■データ・アプリケーションの事業概要
1. 事業概要
同社は事業セグメント区分について、従来はソフトウェア関連事業の単一セグメントとしていたが、M&Aによってグループ4社体制となったことに伴い、2026年3月期よりソフトウェア事業(同社)、システムインテグレーション事業(子会社DTC)、AI関連事業(子会社WEEL及びメロン)とした。2026年3月期のセグメント別売上高(セグメント間内部取引消去前)は、ソフトウェア事業が2,492百万円(売上高構成比55.8%)、システムインテグレーション事業が1,335百万円(同29.9%)、AI関連事業が638百万円(同14.3%)となった。事業ポートフォリオの多角化が進展している。
2. ソフトウェア事業
主力のソフトウェア事業は、同社がEDIやEAIといったデータ交換・連携プラットフォームを中心に展開し、EDIミドルウェア市場におけるマーケットリーダーとなっている。「ACMS」シリーズ最上位モデルのエンタープライズ・データ連携プラットフォーム「ACMS Apex」を主力として、2025年11月にクラウド型データ連携プラットフォーム「ACMS Cloud」の販売を開始するなど、新規顧客開拓とサブスクリプション型ビジネスモデルへの戦略的シフトを加速させている。
(1) 主力製品
主力製品は「ACMS」シリーズで、最上位モデルのエンタープライズ・データ連携プラットフォーム「ACMS Apex」、EDIとiPaaS※を融合したクラウド型データ連携プラットフォーム「ACMS Cloud」、データハンドリングプラットフォーム「RACCOON」、ワークマネジメントプラットフォーム「Placul」を戦略製品と位置付けている。
※ Integration Platform as a Serviceの略。複数のクラウドサービスやオンプレミスなどで管理されている独立化したデータを一元的に連携するためのソリューションのこと。クラウド上でシステムやサービスを“つなぐ”ための統合基盤として、従来のEDIやEAIの機能を包含し、APIやファイル転送・データ変換などを一元的に管理・運用できる。
「ACMS Apex」は既存の業務アプリケーション資産を生かし、セキュアかつ可用性の高いデータ連携基盤を容易に構築できるソフトウェアである。2016年6月に販売を開始し、直近では2026年1月に「ACMS Apex V1.10」の販売を開始した。なお「ACMS Apex」にはデータ変換エンジンとして「RACCOON」が搭載されている。「ACMS Cloud」は企業間・社内・クラウド・SaaS間のデータ連携をノーコードで構築できるクラウド型データ連携プラットフォームである。2025年11月に販売を開始し、2026年6月に最新版「ACMS Cloud 2.0」の販売を開始した。オンプレミス型の「ACMS Apex」の技術と実績をベースとしてクラウド時代に最適化された新たなソリューションであり、Web API設定作業を効率化する対話型支援アシスタント「WebAPI設定アシスタント」や顧客サポート業務を効率化するAI Chatbot、障害予兆を検知するAIモデルの開発などを通じて、機能・利便性の向上を推進する。
「RACCOON」はデータ連携や移行時のデータ加工・変換をノーコードで実現できるソフトウェアである。2014年3月に販売を開始し、直近では2026年1月に「RACCOON V2.8.0」の販売を開始した。「Placul」は個人と組織がともに成長し続けるDIGITAL WORKを実現する新しいクラウドサービスである。職場をデジタルシフトした組織での活用を想定し、オフィスワークでもテレワークでも同じように仕事ができるよう、チーム協働業務の目標とタスクを通じてセルフマネジメントを支援する。2024年7月に販売を開始し、2025年10月には新エディション「Placul – Customer Success Edition」の販売を開始した。「OCRtran」は「ACMS Apex」及びウイングアーク1stの「SPA Cloud」との連携ソリューションで、2020年8月に販売を開始した。AI-OCR技術を活用して紙文書をデータ変換し、シームレスに業務システムへ連携できるペーパーレス自動化ソリューションである。
(2) 特徴・強み
同社製品の大半は、大手SIerを中心とするビジネス・パートナーのシステム構築・ソフトウェア開発に組み込まれる形で販売される。このため同社は、技術者比率5割超の研究開発型企業として、次世代製品トレンドなど市場動向を把握しながら製品開発・機能強化を続けている。この点が同社の強みの1つである。同社の売上高に対する研究開発費(売上原価で計上する製品機能強化・改修などに関わる製品維持コストと、販管費で計上する製品の初期開発段階に関わる費用の合計)の比率は約2割程度で推移しており、研究開発型企業として、さらなる技術力・製品力向上が期待できると弊社では考えている。
2026年3月期末時点のビジネス・パートナーは55社である。主要なビジネス・パートナーはNECソリューションイノベータ(株)、(株)日立ソリューションズ・クリエイト、SCSK、BIPROGY、富士通Japan(株)、(株)日立システムズ、(株)NTTデータ先端技術などで、大手SIerを中心に強力な販売パートナー網を構築している。
なお2024年10月には、同社のカスタマー・サポート・サービスが、HDI-Japanの主催する2024年度HDI格付けベンチマーク「クオリティ格付け」部門において、世界最大のサポートサービス業界の団体であるHDIの国際標準に基づいた評価基準により最高評価の三ツ星を獲得した。三ツ星獲得は前回評価を受けた2022年度に次いで2回目となる。同社のサービス品質の高さを示す事例と言える。
(3) 売上高の推移
同社はソフトウェア事業の形態別売上区分をリカーリング、パッケージ(売り切り)、サービスその他の3区分としている。リカーリングはサブスクリプション売上、パッケージ販売に付随するメンテナンス売上、タームライセンス売上の継続収益であり、ストック型の安定収益となる。パッケージは戦略製品及びその他製品(EDI系製品・EAI系製品・Any系製品)を売り切りで販売するフロー型売上である。サービスその他はソフトウェア製品販売に付帯するサービスの提供や通信機器の販売などである。
同社は収益安定性向上のため、大型案件によって変動するパッケージ売り切り型から安定収益のサブスクリプション型へ、ビジネスモデルの戦略的シフトを推進している。2026年3月期のソフトウェア事業の売上高(セグメント間内部取引消去前)は2,492百万円で前期比1.3%減少したが、これはパッケージ売上が前期第4四半期に計上した特需の反動で減少したためであり、リカーリングの四半期別売上高は第1四半期499百万円、第2四半期513百万円、第3四半期526百万円、第4四半期535百万円と拡大基調である。そして2026年3月期第4四半期のリカーリング売上比率は約8割となった。特にサブスクリプション売上が第1四半期229百万円、第2四半期243百万円、第3四半期256百万円、第4四半期266百万円と拡大基調であり、2026年3月期第4四半期は2023年3月期第1四半期の88百万円に対して約3.0倍の規模に拡大した。また2026年3月期第4四半期のサブスクリプション売上は初めてメンテナンス売上を上回った。なお同社はサブスクリプション型へのシフトを加速させるため、パッケージ型販売については2026年3月期をもって原則終了し、2026年4月1日出荷分よりサブスクリプション型販売に一本化した。このため今後のトレンドとして、パッケージ売上及びパッケージ販売に付随するメンテナンス売上が減少するが、サブスクリプション売上については「ACMS Cloud」の販売本格化も寄与して順調に拡大する見込みだ。
またサブスクリプション売上のMRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)も拡大基調である。直近の2026年3月(単月)時点では89百万円となり、2021年3月(単月)時点の14百万円に対して約6.5倍に拡大した。サブスクリプション型への戦略的シフト加速により、収益の安定的拡大や利益率の向上が期待できると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)