マネーボイス メニュー

DMP、法人ライセンス案件の拡大によりライセンス型売上は前年同期比で増加 調整後EBITDAはマイナスも予算内で着地

目次

吉村修一氏(以下、吉村):ダイナミックマッププラットフォーム株式会社、代表取締役社長CEOの吉村です。本日はお忙しい中、当社の2027年3月期第1四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

スライドは、本日の進行内容です。まず、会社概要と事業概要、および現在取り組んでいるAIネイティブデータセットについてご説明します。その後、2027年3月期第1四半期の決算実績、2027年3月期通期の業績予想をお伝えし、パイプラインのアップデートを行い、最後にQ&Aを予定しています。

2027年3月期第1四半期は、売上および調整後EBITDAが前年同期実績を下回りましたが、調整後EBITDAのマイナス幅は予算内で着地しており、通期の業績予想は据え置きとしています。

法人ライセンスを中心に、ライセンス型の売上が着実に成長していることから、本日はフィジカルAIの社会実装に向けたAIネイティブデータセットの提供など、ライセンス事業拡大に向けた取り組みについてご説明します。どうぞよろしくお願いします。

会社概要

まず、会社概要です。これまでの説明会内容と重複する部分もありますが、今回初めてご参加される投資家の方も多くいらっしゃるため、最新の会社概要をお伝えしたいと思います。

当社は、2016年6月に日本国政府主導のもと、自動車会社をはじめとする事業会社各社が協調出資するかたちで設立されました。その後、北米の同業他社を海外買収しています。

このような背景から、自動運転や社会のデジタル化に関わるビジネスを進める上で、自動車会社や関係省庁との強固な関係が当社の事業推進において有利に働いています。

数字でみるダイナミックマッププラットフォーム

当社の特徴をスライド1枚にまとめています。進出国数は26か国、海外売上高比率は74パーセントと、グローバルにビジネスを展開しています。

ライセンス型売上高は、2026年3月期に前年比121パーセント成長しました。また、各地域における高精度三次元データのカバレッジは180万キロメートルに達しており、フィジカルAI市場は、今後、年平均30パーセントの成長が見込まれています。

これらの数字から、当社がすでにグローバルにおける優良なデータ資産を保有しており、フィジカルAIの進展に向けてライセンスビジネスが成長していくことをご理解いただけるかと思います。

ハイライト

当社のハイライトは4点です。1つ目は、当社はダイナミックマップという高精度な位置情報基盤をグローバルに構築するディープテック型スタートアップであることです。

今後、グローバルで飛躍的な成長が見込まれる自動運転などを含むフィジカルAIのマーケットにおいて、先進技術を基盤に事業を先行展開してきました。

2つ目は、日系大手自動車メーカー10社やGeneral Motors Company(GM)、日本国政府など、優良な顧客基盤を持ち、高い売上成長性を実現可能であるという点です。

これは、当社が大手企業の技術を結集するかたちで設立されたこと、およびその後に米国の最大手企業を買収した経緯によるものです。当社は、拡大するグローバルマーケットの恩恵を一手に享受できる立場にあります。

3つ目は、競合他社に比べても圧倒的なデータ量を保有しており、世界初となる自動運転レベル2プラス・レベル3を実現した技術力という競争優位性です。当社の従業員数はグローバルで249名いますが、そのうち7割がエンジニアです。日米のエンジニアがそれぞれの技術を持ち寄り、開発を継続しています。

最後に、ビジネスモデルはフロー型のプロジェクトビジネスとストック型のライセンスビジネスの2本柱です。プロジェクトビジネスを通じて事業基盤を整えた後は、収益性の高いライセンスビジネスにより、全社として高収益な体質を実現可能としています。

Modeling the Earth

我々のビジョンを一言で表すと「Modeling the Earth」、日本語では「地球のデジタル化」です。

現実世界をデジタル空間に複製し、デジタル社会のインフラとなるような高精度三次元データを提供するプラットフォーマーを目指しています。

このプラットフォームとさまざまな情報を結びつけることで、分析・制御・予測を可能にし、社会課題の解決に貢献するイノベーションを実現しています。

当社の提供するサービス

続いて、当社が提供するサービスについてご説明します。当社のサービスは、大きく4つに分けられます。

まず、スライド左上にある「自動運転向けデータ」は、自動走行システムなどが使用する高精度な三次元地図データを提供しています。このデータには、車線数や区画線の情報、道路情報、建物や構造物の位置情報などが含まれています。自動運転の制御用として車両に搭載されるほか、近年ではAIの学習・検証用にも活用されています。

右上に示されているのは、それらのデータを可視化するための「Viewer」です。点群データは、一つひとつの点がセンチメートル級の正確な座標情報を持っています。これらのデータは、インフラ管理や事故調査、シミュレーションなどの用途に用いられます。

左下は「Guidance」システムです。高精度な3次元での「Guidance」は、空港や港湾、物流センター、除雪の作業支援などで用いられています。

最後に、右下は「空間ID」をはじめ、その他広範な位置情報サービスを提供しています。

世界最大級の高精度3次元データを構築

当社の最大の強みは、世界最大級のデータ量にあります。この領域に特化した研究開発と設備投資を行ってきた結果、顧客である自動車メーカー各社の要求を満たし、さらに競合と比較しても圧倒的なデータ量とカバレッジを有する高精度な3次元データを構築することに成功しました。

グローバルで合計180万キロメートルにわたる整備済みデータは、量産車に搭載される自動運転やADAS向け利用にとどまらず、世界各国における産業のデジタル化、社会課題の解決に貢献する大きなポテンシャルを備えています。

ビジネスモデル全体像(プロジェクトとライセンスの2本柱)

当社のビジネスモデルは、プロジェクト型とライセンス型の2つに分類されます。

プロジェクト型は、安定した利益率を獲得しつつ、データやソフトウェアの整備を進めることで、事業基盤の構築を担っています。

180万キロメートルにおよぶ世界最大のデータは、このプロジェクト型ビジネスを通じて整備してきました。そして、プロジェクト型で整備したデータやソフトウェアをライセンス型で提供することで、コストを増やさずに収益を増加させ、高い収益性を実現することが可能です。

特定のお客さまからの受注で整備したデータを、他の自動車会社や自動運転システム会社、半導体メーカー向けにライセンス提供することで、高い利益率を達成しています。

現実世界の変化に合わせてデータの更新が必要となるため、継続的かつ累積的に売上が伸びていくビジネスモデルとなっています。

各種データ連携を通じたダイナミックマッププラットフォーム構築

当社の歴史を振り返ると、公道での静的なデータ取得からスタートし、そのカバレッジを拡大するとともに、動的データの収集やシステム化との統合を進めてきました。近年では、スライドのデータ種別のマトリクスの右下に記載のある空港・港湾・物流センターなど、公道以外の特定エリアにおける需要も高まりを見せています。

