『日本発のサイバーセキュリティ総合プロバイダ』
石田晃太氏:株式会社網屋2026年12月期第2四半期決算説明会を開始します。本日はご多忙の中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。株式会社網屋代表取締役社長の石田です。
今回は業績ハイライトの前に、当社網屋についておさらいを兼ねて概要を簡単にご説明した後、業績をご説明します。
網屋は『インターネット網』に由来する会社で、もともとはネットワークインフラの構築を祖業としてビジネスを開始しました。
現在はセキュリティ分野に特化しており、自社でセキュリティ関連のソフトウェアやサービスを製造できる点が、当社にとって最大のアイデンティティとなっています。
当社は「日本発のサイバーセキュリティ総合プロバイダ」というビジョンのもと、セキュリティに関してなんでも対応し、セキュリティ製品を自社で開発できる会社へと成長してきました。
主力プロダクト/サービスは、自社開発・自社運用
データの保護、監視、記録を行うデータセキュリティ事業と、通信インフラの構築を行うネットワークセキュリティ事業の二つの事業を展開しています。
データセキュリティ事業の主軸は「ALog」という製品で、車に例えるとドライブレコーダーのようなものです。
この製品では、ITインフラ全体の操作に関するヒストリカルデータをすべてまとめ、誰が何をしたか、またはどこから攻撃がありどのように展開されたかを記録として残します。これにより、後で追跡が可能になる非常に重要な製品です。
また、セキュリティに関する相談を受けて解決するコンサルティングサービスや、攻撃の監視・検知を請け負うサービスなども提供しています。
ネットワークセキュリティ事業ついては、SASE(Secure Access Service Edge)と呼ばれる、ネットワークとセキュリティの機能をクラウド上で統合した仕組みがあります。テレワークやオンライン会議など場所を問わない働き方が進む中、社内外を問わず安全にアクセスできる環境としてSASEの導入が進んでいます。
当事業では、これらのSASE製品や、法人のLAN/WANをクラウドから運用する新たなネットワークインフラのサービスソリューションを提供しています。
直近3年の網屋
過去3年の業績については、売上が2倍、営業利益が4倍、ARR(年間経常収益)も2倍、契約負債も2倍と、サブスクリプション型のビジネスとして順調に積み上がっており、今後も一定の成長性が見込まれる事業となっています。
特筆すべき点は、解約率です。主力製品に対する解約率は3年平均で0.7パーセントと、極めて低い解約率を維持しています。これは、インフラとして非常に重要であることと、圧倒的な競争力が寄与していると考えています。
数字で見る網屋
大きな特徴と言えるのは、多くのお客さまを抱えており、かつそのほとんどが大手企業である点です。これにより、いわゆる中小企業向けのSaaSサービスとは一線を画しており、サブスクリプションビジネスでありながら、比較的大企業向けのサービスや製品を供給しています。
販路としては、富士通、日本電気、日立製作所といった大手ベンダーやSIerがあり、このような企業が我々の一次代理店となっています。
Q2 業績ハイライト
それでは、業績のハイライトをご説明します。売上高は、前年同期の27億4,600万円に対して、今期は33億9,700万円となり、前年同期比23.7パーセントの増収となっています。通期予想は70億200万円としており、進捗率は48.5パーセントです。
営業利益については、前年同期の4億8,600万円に対し、今期は6億3,800万円となり、前年同期比31.3パーセントの増益を達成しています。通期予想12億円に対する進捗率は53.2パーセントです。
親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期の3億2,500万円に対し、今期は4億3,500万円となり、前年同期比33.8パーセントの増益となりました。通期予想8億5,000万円に対する進捗率は51.2パーセントです。
当社は下期偏重型の年間計画を採用しているため、いずれの指標についても、上半期を折り返した現時点で順調な進捗状況となっています。
Q2 エグゼクティブサマリ
エグゼクティブサマリーです。今期は、投資の年と位置付けています。当社では販促など積極的に投資を行ってきましたが、それを上回る売上の伸びがあり、これによってコストをカバーしています。中間期としては、売上と利益ともに過去最高を更新しました。
