■ミアヘルサホールディングスの事業概要
3. 子育て支援事業
子育て支援事業では、「ミアヘルサ保育園ひびき」「ミアヘルサ保育園ゆらりん」のブランド名で認可保育園51園、認証保育園4園(2026年3月末時点)を首都圏で展開している。加えて、子育てひろばや保育室(病後児保育を含む)、東京都認証学童クラブ※を展開し、公立の保育園や公設民営の学童クラブの受託運営なども行うことで、0歳児から小学生までの子どもの包括ケアを実践している。2026年3月末時点の運営事業所数は78事業所(東京都65、神奈川県9、千葉県4。受託運営を含む)となっている。
※ 公設民営の学童クラブは自治体事業の業務委託運営(5年契約)のため、初期投資や集客コストなどが不要だが、東京都認証学童クラブは自ら集客活動を行う必要がある。
保育園は、認可保育園、認証保育園及び認可外保育施設に分類され、保育の対象となる園児は、乳児(1歳未満)と幼児(満1歳から小学校就学前)である。
認可保育園とは、児童福祉法に基づき国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)を満たし、各自治体で認可された施設を指す。1園当たり平均定員数は60~70名程度で、各自治体で開設区域を決めたのちに、運営事業者を入札により決定する。当該自治体エリア内における過去の運営実績なども含めて総合的に評価されるため、新規参入の障壁は比較的高い。
認証保育園とは、東京都が独自に定めた設置基準を満たしたうえで認定を受けた施設を指し、国の設置基準では認可外保育施設として位置付けられる。認可保育園との違いは、園児の募集活動を自らが行い保護者と直接契約する点である。保護者から一部の保育料等を受領し、残りを自治体から受領する仕組みである。認可保育園であれば自治体で募集を行うため、募集費用がかからないといったメリットがある。このため、同社は認可保育園での展開を進めている。認証保育園4園については認可基準を満たす取り組みを進めており、認可が難しい場合には、近郊エリアで同社が運営する保育園との統合等を検討する方針である。
認可保育園のビジネスモデルは、入園を希望する保護者が各自治体に申請し、入園後に自治体へ保育料等を支払う仕組みである。2019年10月から3~5歳児の利用料が無償化(0~2歳児も住民税非課税世帯は無償化)※となったが、認可保育園はもともとサービス提供の対価として、国や自治体から保育費や補助金等を収入として得ていたため、無償化の影響は軽微である。また、認可保育園を新規開設するにあたって必要となる設備投資の一部は自治体からの補助金で補填されるほか、自治体によっては施設賃借料の一部が支給される。設備投資に関わる補助金については、開園月(4月)の直前(3月)に交付決定される。設備資金の補助金割合は自治体によって異なるがおおむね8割以上の水準となっており、同社は特別利益に設備等補助金収入として計上している。
※ 通園送迎費や食材料費、行事費用は従来どおり保護者の負担となる。
子育て支援事業における同社の強みは、運営する保育園の大半が認可保育園であり、園児募集の営業経費が不要なため、高い収益性を維持できる構造にある。また、認可保育園は認可外保育施設と比較して、人員基準や施設基準が厳しく設定されており、同基準をクリアしていることは安心・安全な運営体制を担保している証でもある。こうした事業基盤を継続的に支える背景には、同社の教育システムが機能していることに加えて、中途採用フェアへの継続出展や専門学校への定期訪問などによる広範なネットワーク構築、それを通じた安定的な人材採用がある。職場環境に対する好意的な評判もあり、人材採用難の環境下でも年間50~100名前後の新卒保育士を採用し、高い定着率を維持していることも収益力の高さにつながっている。
4. 介護事業
介護事業では、主に介護保険法に基づいて訪問介護・看護等の訪問系サービスやデイサービス等の通所系サービス、サービス付き高齢者向け住宅や認知症対応型グループホーム、ホスピス対応型ホーム等の居住系サービスといった介護サービスを首都圏で幅広く展開している。2026年3月末時点の事業所・施設数は61事業所(東京都23、埼玉県21、千葉県13、神奈川県4)となっている。
同社の介護事業の特徴は、サービス付き高齢者向け住宅等の居住系サービスを拠点として、同一建物内に通所系サービスや訪問系サービスなど複数の事業所を設置する複合型施設としてドミナント展開している点にある。また、将来の看取り需要の拡大を見越して、ホスピス対応型ホームも展開している。2020年8月にサービス付き高齢者向け住宅「ミアヘルサ オアシス東新小岩」(東京都葛飾区)内に在宅ホスピス専用フロアの開設を皮切りに、2021年9月にホスピス専用の住宅型有料老人ホーム「ミアヘルサ メディケアオアシス新百合ヶ丘」(神奈川県川崎市)、2023年8月にサービス付き高齢者向け住宅と同一施設内に「ミアヘルサ メディケアオアシス流山運河」(千葉県流山市)を開設した(ホスピス対応型ホームでは24時間対応の訪問看護ステーションも同時に開設)。介護サービスや調剤薬局とも連携し、利用者やその家族に寄り添い、住み慣れた地域で最期まで安心して暮らせる環境づくりを推進している。
売上高の内訳は、通所系及び訪問系サービスで全体の6割弱、居住系サービスで3割弱、残りを地域包括支援センター等の行政委託サービスやそのほかのサービスで占めている。ビジネスモデルとしては、介護保険法が適用されるサービスについては、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいてサービスを提供し、対価の一部を利用者から、残りを国民健康保険団体連合会からそれぞれ受領する仕組みである。一方、介護保険法が適用されないサービス(サービス付き高齢者向け住宅の賃料、食事代、生活支援サービス費等)については、利用者から直接対価を受領している。
介護報酬改定については3年ごとに実情に合わせて改定されている。直近では2026年度に改定されており、慢性的な人材不足による経営環境の悪化等が考慮され、実質2.03%(介護職員のみならず、介護従事者を対象に幅広く賃上げを実現))相当の引き上げとなった。
5. その他
その他では食品事業を展開している。主に足立区・葛飾区の公立小中学校約180校に対する給食用食材、及び同区内の保育園・介護施設、その他一般飲食店等に対する食材の卸売りを行っている。また、ライドオンエクスプレスホールディングスが運営する宅配寿司チェーン「銀のさら」のフランチャイジーとして足立区内に3店舗を展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)