マーケティングメーカー概念図
長野庄吾氏:本日は暑い中、当社の決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。それでは、2026年5月期の決算説明を始めます。
まず、当社のビジネスモデルについて簡単にご説明します。当社は自社のビジネスモデルを「マーケティングメーカー」と名付けています。ものづくりの起点を設備や技術ではなく、マーケティングの視点で商品をプロデュースしていくという意味で「マーケティングメーカー」としています。
そのため、当社は「お客さまに喜んでいただけるだろう」という商品をまず先に考え、それを製造していただけるメーカーを探し、商品を世に流通させるスタイルを採用しています。よって、当社では非常に幅広い商品を取り扱っています。
また、その商品をどこで販売するかについても特徴があり、2つのセグメントがあります。スライドの図の左側に記載している「セールスマーケティング」は、いわゆる卸売といわれる流通形態となります。
「セールスマーケティング」では、全国の生活協同組合が最もシェアの大きい販売ルートとなっています。それ以外にも、通販会社やドラッグストアなど、非常に大きな販売チャネルを有しています。
図の右側に記載している「ダイレクトマーケティング」は、BtoCやDtoCと呼ばれる領域です。ECだけでなく、TVショッピングや自社店舗を通じてお客さまへ直接販売するスタイルも展開しています。
よって、さまざまなカテゴリを手がけると同時に、販路も非常に多岐にわたっています。そのため、外部からはややわかりにくい部分もありますが、これが当社の実態です。
どのような点が有利なビジネスモデルであるかというと、多くのカテゴリで販路を展開すると、膨大な情報が入り、多くのデータが蓄積されます。
これらを活用し、例えば特定の販路で成功した事例を別の販路へ展開したり、売れた商品のキーワードを異なるカテゴリへ応用したりするなどの方法を駆使しています。このように、新たな商品を非常に高いヒット率で展開することを当社の強みとし、「マーケティングメーカー」と名付けています。
自社開発商品
スライドは、当社が手がけている商品の一例になります。大きく3つのカテゴリに分けられます。上段は食品で、プロテインを多く含む麺や熟成黒にんにく、プラセンタドリンクなど、多種多様な商品があります。
中央は化粧品で、シャンプー、リンス、スキンケア、メイク用品など、多くのシリーズを販売しています。下段は雑貨のカテゴリで、マッサージチェア、靴、土鍋など、非常に多くの商品を手がけています。これらはすべて、当社が実際に手がけ、販売している商品です。
当社グループの事業構成図
我々はホールディングスとなっており、事業会社の連結会社は3社あります。スライド中央の図でオレンジ色で示している「ダイレクトマーケティング」というセグメントには、株式会社フードコスメと株式会社プライムダイレクトが属しています。
青色で示している「セールスマーケティング」は、卸売業を担うセグメントであり、創業以来、株式会社アイケイが担っています。これら3社をもってIKホールディングスとしています。
ハイライト
2026年5月期の実際の数値についてご報告します。スライドは、当期のハイライトです。売上高は145億円で前年比4.2パーセント減、営業利益は1億9,000万円で前年比53.9パーセント減、EBITDAは3億3,000万円で前年比43.8パーセント減と、厳しい数字が並んでいます。
スライド下段にはその他のトピックスを記載しています。中央に記載しているとおり、「ストック事業をより伸ばす」という大きな方針のもと、第3四半期に大規模な組織再編を行いました。
またスライド右下には、SNSマーケティングが不可欠な環境の中で、自社としてさらなる理解を深める必要があると判断し、SNSマーケティングを専門とする会社を設立したことを記載しています。以上が、数字以外の主なトピックスです。
業績ハイライト
当期は非常にイレギュラーな会計処理を多く行ったため、スライド左側にまとめて記載しています。
まず、上から2番目の営業利益としては、TVショッピングルートの縮小に伴う在庫の評価減として7,500万円を計上しました。また、一部韓国コスメの日本総代理店契約の変更および終了の見込みに伴い、返品に備えた返品見積額として4,000万円を計上しています。この結果、営業利益は1億9,600万円となりました。
3番目の経常利益は、非連結子会社の業績悪化に伴い、貸倒引当金8,200万円を計上しました。この結果、スライド右側に記載はありませんが、経常利益は1億円となっています。
4番目の税引前利益では、特別損失として店舗運営の減損損失を1,400万円、関係会社株式評価損を3,400万円計上しました。
5番目の親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、グループ組織再編に伴う繰越欠損金に係る繰延税金資産として2億2,200万円を法人税等調整額(益)として計上しました。これにより、最終当期純利益は2億1,400万円となりました。
主要な経営指標の推移