サブスクリプションなどのストック収益を示すARRは、前年同期比34パーセント増加し、44億円台まで積み上がっています。
販促投資の具体例としては、「情報セキュリティEXPO」や「Interop Tokyo」といった大型展示会、自社主催イベント、オンラインイベントなどを各種実施しました。
例年よりも通常の販促費に5,000万円強のコストを追加したものの、売上の伸びがそのコストを上回り、営業利益は前年同期比31パーセント増となりました。
最後のトピックとして、大手資本提携先であるキヤノンマーケティングジャパンやNTTドコモビジネスとの協業がこれから始まります。OEM開発も含め、共同で新しい商品の販売を進める予定です。
Rev/OP 四半期推移
売上高・利益の四半期推移についてです。一貫して右肩上がりの成長を続けており、今期も成長トレンドを維持しています。ただし、今期は投資の年という位置づけのため、比較的利益を抑えた運営を行う年となります。
2019年度の営業利益率は6パーセントでしたが、現在では18.8パーセントと上昇傾向にあります。ただし、これは積極的な投資を行いながら実現した数値であり、投資分を除けば実際の営業利益率はさらに高い水準にあると考えられます。
OP 四半期推移
従来、第2四半期の伸び率はあまり芳しくない傾向にありました。2024年度における第1四半期から第2四半期への増加率が14パーセントだったのに対し、2026年度ではプラス84パーセントと、成長の度合いが大幅に拡大しています。
四半期別 売上高/営業利益
例年は下期偏重型であり、具体的には上期が40パーセント台後半、下期が53パーセントから54パーセントという推移が例年見られます。一部ばらつきはあるものの、下期偏重の傾向が見て取れます。
下期に売上や利益が積み上がりやすい傾向がある中、今期については半期の時点で通期予想の約50パーセントに到達しており、順調な進捗を示しています。
ARRの四半期推移
ARRについて、QoQとYoYでそれぞれ記載しています。
全社のARRは、前年比で33.9パーセント増加しました。事業ごとでは、データセキュリティ事業は前年比39.2パーセント増、ネットワークセキュリティ事業は前年比29.4パーセント増と高い成長を続けています。
データセキュリティ事業の主力製品である「ALog」や、ネットワークセキュリティ事業におけるSASE関連の自社商品・サービスが順調に収益性を高めていることを示しています。
契約負債の四半期推移
契約負債は、従来の「前受金」に相当するものであり、前年比で68.5パーセント増加しています。
これはサブスクリプション契約において、契約時に代金を一括で受け取る一方、収益としては毎月按分して計上する仕組みによるものです。サブスクリプション契約が加速していることで、この契約負債(前受金)が積みあがっています。
販管費の四半期推移
販管費についてご説明します。当社では今期を投資の年と位置付け、積極的に各種投資を行っています。
まず、事業の順調な成長に伴い、外注に頼るリソースを減らし、プロパー人材を早期に育成して内製化していくことを重要なテーマとしています。そのため、優秀な新卒を積極的に採用する方針を掲げています。
また、広告宣伝や研究開発(R&D)にも注力しています。特にSASEと呼ばれる分野において、急速に拡大する需要に対応するため、将来の成長を見据えた準備が重要だと考えています。そのため、目先の利益を追求せず、粛々と投資を進めていく体制を整えています。
事業別サマリ
それぞれの事業のトピックについて簡単にご説明します。いずれも同様ですが、ランサムウェア対策に加え、昨今ではサプライチェーンマネジメントの評価制度が注目を集めています。
国や大企業が、関連子会社や取引先に対し、セキュリティ体制を整備し運用することを義務付けたり要請したりしながら、最終的にはそれを格付けのように通信簿をつけていくという動きが高まっています。
こうした背景の中で、サプライチェーン関連のお客さまからの受注が非常に増加しています。
お客さまの購買動機としては、経済安全保障・内部統制・サプライチェーン監査といった分野が挙げられます。これらは一度対応を始めると後戻りしにくい性質があり、それゆえに解約率が低いという特徴があります。
