主要な指標
小泉明大氏:株式会社オービックビジネスコンサルタント(以下、OBC)執行役員管理本部管理部部長の小泉です。それでは、主要な指標からご説明します。
スライドに、OBCのビジネスモデルと業績等を示す代表的な指標を一覧で掲載しています。「継続収益の積み上がり」「顧客基盤の拡大」「業績への反映」という3つの観点からご覧ください。
売上高の85パーセントが継続収益です。ARRは476億円、前受収益残高は345億円、契約継続率は99.4パーセントとなりました。また、クラウドを中心とした顧客基盤の拡大が継続しており、クラウドの稼働システム数は15万5,000システム、クラウドのARPUは59万4,000円です。
こうした結果が業績に反映され、当第1四半期の売上高は138億円、営業利益は65億円となり、いずれも第1四半期として過去最高を記録しました。次のページから各指標の内容をご説明します。
ARRの推移
ARRの推移です。当第1四半期のARRは476億円となり、成長が加速しています。1年間での増加割合は、前回第4四半期時点では12.6パーセントでしたが、当第1四半期では14.4パーセントとさらに上昇しました。
内訳をご覧いただくと、棒グラフの濃い青で示しているオンプレミス保守料が緩やかに減少する一方で、水色で示しているクラウド利用料の伸びが加速しています。
これは、オンプレミスユーザーのクラウド移行が進行していることに加え、新たに「奉行クラウド」をご利用いただくお客さまが継続的に増えていることを示しています。このように、クラウドを中心とした継続収益の拡大がARR全体の成長を牽引しています。
クラウド収益の推移
クラウドARRの内訳をさらに詳しくご説明します。スライドをご覧いただくと、クラウド成長の牽引役が「基幹業務クラウド」であることがおわかりいただけるかと思います。左側のグラフは前のページに掲載しているARRの中でクラウドに絞ったもの、右側は四半期P/Lにおけるクラウド売上高の推移を示しています。
また、クラウドを「基幹業務クラウド」と「奉行クラウドEdge」の2つに分けて表示しています。ご覧のとおり、両者ともに成長していますが、特に「基幹業務クラウド」が成長を牽引しています。
クラウドARPU・クラウド稼働システム数の推移
こちらのスライドでは、クラウドの成長が顧客単価の上昇とシステム利用件数の増加の両輪から生み出されていることを示しています。
左側に掲載しているクラウドARPUは、お客さま1社当たりの年間平均売上を示しており、3年前の41万8,000円から当第1四半期は59万4,000円と、約1.4倍の水準まで上昇を続けています。近年の推移は、高付加価値製品の構成比の上昇が主な要因となっています。
右側に示しているクラウド稼働システム数は15万5,000システムとなり、前年同期比21.8パーセントの増加となりました。
継続収益比率
このスライドでは、OBCが継続収益を積み上げる事業モデルとなっていることを示しています。現在、売上高の85パーセントがクラウド利用料やオンプレミス保守といった継続収益によって構成されています。これらの継続収益は毎年着実に積み上がり、直近3年間の年平均成長率は17.9パーセントです。
クラウドを中心とした事業成長により、収益の安定性と成長性の両面が向上し、OBCの業績を支える強固な収益基盤が形成されています。
売上構成・営業利益の推移
売上構成と営業利益の推移です。クラウドの成長が利益成長に連動していることを示しています。
スライド左側のグラフでは、中央の水色の部分で示しているクラウド利用料売上が拡大していることに加え、当第1四半期の売上高合計が138億円に達し、四半期として過去最高を更新したことが確認できます。
右側のグラフでは、当第1四半期の営業利益が65億円を達成し、第1四半期として過去最高を更新したことに加え、営業利益率がさらに上昇し47.6パーセントとなったことが確認できます。
前受収益残高と契約継続率の推移
このスライドでは、将来売上の積み上がりを示す前受収益残高が大きく増加し、契約継続率が高水準を維持していることを示しています。OBCでは、利用料や保守料代金について契約期間分をまとめて前払いでお支払いいただくため、前受収益残高は将来の売上高となる収益の積み上がりを示しています。
直近では345億4,600万円となり、前年から34億3,000万円増加しました。特に1年契約が大きく伸びており、好調な受注を反映しています。以上が主要な指標のご説明となります。
損益計算書
第1四半期の決算概要をご説明します。まず、損益計算書の概要です。スライドの表の中央の青字の列が当第1四半期の実績、その右側に対前年同期との増減を示しています。売上高は138億3,100万円、前年同期比13.8パーセントの増収となりました。売上高の内訳については、次のスライドでご説明します。
売上総利益率は85.5パーセントで、前年同期から0.4ポイント改善しています。これは、クラウド利用料を中心とした高収益のソリューション売上の割合がさらに増加し、セールスミックスが改善したことが主な要因です。