これらの特定エリアで動的データを統合するアプリケーションの開発・導入を進め、ダイナミックマップの構築に取り組んでいます。

ダイナミックマップは、今後の産業のデジタル化・効率化を支える社会的な共通基盤の役割を果たすと考えています。

測量ネットワーク構築 -測量能力拡大の必要性-

そのために、公道向けに使用してきたMMS(モービル・マッピング・システム)に加え、データ取得手法の拡大に取り組んでいます。

特に、狭い地域や特定エリア向けには、ドローン、ハンディレーザー、スマートフォンのLiDARなどを積極的に活用し、機動的な測量体制を構築しています。また、既存の測量パートナーに加え、自社での測量能力の強化にも取り組んでいます。

M&Aによる事業領域拡大

その方法として、M&Aを通じて事業領域の拡大を図っています。2019年には、市場シェアの獲得を目的とした水平統合型のM&AとしてGeneral Motors CompanyなどからUshr, Inc.(以下、Ushr社)を買収し、グローバルマーケットでNo.1のポジションを獲得しました。現在は垂直統合型のM&Aとして、川上と川下の両方の領域で買収を進めています。

すでに実施した日本海測量設計とリカノスの買収は、川上における「データ収集」、すなわち現実世界を正しく計測する事業領域の拡大に該当します。

川上の領域では、当社のデータ生成に必要な「調査・解析」や「3Dモデル化」に関連する企業を対象として検討しています。

一方、川下の領域では、当社が保有するデータを活用することで、分析・制御・予測の向上が期待される「GIS」「シミュレーション・3DCG」「AR・VR」の領域を対象としています。

連続的M&Aを通じたグループ拡大

当社では、M&Aを通じた非連続的な成長を、オーガニック成長に加える重要な戦略と位置づけています。

当社の歴史を振り返ると、2019年にUshr社を買収し、一体経営を進めたことで欧州、韓国、中東への進出が可能となり、このM&Aは当社の事業拡大における大きなターニングポイントとなりました。

その後は上場を経て、2025年よりM&Aを再開しています。2025年10月に日本海測量設計の買収を完了し、2026年4月にはリカノスをグループに迎えました。

これらの会社が有する地域密着型の測量力やドローン測量技術を取り込むことで、当社のビジョンである「Modeling the Earth」を実現していきます。

今後も黒字企業を対象に、複数の測量会社や測量事業の中核となる企業の買収、事業領域の拡大を通じて、DMPグループの成長と収益性の向上に取り組んでいきます。

フィジカルAIの「データプラットフォーム」

以上のような取り組みを通じて、自動運転からモビリティ、インフラ、広告、エンターテインメントへと活用領域を広げ、多様な産業においてフィジカルAI時代における「データプラットフォーム」を提供していきます。

日本政府戦略17分野における当社データの活用可能性

当社のデータの応用領域はさらに広がり、国家レベルの重点分野へもつながっていることを、1枚にまとめています。

こちらのスライドは、日本政府が掲げる戦略17分野に対して、当社の高精度3次元データがどのように活用可能かを示したものです。ご覧のとおり、当社のデータは特定の用途にとどまらず、AI・半導体、航空・宇宙、防災・国土強靱化、港湾ロジスティクス、情報通信といった幅広い分野で活用の可能性があります。

特に重要な点としては、フィジカルAIの発展において、学習、検証、シミュレーションに使用できる現実空間データが不可欠ですが、当社のデータはまさにその用途に対応しています。

例えば、AI・半導体分野では、AIモデルの学習や検証データとして活用可能です。また、航空・宇宙や防災分野では、シミュレーションや状況把握のための基盤データとして利用が期待できます。

ドローンの分野においても同様に、災害時の状況把握やインフラ点検など、現実空間を正確に再現したデータがあることで、安全かつ効率的な運用が可能となります。

さらに、港湾や物流といった分野では、後ほどご説明する東京流通センター(TRC)の事例と同様に、自動化や効率化の基盤としても重要な役割を果たします。

当社の高精度3次元データは、自動運転用途のデータに留まらず、さまざまな産業で共通して利用される基盤データとして位置づけることができます。言い換えれば、当社の成長機会は特定の市場に限定されるのではなく、今後の産業全体の発展に広がっていることを意味しています。

したがって、当社は自動運転関連企業という枠を超え、フィジカルAI時代のデータインフラ企業として成長していくポジションにあると考えています。

AIネイティブデータによる実世界の3D環境モデル化

ここからは、当社が取り組んでいるAIネイティブデータセットについてご説明します。まず、「3D Gaussian Splatting(3DGS)」という技術を用いて生成したフォトリアルな3D環境モデルデータについてご紹介します。

一般的な3DGSは、画像データのみをベースに3Dモデルを生成することが多いのですが、当社では画像データに加え、当社が保有する点群データと高精度な三次元地図データも組み合わせて生成しています。

これによって、点群データによるDepth、つまり奥行き情報から正確な3D情報を入力できるほか、高精度の3次元地図データを用いることで、前処理においてノイズを除去することが可能となります。

そのため、撮影条件の制御が難しい公道においても、実世界の正確なスケールを持った幾何構造を再現しつつ、ノイズレスでフォトリアルな3D環境データを構築することが可能です。

この3DGSコンテンツの特徴は、任意のカメラ視点、「トラジェクトリ」と呼ばれる道筋や軌道から映像を生成できる点にあります。

簡単に言えば、1つの3次元データから多様なシナリオで走行動画を作成することが可能であり、それによってコントローラブルにバリエーションを持たせた学習・検証用のデータセットを生成できることを意味しています。

さらに、ノイズがなく幾何的に正確なデータであるという特徴から、後続のAI処理との相性が非常に良好です。生成AIを活用することで、天候や時間帯、交通状況などのバリエーションを増やし、データを拡張することが可能となります。

その際、高品質な幾何構造とフォトリアルな表現を維持したまま拡張できる点が特徴です。つまり、単にリアルであるだけでなく、AIで扱いやすい3Dモデルデータであるという点が大きな特徴となっています。

3DGSを用いた3D環境モデル -AI学習・評価に必要なデータ基盤-

こちらのスライドは、当社が3DGSで作成した3次元モデルです。通信の関係上、少しカクカクして見えるかもしれませんが、実際には滑らかな動画です。

本来は路上駐車や歩行者がいる公道ですが、それらが存在しないクリーンな3次元モデルとなっています。また、任意の視点から見た2D画像の表現も可能です。

3DGSを用いた3D環境モデル -AI学習・評価に必要なデータ基盤-

先ほどご覧いただいた「3DGS」の3Dデータに、任意のトラジェクトリ(道筋の情報)を組み合わせることで、自由に走行動画を生成することが可能です。現在ご覧いただいているのは、左車線を直進走行するトラジェクトリを組み合わせたケースです。