また、昨今の動向として、エネルギー系や防衛産業系のお客さまからの受注が新たに増加している点がトピックとなっています。
ネットワークセキュリティ事業についても基本的には同様で、比較的拠点数の多いお客さまに対して、クラウドから拠点間のネットワークを一元管理・遠隔制御できるサービスを提供しています。
外食、小売、製造業など多拠点展開している中堅企業のお客さまにおいては、通信インフラ全体を利用したいというニーズがあり、非常に需要の高いビジネスとなっています。
ただし、前述のとおり、ブランディング投資や研究開発のため、利益拡大にはもうしばらく時間がかかる見込みです。
データセキュリティ事業
データセキュリティ部門の主力製品である「ALog」の累計受注件数についてです。前年比は56.7パーセント増となりました。解約率については、下の緑の部分に示されているように0.7パーセントと極めて低い水準です。
旧体系の、いわゆるフロー型の保守契約であったものは、徐々に解約が増えています。これはつまり、サブスクリプションへの移行が順調に進んでいることを示しています。
ネットワークセキュリティ事業
ネットワークセキュリティ事業についても、同様にサービスを供給しており、機器を最初に販売するというフロー売上と、その後のサブスクリプションサービスによるライセンスビジネスという2つの側面があります。
初期段階では、一過性の売上として機器の販売が立ち、その後の継続サービスがライセンスとして展開されますが、いずれも順調に伸びています。その中でも特に、新しいSASEというサービスが注目されています。
SASEは、従来のVPNやUTMルーターといった個別のセキュリティ機能を統合したトータルセキュリティソリューションであり、当社の製品の中でも特に伸びています。
「セキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」が後押し
成長持続性と中期戦略についてです。いくつかのカテゴリタイプを提示していますが、1つ目は国内マーケットについてです。ご存じのとおり、セキュリティは成長産業です。
特に、SCS評価制度や経済安全保障政策といった国による施策、または民間の取引関係における要請から、セキュリティ体制を強化する必要があります。これを怠ると、いずれ自分に被害が及ぶことから、社会全体でセキュリティのレベルアップが求められる時代がようやく到来しています。
世界市場:主要なサイバーセキュリティプロダクト
世界市場において、数年前からこの動きが活発化しています。
プロダクトを大きなカテゴリに分けると、アンチウイルスの進化版であるEDRや、1つのログインで認証を行うシングルサインオンのIDaaS、認証系サービス、我々が提供するログを集めて有事の際に分析に活用するデータ分析プラットフォーム、そしてネットワークインフラをクラウドから包括的に提供するサービスなど、複数のカテゴリが存在します。
特にSASEは、もともと北米を中心としたワールドワイドな企業がプレーヤーとなっている市場であり、時価総額や売上規模が非常に大きいことが特徴です。ポテンシャルマーケットではあるものの、日本のプレーヤーはまだ非常に限られています。その中で、当社が日本における代表的な存在になろうとしている、まさに過渡期にあります。
従来差異:主力製品を売切りからサブスクに変更
我々網屋は、創業から約30年が経過しています。これまでの課題の1つに、主力商品のサブスクリプション移行の遅れが挙げられます。
「ALog」は約6,500契約を獲得してきた歴史ある製品ですが、これを完全にサブスクリプション化し、販売モデルや収益構造を大きく変える取り組みを、実は2年前にはすでに実施しています。一時的にフローの減収がありましたが、現在はストック収益が積み上がるフェーズに入っています。これから収益性をさらに高められる、十分な要素を備えています。
収益構造:サブスクストックとフローのハイブリッドへ
当社のビジネススキームが大きく変わってきている点についてです。従来はフロービジネスが中心でしたが、今後はサブスクリプションを基盤としたストックビジネスが収益性を大きく押し上げていくと考えています。
ただし、SaaSのサブスクリプション一辺倒では収益性を確保しづらいという業界共通の課題もあります。当社では、優れたコンサルティングによるSIソリューションと収益性の高いSaaSビジネスを組み合わせたミックス型の収益構造を採用しています。