販売管理費は52億4,300万円、前年同期比4億7,700万円の増加となりました。詳細は後ほどご説明しますが、人材投資や広告・マーケティング活動の強化を継続していることによるものです。
この結果、営業利益は65億7,700万円となり、前年同期比18.1パーセントの増益となりました。営業利益率は47.6パーセントまで上昇しています。経常利益は71億2,900万円、前年同期比20.8パーセントの増益です。これにより、四半期純利益は48億7,700万円、前年同期比19.7パーセントの増益となりました。
売上高の品目別内訳
売上高の品目別内訳です。全体を俯瞰すると、売上全体の成長を牽引しているのはクラウドソリューションであることがわかります。クラウドソリューションの売上高は91億500万円、前年同期比25.2パーセント増と引き続き高い成長を維持しています。
中小企業向けの「奉行iクラウド」、中堅上場企業向けの「奉行V ERPクラウド」や「奉行クラウド DX Suite」が引き続き好調に推移し、成長を牽引しています。
その内訳として、「基幹業務クラウド」の売上高は65億4,800万円、前年同期比32パーセント増、「奉行クラウドEdge」の売上高は25億5,600万円、前年同期比10.6パーセント増と、堅調に推移しています。
一方、オンプレミスの売上高は1億3,600万円、前年同期比27.7パーセントの減収です。OBCではすでにオンプレミス製品の新規出荷を終了していますが、一部をサブスクリプション型で提供しており、その売上がこちらに計上されています。概ね想定どおりの推移と見ています。
関連製品の売上高は10億4,100万円、前年同期比10.9パーセントの減収となりました。「奉行連動ソリューション」が伸長する一方、前期に発生した一過性の収益が当期は剥落したことが主な要因です。
サービス売上は35億4,800万円、前年同期比0.8パーセントの増収となりました。このうち、オンプレミス保守はクラウド移行の進展により減収となった一方、指導料売上の増加がサービス売上全体を押し上げました。
これらの結果、売上高全体に占めるクラウドソリューションの構成比は65.8パーセントまで上昇しています。OBCの収益構造は、従来のオンプレミス中心型からクラウド中心型へと着実に移行しています。
販売費及び一般管理費の内訳
販売費および一般管理費の内訳です。販管費全体では52億4,300万円、前年同期比10パーセント増となりました。売上高の成長率がこれより高かったため、売上高販管費比率が前期より低下し、営業利益率の改善につながっています。
内訳としては、広告宣伝費が6億1,100万円となり、前年同期比11.8パーセント増加しました。「奉行クラウド」のブランド浸透を目的とした戦略的な広告投資を継続しています。
減価償却費の主な増加要因は、「奉行LAND」をはじめとする自社利用ソフトウェア償却費の増加によるものです。その他経費は14億7,800万円、前年同期比25.6パーセント増加しました。こちらは主に展示会などのマーケティング活動強化に伴う費用の増加によるものです。
このように、将来成長に向けた投資を継続しながらも、クラウドの拡大により収益性が向上し、高い成長性と収益性の両立が進んでいます。以上が第1四半期の決算概要です。
続いて、こうした成長を支えている事業上の取り組みについて、社長の和田よりご説明します。
2026戦略発表会におけるキーワードは、『セキュリティ&AI』
和田成史氏:代表取締役社長の和田です。事業運営における重点取り組みについてご説明します。
OBCは今年度、セキュリティとAIに注力しており、戦略的発表会として全国13ヶ所で「OBC Partner Conference」を実施しました。奉行クラウドは、セキュリティの観点から権限分離設計構造を採用し、ランサムウェアの被害を防いでいます。これにより事業継続性を保証し、お客さまに貢献しています。
また、ISMAPの認定を取得し、自治体ルートを通じて新たに行政市場への拡大を進めています。デジタルマーケットプレイス(DMP)に登録されたことから、全国の自治体が主に人事給与システムの導入・入替えの選択肢として、奉行クラウドをご検討頂きやすい環境となり、すでに多くのお問合せや注文を頂いています。
AIについては、まず奉行AIエージェントとして、「新リース会計識別クラウド」および「連結会計支援クラウド」の2つの製品を、奉行クラウドをお使いでないお客さまでも単独で導入・ご利用頂けるAIソリューションとして、提供しています。出荷も順調に伸びています。
また、奉行AIアシスタントは、奉行クラウドの各機能にAIを組み込んだものです。奉行クラウドの使いやすさは従来定評を頂いていますが、これらによってさらに利便性を高めています。奉行AI Coworkは、今年の年末にリリース予定です。
Azure PaaSの採用による高セキュリティ構造
ランサムウェアの攻撃を受けると被害が非常に大きく、事業継続性を脅かしかねないため、企業にとってセキュリティ対策が重要です。奉行クラウドの大きな特徴は、ランサムウェアの感染リスクを低減し得るセキュリティ構造を有している点にあります。
