■ギークリーの今後の見通し
1. 2027年5月期の業績見通し
2027年5月期の業績は、売上高12,080百万円(前期比23.5%増)、営業利益2,506百万円(同16.2%増)と、2ケタ増収・営業増益を見込んでいる。企業によるDX推進の定着に加え、近年のAI技術の急速な発展を背景に、IT人材や高度専門職に対する需要が引き続き高水準で推移することを前提としている。
増収増益を見込む主な要因は、継続的な集客強化と面談CAの増員に伴う面談数の拡大である。成長の原動力となる期末の面談CA数については、積極的な採用を継続することで、前期末の112名から140名へ増やす計画としている。なお、前期は成約単価の上昇が売上高及び利益の押し上げ要因となったが、同社は2027年5月期予想では成約単価を一定程度保守的に見積もっているとしている。このため、売上成長は、主として面談CA数の増加に伴う面談数及び成約数の拡大によって達成する前提となっており、業績には一定の上振れ余地があると弊社では評価している。
費用面では、特定媒体における成功報酬料率改定の影響により、売上総利益率は前期の89.4%から88.0%へ、1ポイント程度低下する見込みである。一方、販管費は前期比23.3%増の8,120百万円へ増加するものの、販管費比率は67.2%と、前期の67.3%とほぼ同水準になる見通しである。この結果、営業利益率は20.7%となり、20%超の高水準を維持する予想としている
集客関連費用である人件費、販売促進費、広告宣伝費の合計は、前期比24.5%増の6,789百万円へ増加する見込みである。ただし、売上高に対する構成比は56.2%と、前期の55.7%から小幅な上昇にとどめる計画であり、売上成長に見合った適切な費用コントロールを継続する方針がうかがえる。
内訳を見ると、人件費は面談CAを中心とする人員増強により、3,534百万円(前期比23.7%増)を見込んでいる。販売促進費は、面談CPAの高止まりやアウトバウンド集客に係るスカウトチケット費用の値上げなどを反映し、2,850百万円(同28.2%増)を見込んでいる。一方、広告宣伝費は「ZETA DIVISION」とのスポンサー契約継続・関連施策を展開するものの、405百万円(同8.9%増)と1ケタの伸びに抑える方針である。売上高に対する構成比は、人件費が前期の29.2%から29.3%、販売促進費が22.7%から23.6%、広告宣伝費が3.8%から3.4%となる見通しであり、いずれもおおむね前期並みの水準に収める方針である。
求職者基盤の拡大とハイレイヤー層開拓で成長を加速
2. 成長戦略
同社は中期経営計画を公表していないため、具体的な中期業績目標は示していない。ただし、事業運営においては売上高成長率20%、営業利益率20%を下限とすることを基本方針としており、高い成長率と収益性の両立を目指している。その実現に向けた当面の施策として、IT人材領域に特化した人材紹介事業で培った強みを生かし、集客力の強化による求職者基盤の拡大と、ターゲット領域の拡張による事業領域拡大の推進を挙げている。
まず、求職者基盤の拡大に向けて集客力の強化に取り組む。2027年5月期においては、eスポーツチーム「ZETA DIVISION」とのスポンサー契約を継続し、テレビCMや交通広告では認知を獲得しにくい層に対して、さらなる認知度向上と求職者獲得を図る。さらに、「ZETA DIVISION」との取り組みをきっかけにカプコンとのコラボレーション企画を実現したように、ITエンジニアとの親和性が高いコンテンツを活用した独自のプロモーションを展開する。これにより、他社との差別化を進めながら集客効果を高めていくねらいである。
一方、事業領域の拡大では、従来の主戦場である年収400~800万円の中堅層に加え、より高年収帯のハイレイヤー層やハイクラス層の開拓を進める。AIの進化に伴い、高度なスキルや豊富な経験を持つ人材に対する企業ニーズが高まっており、同社はこれを成長機会と捉えている。
ハイレイヤー層は成約までに時間と工数を要するものの、成約単価が高く、収益性の向上が期待できる領域である。同社は、創業以来培ってきたオペレーション体制と基幹システム「OLG」を活用し、ハイレイヤー人材の集客から成約までを効率的に進める方針を掲げている。特に、2018年以降に強化してきたインバウンド集客は堅調に推移しており、今後も求職者獲得と成約の好循環を確立することで、さらなる成長につなげるとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)