3DGSを用いた3D環境モデル -AI学習・評価に必要なデータ基盤-

こちらのスライドは、右折するシナリオのトラジェクトリを組み合わせた場合の走行動画です。動画のように自由に走行経路を設定することで、極端な例では逆走させたり、建物に衝突させたりすることも含め、さまざまな走行動画を生成することが可能です。

このように、実世界を起点としつつ、AIの学習や評価に必要な走行パターンを柔軟に作成できる点が、当社のAIネイティブデータの特徴です。

フィジカルAIの課題を解決するデータ基盤へ

当社が目指すAIネイティブデータの取り組みについてご説明します。世界中のフィジカルAIの開発において大きな課題となっているのが、学習データと評価データの不足です。

当社では、高精度3次元地図データ、標識などの意味情報を持つSemanticデータ、そして高幾何3DGSデータを組み合わせることにより、AIの学習・評価に活用可能な高精度なデジタル空間を構築しています。

通常の3DGSは写真だけで生成されるため、見た目を再現したビジュアル情報が中心ですが、当社は高精度3次元地図データを組み合わせているため、車線、標識、信号、道路構造といった意味情報に加え、実測に基づく位置やサイズ情報が付与されている点が特徴です。

このデータをベースに、AIモデル向けに複数のシナリオを動画生成できる、NVIDIAの「Cosmos Transfer」などの生成AI技術を活用することで、天候や時間帯、交通参加者などの条件を変化させ、多様な学習・評価データを生成することが可能です。

例えば、夜間や雪道、豪雨、逆光、事故が発生している状況など、実世界では発生頻度が低く、十分なデータ収集が難しいケースが多々あります。このようなケースも、当社が保有する正確な3Dデータを基に生成することで、学習・評価用のデータセットを提供することが可能です。

私たちは、単に保有データを販売するだけでなく、自動運転やロボティクスを含むフィジカルAIの開発を支える現実世界のデータ基盤を目指しています。

当社提供のAIネイティブデータセットからの学習・評価用データ生成

当社のAIネイティブデータセットから、NVIDIAの「Cosmos Transfer」を用いた生成AIを活用し、諸条件を変化させて生成する多様な学習・評価用データの例として、3つの動画をご紹介します。

現在スライドでご覧いただいているのは、日中・晴天の条件下で生成されたデータです。現実世界の道路構造を反映した情報を起点に、複数のカメラ視点で走行環境をAIが生成しています。

当社提供のAIネイティブデータセットからの学習・評価用データ生成

続いて、同じ走行環境を夜間の条件に変更して生成した例をご紹介します。実車で夜間のデータを大量に収集するには、時間だけでなく、当然ながらコストや安全面での制約もあります。

しかし、生成AIの技術を組み合わせることで、必要な条件のデータを効率的に生成することが可能です。

当社提供のAIネイティブデータセットからの学習・評価用データ生成

最後に、豪雨の条件で生成した例をご紹介します。悪天候下での走行データは、実車では十分な取得が難しい一方、自動運転やADASの安全性評価において非常に重要なデータセットです。

このように、実世界を起点に天候や時間帯を変化させることで、AIの学習や評価に必要なデータのバリエーションを拡張できます。

NVIDIA・MathWorksとフィジカルAIの学習・検証用データ生成に取り組み

このようなフィジカルAIの学習・検証データの生成に向けた、NVIDIAおよびMathWorksとの取り組みをご紹介します。

スライドに記載のとおり、当社の高精度3次元地図データを元にMathWorksの「RoadRunner」を用いて3Dシーンやシナリオを作成し、NVIDIAの「Cosmos Transfer」でAI学習・評価に活用可能な高品質な動画データを生成することが可能です。

当社のデータと技術を、NVIDIAおよびMathWorksの技術と組み合わせることで、フィジカルAIに必要なデータを提供し、フィジカルAIの社会実装に貢献していきたいと考えています。

なお、2026年7月には当社、NVIDIA、MathWorksの3社共同で、フィジカルAIや自動運転開発を支えるデータ生成ワークフローを紹介するセミナーを開催しました。自動車メーカー、Tier1サプライヤー、自動運転車システム会社、半導体関連会社、金融機関のエンジニアや研究開発担当者を中心に、多くの方々にご参加いただきました。

法人ライセンス拡大、フィジカルAI向け事業拡大に向けた基盤整備が進展

ここからは、2027年3月期第1四半期の実績および通期の見通しについてご説明します。こちらのスライドでは、第1四半期の主な進捗を事業・開発・M&Aの3つに分けて整理しています。

まず、事業面では、海外の大手半導体メーカー向けのAI用途の法人ライセンス案件を追加受注したほか、自動運転トラック向けの法人ライセンス案件も受注しました。また、当社データを搭載した車種の販売が開始され、搭載車種は1車種増え、計6社、39車種となっています。

さらに、北米の交通当局向けに橋梁・トンネル管理ソリューションの提供を開始しました。「3Dmapspocket」については、不動産開発用途での利用が拡大しています。

開発面では、AIネイティブデータセットを「Hugging Face」というAIプラットフォーム上に公開し、公開後は約4,000件のダウンロードがありました。さらに、先ほどご説明したNVIDIAおよびMathWorksとの連携により、フィジカルAI向けの学習・検証データ生成に向けた取り組みも進めています。

加えて、フィジカルAI向けの高精度3次元データ活用のユースケースとして、東京流通センター内の高精度3次元データを整備し、構内における自動運転、フィジカルAIの実証実験用途向けに、平和島自動運転協議会参画企業に提供を行っています。

最後に、M&Aについてです。測量会社のネットワーク化に向けた第2号案件として、2026年4月にリカノスの買収を完了しました。

以上のとおり、第1四半期は業績面でプロジェクト型売上の減少影響がありましたが、ライセンス型売上は成長しており、中長期のライセンス事業拡大へ向けた基盤整備が着実に進展した四半期だったと捉えています。

海外大手半導体メーカーよりAI用途法人ライセンス(Data for AI)追加受注

続いて、AI向け法人ライセンス案件の追加受注についてご説明します。

当社は第1四半期に、海外大手半導体メーカーより、AIを活用した自動運転およびADAS開発に使用される「オートモーティブ法人ライセンス」案件を追加で受注しました。なお、提供先の具体的な社名については、契約条件により非公開としています。

今回のポイントとして、追加受注そのもののみならず、その背景についてもお伝えします。

当社は昨年、この海外大手半導体メーカー向けに北米において高精度の3次元データを提供しました。この利用実績を通じてAI向けデータ用途における当社データの有用性が確認され、今回新たに欧州、日本、韓国でのデータ提供へとつながっています。