奉行クラウドは、Microsoft AzureのPaaSサービスを開発基盤としてフル活用しています。Azure PaaSでは、データベースなどのシステム基盤管理に関わる特権権限が分離管理されており、お客さまやOBCがこれらの特権権限にアクセスすることはできません。
ランサムウェア攻撃では、攻撃者が管理者特権を奪取することでシステム停止やデータの持ち出し、暗号化などを行うことが一般的ですが、奉行クラウドはAzure PaaSの採用により、特権奪取によるデータ暗号化や持ち出しのリスクを構造的に大幅に低減するアーキテクチャを実現しています。
また、この分離設計により、奉行クラウドに対する外部からの攻撃はもちろん、仮にお客さまの社内環境が侵害された場合でも、お客さま環境からAzureデータベースへの直接アクセスはできません。
さらに、OS、データベース、ミドルウェアなどの基盤システムについてもAzure PaaSサービスを採用しており、常に最新の状態へ自動更新されることで、高水準のセキュリティを維持しています。
ランサム攻撃の影響を回避し得るセキュリティ構造
スライドに、奉行クラウドがランサムウェアの攻撃にしっかりと対応する仕組みを構造上作り上げていることを示しています。
また、来年3月頃から開始予定の「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」においても、事業継続性の確保が重要な評価項目となっています。AIの悪用によりサイバー攻撃は急速に高度化しており、現在は「侵害を防ぐこと」に加え、「侵害されることを前提に事業を継続すること」が求められる時代となっています。
このような環境下で、個々の企業が重要業務システムの安全性と事業継続性を自社のみで維持することは容易ではありません。今後は、単なる利便性だけでなく、安全性と事業継続性を備えたクラウドサービスへの移行がさらに加速すると考えています。
OBCは奉行クラウドを通じて、SCS評価制度が重視する事業継続性の確保を支援し、お客さまの重要業務を止めない社会基盤として貢献していきます。
さらなるセキュリティ強化と新市場(行政市場)への展開拡大
昨年のISMAPの登録により、奉行シリーズがクラウドサービスとして高水準のセキュリティレベルに達していることが示されました。これによりOBCにとっては新市場として行政市場への展開が可能となりました。
国や自治体がクラウドサービス(SaaS)を検索・比較して調達できるデジタルマーケットプレイス(DMP)上に、「奉行iクラウド」「奉行V ERPクラウド」「奉行クラウドEdge」のすべてが掲載されたことで、問合せやご注文を大変多くいただいています。
奉行クラウド・奉行クラウドEdgeが提供する安心・安全のセキュリティ
スライド左側に「Microsoft Azure」のクラウドプラットフォームが世界トップレベルで提供するセキュリティの内容について、また右側に「奉行クラウド」が独自に提供するセキュリティの内容を示しています。Microsoft Azureと奉行クラウドとが両面から、セキュリティ対策を行っています。
下段には、前ページで触れた政府公認の評価制度ISMAPの登録や、国際基準による第三者監査としてSOC1/SOC2のレポートを毎年取得していることなど、OBCの開発・運用体制がセキュリティ面から国内最高レベルであることの客観的な評価が得られていることを示しています。
さらに、SQLデータベースを採用することにより、「データの信頼性」を確保した安心・安全なデータ構造となっています。
Microsoftはセキュリティや新技術への投資は毎年膨大な規模で行われます。PaaSの特性により、Microsoftが行う投資の成果を「奉行シリーズ」は継続して自動的に享受できる仕組みとなっています。
そして、Windowsアプリを意識したユーザーインターフェースになっており、機能性、操作性、スピードを実現しています。
以上が、OBCのセキュリティ構造の全体図です。
奉行AIの開発方針(OBCによるAX実現に向けたAI戦略)
「奉行AI」の開発方針について簡単にご説明します。
まず「奉行AIアシスタント」は、製品の中にAIをビルトインすることで、奉行クラウドシリーズをご利用いただく際にAIを活用できる仕組みとなっています。
例えば、金融機関から入出金データを取り込み、自動仕訳を行うことが可能です。自動仕訳は、機械学習などさまざまなAIを活用することで実現しています。
また、言語の翻訳にはMicrosoftのAI自動翻訳機能を使用しています。さらに、AI-OCRにより、手書きや印字された文字をOCRを通じてAIで解析し、自動的にデジタル化することが可能です。
加えて、異常値が発生した場合はAIで自動的に検知し、アラートを通知する仕組みを提供しています。そして、AI帳票では、お客さまが望む形式の管理帳票が簡単に作成できます。また、「奉行AIチャット」では、AIチャットを使った質問対応を提供しています。
