■ミクニの業績動向
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.0%増の103,419百万円、営業利益で同38.3%増の4,181百万円、経常利益で同17.7%増の3,340百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同38.6%減の1,197百万円と4期連続の増収となり、営業利益及び経常利益とも2期ぶりの増益に転じた。2026年2月に上方修正した会社計画との対比では、営業利益がインド子会社の業績上振れなどにより計画値を10.0%上回って着地した。
売上高の増減要因(前期比)を見ると、中国の不動産市場低迷の影響を受けたガステクノ事業が928百万円減少する一方、インドをはじめ需要が堅調に推移したモビリティ事業が1,571百万円増加、民間航空機及び官公庁向け需要が好調だった商社事業が1,222百万円増加した。利益の増減要因(前期比)を見ると、売上数量・ミックス249百万円、為替影響232百万円、労務費638百万円、経費83百万円、が減益要因となる一方、コストダウン・価格適正化1,615百万円、中国再編効果746百万円が増益要因となり、営業利益は1,157百万円の増益となった。
全事業セグメントが増益に寄与して大幅な営業増益を達成
2. 事業セグメント別動向
全体として見ると、売上面では需要が好調なモビリティ事業及び商社事業が増収をけん引し、利益面ではコスト削減や価格適正化が進んだガステクノ事業の損失縮小を含め、全事業セグメントが増益に寄与した。
(1) モビリティ事業
モビリティ事業の売上高は、前期比1.9%増の85,725百万円となった。客先である日系二輪車・四輪車メーカーの新モデル投入に伴う販売増に加えて、インド子会社の需要が堅調に推移したことによる。営業利益は、同16.2%増の2,734百万円となった。増収効果に加えて、継続的なコスト低減活動や、中国拠点の再編効果などが増益に寄与した。なお、地域別売上高の構成比を見ると、日本29.9%、インド29.8%、中国・台湾15.4%、アセアン11.6%、北米9.3%、欧州2.6%、その他地域1.6%となっており、インドがほぼ日本と同規模の売上高となっている。インドでは、日系メーカーに加え、二輪車を中心とした地場メーカーとの取引も拡大していると見られ、成長市場に事業基盤を有することは同社の強みの1つと言える。一方、中国では「内巻」と呼ばれる過当競争が自動車業界に広がっているが、同社は大型二輪車向け部品への注力を強め、四輪車向け事業への依存度低下を進めている。また、北米は、二輪車やレクリエーショナルビークル(RV)、船外機向けの比重が高く、四輪車部品市場と比べると競争環境は比較的良好と見られる。
(2) ガステクノ事業
ガステクノ事業売上高は、主に中国の不動産市場低迷の影響により前期比15.7%減の4,981百万円となった。一方、営業損益は、コスト削減や価格適正化の進捗により、250百万円改善して340百万円の損失となった。
(3) 商社事業
商社事業の売上高は前期比13.6%増の10,212百万円、営業利益は同39.4%増の1,605百万円となった。航空機部品類は民間航空機向け及び官公庁向けの需要が好調に推移し、芝管理機械等も更新需要が堅調であったことによる。
(4) その他事業
その他事業の売上高は前期比5.3%増の2,499百万円、営業利益は同66.0%増の181百万円となった。主力の福祉介護機器の電動車いすの販売、各種特殊車両の架装台数などが増加したことによる。
収益拡大と借入金返済により財務体質改善が進む
3. 財務状況及び経営指標
2026年3月期末の総資産は前期末比4,635百万円減少の105,017百万円となった。株価上昇に伴う投資有価証券の増加などにより固定資産が355百万円増加した一方、在庫圧縮に伴う棚卸資産の減少により流動資産は4,990百万円減少した。
負債合計は前期末比7,033百万円減少の64,234百万円となった。長期借入金及び退職給付に係る負債の増加などにより固定負債が220百万円増加した一方、借入金の返済が進んだことにより流動負債は7,254百万円減少した。
純資産合計は前期末比2,398百万円増加の40,783百万円となった。利益剰余金の積み上がりに加え、保有株式の時価上昇に伴いその他有価証券評価差額金が増加したことによる。
この結果、2026年3月期末の自己資本比率は38.0%(前期末34.2%)、流動比率は141.3%(前期末130.0%)となり、安全性指標は改善した。一方、収益性指標はROEが3.1%、売上高営業利益率が4.0%となった。総じて経営指標には改善余地が残るものの、収益拡大や借入金返済の進展を背景に改善傾向にあると判断する。
4. キャッシュ・フローの状況
2026年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは10,760百万円の収入となり、前期の1,733百万円の収入から大幅に増加した。海外拠点を含めたグループ全体で在庫削減を進めた結果、棚卸資産が前期末比4,394百万円減少したことが主な要因である。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得により4,555百万円の支出となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローの差額)は6,205百万円の収入となった。これを主に短期借入金及び長期借入金の返済に充当したことから、財務活動によるキャッシュ・フローは6,064百万円の支出となった。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前期末比299百万円増加し、2,056百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)