スライドは過去3年と当期の数字を示しています。スライド右下の営業利益をご覧ください。2024年5月期には2年続いた赤字から黒字化に成功し、前期は増収増益を達成することができました。
当期もこの勢いに乗って増収増益を目指すと当初アナウンスしましたが、先ほど報告したとおり、減収減益という非常に残念な数字に終わりました。この原因についてご説明する前に、現在の状況を踏まえ、当社としてどのように受け止め、今後どのように対応するのかをお話しします。
中期計画の見直し
今回の決算発表と同時に、中期経営計画の取り下げに関するお知らせを発表しました。このままの延長線上では当社に未来がなく、抜本的に成長戦略を見直さない限り、今後の成長を期待することは難しいという結論に至りました。
本来であれば、新たな中期計画をこの場で発表し、成長戦略をみなさまにお伝えするべきですが、現状を踏まえると、その段階には至っていないという判断を下し、中期経営計画の取り下げに関するお知らせをアナウンスしました。
計画未達の要因や下方修正の要因などを分析した結果、主に3つの課題が明らかになりました。
まず1つ目は「成長戦略における他社ブランドへの依存」です。成長ドライバーを韓国コスメなどの他社ブランドに過度に依存した結果、現地メーカー側の意向や、新商品発売点数、スケジュールなどの外部要因を自社でコントロールできない構造となり、グループ全体の業績に影響を及ぼしました。
直近まで当社の成長ドライバーとして、また当社の強みとして掲げていた韓国コスメは、今回の減収要因の1つになっています。他社ブランドである以上、当社でコントロールが難しいという問題がありました。
2つ目は、「自社商品開発力の低迷と中長期的な目線でのマーケティングの不在」です。商品の開発点数や開発スピードが事業計画とアンマッチが起きていました。小さなヒット商品を生み出せても、それを中長期的に大きく育てる開発やマーケティング思想が欠如していました。
その結果、商品のライフサイクルが短くなり、売上が積み重ならない構造になっていたと考えています。冒頭でお話ししたように「マーケティングメーカー」を掲げているにもかかわらず、商品開発力が弱くなっていました。
近年、韓国コスメが非常に好調に成長してきたため、そこに依存してしまっていたという反省があります。また、ヒット商品が出た際にも、大規模な投資を行うことなく、短期的な消費にとどまってしまった点も課題として認識しています。
さらに、3つ目の課題として「選択と集中の欠如」が挙げられます。当社は多くの販売チャネルと取り扱い商品カテゴリを有していることを強みとしてきましたが、一方で経営資源が分散し、投資が大きな成果につながらなくなっていました。
当社が強みだと考えていた多彩な商品カテゴリや販売チャネルが、経営資源の分散という弱みに転化していたと認識しています。
この3つの現実を厳粛に受け止め、すでに発表している中期計画を見直す以前に、成長戦略そのものを見直す必要があると考えています。これまでの延長線上にないものを作り上げていきたいと思っています。
新中期計画策定に向けての取り組み
新中期計画策定に向けて、まさに取り組みの真っ最中です。本来であれば、具体的な内容についてご説明すべきですが、現在、時間と工数をかけて積み上げている段階です。
まずはじめに、グループ経営改革会議を発足させました。また、これまで当社に存在していなかった機能である経営企画室を設置しました。これにより、俯瞰した目線でさまざまな事象を見る取り組みを始めています。
その上で、1つ目の取り組みとして事業計画の見直しを行っています。中長期的な目線で企業としてどうあるべきか、どのようになりたいかを現状分析し、新たに立て直す作業を進めています。
そして、2つ目として、それを実現するためにどのような組織であるべきか、ゼロベースで考え直そうとしています。
さらに3つ目として、それを実行する人たちはどのような人たちで、どこにどれくらい必要なのかを決めていきます。もちろん、現在活躍している社員の方々をはじめとして、社外からの協力も視野に入れています。
この3つの取り組みを踏まえ、新しい事業戦略を策定し、中期計画というかたちでまとめ、あらためてみなさまに発表したいと考えています。
2026年11月までに大まかなアウトラインを作成する予定です。その後、数字を固めたり揃えたりして、「新IKWAY2030/中期経営計画」として2028年、2029年、2030年の3ヶ年計画を立てます。遅くとも来年の決算発表会までにみなさまに発表したいと考えています。
ここまで当期における厳しい数字を受けた当社の決意と、現在進めている内容についてご説明しました。ここからはそこに至るまでの詳細として、当期の具体的な数字について、ご説明します。
セグメント別 決算実績
スライドではセグメントごとの数字を示しています。
表左側のダイレクトマーケティングでは、約30パーセントの減収となっています。これまで意識的にTVショッピングというチャネルを縮小してきており、減少した分をECで補うことを方針としていましたが、達成率は83パーセントにとどまり、今回の減収に至った要因の1つとなっています。