これらのAIを活用した機能が製品の中に組み込まれており、AIがお客さまの利便性を強力にアシスタントします。
次に「奉行AIエージェント」は、AI活用が最も有効と言われる領域に焦点をあて、一定の機能を独立させたもので、他社のシステムをお使いのお客さまでも単品での導入が可能なものになっています。大量かつ高度な処理のため生産性のボトルネックとなりやすい業務領域を、強力にアシストして一気に解消させることが出来ます。AIを活用したソリューションとして、独立性の高い1つのアプリケーションと捉えていただいてもよいかと思います。
このように「奉行AIアシスタント」と「奉行AIエージェント」の2軸を、奉行AIの開発方針としています。
奉行クラウドAIロードマップ
今年度における「奉行クラウド」のAIロードマップです。
経理向けと人事労務向けに分けて、「奉行AIアシスタント」と「奉行AIエージェント」について、今期および来期以降に予定している内容を示しました。
また、「奉行AI Cowork」は、同僚のようにAIがサポートして仕事を進められるサービスで、年内にリリース予定です。1つは、請求書の発行作業をコワークとして連続的に行う仕組みを提供します。もう1つは、請求書が届いた際にそれらを受領し、明細までAIでデジタルデータ化して支払業務まで行える機能を提供する予定です。
奉行Edge勤怠管理クラウド「申請AIアシスタント」を提供開始
「奉行Edge 勤怠管理クラウド」において「申請AIアシスタント」の提供を開始しました。すでに製品に組み込まれ、現在利用されています。
これは、提出が必要な勤怠申請をシステムが自動で検知して、AIが漏れている箇所などを判断し、就業規則に従った処理を自動的に行うものです。申請をAIがアシストし、漏れがないように自動抽出を行い、勤怠管理システムを補完します。
その他にもさまざまな申請書で活用できると考えています。そのため、今後はさまざまな申請書をAIが適切に判断し、処理を行う仕組みが構築されていくと思います。
外資インバウンド需要対応・多国籍社員の利用に対応
最後に、奉行シリーズがすでにインバウンド、アウトバウンドの両面から、グローバル対応している点について、お話しします。
まずインバウンドのケースについてお話しします。
近年、外資企業のインバウンド需要が非常に増加しています。外資企業の日本進出の際には、会計BIG4などのコンサルティング会社がバックオフィス業務の請負と併せて受付窓口となることが典型的ですが、大半の大手コンサルティング会社においてすでに奉行をご利用頂いています。この際、外資企業が日本拠点に日本語を使える管理者や従業員を置けない場合であっても、「奉行クラウドEdge」の多言語対応によって、勤怠管理、給与明細、労務手続などにおいて、言語の壁のないスムーズな業務対応が可能となっています。
また、日本企業で働く海外出身の多国籍社員も大幅に増えていますが、「奉行クラウドEdge」は多様な人材が安心して働ける環境づくりにも貢献しています。日本で働く多国籍人材の9割が使用する言語をカバーしています。
海外拠点の見える化・会計基盤の統一
次にアウトバウンドのケースについてお話しします。
日本から海外へ進出する企業においては、「奉行クラウド」が世界各国のAzure上で非常に安定してお使いいただけることから、個別会計と連結会計を同一基盤で扱える唯一のシステムとして高く評価されています。Microsoftの翻訳機能を使用して世界各国の多通貨、多言語に対応しています。
日本本社と現地拠点とで「奉行クラウド」を導入いただくことで、会計基盤の統一と海外現地拠点の見える化が実現して、グローバルガバナンスの観点からも大きく貢献出来ます。
以上が、奉行クラウドのグローバル対応に関する内容です。
事業上の重点取組みの主なポイントについてお話ししましたが、説明資料では、この他に、AIの活用の詳細や、体系的な領域についてAppendixにまとめています。「奉行シリーズ」は、全体的に体系化されたシステムとして構築してきており、Appendixの各ページをご覧いただければ全体像をご理解いただけるかと思います。
私から、AIやセキュリティの強化についてご説明しました。クラウドからDX、AXへと進化させ、新時代に向けた企業会計の仕組みを構造的かつ体系的に構築してきています。
以上が、今年度の重要ポイントについての説明となります。
和田氏からのご挨拶
「勘定奉行」は、日本の文化である歌舞伎をモチーフに、伝統とすばらしさと感動を大切にし、変化するテクノロジーと普遍的なナレッジの融合により、新しい時代に向けた会計システムとして挑戦しながら作り上げたものとなります。ぜひご利用いただき、感動していただければ非常にうれしく思います。
これからもお客さまが感動するような、すばらしい製品を作り上げ、日本社会に貢献できる企業作りを進めていきたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いします。
長時間にわたり、ご清聴いただき誠にありがとうございました。