また、AI用途においても、どこか1つの国や地域のデータがあれば十分というわけでなく、実際にサービス提供が想定される各地域の道路環境や交通ルールなどを反映した実世界のデータが必要であることも確認されたと考えています。

当社としては、本案件を「Data for AI」需要の拡大を背景に、グローバルデータ資産のマネタイズが進展した事例として位置づけています。

グローバルに整備した高精度3次元データを活用し、AIネイティブデータセットを提供

AIネイティブデータにおける事業および開発の進捗についてご説明します。

2026年6月、サンプルデータを「Hugging Face」上に公開しました。収録データには、点群データ、カメラ画像、走行軌跡などのRAWデータ、いわゆる生データが含まれます。また、高精度三次元地図データ、意味情報を付与したSemanticな点群データ、Semanticな画像データ、先ほどご覧いただいた3DGSなど、AIネイティブデータも含まれています。

公開後は約4,000件のダウンロードがあり、開発者コミュニティや潜在顧客から一定の関心を確認しています。

AIネイティブデータについては、国内の自動車会社、Tier1、自動運転ソフトウェア会社に対して広く営業して需要を捕捉しており、今後は海外の事業者にも積極的に展開していく予定です。当社は、これらのAIネイティブデータの提供を通じてData for AI事業を加速させていきます。

4つのデータレイヤーを統合、AI開発に必要なマルチモーダルデータを提供

こちらのスライドは、当社のAIネイティブデータセットの構成を示しています。RAWデータ、高精度三次元データ、Semantic融合データ、高幾何3DGSデータの4つのデータレイヤーを同一空間上で統合しています。

RAWデータには点群、画像、走行軌跡が含まれ、高精度3次元データには車線や信号標識などの地物情報が含まれています。さらに、点群や画像に地物情報を付与したSemantic融合データと、高い幾何構造を備えた3DGSを組み合わせることで、AIの学習・評価に活用可能なマルチモーダルデータを提供しています。

重要な点は、これらのデータが同一の空間上で整合されていることです。これにより、AI開発において一貫した学習と評価が可能となります。

自動運転からフィジカルAIへ拡張する高精度3次元データ活用

当社のデータの活用が「フィジカルAI」の領域でどのように広がっているのかの具体例として、東京流通センターでの取り組みをご紹介します。

当社はTRC構内の物流施設全体において、高精度な三次元データを整備し、自動運転およびフィジカルAIの共有インフラとして提供しています。このエリアは、屋内空間や複雑な形状のランプウェイなどを含んでおり、GPSが届きにくい環境であるなど、一般の公道とは異なる特殊な空間です。

このような環境では、センサだけで正確な位置情報を取得するのが難しいため、あらかじめ整備した高精度3次元データが非常に重要な役割を果たします。

具体的には、レベル4の自動運転トラックが指定されたバースや区画に安全に到達するための情報提供として活用されています。さらに、施設内のテナント企業とのシステム連携なども可能となり、単なる走行支援にとどまらず、物流全体の効率化にも寄与しています。

このように、当社のデータは道路といったインフラに限らず、物流施設のようなクローズドな空間での自動化や省人化に向けても展開が進んでいます。

重要なポイントは、当社ではこの高精度3次元データを個別の用途にとどめず、複数のプレーヤーが共通して利用できる共有インフラとして提供している点です。これにより、自動運転とフィジカルAIを組み合わせた物流自動化の開発を、より効率的かつ加速的に進めることができると考えています。

フィジカルAIの実装に向けたオープンイノベーションに貢献

先ほどご説明したTRCでの取り組みは、単独企業による実証ではなく、複数の企業や行政、研究機関が参加するかたちで進められています。こちらのスライドは、その体制を示したものです。

TRC内では、2025年5月に設立された平和島自動運転協議会が、さまざまな企業の実証フィールドとして活用されています。自動運転関連企業だけでなく、ロボット、物流、通信、インフラ、IT、金融など、非常に多様な業種の企業が参画しています。

ここで重要なのは、フィジカルAIの社会実装が単一の企業だけで成立するものではなく、こうしたエコシステム全体の取り組みが不可欠であるという点です。

その中で当社は共通基盤として、高精度3次元データを提供する役割を担っています。このデータにより、各企業が同じ空間情報を共有しながら開発を進めることができ、結果としてイノベーションのスピードを高めることが可能となります。

このような現実空間を正確にデータ化して共有インフラとするニーズは、物流施設のみならず、空港や港湾などさまざまな領域に広がっています。

当社は単にデータを提供するだけでなく、フィジカルAIの実装を支えるプラットフォームとしてエコシステムの中心に位置している点が特徴です。

3Dmapspocketの不動産開発用途での利用が拡大

次に、「3Dmapspocket」の不動産開発用途での利用拡大についてご紹介します。

「3Dmapspocket」は、高精度な三次元の点群データと3D Tilesを統合した総合3D空間プラットフォームとして提供しており、みなさまのビジネスPCのブラウザ環境で3D空間を簡単に扱うことが可能です。

特に不動産開発分野では、スライド右側の写真で示しているとおり、開発計画の立案、眺望・景観の確認、配置検討などにおいて活用が広がっています。

2026年7月には東京建物さまによる採用、同年8月にはシーラさまによる採用について、それぞれプレスリリースを行いました。今後も大手不動産会社での採用が決まっており、この領域における展開をさらに積極化していきます。

熊本地震被災地域の状況把握・復旧支援として3Dmapspocketを無償公開

「3Dmapspocket」については、防災や復旧支援にも貢献できると考えています。

あらためまして、このたびの令和8年熊本地震により被災されたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。当社は、「熊本地震災害復旧支援プログラム」という名前で「3Dmapspocket」の一部機能を無償で公開しました。

発災前の道路形状や周辺環境を把握するための基盤情報として活用いただくことで、復旧計画の立案やインフラ点検、現地調査前の事前確認などを支援したいと考えています。

すでにこのプログラムは、高速道路会社、建設会社、建設コンサル会社、損害保険会社、研究機関などが利用を開始しており、災害復旧に貢献できればと思っています。

ライセンス型売上は前年同期比で増加、調整後EBITDAのマイナス幅は予算内

続いて、2027年3月期第1四半期の実績について、前年同期との比較をご説明します。

スライド左側が売上高、右側が調整後EBITDAを示しています。ライセンス型の売上高は「Data for AI」を中心に法人ライセンス案件の拡大によって前年同期を上回り、ライセンス型売上の割合が上昇しています。

