■プロパストの業績動向
1. 2026年5月期の業績概要
2026年5月期の連結業績は、売上高29,465百万円、営業利益3,247百万円、経常利益3,056百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,879百万円となった。なお、2026年5月期より連結財務諸表を作成していることから、2025年5月期との対前期増減率の記載はない。参考情報として、2025年5月期の非連結業績は、売上高27,839百万円、営業利益3,334百万円、経常利益2,826百万円、当期純利益1,957百万円である。
2026年5月期の日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されたものの、中東情勢や金融資本市場の変動による影響を注視する必要があった。同社グループが属する不動産業界においては弱含みの動きが見られ、先行指標となる新設住宅着工戸数の季節調整済み年率換算値は2026年4月が724千戸(前月比1.7%減)で4ヶ月連続の減少となったほか、首都圏マンションの初月契約率は同年5月が64.9%となり、好不況の分かれ目とされる70%を3ヶ月連続で下回った。
このような状況のなか、同社グループは、分譲開発事業での開発を進めつつ、賃貸開発事業及びバリューアップ事業では、東京都23区内の厳選した好立地で新規物件を取得し、保有物件については積極的な売却を進めた。また、建築請負事業では、関東圏の新築分譲マンション及び新築賃貸マンション開発工事を中心とした建築工事を進めた。
セグメント別では、分譲開発事業は、売上計上する引渡物件がなく、売上高はゼロとなった。しかしながら、開発中物件における建築工事費の予想を上回る増加に伴い、棚卸資産の評価減を計上した結果、セグメント損失は139百万円となった。これは、財務的な余裕がある段階で早期に資産の再評価を行ったことによるものである。近年は首都圏市場全体で地価や建築費が上昇し、土地の取得や高水準の収益確保の難易度が増していることから、同社グループ全体に占める売上高や利益の構成比(比重)は低下傾向にある。
賃貸開発事業は、売上高は19,779百万円、セグメント利益は3,709百万円となった。首都圏を中心に用地取得から賃貸マンション建築・販売まで行っており、鷹番プロジェクト及び幡ヶ谷3プロジェクト等の19プロジェクトを売却した。プロジェクトは前期と同数であったが、規模が拡大した。都心の好立地における物件取得や適切な商品企画が寄与し、竣工と同時に売却が進むなど順調な販売推移となった。
バリューアップ事業は、売上高は1,872百万円、セグメント利益は216百万円となった。西中延2プロジェクト、南大塚4プロジェクト及び猿江プロジェクトの3プロジェクトを売却した。前期売却実績の18プロジェクトからは、大きく減少した。その要因としては、在庫圧縮に向けた売却が順調に進んだ結果、販売物件数が減少した影響が大きい。
建築請負事業は、売上高は7,801百万円、セグメント利益は772百万円となった。2026年以降の完成工事を含む新規受注を積み増しており、受注済みの請負工事も進捗した一方、資材価格の高騰に対しては、適切な原価管理により影響の軽減を図っている。2026年5月期は、みなし取得日を2025年12月31日として小川建設との連結決算を開始し、2026年1月1日から2026年3月31日の業績を反映した。また、2026年4月1日から2026年5月31日までの連結決算日との間に生じた重要な取引については、連結上必要な調整を行っている。
2. 財務状態及びキャッシュ・フローの状況
2026年5月期より連結財務諸表を作成したことから、連結貸借対照表においても2025年5月期との対前期増減の記載はない。
2026年5月期末の資産合計は、46,809百万円となった。流動資産は44,996百万円となり、主な内訳は、現金及び預金が11,551百万円、売掛金及び契約資産が12,644百万円、販売用不動産と仕掛販売用不動産が合計で19,296百万円である。契約資産は、建設業における請負工事において、進行基準で計上した未請求工事分であり、小川建設の子会社化に伴い新たに計上された勘定科目である。固定資産は1,813百万円となり、主な内訳は、有形固定資産が72百万円、無形固定資産が781百万円である。
負債合計については、29,692百万円となった。流動負債は19,989百万円となり、主な内訳は買掛金が5,677百万円、短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が12,279百万円である。固定負債は9,702百万円となり、主なものは長期借入金の9,647百万円である。借入金(長期借入金と短期借入金等の合計)は、21,926百万円となった。純資産合計については、17,117百万円となった。主な内訳は、資本金が1,750百万円、資本剰余金が777百万円、利益剰余金が11,545百万円である。成長局面にある小川建設のグループ化に伴い、自己資本比率は29.3%となったが、今後は30%を目標に自己資本を積み上げる計画である。流動比率は225.1%であり、短期的な資金繰りに困らない十分な支払い能力を確保している。
現金及び現金同等物(以下、資金)の2026年5月期末残高は、11,548百万円となった。各キャッシュ・フローの状況については、営業活動により獲得した資金は、6,172百万円となった。これは主に、税金等調整前当期純利益として3,056百万円を計上したことや、売上債権が2,393百万円減少したこと、前渡金が1,379百万円減少したことなどにより資金を獲得した一方で、法人税等を1,594百万円支払ったことによる。投資活動により獲得した資金は、73百万円となった。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社の株式取得による収入70百万円による。財務活動により支出した資金は、1,266百万円となった。これは主に、物件の取得に伴い、長期借入金及び短期借入金として新たに融資契約を締結したことにより13,022百万円を調達したものの、物件の売却や借入期間の終了などに伴う長期借入金及び短期借入金の返済により13,988百万円の支出が発生したことによる。
以上から、営業活動と投資活動を合わせたフリー・キャッシュ・フロー(事業活動により創出された資金)は、6,245百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)