営業利益は、ほぼ前期並みで収益性という意味では改善しましたが、トップラインとしてはバツと考えています。
セールスマーケティングの需要はどんどん大きくなっており、前期比で5パーセント成長しています。ただし、本来であればさらに伸ばせる想定であり、達成率は90パーセントです。
また、増収は達成したものの、減益となっており、望ましくない状況です。収益率が下がった要因としては、売上総利益率は35.7パーセントから33.4パーセントへと、2.3ポイント落ち込んだことが挙げられます。これに伴い営業利益率も低下しているという状況です。
セグメント別 販売管理費
主な経費項目です。特にセールスマーケティングに関しては、先ほど粗利率の低下についてお伝えしましたが、当社の場合は販売チャネルや得意先、商品カテゴリの組み合わせによって、粗利率が変動します。そのため、単に下がったから悪い、上がったからよいわけではないという点が特徴です。
経費項目において広告宣伝費や物流費が下がり、結果的に営業利益が増加したり、横ばいになったりするのが当社の特徴です。
当期においては、売上総利益率が低下した分、販売費および一般管理費は0.3パーセントしか下がりませんでした。これは、より効率の低いビジネスカテゴリや販路のシェアが増加したことを意味しています。これが当社の置かれている現況です。
販路別売上内訳
当社の販売チャネルにおけるシェアの状況です。暖色で示しているダイレクトマーケティングのシェアは、26パーセントから19パーセントに減少しました。これも粗利率の低下を招いているといえます。
また、ここ数年「ECを伸ばす」とお伝えしていますが、十分に伸ばしきれておらず、むしろ減収しており、大きな課題だと捉えています。
寒色で示しているセールスマーケティングでは、店舗での売上が前期比115パーセントとなりましたが、計画比では85パーセントであり、本来であればさらに伸ばす予定を組んでいましたが、伸びきらずにこのような数字にとどまったという状況です。
カテゴリー別売上高推移
カテゴリ別の売上高推移です。当社は雑貨の一発屋を脱却することを目指し、食品カテゴリと化粧品カテゴリを伸ばすことを経営課題の1つとしていました。少し引いた目線で見ると、緑色で示している食品と赤色で示している化粧品が伸びている点は評価できると考えています。
韓国コスメの売上高推移
当社が成長のドライバーとして最初に挙げていた韓国コスメの売上高推移です。グラフからおわかりいただけるように、前期と比べて成長率はわずか103パーセントにとどまり、完全に踊り場に差し掛かりました。
本来は前期比120パーセントを計画していましたが、結果として3パーセント増にとどまっています。この分野は当社の強みであり、打ち手次第でまだ伸ばせる余地はあると考えていますが、当社事業の成長ドライバーの第1番目に掲げることは、次の中期計画から見直していくことを検討しています。
【トピックス】組織再編
組織再編に関わる取り組みの概説です。もともとプライムダイレクトという会社がTV通販の会社として成長しました。
その結果、単発で売れる雑貨品と継続販売型の商品の2つのカテゴリが育ってきましたが、卸売事業として伸びる商品も多数抱えていました。そのような兼ね合いもあり、いったんアイケイに集約し、改めてストック型の商品を切り出すことを行い、事業体をよりシンプルにするという取り組みを今回行いました。
【トピックス】韓国コスメ 新2ブランド取り扱い開始
当社は韓国コスメについて大きなシェアを持っています。当期は新たに2つのブランドが加わりました。「PINKWONDER」というブランドは2026年1月から、「CHASIN’ RABBITS」というブランドは2026年4月から取り扱いを開始していますが、もう少し早く取り組みたかったという反省があります。
業績予想
先ほどご報告した2026年5月期および2027年5月期の数値です。進行期では、業績予想として146億円を掲げており、前期比はほぼ横ばいとしています。
営業利益は2億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1億6,000万円とし、売上比としては当期とほぼ変わらない数値を見込んでいます。我々としては、改革にすべての意識を集中させる方針であり、この進行期においては、間違いなく達成可能な数値として掲げています。
株主還元
最後に株主還元についてご説明します。2026年5月期は減収しましたが、事前にアナウンスしていたとおり、配当は必ず9円を実施します。
当社は配当性向20パーセントを基本としつつ、さまざまな環境を考慮して決定する方針を示しています。進行期についても、配当は9円に据え置きとし、配当性向は42.5パーセントとなりますが、この水準を維持することとしました。
9円から10円の配当を出し、配当性向20パーセント程度を維持することが、当社のベースとなる実力値と考えているため、今回は配当据え置きという判断をしました。
以上が2026年5月期の決算説明および中期計画取り下げに関するご説明、来期における数字のご報告となります。ご清聴ありがとうございました。