ネイスは、子ども向け体操教室の運営ならびに発達障害を持つ子どもへの運動療育支援を展開している。同社は「すこやかなカラダとしなやかなココロ」を育む幼児・児童向けの「ネイス体操教室」を直営およびフランチャイズ方式により全国のショッピングセンターを中心に店舗を展開している。これに加えて、障害のある子どもを対象に運動機能の向上や集団生活への適応訓練などを提供する児童発達支援・放課後等デイサービス施設「ネイスぷらす」の運営を直営方式で手掛けている。
業界内では、少子化が進むなかにあっても、子どもたちの運動機会の減少を背景に幼児向け体操教室への需要が高まりを見せている。体操教室の市場ポテンシャルは750億円程度(※1)と試算しており、競合である水泳教室などの数に比べて体操教室の拠点数は著しく不足しているため、成長の余地は非常に大きい。
同社の強みは、第一にショッピングセンターへの優れた出店力とデベロッパーとの強固な信頼関係にある。ファミリー層の強力な送客力を持つ同社はデベロッパーからの誘致意欲が非常に強く、約40社のデベロッパーと取引があり、全国各地の好立地な商業施設への新規開設を有利に進めている。第二に、インストラクターの採用・育成力や自社で開発したエアートランポリンをはじめとするオリジナルの体操器具といったプロダクトの優位性が挙げられる。インストラクターは指導未経験であっても20日間で独り立ちし、かつ顧客から高い評価を得ている。高品質な器具やプログラムは、体操教室だけでなく発達支援事業の運動療育プログラムにおいても共通のノウハウとして活用されており、子どもたちが安全かつ夢中になって運動できる環境を提供することで競合他社との確固たる差別化を図っている。第三に、フランチャイズによる出店スピードにある。都市部を中心にドミナント出店を基本としており、2020年に加盟募集を本格開始して以降、店舗数・加盟社数ともに大幅増加、2026年5月末時点でFC店舗数133店、直営店61店となる。中心地域SC数全国442に対して充足率は29%と、SCだけでもまだまだ拡大の余地がある。
直近の業績である2026年8月期の第3四半期累計期間は、売上高2,754百万円、営業利益519百万円の増収増益で着地した。当期間中に新規開設した33店舗の集客が順調に推移し、既存店も含めて総会員数が51,641人にまで過去最高を更新したことが大きく寄与している。また、2026年4月に実行した直営店5店舗のフランチャイズ加盟店への店舗譲渡にともない、譲渡収益160百万円をスポット売上として計上した。そのほか、2026年6月には主力である体操教室クラスの月会費を8,900円から9,800円へと改定しており、この値上げによる増収効果は今後寄与してくる見込みである。通期の業績予想については売上高3,650百万円(前年同期比27.8%増)、営業利益610百万円(同95.3%増)と予想値を据え置いているが、第3四半期時点で各利益段階の進捗率は85%を超えている。
今後の成長見通しについては、中期的な目標として4~5年後に530店舗体制(体操教室500店舗、発達支援30施設)の確立を掲げており、年間の出店ペースを60から100店舗へと大きく加速させる方針である。少子化を考慮しても未出店の空白区画は依然として多く残されており、一都三県におけるドミナント展開の強化や新たな空白地域への進出によって出店可能数を順次拡大させていく。成長を牽引する重点施策としては、ショッピングセンター内だけでなく路面店の開発含めて新たな店舗フォーマットとしての展開を急ぐほか、インストラクターの採用強化や研修制度の充実化によって品質の高い人材育成を進めている。さらに、2026年中にはマレーシアのイオンモールへ海外1号店を出店して本格的なアジア展開の布石を打つ予定で、将来的なM&Aの実施や、小学校高学年から中学生向けに新形態の塾ビジネスを展開する新規事業など、多角的な事業展開によってさらなる長期成長への強固な基盤を構築している。
株主還元について、過年度実績における配当の実施はなく今期予想についても無配の計画である。同社は現在、成長スピードを最大限に引き上げるための極めて重要な局面であると位置づけており、獲得した利益は直営店の新規開設やインストラクターへの積極的な人的資本投資、海外進出、新規事業の育成といった成長投資へと優先的に充当する方針を採っている。このように事業規模の確実な拡大を通じて中長期的な企業価値の最大化を図ることを最優先としながらも、業績の進展にあわせて、将来的には株主に対する適切な利益還元についても積極的に実施していく方針を掲げている。
総じて、高い出店誘致力を誇るビジネスモデルによる安定的な成長に加え、会員数の過去最高更新や主力サービスの価格改定によってさらに収益力が強化されている。今後の中期的な多店舗化の加速やマレーシアをはじめとするグローバル展開、新規事業の育成にいたるまで、さらなる飛躍が十分に想定される同社の将来的な成長や業績動向に注目していきたい。
※1:総務省「人口推計」及び厚労省「21世紀出生児縦断調査」習い事比率に基づき同社推計(年齢別人口×年齢別の体操の習い事実施比率により計算)