分けて計画を進め、まずは公共交通分野のバス・シャトル、特殊車両領域の工場内搬送や建設現場の大型ダンプ・トラックに注力していきます。その後はロボタクシーや自家用車などの分野にも取り組む予定で、すでにこれに向けた開発や実証実験を進めている段階です。

質疑応答:上場の狙いについて

質問者:今回の上場の狙いをお聞かせください。

加藤:当社はスタートアップとして現在10年目を迎えています。VCの資金調達から始まり、ミドルステージ、レイトステージを経て、主に事業会社からの出資を得ながら事業成長を続けてきました。

我々の事業モデルを見ると、プラットフォームやオープンソースの開発が中心であり、これをさらに加速させたいと考えた時、一企業からの出資では、どうしてもその企業のシステムやサービスに紐づくかたちになりがちです。

当社のビジネスモデルで非連続的な成長を遂げていくためには、固有の企業に依存した出資ではなく、パブリックな資金調達によってプラットフォームを確立し、そのプラットフォーム上で各パートナー企業とのさらなる事業連携を続けていきたいという考えから、今回このタイミングでIPOを決断しました。

調達資金の具体的使途について

質問者:調達した資金は半導体や開発に充てるとのことですが、どのような部分に充てるのか、より具体的に教えてください。

加藤:多くの資金は、まず研究開発に充てていくことを考えています。

オープンソースというのは、当社の研究開発投資ではなく、世界中の技術者たちが無償で貢献してくれるソフトウェア開発です。これが当社の最大の強みである一方で、量産化や商用化の水準を満たす制度や品質、保守・メンテナンスなどすべてを包含したプラットフォームを開発するには、一定の研究開発投資が必要であると考えています。

そのため、今回のIPOで調達した資金の多くは、そのプラットフォーム完成のために充てたいと考えています。

もちろん、その先を見据えた半導体チップの設計などにも資金を活用する予定ですが、我々としては、チップの販売をビジネスの主軸とするのではなく、半導体チップをオープンソース化することで、TIER IVプラットフォームをさらにマーケットに浸透させることを目的としています。

したがって、資金の使途はプラットフォームの成長です。ただしその中には、ソフトウェアだけでなくハードウェアの部分も含まれるという構図になります。

質疑応答:上場初日の値動きの評価と黒字化の見通しについて

質問者:本日の取引において、初値と終値が公開価格をやや下回る結果となりましたが、今日の値動きについての受け止めを教えてください。また、今期は最終赤字を計上しましたが、具体的に黒字化がいつ頃実現し、どのように達成する予定なのか、現時点の考えをお聞かせください。

加藤:本日は上場初日で、初値と終値がつきました。この数字はマーケットの評価ですので、どのような数字であれ、それがマーケットの評価だと真摯に受け止めたいと考えています。

当社はディープテックという分野に位置し、必ずしもすべての事業計画が安定化しているわけではありません。今後も事業成長を続け、企業価値を向上させることが株主のみなさまの最大の期待であると同時に、その難しさも透明性を持って情報開示していくことで、投資家をはじめすべての株主およびステークホルダーのみなさまに、より理解と信頼をいただける企業を目指したいと思っています。

それに向けて、黒字化は今後の大きな焦点の1つであると考えており、早期に黒字化を達成する計画で事業を推進しています。透明性を持った情報開示を続け、当社がいつ黒字化を達成できるのか、投資家のみなさまがしっかり予測、理解していただけるよう進めていきたいと思います。

質疑応答:「自動運転の民主化」というビジョンについて

質問者:「自動運転の民主化」をビジョンに掲げていますが、これは具体的に一家に1台ということなのか、それとも車を持っていない人でも自由に移動できる社会を目指しているのか、「民主化」という概念をもう少し噛み砕いて教えてください。また、そのゴールを目指すにあたり、現時点で自社がどのあたりに位置しているのか認識を教えてください。

加藤:「自動運転の民主化」という言葉にはさまざまな意味が込められていますが、わかりやすく2つに分けると「作る側」と「使う側」の民主化があると考えています。

作る側の民主化では、まさにオープンソースが肝となります。特定の企業だけが高品質かつ高性能の自動運転システムを開発できるという現在の経済構造から、ティアフォーの存在により、誰でも高品質で高性能な自動運転システムを開発可能にすることを目指しています。これがまさにゲームチェンジだと思っています。