これにより、スケールを拡大しながら、利益をしっかりと確保できるビジネス基盤を構築しています。
売上:各事業それぞれが安定成長期へ
各事業は、それぞれ順調な成長を遂げています。特に「ALog」は前年比で約35パーセントの成長を記録しました。
データセキュリティ事業ではこのほか、「総合セキュリティサービス」としてセキュリティに関するコンサルテーションを提供し、さまざまな相談に応じながら、顧客のセキュリティ上のお悩みを解決するソリューションを提案しています。
このサービスも非常に順調に成長しており、当社の主要なサービスの1つとなっています。また、「Network All Cloud」はSASEなどを含む総合サービスの呼称で、このビジネスも引き続き拡大しています。
レガシーなSIビジネスも順調に増加していますが、低い粗利益のため、比較的抑制傾向にあるのが現状です。
ARR :継続収益の3か年予測
先ほど申し上げたように、データセキュリティ事業の「ALog」や、ネットワークセキュリティ事業の「Verona」といったサブスクリプションサービスが順調に拡大しており、ARRも着実に積みあがっています。2028年にはARR72億円を目標としていますが、現在のところ順調に進捗しています。
配当:予想の修正(増額)に関するお知らせ
配当についてです。これまで増配予測は未定としていましたが、前年の15.73円から今期予想を20円に変更しました。
資本提携:資本シナジーによる事業拡大
もう1つ大きなトピックとして、いくつかの資本提携を行っています。当社は大きな資本政策を進めており、非常に大手のお客さまから資本参画をいただいています。
具体的には、NTTグループさま、キヤノングループさま、三菱重工グループさまに属する企業に出資をしていただいています。
これは単なる純投資ではなく、当社の国産セキュリティ商品やサービスの技術力を評価いただいた結果であり、今後は一緒に協業を展開しながら、新たな事業シナジーを模索していく関係だと考えています。
そのため、協業の効果が本格的に表れるのは来年以降になると見込んでおり、それに伴い売上も大きく増加していくと予測しています。
投資計画:将来伸長事業に積極投資
今年は投資の年という位置づけで、広告宣伝や人材投資、研究開発など、さまざまな取り組みを積極的に進めています。その際、目先の利益にとらわれることなく、将来の成果を着実に積み上げていく姿勢をモットーとしています。
投資計画:販売促進費の一例
販促費の一例として、「情報セキュリティEXPO」や「Interop Tokyo」等大型のセキュリティイベントへの出展やパートナーさまへの感謝イベントの開催など、さまざまな取り組みを行っています。コストは増加していますが、こうした取り組みによってブランドが着実に向上しており、その効果もあってか特にSASEの売上が大きく伸びています。
M&A:国産HWメーカー展望として、機器製造企業を買収
同時に、M&Aのロールアップも今後積極的に進むと考えています。その1つとして、もともとデバイス、産業機器やインターネット機器を製造する企業を当社がグルーピングしたことが挙げられます。
我々の製品の自社国産製造に協力してもらうことで純国産の幅を一層広げていくことができ、これが本格的な成長を期待できる要素の1つになっています。それ以外にも、周辺領域へのM&Aを通じて規模拡張を積極的に行っていきます。
R&D:ALog AIを駆使した自動監視機能を強化
R&Dについて詳細は割愛しますが、従来の極めて巨大な北米の高額商品に比べると、どうしても機能面で見劣りする部分がありました。しかし、研究開発を進めることで、現在すでに新しいバージョンが1つ登場しています。
また、来年頃の第2バージョンのタイミングにおいては、機能が大きく充実し、高い価格優位性と為替変動リスクも抑えられるという強みを併せもつことで、市場から期待される商品に成長していくと考えています。
R&D:Verona 海外競合を追随できる大幅な機能向上
同じように「Verona」というSASE製品も、いろいろな機能を統合した製品ですが、これまで機能が十分でなかった部分についても着実に機能追加を進めています。
現在では、時価総額数兆円、数十兆円規模の海外企業の製品と肩を並べられるほどの機能を備える製品へと成長を遂げています。
付録:主力プロダクトのKPI
主力のKPIは、スライドのとおりです。
付録:人材戦略
人材戦略については、スライドのとおりです。
以上で、ご説明を終わります。