■フォーシーズHDの成長戦略
「2. セグメント別戦略」のつづき
(5) Web3.0事業
Web3.0事業は、暗号資産やトークンのシステム開発・運用、投資活動、さらには第一次産業支援を起点とした新たな経済圏の創出を目指す新規事業である。既存事業で蓄積した顧客情報や販売データの活用に加え、専門知識や豊富な経験を有する先駆者企業との提携を強みとしている。世界的にWeb3.0市場の拡大が見込まれるなか、国内でも法制度や税制環境の整備が進展しており、同社はこうした市場成長を取り込むことで新たな収益基盤の確立を目指している。具体的な施策としては、化粧品のトレーサビリティ強化や美容・スキンケア情報のNFT化を通じて既存事業とのシナジーを創出するほか、暗号資産による商品購入を実現するプラットフォームの構築や、第一次産業支援事業における資金循環モデルの開発を進める。
また、積極的な海外企業とのアライアンス推進や、香港子会社を活用した専門家の採用及び事業リサーチ体制の強化、Bitcoinをはじめとする暗号資産への投資なども計画している。さらに、第三者発行トークンを活用した独自の経済圏構想を掲げており、顧客へのインセンティブ付与や将来的な株主還元への活用可能性も検討している。同事業は中期経営計画において最も高い成長ポテンシャルを持つ新規事業の1つとして位置付けられており、暗号資産やトークン運用に関するシステム開発及び運用体制の整備を進めながら、2026年9月期予想の売上高50百万円、営業利益10百万円から、2030年9月期には売上高300百万円、営業利益105百万円への成長を計画している。
3. M&A戦略
同社のM&A戦略の成功事例として、2023年1月に約3億円で完全子会社化したiiyの事例が挙げられる。買収後3年間にわたり売上高、営業利益ともに計画を大幅に上回る実績を達成しており、グループ内におけるヒト、モノ、カネ、チエの水平展開が奏功した事例として位置付けられている。特にECマーケティングや商品開発に関するノウハウの共有が成果につながっており、同社はこの成功体験を今後の成長戦略に活用する方針である。こうした実績を踏まえ、中期経営計画では2027年9月期以降、買収価格2~5億円規模を中心に毎年1件程度のM&Aを実施する方針を掲げている。同社では日常的にソーシング活動を行っており、多数の案件情報が寄せられているという。加えて、M&A戦略を主導する担当者には証券会社やM&Aアドバイザリー業界での経験者がおり、その人的ネットワークも活用しながら候補先の発掘を進めている。
また、投資判断においては売上高や利益といった定量的な指標だけでなく、人材、ノウハウ、技術力などの無形資産も重視している。iiyの買収では収益面に加え、人材や知見の獲得が大きな成果となったという。さらに、(株)ジェリービーンズとの取り組みにみられるように、業務提携を通じて双方の商圏や顧客基盤を活用するケースも有効な選択肢と位置付けている。このため、同社は買収に限定せず、資本提携や業務提携を含めた柔軟なスキームを活用しながら、既存事業とのシナジー創出が期待できる案件の獲得を目指す。
■株主還元策
中期経営計画で株価向上・配当実施に注力
同社は、安定的な配当の維持継続を念頭に置きながら、業績を勘案して適切な額を還元することを配当政策とし、経営の最重要課題の1つと位置付けている。2026年9月期の配当については未定としているが、財務基盤の強化及び今後の持続的成長のための内部留保の充実を図りつつ、適切な利益還元を実施する方針だ。中期経営計画でも株価向上や配当実施に注力し、2030年に株価を1,590円まで向上させ、将来的な復配を目指す。
また、株主との対話強化及び株主管理のDXを目的として「フォーシーズHDプレミアムメンバーズ」を導入しており、株主が登録したデータベースを積極的に活用し、IR情報を随時配信するなど対話強化を図っている。株主優待では、同社商品や事業内容の理解促進を目的に投資額に応じた還元内容としており、保有単元区分は1単元(100株)、2単元(200株)、3単元(300株)、5単元(500株)、7単元(700株)、10単元(1,000株)と広く設けている。優待の内容は、1) 自社商品の進呈(100株以上保有の株主が対象)、2) 「フォーシーズHDプレミアムメンバーズ」ポイントの進呈(100株以上保有の株主が対象)、3) 長期保有特典(100株以上を4年以上継続保有した株主が対象)の3種類を設けており、保有株数や保有期間に応じた特典が受けられる仕組みとなっている。株主管理の電子化や投資家の投資方針に応じた株主優待の充実化により、効率的で効果的な市場との対話の実現、企業価値向上、ひいては事業の拡大につながると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)