一方、プロジェクト型の売上高は、主に北米における新規整備がほぼ完了したことによる前年からの反動減が影響し、前年同期を下回りました。

その結果、売上高全体は前年同期を下回り、調整後EBITDAも前年同期を下回る結果となっています。ただし、この調整後EBITDAのマイナス幅は当初の想定内であり、予算内で着地しています。

また、ライセンス型の売上は引き続き成長しており、ライセンス型を中心としたビジネスへの転換が着実に進展しています。

調整後EBITDA通期プラス化へ

先ほどのスライドの内容を踏まえ、2027年3月期の通期業績予想は期初予想を据え置いています。通期業績予想は、売上高70億円、ライセンス型売上高30億円、調整後EBITDA5,000万円です。

HDマップの搭載車種の増加やAI用途を中心とした法人ライセンス拡大により、ライセンス型売上を30億円まで着実に成長させる計画です。

その結果、利益指標である調整後EBITDAについても、ライセンス型売上の拡大とコスト構造の改善を背景にプラス転換を見込んでおり、通期業績予想に変更はありません。

事業環境と取り組み方針 – AIネイティブなデータ・商品開発を強化、法人ライセンス拡大

2027年3月期の事業環境と当社の取り組み方針です。こちらのスライドには期初に示したものを再掲していますが、念のためご説明します。

事業環境においては、自動運転を含むフィジカルAIの進展が見込まれ、産業界におけるAI関連投資の裾野が広がることが予測されています。

一方、地政学的リスクや原材料・エネルギー価格の高騰、グローバル市場における競争環境の変化などにより、自動車業界を取り巻く事業環境は依然として不確実性が残っている状況にあります。

このような環境認識のもと、取り組み方針を3つ掲げています。1つ目は、AIネイティブデータの開発です。先ほどご説明したとおり、「AIネイティブ」なデータセットの提供を開始し、Data for AI事業を加速させています。

2つ目は、ライセンスビジネス拡大です。オートモーティブ向けの量産ライセンスや法人ライセンスに加え、フィジカルAIの進展による「Data for AI」需要を捕捉していきます。

3つ目は、M&Aです。測量会社のロールアップを中心としたM&Aに継続的に取り組み、フィジカルAI時代を支える測量能力やデータ収集能力を強化します。また、データの利用拡大を促す「川下」領域におけるM&Aの検討も進めています。

法人ライセンスがライセンス型を牽引、プロジェクト型案件採択・拡大に取り組み

こちらのスライドでは、カテゴリごとの注力する取り組みとその進捗についてご説明します。

1つ目の「オートモーティブ法人ライセンス」については、大手自動車メーカー、半導体メーカー、自動運転システム開発会社からの引き合いが引き続き見込まれています。各国で施行される安全規制対応に伴うデータ需要を含め、これらの需要に着実に対応していく方針です。

すでに海外の大手半導体メーカーから追加受注があり、国内および北米で自動運転トラック向けのデータ提供を行いました。「Data for AI」案件の提案や商談も増加しており、順調に進捗しています。進捗評価としては「◯」から「◎」としています。

2つ目の「オートモーティブ量産ライセンス」については、当社データが搭載されている車種が1車種増加し、計6社、39車種となりました。進捗評価は「◯」としています。既存の搭載済車種の台数増加に加え、新規車種への搭載拡大を進めていきたいと考えています。

3つ目の「3Dデータライセンス」については、インフラ管理や不動産開発への利用が拡大していますが、売上への貢献はまだ途上だと考えています。

また、自動運転およびADAS以外では、ロボティクスや物流用AMR向けAIネイティブデータの需要を探索中です。売上への貢献が本格化するまでには一定の時間を要すると考えており、引き続きパイプラインの積み上げに注力していきます。したがって、こちらの進捗評価は「△」です。

次に、プロジェクト型ビジネスに移ります。1つ目の「3Dデータプロジェクト」については、現時点で未受注の案件も含むものの、政府向け・民間向けともに案件数が増加しており、海外案件の引き合いも増えています。

また、測量会社の連結化により、売上および利益の貢献も進んでいます。このため、進捗評価を「◯」としています。

最後の「オートモーティブプロジェクト」は、中東地域における整備案件を着実に遂行しており、新規国における整備案件も受注済です。さらに、新規整備案件についての商談が複数進行中のため、進捗評価を「◯」から「◎」としています。

粗利率80%超のライセンス型を伸ばし中長期で成長率10-30%で成長を続ける

中長期的な成長方針についてご説明します。昨年度は計画どおりにデータの新規整備が概ね完了し、成長のための事業基盤が構築されました。また、ライセンス型の売上が前年比2.2倍に成長しました。

今年度は、いよいよライセンス型を中心とした収益構成にシフトし、投資回収のフェーズへ移行します。以降は、中長期的に売上高を年率10パーセントから30パーセントの成長を目指します。

その成長を牽引するのは、やはりライセンス型の売上です。AI用途向け法人ライセンスでは、粗利率が100パーセントとなる案件もありますが、ライセンス型売上全体としては、粗利率80パーセント超を目指していきます。

スライド下段には、カテゴリー別の施策をまとめています。以前から変わらない施策ではありますが、これらに取り組むことで、売上成長とライセンス型中心の収益構成へのシフトを進めていきたいと考えています。

ライセンス型ビジネス(オートモーティブ)

最後の章です。パイプラインを4つに分けてアップデートを行いましたが、2027年3月期以降の主な進捗に絞ってご説明します。

1つ目は、ライセンス型のオートモーティブビジネスです。量産ライセンスについては、自動車メーカーAの高精度な3次元データを搭載した新車種の発売が開始されました。当社データの搭載車種は1車種増加し、計6社39車種となりました。

続いて法人ライセンスでは、海外の大手半導体メーカー向けに、北米データの提供実績を踏まえ、欧州・韓国・日本のデータを追加受注したほか、複数の商談を進めています。

さらに、新たに自動運転システム開発会社向けに1件の契約を締結したほか、日米それぞれで自動運転トラック会社向けにデータ提供に関する2件の契約を締結しています。

引き続き、量産ライセンスの台数増加や法人ライセンスの拡大を通じて、ライセンス型の売上の増加を図っていきます。

ライセンス型ビジネス(3Dデータ)

2つ目のカテゴリは、ライセンス型の3Dデータビジネスです。

「3Dmapspocket」については、事故調査用途で大手損害保険会社とのライセンス契約を締結しました。不動産開発用途において、大手不動産会社による利用の拡大が進んでいることは、先ほどご説明したとおりです。

次に、エンターテインメント領域では、レーシングゲーム用途でソフトウェア会社向けにデータ提供を行いました。

3Dデータライセンスは、自動車以外の領域への展開を進めており、インフラ管理、不動産、エンターテインメントなど、活動領域が拡大しています。直近では「熊本地震災害復旧支援プログラム」の無償公開により、防災・復旧支援といった社会的な用途においても、高精度な3次元データの活用可能性を広げています。