使う側の民主化では、ご質問にもあったように「一家に1台」ということです。自家用車が自動運転になる未来が必ず訪れると考えていますし、車を持たない方でも、誰もが公共交通を含めた自動運転サービスを利用してさまざまな場所に出かけ、多くの出会いを体験できるようになると思います。

これからの社会において、安心・安全な社会の実現にとどまらず、豊かな文化作りに寄与するという点でも、使う側の民主化は非常に重要であると考えています。

当社の現在地について、作る側の自動運転システムは、本日ご説明したとおり、ようやく量産化・商用化に進んでいます。山登りに例えれば5合目は確実に越えていると思います。当社だけでなく、OEMパートナーのみなさまと協力することで、10合目、すなわち量産化・商用化が見えている地点にいると考えています。

一方で、使う側については、これから全国、さらにはグローバルに展開していく段階であり、作る側とは異なり、まずは5合目に到達することが非常に重要ではないかと考えています。

特に国内では、政府が2030年度までに1万台の自動運転サービス車両を社会実装することを閣議決定し、政府目標として掲げています。当社にとって強い追い風となるため、これを契機に5合目まで登り、そこから社会実装と普及に向けた道筋を立てていきたいと考えています。

質疑応答:オープンソースアプローチと業界構造への影響について

質問者:オープンソースのアプローチについて、資料に「既存の業界構造をディスラプト(混乱)させることなく」という文言があります。これはどのような事態を想定しているのか、実際に想定されている事例があればお聞かせください。また、社会需要について御社がどのように見通しているのかについても教えてください。

加藤:もし、オープンソースやティアフォーという会社が存在しない場合、スライド左側の図に示されるような状態となります。現在の業界ではAIをはじめとするさまざまな新しい技術が次々に登場する一方で、それらを既存の業界がキャッチアップできず、取り込みや手の内化ができていない状態が課題となっています。

一方で、ティアフォーのような会社やオープンソースとして誰もが利用可能な技術がある場合、右側の図に示されるような状態となります。既存の業界構造を変えたり壊したりするのではなく、むしろ非常に強い既存の業界構造を活かしながら、新しい技術を自分たちがいつでも利用可能で、かつ手の内化できる状態を実現することが求められます。

他者の指示で利用するのではなく、完全な内製ではないにせよ自分たちの理解のもとで、技術を自分たちのものとしてしっかりと取り込んだ状態を、ティアフォーは提供できると考えています。

そのため、OEMパートナーやTier1、Tier2のサプライヤー、各種既存のメーカーなど、業界構造をすでに持つプレイヤーがティアフォーとともに事業を成長させ、大きな経済圏を目指すことで、既存の強い業界構造を活用しつつ、新しい技術の取り込みや手の内化という課題も同時に解決できます。

当社としては、このアプローチが日本の産業を考える際に最も合理的であり、また成長の可能性を秘めた考え方であると考えています。

質疑応答:E2E開発について

質問者:御社は基本的にルールベースで開発を進めてきた一方で、中国などではE2E開発がこの1年から2年で急速に進んでいます。現時点では、E2Eの適用がレベル4に到達しているというよりは、レベル2++にとどまっていると考えられますが、いつその領域に到達するかはわかりません。

御社もE2Eの開発を開始するとうかがっていますが、現在のE2E自動運転アルゴリズム開発の状況を教えてください。また、御社が開発したE2Eの成果をOEMに提供していく方向性はあるのでしょうか?

加藤:スライド左側の「Autoware」と記載されているオープンソースの自動運転ソフトウェアには、ルールベースの技術はもちろん、E2E技術も含まれています。E2E技術にはさまざまな種類のアルゴリズムや方法論が存在するため、基本的に世の中に存在するすべてのE2Eおよびルールベースの自動運転技術が「Autoware」に含まれています。

これらは日進月歩で進化しており、日々新しい技術が追加されています。したがって、実験的にテストコースや街中を走行させる際には、ルールベースでもE2Eでも「Autoware」で走行可能です。

自動運転レベル4の量産化・商用化を考える際、ルールベースでは対応が難しいシーンや解決困難な課題がある一方、E2Eはまだ進化途中の技術であり、認可や安全性の確保に課題が残っています。そのため、当社の現在の量産化・商用化計画では、「Autoware」に含まれるオープンソースの自動運転ソフトウェアを活用し、ルールベースとE2Eを効果的に組み合わせています。

