■JNグループの業績動向
1. 2026年11月期中間期の業績概要
2026年11月期中間期の連結業績は、売上高が1,500百万円(前年同期比15.8%増)、営業損失が570百万円(前年同期は65百万円の損失)、経常損失が1,422百万円(同54百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失が1,417百万円(同1,234百万円の損失)となった。のれん償却費を加味したEBITDAも463百万円の損失(同56百万円の利益)となった。
各事業における成長施策を着実に推進した結果、売上高は2ケタ増収した。特にソリューション事業及び暗号資産・ブロックチェーン事業が増収をけん引し、事業ポートフォリオの拡大が進展した。一方、利益面では営業損失を計上した。これは主として暗号資産市況の低迷による取引収益の減少や、自己保有暗号資産の評価損計上による。なお、自己保有暗号資産の評価損はキャッシュアウトを伴わない一時的な会計処理であり、事業活動そのものの資金流出を意味するものではない。
一方で、事業別に見ると成長に向けた取り組みは着実に成果を上げている。メタバース・デジタルコンテンツ事業では、電子書籍コンテンツのヒット作品創出やコミッションサービス「Skeb」の登録者数拡大が進み、収益性も改善した。ソリューション事業では、新規顧客及び取扱商品の増加に加え、食品関連分野での事業拡大が進展し、売上高は大幅に増加した。また、暗号資産・ブロックチェーン事業においても、サービス拡充や運営効率化施策を推進し、売上高は前年同期から大きく拡大している。
同社は近年、コンテンツ、コミュニティ、DXソリューション、暗号資産といった成長市場への事業展開を進めており、当中間期においてもそれぞれの事業領域でユーザー基盤や顧客基盤の拡大が確認された。短期的には暗号資産市場の影響を受けたものの、各事業の成長施策は着実に進捗しており、中長期的な収益基盤の強化につながりつつあると弊社では見ている。
メタバース・デジタルコンテンツ事業は、増収及び黒字転換を達成
2. セグメント別動向
(1) メタバース・デジタルコンテンツ事業
売上高は304百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は25百万円(前年同期は10百万円の損失)となり、増収及び黒字転換を達成した。実業之日本デジタルでは、アンソロジーコミックの単話版独占先行配信を推進し、新規読者の獲得と作品認知度向上に取り組んだ。その結果、「執着ヤンデレに愛されすぎて 異世界恋愛アンソロジーコミック」が好調に推移したほか、「片想いが辛くて失踪したら、ヤンデレ化した夫に捕まりました」が大手電子書店のランキングに入るなど成果が顕在化した。また、「静かなるドン」がYouTubeのタイアップ広告案件として採用されたことに加え、「裏切られた悪徳王女、幼女になって冷血皇帝に拾われる」や「硝子の塔の殺人」の文庫版も堅調に推移し、収益を支えた。スケブが運営するコミッションサービス「Skeb」については、2026年7月時点で総登録者数が400万人を突破しており、日本最大級のコミッションプラットフォームとしての地位をさらに強化した。同サービスでは、クライアントがオリジナルキャラクターやアバターの制作をクリエイターへ依頼できる「うちの子リクエスト」が月間取引の約20%を占めるなど好調に推移している。こうしたなか、2026年5月より総ユーザー数約1,000万人規模とされるソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」とのログイン連携を開始しており、VRユーザー層との接点拡大によるさらなる利用者増加と取引拡大が期待される。また、秋葉原で開催した「超メタフェス2026」には約2万人が来場し、リアルイベントを通じたコミュニティ形成とサービス認知向上にも成果がみられた。Skebの登録者拡大は将来的な取引総額の増加につながる可能性が高く、今後の成長ドライバーとして弊社では高く評価する。
(2) その他(旧IoT関連事業)
「その他」に集約された旧IoT関連事業の売上高は0百万円(前年同期比99.8%減)、営業損失は1百万円(前年同期は39百万円の利益)となった。農業ICT事業であるJN FARMでは、セミドライゴールデンベリーやプレミアムアイスに加え、新商品であるゴールデンベリーリキュール「アウレア・トロピカ」の販売が順調に拡大した。販路も通信販売や地域土産店に加え、酒類卸売業者や酒店へ広がっている。また、栽培過程で発生する葉の残渣を活用した「ほおずきエキス」が化粧品原料として採用されるなど、新たな収益機会の創出も進展した。一方で、売上高が大幅に減少した主因は前期に連結対象から除外されたネクスの影響によるものであり、事業そのものの急激な悪化を示すものではない。現状では規模が小さいものの、農業と食品、化粧品原料を組み合わせた高付加価値モデルの構築に取り組んでおり、中長期的な事業育成の段階にあると考えられる。
ソリューション事業が全体の売上高をけん引。SES事業の稼働率向上が課題
(3) ソリューション事業
売上高は1,013百万円(前年同期比30.1%増)、営業利益は4百万円(同87.7%減)となった。ケーエスピーでは、新規顧客の開拓や取扱商品の増加が順調に進んでおり、ストック型の収益モデルを背景に安定した業績を維持している。また、加工食品の開発・販売も拡大しており、商社機能とフードテックを組み合わせた新たな事業領域への展開を進めている。一方、JNソフトではSES事業において第1四半期に採用した中途人材の案件参画が想定より大幅に遅れたことに加え、パートナービジネスにおけるエンジニアの稼働率低下も発生した。その結果、JNソフトの売上高は予想を大きく下回り、利益を圧迫した。受託開発分野ではASTERIA Warp関連案件の拡大や運用保守案件の獲得、大型案件の受注など成果もみられたが、SES事業の未達を補うには至らなかった。売上高は大幅に増加したものの利益率が低下した背景には、人材稼働率の低下という典型的なSES事業の課題がある。ただし、大型案件の受注や技術力に対する市場評価は高まっており、営業体制の見直しによって人材稼働率が改善すれば収益回復余地は大きいと弊社では考える。
(4) 暗号資産・ブロックチェーン事業
売上高は122百万円(前年同期は4百万円)、営業損失は494百万円(前年同期は2百万円の利益)となった。Zaifでは収益性の低い3銘柄の廃止によるオペレーション効率化や、発行体企業との共同イベント開催、ライフカード(株)との提携による「Zaifカード」のサービス強化などを実施した。これらの取り組みは利用者の利便性向上と差別化につながっており、認知度向上にも寄与している。しかしながら、暗号資産市場の低迷が大きく影響した。フロー収益及びストック収益がともに想定を下回ったほか、自己保有暗号資産に係る評価損を計上したことで大幅な営業損失となった。なお、評価損はキャッシュアウトを伴わない会計上の損失であるが、暗号資産価格の変動が業績に及ぼすリスクが顕在化したもので、収益源の多様化とコスト管理を進め、収益構造の改善を図る方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)