一方で事業はまだ立ち上がりの段階にあり、引き続きパイプラインの構築に取り組んでいきます。

プロジェクト型ビジネス(3Dデータ)

3つ目のカテゴリは、プロジェクト型の3Dデータビジネスです。今回の更新点として、民間企業向けの物流自動化案件を1件受注しました。

海外では、北米の交通当局向けに橋梁・トンネル管理のソリューション提供を開始しています。また、北米の州政府から実証実験に関する引き合いをいただいています。

さらに、海外においてはデジタルツイン構築向けのデータ提供案件についても契約を締結しました。本件については開示許諾が取れ次第、プレスリリースを行う予定です。

以上のとおり、国内外の政府向け・民間向け双方で案件の採択および拡大に取り組んでおり、今後も受注獲得に向けた活動を継続します。インフラ管理、物流自動化、デジタルツインの分野を中心に、案件獲得および売上拡大に努めていきます。

プロジェクト型ビジネス(オートモーティブ)

最後のカテゴリは、プロジェクト型のオートモーティブビジネスです。中東における案件については、今年度にプロジェクトを進める予定です。

また、今年度はすでに受注している27カ国目の新規整備案件も進めていきます。その他の商談中の案件についても、引き続きクローズに向けて取り組みます。

オートモーティブ分野のプロジェクト案件は、通期業績への影響が大きいため、既存案件の着実な遂行はもちろん、追加受注の際には利益率を意識して取り組んでいきます。

中長期ビジョン

最後のスライドは、当社の中長期ビジョンです。「Modeling the Earth」というビジョンを実現するため、DMPグループとして中長期的に事業を成長させるべく取り組んでいきます。引き続き、ご支援を賜れると幸いです。どうぞよろしくお願いします。

質疑応答:WP.29における国際基準合意と自動運転事業への影響について

司会者:「レベル3、4を含む自動運転に関する国際基準が、2026年6月の国連自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)で合意されたと承知していますが、当該国際基準の合意が貴社ビジネスに与えると想定される影響についてご解説をお願いします」というご質問です。

吉村:当社では、今回のWP.29における国際基準の合意を、自動運転の社会実装に向けた重要なマイルストーンと捉えています。

今回の制度整備では、どの条件下でどの場所を走行可能とし、自動運転をオンにできるかというODD管理や安全性の評価、運用後のモニタリングなどの領域で、高精度3次元データの重要性が高まっていると想定しています。

特に自動運転の安全性証明については、シミュレーションの活用が拡大する方向にあります。本日ご説明した高精度3次元データを活用した評価や検証のニーズが高まることが期待されています。当社内でも、法整備に伴い、ODD管理やシミュレーション評価のユースケースが拡大すると見込んでいます。

当社が保有する高精度3次元データは、車載ライセンスに加え、安全性評価やODD管理など、いわゆる「Data for AI」と呼ばれる用途でも活用可能であり、中長期的に事業機会の拡大につながる可能性があります。

一方、今回の制度整備自体が直ちに売上や利益に大きく影響するものではありませんが、今後の自動運転市場の拡大を支え、当社の事業拡大につながると捉えています。

質疑応答:高精度3次元データの活用事例と情報開示について

司会者:「いつも『YouTube』などで吉村社長の誠実な説明対応に感心しています。ホームページや動画等で、高精度3次元データを搭載した車種や、今後1年から2年で搭載予定の車種などを紹介してほしいです」というご質問です。

吉村:当社の高精度3次元データが実際の車両やサービスのどこに使用されているのかについては、投資家のみなさまの関心が高いテーマであると日頃の対話を通じて認識しています。

当社としては、投資家のみなさまに対し説明会の場やプレスリリース、SNSを通じて可能な限り情報を発信していきたいと考えています。ただし、個別の車種や今後の搭載計画については、自動車メーカーや取引先との契約上の制約から開示できない場合がある点については、ご理解いただければと思います。

特に将来の採用計画については、自動車メーカーの商品計画や公表タイミングとの関係もあり、当社から開示できる情報は限られます。

例えば、今回は「39車種目に搭載が決まりました」という表現を使用していますが、具体的なモデル名については開示許可がまだ下りていないため、お伝えすることができません。こちらはお盆明け頃には許諾を取得できることを見込み、プロセスを進めているため、しばらくお待ちいただければと思います。

このように、当社としては開示可能な範囲で導入事例や活用事例、搭載実績について、ホームページや説明会資料を通じてできるだけわかりやすく情報発信に努めていきますので、ぜひご確認ください。

質疑応答:Esri社との連携および北米市場での事業展開について

司会者:「『Esri Partner Network』参画のIR情報を開示されていますが、データ提供のターゲットとなる自治体や道路管理者に対し、貴社の北米子会社からの営業は活発に行われていますか? 取り組みについてご教示いただければ幸甚です。

また、別途開示されている東京建物への『3Dmapspocket』のデータ提供の実現は日本本社の営業努力によるものだと推測していますが、同様の営業努力が北米子会社でも行われているのか、ご教示ください。除雪支援や空港関係等、日本での取り組みの北米での横展開にも期待しています」というご質問です。

吉村:Esri社は、アメリカのカリフォルニアに本社を構える世界最大のGISのソフトウェア会社です。そちらの「Esri Partner Network」に参画したことについてのご確認およびご質問だと理解しています。

北米における自治体や米国運輸省(U.S. DOT)、各州の交通局(State DOTs)など、いわゆるDOTおよびインフラ事業者向けの販売チャネル拡大を目的として、「Esri Partner Network」に参画しました。

この施策は、自動運転向けに整備した高精度3次元データをインフラ管理や都市計画といった分野に展開するうえで、重要な施策の1つであると位置づけています。

北米子会社であるDMP North Americaでは、自動運転向けのデータ提供に加え、道路インフラ管理や公共分野向けの営業活動を行っています。Esri社との連携も、これらの活動を強化する取り組みの一環です。

北米では、DOT向けの提案活動やインフラ管理分野でユースケースの開拓を進めています。時間の都合上、個別案件の説明は控えますが、投資家の方々からも「海外の事例をもっと聞きたい」という声をいただいています。

さらに、直近ではこの分野のエキスパートを1人北米で採用し、提案数を増やしています。それに伴って件数やパイプラインも拡大しており、第2四半期の決算説明会等にて、ユースケースをまとめてご紹介したいと考えています。

当社としては、自動運転向けに蓄積したデータ資産をインフラ管理、都市計画、空港、物流、防災といった幅広い用途で展開していく方針です。

日本だけでなく北米とも情報を連携しながら、提案に活用しています。Esri社との連携など、多用途展開を加速し、法人向けライセンス事業の拡大につなげることが重要な取り組みだと考えています。