このアプローチにより、安全性を確保するとともに、E2Eでは難しいシーンに対してAIを用いた課題解決を実現しています。また、公共交通、特にバス・シャトルの分野で量産・商用化を予定しているシステムには、すでにこの仕組みが導入される計画となっています。

一方で、工場内搬送や建設現場の機械のように、単一の経路で繰り返し同じ走行を行う特性が求められる場合、ルールベースのほうが適していると考えられます。このような特殊車両の領域では、ルールベースで商用化を進めたほうが事業性は高い分野となります。

これこそが当社の強みであり、OEMパートナーや量産・商用化の対象となる事業の特性をしっかり考慮した上で、E2Eを導入する方針を取っています。現在は公共交通のような分野と、ルールベースで事業性を考える特殊車両の分野をしっかり分けて事業を進めています。

質疑応答:自社の投資計画と自動運転技術の進化について

質問者:「投資を抑えながら」というお話でしたが、アメリカや中国のほうが自動運転技術はかなり進んでいると思います。それに加え、巨額投資を行い、特にAIの分野でどんどん進化しているように感じます。ティアフォーとして今後の投資計画と自動運転技術のさらなる進化についてどのようにお考えでしょうか?

加藤:当社の開発は3階層に分かれており、第1層が「Autoware(オープンソース)」、第2層が「TIER IVプラットフォーム」、第3層が「ラストワンマイル(共同開発等)」となっています。

この中で、ティアフォーの研究開発投資対象はTIER IVプラットフォームであり、これが販管費に該当します。一方で、「Autoware」のオープンソースは当社の開発に利用可能なものであるものの、当社が研究開発投資の対象にはしていません。この点がティアフォーの最大の強みです。

先ほどの質問にも関連しますが、E2EやAIの技術は、現在エージェンティックAIからフィジカルAIへと進化しています。そのため、これらすべてを自社の研究開発投資のみで開発するわけではありません。

例えばロボタクシーはすでに走行可能な状態になっています。オープンソースを活用することで、研究開発投資を一切行うことなく、ロボタクシーを実験的に走らせるところから我々はスタートできます。ここが米中の投資スタイルとの大きな違いです。

ゼロから開発を行うとなると多額の投資が必要ですが、我々はオープンソースの活用により、AIを活用しロボタクシーや自家用車を走行可能な状態からスタートできます。また、当社のお客さまであるOEMメーカーは、その状態をさらに進め、完成度が9割程度に達している段階でラストワンマイルの研究開発に注力することが可能です。

したがって、当社は巨額の投資をせずとも、米中の開発と同水準で、安全性や機能性が高い自動運転システムを提供できます。これこそが、ティアフォーが多くのステークホルダーから評価いただき、ご期待いただいている最大のポイントであると考えています。

質疑応答:OEMによる量産計画と自動運転車両の今後の展望について

質問者:eve autonomyの「eve auto」について、OEMによる量産台数の累計と、実際にこれから取り扱う車種について目標があれば教えてください。

加藤:工場内搬送の「eve auto」は、前年度9月の段階でヤマハの生産による量産車両が100台弱に達しています。

政府目標として2030年度までに累計1万台の自動運転サービス車両を社会実装するという目標が掲げられています。この目標にどれだけ貢献できるかという規模で、今後の量産計画を立てています。

スライドにそのイメージを記載しています。2030年度に向けて、具体的な数字は現時点ではお伝えできませんが、規模感として政府目標を追い風として捉えています。そのため、今後十分にご期待いただけるような規模に成長していくと考えており、実際にその計画を立てています。

質問者:「eve auto」はヤマハとの協業の1つの事例かと思いますが、今後も量産する車種を増やすことは、トヨタやスズキなどOEMとの協業拡大にもつながるのでしょうか?

加藤:具体的な台数はお伝えできませんが、公開情報として、トヨタやいすゞとは量産化・商用化のプロジェクトをすでに共同で開始していると発表しています。1つの車種の台数を増やしていくことに加えて、車種そのものも増やしています。

また、コマツと取り組む大型ダンプトラックでも複数の車種を発表しており、1つの車種の台数を増やすことと、車種数そのものを増やすことの両方を量産化・商用化に向けて進めています。

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