質疑応答:高精度3次元データの活用及び事業展開について

司会者:「自動運転以外のビジネス、不動産、建設、ドローン、ゲーム用途など具体的なビジネスプランがあれば、紹介をお願いします」というご質問です。

吉村:当社が自動運転向けに整備した高精度3次元データは、さまざまな産業分野に展開することを成長戦略方針の1つとして位置づけていることは、先ほどご説明したとおりです。

ご質問いただいた各分野についてお答えします。まず、不動産分野では、「3Dmapspocket」を活用し、現地の確認や施設の管理、さらには開発の検討用途といった点で、不動産会社や建築事務所などでの活用が進んでいます。

また、建設・インフラ分野では道路管理、点検、維持管理用途に加え、自治体やインフラ事業者向けの活用提案を進めています。

さらに、先ほどご質問いただいた「Esri Partner Network」への参画や、今年4月にグループインしたリカノスとの連携も含め、国内外のインフラ管理分野への展開を強化しています。

ドローンに関してもご質問をいただきましたが、ドローンを用いた空間データの取得に関する体制強化には、リカノスがグループインしたことが大きく寄与しています。

空港、港湾、物流施設などの特定エリア向けに、高精度3次元データの整備や活用機会の拡大に取り組んでいます。将来的には、ドローン向けのデータ提供も視野に入れています。

最後に、エンターテインメントやゲーム分野にも言及しましたが、直近ではレーシングゲームへのデータ提供実績が生まれています。また、テレビCMへのデータ提供実績をプレスリリースしており、引き続きこのような分野での事業機会を探索しています。

当社では、現時点では想定しきれなかったような用途についてもお客さまからお問い合わせをいただき、顧客との協議や評価が進んでいます。

現時点では自動車関連事業が売上の過半を占めていますが、自動運転向けに構築したデータを活用し、不動産、建設、インフラ管理、エンターテインメントなどの分野に加え、空港、港湾、工場、物流施設の自動化など、同じデータを基盤として中長期的な事業領域の拡大に取り組んでいきます。

質疑応答:ライセンス型売上と調整後EBITDAの前年同期比較について

司会者:「第1四半期はライセンス型売上が増加した一方、売上高は前年同期比で減少し、調整後EBITDAも大きく悪化しています。ライセンス型への転換が進んでいるのであれば、収益性は改善するのではないかと思いますが、今回の減収と調整後EBITDAの悪化の主な要因をあらためて教えてください」というご質問です。

吉村:まず、ご理解のとおり、この四半期において、ライセンス型売上はAI用途を中心に法人ライセンス案件の拡大によって前年同期を大きく上回って推移しました。

一方、前年同期にはいくつかの要因がありました。1つは、国内において高利益率だった大型の法人ライセンス案件が計上されていたことです。もう1つは、北米において、前年度に完了した新規データ整備プロジェクトの反動減が発生したことです。

当社のライセンス型売上は成長を続けていますが、プロジェクト型売上の規模も依然として大きいため、この反動減を吸収するには至らず、売上高と調整後EBITDAが前年同期を下回った実績となっています。

質疑応答:第1四半期の調整後EBITDAおよび法人ライセンス案件の進展について

司会者:「第1四半期の調整後EBITDAは大幅なマイナスとなっていますが、会社計画に対しては本当に想定内なのでしょうか? また、この第1四半期実績を踏まえても、通期業績予想を据え置いている理由を教えていただきたいです」というご質問です。

吉村:まず、第1四半期の調整後EBITDAは前年同期比で減益となっています。一方、社内計画との比較では、調整後EBITDAのマイナス幅は想定内であり、むしろ想定より良い水準で着地しました。

ライセンス型の売上は、AI用途を中心に法人ライセンス案件を拡大し、前年同期を上回っています。ライセンス型中心への転換も引き続き着実に進展しています。

当社の法人ライセンス案件やプロジェクト案件は、過去の実績からもわかるように、年度後半に売上計上が偏る傾向があります。

現時点で通期業績予想の前提としている案件進捗に下振れはなく、通期業績予想も変更していません。引き続き、案件の進捗を慎重に見極めながら、適切な開示を進めていきます。

質疑応答:売上原価と販管費の増加要因および収益性向上への取り組みについて

司会者:「売上高が前年同期比で減少している一方、売上原価や販管費は増加しているように見えます。売上原価と販管費が増加した主な要因をそれぞれ教えてください」というご質問です。

吉村:実際の増加額でいうと、売上原価が約4億円増加し、販管費は約7,000万円増加しており、いずれも前年同期比で増加、あるいは微増しています。

詳細を分けてご説明します。まず、売上原価の増加要因は、主に北米事業における高精度3次元データ関連資産の減価償却費の増加が最も大きく、次に為替の影響が挙げられます。

先ほどもご説明したとおり、北米を含むグローバルなデータセットの整備を昨年度まで進めてきた結果、データ資産が増加し、それに伴って減価償却費も増加しました。前年度比で粗利が減少した主な理由は、過去に実施した投資分の減価償却によるものです。

一方で先進国を中心とした新規整備フェーズはおおむね完了しており、現在は既存データの提供や更新のフェーズへ移行しています。したがって、中長期的には減価償却が終われば、収益性の向上につながる事業構造への転換を進めています。

次に、販管費は約7,000万円とわずかに増加しています。この増加は、M&Aに関連した費用、新規事業開発の関連費用、為替の影響が主な理由です。

特に、測量会社のネットワーク化に向けたM&A関連費用や、本日ご説明した「Data for AI」を含む新規事業開発に関連する販管費については、単なるコスト増ではありません。

将来のデータ整備、更新能力の強化、「Data for AI」、AIネイティブデータについては、グローバルデータ資産の活用やライセンス型売上の拡大に向けた事業基盤の強化に寄与する側面があります。

なお、通期での販管費は前年度比で増加しない見込みであり、いずれにしても当社としてはコストコントロールにしっかり取り組んでいきたいと考えています。

質疑応答:通期予想の下振れリスクについて

司会者:「通期業績予想を達成する上で、現時点での下振れリスクは何でしょうか? 案件の時期ずれやData for AI事業の立ち上がりなど、特に注意すべき点についてどのようにお考えなのか聞かせていただけますか?」というご質問です。

吉村:(いただいた質問は、上振れ面についてではなくではなく下振れに関する)リスクについて、ということですが、通期予想が下振れするリスクとして最も大きいのは、外部環境の変化です。これは、お客さまの開発計画や投資判断に起因するものだと考えています。

このようなファクターにより、「Data for AI」を中心とした各案件において、受注時期、検収時期、計上時期、案件規模が変動するリスクが最も大きいのではないかと考えています。

当社としては、これらの(潜在的な)リスクを認識しているものの、足元の案件状況や進捗を踏まえると、現時点で通期業績予想を変更する必要はないと判断しています。

質疑応答:為替変動と業績予想への影響について

司会者:「通期業績予想の前提為替は1ドル145円とのことですが、足元はそれを上回る水準で推移しています。それでも業績予想を据え置くということは、為替の追い風以外に慎重に見ている要因があるのでしょうか? 為替感応度や上振れ可能性について教えてほしいです」というご質問です。

吉村:為替に関するご質問について、当社の今期の業績予想は1ドル145円を前提として期初に策定しています。

足元の為替水準は当初の前提を上回って推移しており、海外売上に対してはプラス要因となっています。ただし、利益への影響は、海外の売上に見合った費用もまた海外で発生するため、売上と費用が相殺されて為替影響は限定的であるという状況です。

また、為替相場は短期間で大きく変動する可能性があり、市場環境により値動きが激しくなることも認識しています。

そのため、一時的な為替変動のみを前提にして業績予想を見直すことは考えていませんが、今後の案件の進捗や為替の影響を総合的に勘案し、必要に応じて業績予想を修正する場合には適切に開示していきます。

質疑応答:車載用途展開とAIネイティブデータの生成・提案状況について

司会者:「AIネイティブデータについては成長領域として期待していますが、実際に業績へ本格的に貢献し始めるタイミングをどのように見ていますか? いつ頃から売上や利益に本格的に寄与すると見ているのか、短期的な売上貢献なのか、中長期の成長ドライバーなのかも含めて教えてください」というご質問です。

吉村:当社としては、AIネイティブデータをまずは研究開発用途としてADASの開発や評価用途に採用し、その後、そのベースとなる車両やE2Eなどが出てきた段階で、量産用途や車載用途に展開していくことを計画しています。

今期はAIネイティブデータの生成、および企画・提案にリソースを集中投下しています。「Hugging Face」上でのデータ公開により、世界中の方々にデータをご覧いただきました。また、お客さまへの提案や商談も着実に進んでおり、具体的な需要があることを確認しています。

加えて、本日ご説明したとおり、NVIDIAなど、この領域のビッグプレーヤーとも連携を開始しています。市場の立ち上がりに合わせて成長を進めていきたいと考えており、中長期的には重要な成長ドライバーになることを期待しています。

質疑応答:NVIDIAやMathWorksとの連携における競争優位性について

司会者:「NVIDIAやMathWorksと連携してAIネイティブデータを提供する取り組みは非常に興味深いです。一方で、このような大手プラットフォーマーが当該領域に本格参入すれば競合することになるのではないでしょうか?

大手が本格参入した場合もDMPが不可欠な存在であり続けられる理由や、競争優位性がどこにあるのか教えてください」というご質問です。

吉村:当社は、まずNVIDIAとは競合する関係ではなく、補完関係にあると考えています。まず、自動運転をはじめとするフィジカルAIの開発においては、3つの重要な要素があると考えています。

1つ目は計算資源、2つ目はモデルの開発、3つ目はデータです。NVIDIAは、みなさまご存じのとおり、AI向けの計算資源であるGPUを事業の主軸とするプレーヤーです。最近では、彼らはこれを「AIファクトリー」と呼んでいます。

計算資源を提供するプレーヤーはGPUの消費量を増やし、AIの活用を促進することを目的に、それを使いやすくするためのエコシステムをオープンに形成しています。

一方、私たちは実世界の道路を高精度に再現した3次元データ、そこから生成した高精度3次元データやHDマップ、生の点群データや画像データ、さらにはそこに意味情報を持たせたセマンティック情報を保有しています。これらについては先ほどご説明したとおりであり、世界で最も多く保有しているのは私たちです。

フィジカルAIでは、AIが現実世界で動作することを目的・前提としているため、実世界の道路環境や交通ルール、標識、車線、道路構造などを正確に反映し、AIがそれを理解する必要があります。

現在、NVIDIAやMathWorksと連携ができていることは、当社のデータ資産や技術ノウハウがAI開発のエコシステムの中で有用であることを示す一例としてご紹介しました。

残る要素はモデル開発のみですが、NVIDIAが提供する「AIファクトリー」の計算基盤とエコシステムの中で、当社は現実世界のデータを提供する役割を担いながら、世界中の企業がモデル開発を進めていくことを目指して取り組んでいます。

もちろん、モデルは学習しただけでは不十分です。私たちが最近申し上げているように、検証や評価、認証取得など、それぞれにデータが必要となります。

これはNVIDIAだけの話ではなく、他の企業もさまざまなチップや計算資源を活用し、同様の考え方で自動運転をはじめとしたフィジカルAIの開発を進めています。

当社としては、AIが進化すればするほど、高品質な現実世界のデータの重要性がさらに高まると考えています。それに伴い、AI時代の現実世界のデータ基盤として、さらなる価値を提供していきたいと思っています。

質疑応答:令和8年熊本地震による高精度3次元データへの影響について

司会者:「熊本地震について復旧支援の取り組みを理解しましたが、一方で短信では高精度3次元地図データへの影響や原状回復費用の発生可能性についても触れられています。業績への影響について、現時点でどの程度のリスクを見込んでいるのか教えてください」というご質問です。

吉村:令和8年熊本地震では、一部地域において道路形状が変化しており、当社が保有する高精度3次元データとの乖離が生じていることを確認しています。

当社では、発災直後から対象エリアの状況確認と対応方針の検討を進めています。現時点ではデータの更新や復旧費用が発生する可能性はありますが、対象範囲や費用を合理的に見積もることは困難であるため、業績への影響額は未定です。

今後、業績に重要な影響を及ぼすことが判明した場合には、適切に適時開示を行っていく方針です。

質疑応答:フィジカルAIと現実世界データに関する当社のポジションとビジョンについて

司会者:「フィジカルAI時代において、DMPは中長期的にどのような会社を目指しているのか、社長のお考えをお聞かせください」というご質問です。

吉村:本日も、フィジカルAIに関して多くのご説明をしたと思います。総じて申し上げると、フィジカルAIを支える現実世界データのプラットフォーマーとしてのポジションを確立していきたいと考えています。

フィジカルAI時代においては、AIモデル自体も非常に重要です。しかし、そのモデルがどのような現実世界のデータセットを使用して学習し、検証や運用をしていけるかが、競争力の源泉となります。

本日さまざまな動画をご覧いただいたように、当社のデータはAIの学習・評価において有用なものです。

その上で、長期的には現実世界から収集したデータを基に分析、予測、制御を行い、それを再び現実世界へフィードバックする、いわゆるサイバーとフィジカルのループを支える企業グループとして、社会や産業を支えるデータインフラ企業になりたいと考えています。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。